CTI(コールセンターシステム)の導入/開発事例や活用/成功事例について

CTI(コールセンターシステム)の導入を検討するとき、多くの担当者がまず知りたいのは「同じように電話の入電が多く、オペレーターの対応品質や応答率に課題を抱えた企業が、実際にどうやって電話業務をデジタル化し、どんな成果を出したのか」という具体的な事例ではないでしょうか。CTIは、電話とコンピュータを統合し、着信時に顧客情報を自動でポップアップさせたり、通話履歴をCRMに記録したり、近年では音声認識やAIによる自動応答までを組み込んだりする仕組みです。カタログ上の機能だけを見ても、自社にどんな効果が出るのかはイメージしにくいものです。

本記事は、CTI(コールセンターシステム)の導入事例・開発事例・活用事例・成功事例を、発注企業の視点から掘り下げる「事例特化」の解説です。問い合わせの一次対応をAIで自動化して応答率を改善した事例、督促業務の回収率を改善した事例、社内ヘルプデスクの電話を半減させた事例、そして数千万円を投じたのに稼働しなかった失敗からの立て直しまで、リサーチで得た一次データとあわせて具体的に解説します。読み終えるころには、自社が「どこから着手し、どんな効果を狙うべきか」のイメージが描けるはずです。なお、CTI導入の全体像をまだ把握していない方は、まずCTI(コールセンターシステム)の完全ガイドから読むことをおすすめします。

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・CTI(コールセンターシステム)の完全ガイド

AI自動応答で応答率と削減効果を実現した事例

AI自動応答で応答率を改善したCTIコールセンターシステム事例のイメージ

CTI導入でもっとも分かりやすい成果が出るのが、入電の一次対応をAIや自動応答で巻き取り、オペレーターの稼働を削減しつつ応答率を上げる取り組みです。コールセンターの永遠の課題は「電話がつながらない(あふれ呼)」と「人手が足りずコストがかさむ」という二律背反です。CTIにボイスボットやIVR(自動音声応答)を組み合わせることで、この二つを同時に解決した事例が増えています。総務省の2024年の整理でも、AIの活用によりオペレーターを40〜60%削減できる余地があるとされており、この削減幅が投資判断の起点になります。

月1万通話で年3,200万円超を削減した試算と事例

削減効果をもっとも具体的に示すのが、オペレーター数の圧縮です。リサーチで得た一次データの試算では、月1万通話を処理するコールセンターで、20名体制をAI併用により8〜12名へ削減できた場合、年間で約3,200万〜4,800万円の人件費削減につながります。これはオペレーター1名あたりの年間コストを概算した規模であり、削減効果が大きいほど投資回収のロジックが立てやすくなります。事例を読むときは、自社の入電件数とオペレーター単価に置き換えて、削減できる金額を必ず概算してください。

重要なのは、この削減を「漠然とした効率化」ではなく具体的な数字で語ることです。AIコールセンター・ボイスボット市場は2029年に191億円規模(年平均成長率38%)へ拡大するとされ、それだけ多くの企業が削減効果を実感し始めている裏返しでもあります。受電の自動化率と1通話あたりの処理時間、オペレーター単価を掛け合わせれば、年間の削減額が概算でき、稟議で説明しやすい数字になります。事例の成果を自社の数字に翻訳する習慣が、投資判断の精度を高めます。

宅配水の電話注文を80%自動化した事例

削減だけでなく、定型的な電話注文をまるごと自動化した事例もあります。中京医薬品では、宅配水の電話注文業務にボイスボットを組み合わせたCTIを導入し、電話注文の約80%を自動化しました。「いつもの商品を、いつもの数量で」という定型的な注文は、AIによる音声自動応答と相性がよく、人が対応しなくても完結できます。これにより、オペレーターは複雑な相談やクレーム対応など、人にしかできない業務に集中できるようになりました。

この事例が示すのは、CTI導入の効果は「すべての電話をAIに置き換える」ことではなく、「定型業務をAIに、非定型業務を人に」という業務の切り分けにあるという点です。注文・予約・残高照会といった定型コールほど自動化の費用対効果が高く、最初に着手すべき領域になります。一方で、感情的なクレームや込み入った相談は、AIが行き詰まったときにスムーズに有人へ切り替える設計が欠かせません。自社の入電を「定型か非定型か」で棚卸しすることが、事例から学べる最初の一歩です。

督促・架電業務でCTIが成果を出した事例

督促・架電業務でCTIが成果を出したコールセンターシステム事例のイメージ

CTIの活用は、受電(インバウンド)だけでなく架電(アウトバウンド)でも大きな効果を発揮します。代表的なのが督促・回収業務です。督促は架電件数が膨大で、つながらない、留守番電話になる、相手が出ても支払い約束に至らない、といった非効率が積み重なる業務でした。CTIのプレディクティブ・コール(自動発信)やAIによる一次架電を組み合わせることで、この業務の生産性を大きく改善した事例が出ています。

督促架電のAI化で回収率16.9%改善した事例

消費者金融の督促業務にAIによる自動架電を導入した事例では、回収率が16.9%改善したというリサーチ結果があります。AIが支払い期日前後に一次架電を行い、支払い予定の確認やリマインドを淡々と行うことで、人のオペレーターが対応する前段階のスクリーニングが効率化されました。督促はオペレーターにとって精神的負担の大きい業務でもあり、定型的なリマインドをAIが肩代わりすることで、現場の離職防止にもつながります。

この事例のポイントは、回収率という「金額に直結する指標」で効果を測っていることです。コールセンターの成果は応答率や処理時間で語られがちですが、督促・営業架電のように成果が売上・回収額に直結する業務では、CTI導入のROIが極めて明確になります。架電件数あたりの接続率、接続後の約束取り付け率、最終的な回収率といった段階指標を可視化し、CTIのレポーティング機能で改善サイクルを回すことが、成功事例の共通点です。

もう一つ見逃せないのが、督促業務の自動化がオペレーターの定着率にも寄与する点です。督促は相手に強い口調で迫られることも多く、精神的な消耗が大きい業務として知られています。淡々としたリマインドをAIが肩代わりすることで、人のオペレーターは支払い相談など寄り添いが必要な対応に集中でき、離職という見えにくいコストの削減にもつながります。事例を読むときは、回収率という直接効果だけでなく、現場の負担軽減という間接効果まで含めて評価すると、投資の全体像が見えてきます。

ボイスボット併用で応答短縮を実現した事例

架電だけでなく、受電のあふれ呼対策としてボイスボットを併用した事例も成果を上げています。繁忙時間帯に集中する入電のうち、注文確認や営業時間の問い合わせといった定型コールをボイスボットが受けることで、オペレーターにつながるまでの待ち時間(応答までの秒数)が大きく短縮されました。神戸市の調達仕様では、応答3秒以内(繋ぎ言葉があれば5秒以内)という具体的なSLAが掲げられており、この水準を満たすには定型コールの自動化が前提になります。

応答短縮は顧客満足に直結します。電話がすぐにつながる、または自動音声で用件が片付くという体験は、待たされてイライラする体験とは正反対のものです。ボイスボット併用の事例では、StepAIの「Reco」のように初期30万円〜・月15万円〜・通話料10円/分といった比較的着手しやすい価格帯のサービスを起点に、まず一部の入電を自動化して効果を検証し、段階的に範囲を広げています。スモールスタートで応答品質を測りながら拡大する進め方が、現場に定着するCTI活用の王道です。

社内ヘルプデスク・問い合わせ削減の事例

社内ヘルプデスクの問い合わせを削減したCTIコールセンターシステム事例のイメージ

CTIの導入効果は、顧客向けのコールセンターだけにとどまりません。社内のヘルプデスクや問い合わせ窓口も、電話に依存した非効率の温床であり、ここをCTIとAIで効率化した事例も多く存在します。情報システム部門や総務、人事への「あれはどうすればいいか」という社内問い合わせは、定型的でありながら担当者の集中を頻繁に中断させ、見えにくいコストになっていました。

社内問い合わせを50%削減しROI180%超の事例

島村楽器の事例では、AIを活用した問い合わせ対応の仕組みに約200万円を投じ、社内問い合わせを50%削減、ROI180%超を達成したというリサーチ結果があります。よくある質問をAIが一次対応し、解決できないものだけを人につなぐ設計にすることで、担当者の対応工数を半分に減らしました。投資額が約200万円と比較的小規模でありながら、削減効果が投資を大きく上回っている点が、社内向けCTI・AI活用の魅力を示しています。

同様に、SmartHRはコスト約500万円で問い合わせを70%削減しROI200%超、東急ハンズは約300万円で電話を40%削減しROI150%超という事例も報告されています。これらに共通するのは、投資額がいずれも数百万円規模で、削減効果がそれを上回っている点です。CTI・AI活用は「数千万円の大規模投資でなければ効果が出ない」わけではなく、定型的な問い合わせが多い領域から小さく始めても、明確なROIを描けることを、これらの事例は示しています。

CRM連携で対応履歴を一元化した事例

問い合わせ削減の事例を支えているのが、CTIとCRM・FAQシステムの連携です。着信時に顧客情報を自動でポップアップし、過去の問い合わせ履歴をその場で参照できれば、オペレーターは「最初から状況を聞き直す」手間が省けます。AIが回答候補を提示し、対応履歴を自動でCRMに記録する仕組みにより、対応のばらつきが減り、引き継ぎもスムーズになります。連携が進むほど、1件あたりの対応時間が短縮され、削減効果が積み上がります。

ただし、この連携の作り込みには相応の費用がかかる点も、事例から学ぶべき現実です。CRMや予約システムとのAPI連携は1件あたり30万〜100万円かかることもあり、見積もりに含まれていないと後から想定外の追加費用になります。成功事例は、こうした連携費を最初から要件に織り込み、「どのシステムと、どこまで連携するか」を要件定義の段階で固めています。連携範囲を曖昧にしたまま進めると、稼働後に「履歴が一元化されていない」という不満につながりやすいので注意が必要です。

失敗から軌道修正したCTI導入事例

失敗から軌道修正したCTI導入事例のイメージ

事例の価値は、成功談だけにあるのではありません。むしろ発注側がもっとも学べるのは「なぜ失敗したのか」「どう立て直したのか」というリアルな経験です。CTI・AIコールセンターの領域でも、巨額を投じたのに現場で稼働しなかった、という痛い事例が存在します。IDC Japanの2024年の調査では、AI導入の32%が期待した効果に届かなかったとされており、CTIも例外ではありません。

数千万円かけて稼働しなかった失敗の教訓

もっとも象徴的な失敗が、数千万円を投じたAIコールセンターが思うように稼働しなかった事例です。シナリオ設計を作り込みすぎて分岐が複雑化し、顧客が目的の答えにたどり着く前に離脱してしまう、という典型的な落とし穴に陥りました。AIの応答精度も期待ほど高くなく、結局オペレーターへの転送が頻発し、自動化率が想定の半分にも届かなかったのです。要件定義の段階で「どこまでをAIに任せるか」が曖昧だったことが、根本原因でした。

この失敗の本質は、技術力や予算ではなく「顧客がどう電話を使い、何に困っているか」を起点に設計しなかったことにあります。コールセンターの会話は、長年の応対ノウハウや顧客ごとの状況の積み重ねでできています。それを無視してシナリオだけを精緻に作ると、現場のオペレーターは使いにくさからシステムを回避し、高価なCTIが飾りになります。要件定義不備による再開発には100万〜500万円の追加費用がかかるという一次データもあり、入口の設計を誤ると傷が深くなります。

現場ヒアリングと段階導入で立て直した事例

失敗から立て直した事例に共通するのは、開発の前にオペレーターと顧客の実態を徹底的にヒアリングし、自動化する範囲を絞り直したことです。実際の通話ログを分析し、件数の多い定型コールから優先的に自動化し、複雑な相談は最初から人に残す。この「全部を自動化しようとしない」割り切りが、立て直しの鍵でした。回答率の目標も、神戸市の調達仕様のように導入月50%→2ヶ月後60%→最終70%以上と段階的に引き上げる現実的な設計に変えています。

立て直しに成功した企業は、最初からすべてを作り変えるのではなく、もっとも効果の大きい入電から段階的にデジタル化を進めました。オペレーターが「これは楽になる」と実感できる小さな成功を積み重ね、現場の納得感を得てから範囲を広げています。riplaはフルスクラッチ受託と運用伴走の立場から、この「現場の通話実態から逆算して自動化範囲を描き、段階的に定着させる」進め方を一貫して重視しています。事例は華やかな数字ではなく、「なぜ現場に使われたのか」という視点で読むことが、失敗を避ける近道です。

まとめ

CTIコールセンターシステム事例のまとめイメージ

CTI(コールセンターシステム)の事例を振り返ると、成功も失敗からの回復も、結局は「定型コールから自動化し、削減効果や回収率という明確なROIを起点に段階的に範囲を広げる」という一点に集約されます。AI併用で月1万通話のセンターが年3,200万〜4,800万円の削減を狙え、宅配水の電話注文は80%自動化、督促架電では回収率16.9%改善、社内問い合わせは約200万円の投資で50%削減・ROI180%超という実績が出ています。一方で、シナリオを作り込みすぎて稼働しなかった失敗や、AI導入の32%が期待効果未達というデータは、自動化範囲の見極めが成否を分けることを教えています。

事例を読むときに大切なのは、「いくら投資したか」ではなく「なぜ現場に使われたのか」という視点です。自社の入電・架電を定型と非定型で棚卸しし、まずは効果の大きい定型コールの自動化から、現場が使える一歩を踏み出してください。riplaはフルスクラッチ受託と運用伴走を組み合わせ、通話実態から逆算した要件整理と、現場に定着するCTIづくりを一貫して支援します。全体像の確認には、あらためて完全ガイドをご活用ください。

株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。