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PoCとは?システム開発/プロダクト開発とPoCの戦略的活用法を紹介!

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PoCは新しい技術やアイデアの実現可能性を検証するための重要なプロセスです。PoCを通じて、新技術やアイデアをプロジェクトに導入するリスクを軽減し、プロジェクトの成功率を高めることができます。

 

またシステム開発においてはPoCを活用することで、技術的な実現度を確認し、プロジェクトの方向性を正確に定めることが可能です。さらに将来的には、AIなどの新技術の発展に伴い、PoCのプロセスがより迅速かつ効率的に行われるようになることが期待されます。

 

そしてAI開発においても、PoCを通じてモデルの精度を検証し、プロジェクトの成功に向けた戦略的なアプローチを取ることが重要です。本記事では、PoCの概要から活用方法や注意点などをご紹介します。

PoC(Proof of Concept)の活用

PoCの定義と目的

PoCの定義および、PoCの利用目的について解説します。PoC(Proof of Concept)は、日本語で「概念実証」と訳し、新しい技術やアイデアの実現可能性を検証するためのプロセスです。またPoCを通した検証では、実際の製品やサービスを開発する前に、実際に稼働するかを確認します。さらに新技術や新しいビジネスモデルを導入する際に、アイデアが実際に実行可能であるかを判断するためにも使用されます。

 

また、PoCを行うことには以下のメリットがあります。

1. リスク削減

本格的な開発や導入前に実現可能性や問題点を小規模で検証できます。

そのため、大規模なプロジェクトで発生しうる重大なリスクを事前に特定し、軽減することができます。

 

2. コストと工数の削減 

早い段階で実現可能性を判断できるため、実現不可能なプロジェクトへの無駄な投資を避けられます。

また、開発段階での方向修正も可能となり、実装後から大規模な修正が必要になるリスクを減らせます。

 

3. 意思決定の円滑化

PoCを通して得た検証結果や数値データは、プロジェクトを進める上での信頼できる根拠となります。

そのため、経営層や技術責任者などの第三者からの承認をスムーズに得やすくなります。

 

4. 改善につながる知見の獲得

PoCを通じた実装時の課題や改善点を事前に把握できます。

課題や改善点など検証で得た知見を活かすことで、大規模なプロジェクト導入時により良い成果を得られる可能性が高まります。

PoCの種類と使用例

実際に分野別にどのようなPoC種類および実施手順があるか紹介します。
 

・ビジネス分野でのPoC
ビジネス分野では、新しいビジネスモデルやサービスの導入前にPoCを実施します。新しいマーケティング戦略の効果を検証するために、小規模な市場での試験運用を行うことで実際の市場での反応を予測し、戦略を調整することができます。

 

・IT分野でのPoC
IT分野では、新しいソフトウェアやシステムの導入前にPoCを行います。プロジェクトで新しいデータ分析ツールの導入を検討する際、導入ツールが既存のシステムに対してどのように統合されるかを確認するためにPoCを実施します。
そのため、技術的な問題を事前に特定し、解決策が見つけられます。

PoCの実施手順

PoCの実施手順は以下のとおりです。

1.目的および実施計画の選定
PoCを成功させるためには、まず明確な目的と範囲を設定します。サービスを導入することで、どれぐらい効率性があるかなどの具体的な目標を設定します。そして目標達成に必要なステップを明確にすることで、PoCの効果を最大限に引き出すことができます。


2.検証の実施
設定した目的に基づいて作業を実施します。また実施内容として、プロトタイプを作成し、実際の運用環境でテストを行います。テストの結果により、技術的な問題点や改善点を洗い出すことができます。


3.検証結果の振り返り
検証結果を分析し、目的が達成されたかを評価します。また必要に応じて、プロジェクトの方向性を修正し、次のステップに進むための計画を立てます。

PoCで検証すべきポイント

PoCにて検証を行うべきポイントは以下です。

・アイデアの選定と要件定義
PoCを開始する前に、検証するアイデアおよび利用目的を明確にし、要件を定義することが重要です。
そのため、検証範囲を限定し、具体的な成果を得ることができます。

 

・プロトタイプの設計と開発
プロトタイプの設計は、PoCの中心的な要素です。プロトタイプを設計した状態で開発することで、実際の運用環境でのテストを可能にします。設計書を踏まえたテストにより、技術的な問題点を早期に発見し、修正することができます。

 

・検証とフィードバックの取得
検証結果をもとに業務報告を行うことで、経営層や技術責任者などの第三者からフィードバックを取得し、プロジェクトの改善に役立てます。さらに改善点により、プロジェクトの方向性を修正し、成功の可能性を高めることができます。

PoCの成功事例と失敗事例

PoCの実施による成功事例と失敗事例を紹介します。まず初めにPoCの成功事例を3つ紹介します。


1.適切な体制構築による成功
IT担当者、マーケターなど様々な部門のメンバーを集めてチームを編成することで、多角的な視点で検証が行えます。
そのため、より汎用性があり、精度の高いデータを得られます。

2.進捗状況の可視化による成功
進捗状況をガントチャートなどで視覚化し、定期的に確認することで、計画通りに進めることが可能です。
また遅延を早期に発見・対応し、プロジェクトの始動や意思決定を適切なタイミングで行うこともできます。

 

3.目的に応じた投資配分
ユーザーニーズ調査が主目的のPoCでは、検証回数を最低限に抑え、利用者へのヒアリングに多くの時間を投資しました。そのため、効率的かつ効果的な検証を行うことができます。


また、PoCが失敗に終わった事例もあります。目的が不明確なままPoCを開始し、結果として何を検証するために実施したかが分からなくなったケースです。また一部の関係者のみで十分な効果が得られると判断してシステム導入を行い、利用者の意見が考慮されていなかったため、実際にはシステムの活用されない事例もあります。


このような失敗事例からは、PoCの目的や利用者の意見を明確にすることの重要性が再認識されます。しかし、失敗事例からも多くの学びを得ることができます。PoCを行う上で重要なポイントは、PoCを実施すること自体に価値があり、結果をもとに次のステップに活かすことです。

システム開発とPoCの統合

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PoCを活用したシステム開発のメリット

PoCを活用したシステム開発のメリットを紹介します。


・システム開発の初期段階でのリスク軽減
PoCを活用することで、システム開発の初期段階で技術的なリスクを軽減することができます。そしてPoCを通じて、技術的な問題点を早期に発見し、修正することでプロジェクトの成功率を高めることができます。

 

・技術的なフィージビリティの確認
PoCは、新しい技術やシステムの技術的な機能およびフィージビリティ(実現可能性)を確認するための重要な手段です。そのため、システム開発の方向性を正確に定めることができます

統合プロセスのステップ

・PoCからシステム開発への移行

PoCの結果をもとに、システム開発への移行をスムーズに行うことができます。PoCで得られた知見を活用し、開発プロセスを最適化することが重要です。

 

・​効率的な統合のためのベストプラクティス

効率的な統合のためには、PoCの結果で得られたフィードバックを活用し、プロジェクトの方向性を修正することが重要です。また他サービスとの連携を強化し、プロジェクトの成功に向けた協力体制を構築することも重要です。

実際のプロジェクトにおけるPoCとシステム開発の統合成功事例

ある企業ではPoCを通じて新しいシステムの技術的なフィージビリティを確認後、検証結果をもとにシステム開発を進めたことで、プロジェクトの成功に繋がった事例があります。実際のプロジェクトで活用されたPoCとシステム開発の統合成功事例をいくつか紹介します。

1.三井住友ファイナンス&リースの事例


三井住友ファイナンス&リース株式会社は、ブロックチェーン技術を活用した資産管理システムの開発を米国のVertaloと共同で行い、PoCを成功させました。PoCを行い、以下を実現しました。


・セキュリティ・トークンに関わるデータ管理とST発行業務を一元管理する仕組みを導入
・従来の手作業をデジタル化し、作業効率と正確性を向上
・ブロックチェーンの特性を活かしたデータの改ざん防止と正確な履歴管理を実現

 

PoCの成功により、関係者間の情報受け渡しやデータの精度、安全性の向上につながりました。
(引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000087.000084204.html)

2.本田技研工業の新規事業開発
 

本田技研工業株式会社は、新規事業の構想段階において効果的なPoCを実施し、システム開発につなげました。
PoCの主な成果は以下のとおりです。

 

・市場ニーズの把握を主な目的として実施
・プロトタイプ開発とリサーチを2ヶ月という短期間で完了
・得られた知見を基に、新規事業の方向性を決定

 

PoCにより、効率的に市場ニーズを把握し、新規事業開発の方向性を定めることができました。
(引用:https://spice-factory.co.jp/works/9319/)

3.NTTデータ関西の行政サービス開発


株式会社NTTデータ関西は、行政向けクラウドサービス「e-TUMO」シリーズの開発において、PoCを効果的に活用しました。PoCを行い、以下を実現しました。
 

・個人番号カード交付予約・管理サービス「e-TUMO MYNUM」のUI/UX改善
・プロトタイプ開発を通じて、ユーザービリティの向上を実現
・PoCの結果を実際のシステム開発に反映

 

PoCにより、行政サービスの品質向上を効率的に達成し、実際のシステム開発に活かすことができました。
(引用:https://spice-factory.co.jp/works/13083/)

PoCの未来の展望

将来に想定されるシステム開発とPoCの関係性について紹介します。

新技術の影響

AIやIoTなど新技術の登場による技術進化に伴い、企業は競争力を維持するために革新的なソリューションを迅速に最低限のコストで、採用する必要性に迫られています。そのため、以下の理由からPoCの重要性はますます高まっています。

 

1.リスク軽減

新技術の導入には不確実性が伴うため、PoCを通じて実現可能性や効果を事前に検証することで、リスクを最小限に抑えることができます。

​​

2.コスト削減

PoCにより、本格的な開発や導入前に技術の有効性を確認できるため、無駄な投資を避けることができます。

​​

3.迅速な意思決定

PoCを通じて得られた具体的な検証結果は、新技術導入の意思決定を加速させます。

将来のトレンドと戦略的アプローチ

将来的には、AIを活用したPoCのプロセスがより迅速かつ効率的に行われるようになり、新技術やビジネスモデルの導入がよりスムーズに行われるようになるでしょう。また新技術の登場により、PoCの実施方法や適用範囲にも変化が生じています。いくつか事例を紹介します。

 

1. デジタル技術の活用

IoTやAIなどのデジタル技術を活用したPoCが増加しており、より精密で多角的な検証が可能になっています。

 

2. 分野横断的なPoC

新技術の影響はIT業界だけなく他業界を超えて広がるため、製造業や研究開発など異なる分野を横断するPoCの重要性が高まっています。

AI開発でのPoCの重要性と注意点

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PoCでの精度検証

AI開発においては、PoCを通じてモデルの精度を検証することが重要です。これにより、モデルが実際のデータに対してどの程度の精度を持つかを確認し、必要に応じて改善を行うことができます。

AI開発でのPoCのゴール設定の重要性

AI開発においては、PoCのゴールを明確に設定することが重要です。具体的な目標を設定し、その達成に向けたステップを明確にすることで、PoCの効果を最大限に引き出すことができます。

AI開発でのPoCのコスト管理

AI開発では、PoCのコスト管理も重要な課題です。PoCの段階で無駄なコストを抑えることで、プロジェクト全体のコストを最小限に抑えることができます。

まとめ

本記事では、PoCの概要からAI開発でのPoCの利用方法までを紹介しました。PoCは新しいアイデアや新技術をプロジェクトに導入する際に大いに役立つプロセスであることを解説しました。最後に本記事を通して学んだPoCの導入プロセスを参照して、モデルの精度を検証し、プロジェクトの成功に向けた戦略的なアプローチを取ることが重要です。

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