CRMの導入/開発事例や活用/成功事例について

CRM導入の事例は、受注率の向上、形骸化からの立て直し、Excelや名刺台帳からの移行、顧客基盤の刷新の4つに分けられます。投資判断の材料になります。

発注企業の視点で、CRMの導入・開発・活用・成功の事例を見ていきます。全体像を知りたい方は、CRMの完全ガイドもご覧ください。

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受注率向上を実現したCRM導入事例

CRM導入の成果で最も分かりやすいのは受注率の向上です。顧客接点や商談履歴が分散していると、誰がいつ対応したか分からず、有望なリードが放置されてしまいます。

また、同じ顧客への重複営業も機会損失になります。顧客情報を一元化して部門間で共有すると、取りこぼしが減り、受注率の改善を目指せます。

SFA×MA連携で受注率を約1.75倍にした事例

受注率向上の代表事例であるエレコムでは、SFA(営業支援)とMA(マーケティングオートメーション)を連携させ、見込み顧客の動きを部門横断で把握しました。

  • 成果:受注率が約1.75倍に向上したと報告されています。
  • 連携の役割:営業1人の頑張りだけでなく、MAが関心を検知したあとの営業の行動が成果を支えています。
  • 見るべき点:導入ツールそのものより、部門間でつなぐデータが見どころです。

この成果は、自社でも自動的に出るとは限りません。そのため、リード獲得から商談、受注後の育成までを一貫して追える設計が必要です。

定着率・利用継続率の高さが成果を支えた事例

高機能なCRMでも、現場が入力せず開かなくなれば、データが蓄積されず、受注率にもつながりません。利用が続いている実績そのものが、受注率向上を支える前提になります。

  • 利用状況:あるCRM/SFA製品のアクティブ率(DAU/MA)は55%です。
  • 比較値:SaaS業界上位10%平均の28.7%の、約2倍の水準です。
  • 継続率:同じ事例では、利用を続けている割合が98%と報告されています。
  • 定着の工夫:入力の負荷を下げ、現場が便利だと感じる機能を入口に据えます。

例として、商談の進み具合を見渡せるパイプライン表示や、過去のやり取りを呼び出せる活動履歴があります。自社でも、現場が毎日使いたくなる理由を設計することが必要です。

ポイント

受注率向上の事例は、部門間でデータをつないだ成果かどうかに加え、現場が入力を続けているかも合わせて見ると、自社での判断材料として使いやすくなります。

形骸化したCRMを立て直した再構築事例

SFA導入企業の失敗約80%、課題未解決55%、不満足51%を並べた3枚のパネル図。
導入後の課題は、失敗率と利用者の受け止めの両面に表れています。

導入後に入力されなくなり、CRMが形骸化する企業は少なくありません。実際、Gartnerの調査では、SFA導入企業の約80%が失敗するとされています。

満足度調査では、導入済み企業の55%が「課題を解決していない」、51%が「満足していない」と回答しています。そのため、再構築事例から立て直し方を学ぶ意味があります。

過剰カスタマイズで複雑化したシステムをシンプルに巻き直した事例

過剰なカスタマイズは、形骸化の典型的な原因です。導入時に各部門の要望を詰め込むと画面が項目だらけになり、1件の登録に何分もかかる場合があります。

  • 必須項目:入力を必要最小限に絞ります。
  • その他の項目:任意入力にするか、自動取得に切り替えます。
  • 見直し方:未使用の項目を洗い出し、意思決定に使うデータは残します。

複雑なシステムを巻き直すときは、不足分を足すより、未使用の項目を減らす発想が基本です。

現場は入力の手間を理由に利用をためらいます。だからこそ、負担を減らすと入力時間を短縮でき、形骸化からの脱却につながります。

riplaのようなフルスクラッチ受託では、既製SaaSでは変えにくい項目構成を、自社の営業プロセスに合わせて再設計できます。

乗り換えか現行再構築かを見極めた判断事例

立て直しの事例では、ツール自体が原因とは限らないため、安易な乗り換えが失敗を繰り返すことがあります。

入力が運用に組み込まれていない、目的が共有されていないといった問題を残したままでは、新しいツールでも形骸化が再現されます。

立て直しでは、企業が別ツールへの乗り換えと現行ツールの再構築のどちらが適するかを見極めます。

  • 機能不足・拡張限界:これ以上拡張できない場合は、乗り換えを検討します。
  • 運用設計・定着施策の不足:現行ツールを再構築する方向が合います。
  • 顧客データの価値が大きい:蓄積した顧客データを残す必要が大きい場合は、再構築のほうが有利なことがあります。

判断に成功した企業は、最初に使われなくなった原因を切り分けています。特に、ツールを変える前に運用と目的を立て直す順番が成否を分けます。

ポイント

形骸化の立て直しでは、ツールを替える前に、入力が続かない原因が機能の不足にあるのか、運用や目的の共有にあるのかを切り分けることが目安になります。

Excel・名刺台帳から移行した事例

収集・棚卸し、名刺の電子化、重複の排除、目視確認の順に進む顧客データ整理の図。
自動処理の後に目視確認を置くことで、移行前の確認工程が見通せます。

CRM導入は、Excelの顧客リストや紙の名刺台帳からの移行で始まることがあります。Excelは手軽ですが、ファイルが重くなり、複数人で同時に編集できず、セキュリティ面の弱点もあります。

担当者ごとに別ファイルを持つと二重管理にもなります。既存データを整えるデータクレンジング(名寄せ)が欠かせず、汚れたデータをそのまま移すと、CRMが使いものにならないおそれがあります。

表記揺れ・重複を名寄せした実践事例

Excel移行では、表記揺れや重複データが必ず問題になります。同じ取引先でも「株式会社A」「(株)A」「A株式会社」と書き方が異なり、担当者別のファイルに重複して登録されることがあります。

このまま取り込むと、1社が3件に分かれて表示され、正しい売上集計や商談管理ができません。

  • 表記ルール:会社名の書き方をあらかじめ統一しておきます。
  • 照合項目:会社名と住所を中心に、電話番号やドメインも突き合わせます。
  • 目視確認:自動で判定できないケースは、人が目で確かめます。

完全に自動で判定しきれない微妙なケースは、人の目で確認する作業を残しておきます。この確認には手間がかかりますが、稼働後のデータ品質を左右します。発注側は、名寄せを移行計画に含めておくことが大切です。データは運ぶだけでなく、きれいにしてから移す必要があります。

手帳・個人PCに眠るデータを集約した事例

顧客情報は、ベテラン営業の手帳や個人PCのローカルExcelに散らばることがあります。名刺ホルダーやメール履歴など、ほかの場所に残った情報も対象になります。こうした属人化した情報を集める機会として、CRM導入を位置づける事例があります。

  • 収集・棚卸し:組織内に散らばる顧客データを集め、どこに何があるかを把握します。
  • 名刺の電子化:OCR(文字読み取り)を使って、名刺の情報をデータ化します。
  • 重複の排除:電子化した情報にも名寄せを行います。

こうして共有資産に変えておくと、担当者の異動や退職後も顧客との関係を保てます。移行を引っ越しで終わらせず、属人化を解消する好機と捉える企業ほど、成果を出しています。

ポイント

移行前の名寄せは稼働後の使いやすさを左右します。表記ルールと照合項目を先に決め、手帳や個人PCのデータも同じ基準で集めることが目安です。

顧客基盤・会員管理を刷新した事例

顧客情報の一元化を中心に、再購入の促進、関連商品の案内、AIの活用がつながる図。
一つの顧客基盤が購入後の案内や商談記録の活用につながります。

CRMには、受注率向上だけでなく、顧客生涯価値(LTV)の最大化を目指して顧客基盤を刷新する事例もあります。SFAが商談から受注までを支える一方、CRMは初回接点から長期の関係構築を担います。

会員管理やリピート促進は、CRMの役割を顧客視点で活かせる領域です。購入後も続く関係づくりを支えます。

顧客データを活用してLTVを高めた事例

購買履歴、問い合わせ履歴、Web行動データを一元化し、顧客に合わせた連絡につなげる事例があります。

  • 再購入の促進:購入後の再購入案内を、購入から一定期間が過ぎたタイミングで自動化します。
  • 関連商品の案内:購入商品に関連する商品の案内を、特定の商品を買った顧客に自動で届けます。
  • AIの活用:商談記録の自動化や、次に取るべき行動の提示に使います。

施策を重ねると、一度きりの取引が継続的な関係に変わり、LTV向上につながります。成果を上げる企業は、AIの導入そのものを目的にせず、成果を支える手段として捉えます。

AIの音声解析で商談記録を自動化し、入力の負荷をほぼゼロにする機能も登場しています。

蓄積したデータから次の行動を示す分析もあり、データ分析の民主化が進んで、現場の誰もが活用できる形になってきています。

自社業務に合わせてスクラッチ開発した事例

既製SaaSで独自業務を表現しきれない場合、フルスクラッチ開発を選ぶ事例があります。一方、SaaS型CRMはユーザー単位で月額1,680円から30,000円程度で始められます。

  • 既製品に収まりにくい業務:独自の会員ランク制度があります。
  • 複雑な要件:独自の料金体系や業界特有のワークフローを持つ場合があります。
  • 段階的な構築:効果の大きい領域から機能を順に開発します。

スクラッチ開発では、自社の業務に合わせて現場が使える仕組みを目指します。riplaはフルスクラッチ受託と国内開発の立場から、業務を聞き取り、あるべき姿を描きます。そのうえで、全機能を一度に作らず、優先機能から開発して定着を確かめながら拡張する支援を重視しています。

発注側は、費用だけでなく、業務が既製品の枠に収まるかでSaaSかスクラッチかを判断します。

ポイント

顧客基盤の刷新は、購買や問い合わせの履歴を一元化できるかが出発点です。施策を広げる前に、自社の業務に既製品が合うかも確かめておくと進めやすくなります。

まとめ

CRMの成功や立て直しに共通するのは、顧客データを一元化し、現場が使い続ける設計を土台にしたうえで、明確な成果を起点に活用を段階的に広げている点です。

SFA×MA連携の事例では受注率が約1.75倍になりました。一方、Gartnerの調査ではSFA導入企業の約80%が失敗するとされ、導入自体をゴールにしないことが大切です。

事例からは、部門をまたいだ連携や過剰カスタマイズを減らす工夫の大切さが分かります。名寄せの重要性や、LTV最大化というCRM本来の役割も見えてきます。

事例を見るときは、どのツールを使ったかに加えて、現場で使われる理由や接続したデータも確認します。そのうえで、自社の課題に合わせ、効果の大きい領域から取り組みます。

riplaはフルスクラッチ受託と国内開発を組み合わせ、業務から逆算した要件整理と導入後の定着を支援します。全体像はCRMの完全ガイドをご覧ください。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。