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プロダクト開発・システム開発に最適なラボ型開発手法のメリットと導入ポイント

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近年、プロダクト開発やシステム開発の分野では、開発体制として「ラボ型開発」が注目されています。

このモデルは、従来の請負型開発とは異なり、柔軟性と効率性を兼ね備えており、とくに長期的なプロジェクトや仕様変更が頻繁に発生するケースに適しているからです。
 

ラボ型開発が注目される背景には、日本のIT人材不足という大きな課題が存在します。

経済産業省の調査によると、2030年には最大で79万人のITエンジニアが不足する可能性があるとされており、この人材不足を補う手段として、企業は外部のエンジニアチームを柔軟に活用できるラボ型開発を採用し始めているのです。
 

このラボ型開発の強みは、長期的に優秀なエンジニアを確保しつつ、プロジェクトの進行中に仕様や要件を柔軟に変更できる点にあります。

 

たとえば、新製品の開発において、企画段階で確定していない仕様や市場の反応に応じた迅速な変更が求められる場合、ラボ型開発は非常に効果的です。

また、ラボ型開発では、エンジニアチームが発注元の専属として働くため、ノウハウの蓄積やスムーズなコミュニケーションが可能です。


このように、ラボ型開発は企業が競争力を維持し、急速に変化する市場に対応するための重要な開発手法となっています。

本記事では、ラボ型開発の基本的な特徴からその具体的なメリット、成功事例、そして導入方法に至るまでを詳しく解説いたします。これにより、企業がラボ型開発をどのように活用すべきか、その指針を提供します。

ラボ型開発とは?

ラボ型開発は、従来の開発手法とは一線を画す柔軟な契約形態を持つ開発モデルです。

とくに、プロジェクトの進行中に仕様変更が多発するような状況や、長期間にわたってリソースを確保する必要がある場合に非常に適しています。

ラボ型開発の基本的な定義

ラボ型開発とは、一般的に「準委任契約」に基づき、一定期間、発注元が外部のエンジニアチームを専属で活用できる形態のことを指します。

 

このモデルでは、成果物の納品を求めるのではなく、契約期間内で必要な業務を遂行することを目的としています。

 

ラボ型開発は、とくにプロジェクトの途中で仕様や要件が変更される可能性が高いケースにおいて有効です。

ラボ型開発と他の開発手法との違い

従来の「請負型開発」と比較すると、ラボ型開発はその柔軟性と持続可能なリソース管理が大きな特徴です。

 

請負型開発では、あらかじめ定められた仕様書に基づいて開発が進行し、納期までに成果物を完成させることが求められます。

 

これに対して、ラボ型開発では、仕様が確定していなくてもプロジェクトを進行させることが可能であり、途中での変更や追加要件に対しても柔軟に対応できます。

ラボ型開発の背景と需要の増加

ラボ型開発が注目される背景には、現代のビジネス環境の変化と、それに伴う開発プロセスの多様化があります。

 

とくに、IT業界では、技術の進化と市場の変動が非常に速いため、長期的に安定した開発リソースを確保しつつ、柔軟に対応できる体制が求められているからです。

 

さらに、少子高齢化や労働力不足といった日本独自の社会的背景もあり、企業は効率的なリソース管理ができるラボ型開発を採用する傾向が強まっています。​​​​​​​​​​​​​

実際の運用例

たとえば、日本のある大手企業では、長期的なシステムの保守運用や新規プロダクトの開発において、ラボ型開発を積極的に活用しています。

 

この企業では、国内外のエンジニアチームをラボ型開発で専属契約し、常に最新の技術を取り入れたシステム更新を実現しています。

 

これにより、プロジェクトの初期段階で詳細な仕様が決まっていない状況でも、柔軟にプロジェクトを進められる体制を整えることが可能です。

ラボ型開発の利点と課題

ラボ型開発の利点は、優秀な人材を長期間確保できる点、仕様変更に柔軟に対応できる点、そして、ノウハウの蓄積が容易な点です。

 

一方で、デメリットとしては、チームの構築に時間がかかることや、継続的なプロジェクト管理が必要な点が挙げられます。


ラボ型開発は、現代の複雑化するプロジェクトに対して適したアプローチであり、その柔軟性と効率性が今後さらに多くの企業に受け入れられていくことが予想されます。

ラボ型開発のメリット

ラボ型開発は、従来の開発手法と比較して、特定の状況で非常に有効な手段となり得るいくつかのメリットを提供します。以下に、その主要なメリットについて詳しく解説します。

長期間のリソース確保とコスト効率

ラボ型開発の最大の利点の一つは、優秀なエンジニアチームを長期間確保できる点です。

通常の請負型開発では、プロジェクトごとにエンジニアを割り当てるため、常に優秀な人材を確保できるとは限りません。

 

しかし、ラボ型開発では、契約期間中は発注元専属のチームとして働くため、安定した品質の開発を継続できます。

 

また、プロジェクトごとの見積もりや追加費用が発生しないため、コストの予測が容易であり、長期的なコスト効率も向上します。

柔軟な仕様変更と対応能力

ラボ型開発では、プロジェクト進行中に発生する仕様変更や追加要件に柔軟に対応できるのも大きな利点です。

 

従来の請負型開発では、仕様変更が発生するたびに再度見積もりが必要となり、時間とコストがかさむ可能性があります。

一方、ラボ型開発では契約期間内であれば仕様変更に対応することが前提となっているため、迅速な対応が可能です。これにより、変化する市場のニーズやクライアントの要望に適応しやすくなります。

ノウハウの蓄積とスピードアップ

ラボ型開発は、プロジェクトを通じて得られるノウハウを蓄積しやすいという特徴があります。

 

とくに、継続的に同じチームで開発を進めることで、チームの理解度や効率が向上し、次のフェーズやプロジェクトでの開発スピードが向上します。

 

この蓄積されたノウハウは、将来的に他のプロジェクトや社内での開発活動にも役立つ資産です。

コミュニケーションのスムーズさ

ラボ型開発は、固定されたメンバーでチームが構成されるため、チーム内のコミュニケーションがスムーズです。

 

とくに、長期間にわたるプロジェクトでは、信頼関係が深まることでコミュニケーションが円滑になり、プロジェクトの進行がより効率的に行われます。

 

また、専属チームが発注元の文化やビジネスプロセスに精通することで、さらにコミュニケーションが強化されます。

低リスクでの人材確保

日本では優秀なエンジニアの採用が難しい状況が続いており、その採用には多大なコストがかかります。しかし、ラボ型開発を利用すれば、実際に雇用するよりも低リスクで優秀なエンジニアを確保できるのです。

とくに、海外のエンジニアを活用する場合、変動費での人材調整が可能であり、プロジェクトのニーズに合わせた柔軟な人員配置ができます。


ラボ型開発は、このようなメリットを最大限に活用することで、効率的で柔軟な開発プロセスを実現し、企業の競争力を高める手段です。企業が求めるリソースやプロジェクトの性質に応じて、このモデルを適切に導入することが成功への鍵となるでしょう。

ラボ型開発の成功事例

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ラボ型開発は、さまざまな業界で革新的な成果を生み出しています。ここでは、日本国内外で成功を収めた具体的な事例を紹介し、その成功要因を探っていきます。

事例1:大手自動車メーカーによるデジタルイノベーション

日本の大手自動車メーカーは、デジタルイノベーションの一環として、ラボ型開発を活用しました。このプロジェクトでは、IBM Garageをパートナーに迎え、短期間での価値創出を目指しました。

チームは日本だけでなく、ヨーロッパやアメリカからも専門家を集め、共同作業を行うことで、数週間でモバイルアプリを開発し、テスト段階に進めたのです。この迅速なプロセスとグローバルな視点が成功の鍵となりました。

事例2:金融機関のデジタルトランスフォーメーション

日本のある金融機関は、全社的なデジタルトランスフォーメーションを推進するため、ラボ型開発を採用しました。

このプロジェクトでは、IBMのデータサイエンティストチームと協力し、保有する膨大なデータを活用して新しい価値を創出する取り組みが行われました。

 

具体的には、データ分析から得られたインサイトをもとに、顧客向けの新サービスを短期間で開発し、PoC(概念実証)段階から商業化までのプロセスを迅速に進められたのです。

事例3:オフショア開発を活用したエンタープライズシステムの構築

ラボ型開発の強みを活かし、ベトナムの優秀なエンジニアチームを活用して、日本の大手企業がエンタープライズシステムの大規模改修を行った事例もあります。

 

オフショア開発でありながら、ラボ型開発の柔軟な体制を取り入れることで、コストを抑えつつも高い品質を維持できました。このプロジェクトでは、専属チームが長期間にわたってシステムの運用と保守を担当し、継続的なノウハウの蓄積を実現しました。

成功の要因と学び

これらの成功事例に共通する要因は、専門性の高いチームを適切に編成し、柔軟な開発プロセスを維持した点にあります。

 

また、ラボ型開発の特性を活かし、プロジェクトの要件変更にも迅速に対応できる体制が整っていたことが大きな成功要因となりました。さらに、グローバルな視点を取り入れ、世界中のリソースを有効に活用することで、日本国内のプロジェクトにおいても高い成果を上げられています。


このように、ラボ型開発はさまざまな業界での成功を可能にし、企業の競争力を高めるための重要な手段となっています。成功の鍵は、適切なチーム編成、柔軟な対応力、そしてグローバルなリソースの活用にあるといえるでしょう。

ラボ型開発の導入方法とポイント

ラボ型開発の導入は、単に外部の開発チームと契約するだけではなく、組織全体の開発戦略に深く関わるプロセスです。成功するためには、適切な準備と戦略的な導入が必要です。

 

ここでは、ラボ型開発を導入するためのステップと、成功に導くための重要なポイントを紹介します。

ステップ1:プロジェクトのニーズと目的を明確にする

ラボ型開発を導入する最初のステップは、プロジェクトのニーズと目的を明確にすることです。

 

どのような開発が必要なのか、どのくらいの期間が想定されるのか、またどの程度のリソースが必要なのかを具体的に設定することが重要です。この段階で、ラボ型開発が最適な選択であるかどうかを慎重に検討する必要があります。

ステップ2:適切なパートナーの選定

次に、信頼できるラボ型開発のパートナーを選定します。このパートナーは、技術的なスキルだけでなく、プロジェクト管理能力やコミュニケーション力も求められます。また、過去の成功事例や業界での評価も確認し、企業文化や価値観が自社と合致しているかを見極めることが重要です。​​​​​​​​​​​​

ステップ3:チームの構築とコミュニケーションの確立

パートナーが決定したら、次に行うのはチームの構築です。チーム構成においては、プロジェクトのスムーズな進行を確保するために、ブリッジSE(システムエンジニア)やプロジェクトマネージャーが重要な役割を果たします。

 

また、コミュニケーションの基盤を確立することも不可欠です。これは、定期的なミーティングや進捗報告、フィードバックのサイクルを設けることで実現できます。

ステップ4:目標とKPIの設定

プロジェクトが開始されたら、目標とKPI(重要業績評価指標)を明確に設定します。

 

これにより、プロジェクトの進行状況を定量的に把握し、問題が発生した際には迅速に対処することが可能です。また、プロジェクトの段階ごとに成果物を設定し、進捗を細かく評価していくことも重要です。

ステップ5:継続的な評価と改善

ラボ型開発は、プロジェクトの進行中に仕様変更が発生することが多いため、継続的な評価と改善が不可欠です。

 

プロジェクトが進むにつれて、初期設定された目標やプロセスが最適でない場合には、柔軟に調整することが求められます。とくに、フィードバックループを活用して、チームのパフォーマンスやコミュニケーションの質を高める努力が必要です。

ポイント:成功の鍵となる要素

① コミュニケーションの徹底


オフショア開発の場合、文化や言語の違いによるコミュニケーションの障壁が存在します。これを克服するために、ブリッジSEのような役割を持つメンバーを配置し、情報の共有を徹底することが重要です。
 

② 適切なリソースの管理


ラボ型開発は、プロジェクトの進行に伴って必要なリソースを柔軟に調整できることが強みですが、そのためには予測と計画が不可欠です。リソースの過不足が発生しないよう、定期的に見直しを行います。
 

③ 文化と価値観の共有


パートナー企業と自社の文化や価値観の一致も重要です。これが合致しない場合、長期的なプロジェクトでは摩擦が生じる可能性が高くなります。早い段階での文化の統合を図り、共通の目標に向かって進むことが求められます。
これらのステップとポイントを押さえておくことで、ラボ型開発の導入がスムーズに進み、期待通りの成果を得られるでしょう。

まとめと次のステップ

ラボ型開発は、企業が競争力を維持し、技術の進化に迅速に対応するための強力な手法です。

 

本記事を通じて、ラボ型開発の定義やメリット、成功事例、導入方法について深く掘り下げてきました。最後に、これらの知識をどのように活用し、次のステップとして何をすべきかについてまとめます。

ラボ型開発の総括

ラボ型開発は、長期的なリソース確保や柔軟な対応力を求めるプロジェクトに最適な開発モデルです。

 

とくに、技術の進化が急速に進む現在の市場環境において、企業が競争力を維持し続けるためには、迅速かつ効率的な開発体制が不可欠です。

 

ラボ型開発は、優れたエンジニアリングチームを継続的に確保し、ノウハウを蓄積することで、プロジェクトの品質とスピードを両立させることが可能です。

成功事例からの教訓

これまで紹介した成功事例では、いずれも適切なチーム編成、明確な目標設定、そして継続的なコミュニケーションが成功の鍵となっていました。

 

とくに、IBM Garageの事例では、グローバルな専門家チームとの協働により、短期間で具体的な成果を上げられました。このような成功事例から学び、自社のプロジェクトにも適用することが重要です。

次のステップ

ラボ型開発を導入するにあたり、まずは以下のステップを踏むことをお勧めします。


①内部評価と準備
 

・現在の開発体制やプロジェクトのニーズを評価し、ラボ型開発が最適かどうかを確認します。
・既存のプロジェクトや新規プロジェクトに適用可能な箇所を特定し、必要なリソースを計画します。

 

②パートナーの選定
 

・信頼できるラボ型開発パートナーを選定し、過去の実績や企業文化の一致を確認します。
・パートナーとの契約条件やコミュニケーション体制を整えます。

 

③プロジェクトの開始とモニタリング
 

・プロジェクトを開始し、定期的に進捗をモニタリングします。
・必要に応じて目標やプロセスを調整し、継続的な改善を図ります。

 

④ノウハウの蓄積と次回プロジェクトへの応用
 

・プロジェクトの終了後には、得られたノウハウや学びを整理し、次回のプロジェクトに活かすためのフィードバックループを確立します。


これらのステップを踏むことで、ラボ型開発を効果的に導入し、企業の開発力をさらに高められるでしょう。これからのプロジェクトに向けて、ラボ型開発を活用し、柔軟で迅速な開発体制を構築していくことが、次の成功へのステップとなるはずです。


企業がラボ型開発を導入することで、単なる外注ではなく、戦略的なパートナーシップを築き、より高いレベルのイノベーションを達成することが期待されます。

株式会社riplaでは、事業立ち上げ~拡大までの各フェーズに応じて、IT事業会社出身のBizDev (事業企画) 、PdM、PM、デザイナーによる高品質な戦略支援と、国内&オフショア開発チームによる低コストな開発支援を提供いたします。

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