Microsoftは2026年7月、Microsoft 365 CopilotとCopilot ChatのWeb groundingで参照させたくない外部ドメインを管理者が指定できる「Domain Exclusion」を発表しました。一言でいえば、Web検索を全面的に止めるのではなく、Copilotの回答に影響させたくないサイトをドメイン単位で除外するための管理機能です。
この機能は、Web全体へのアクセスを制御するファイアウォールやブラウザーのブロックリストではありません。また、SharePointやOneDriveなど社内データへのアクセス権や、内部データのDLPを設定する機能でもありません。Copilotが外部Webを根拠として回答を作る場面に限って、参照先を絞り込むための統制として捉えることが重要です。
Domain Exclusionとは、CopilotのWeb grounding先を絞る機能
Web groundingは、Copilotが最新の公開情報を参照し、回答の関連性や鮮度を高めるための仕組みです。Domain Exclusionでは、管理者が外部サイトのドメインを除外リストに登録します。設定後、そのドメインはWeb groundingに基づくCopilotの回答で利用されない扱いになります。
対象はMicrosoft 365 CopilotとCopilot ChatのWeb groundingシナリオです。たとえば、企業の方針上参照させたくないサイト、ブランドセーフティ上避けたいサイト、地域やコンプライアンスの観点から扱いを分けたいサイトを、テナント単位の運用ルールに沿って登録できます。
制御対象は「Copilotが回答の根拠に使うか」です
Domain Exclusionが対象にするのは、ユーザーのブラウザーがそのサイトを開けるかどうかではなく、CopilotのWeb groundingがそのドメインを外部情報源として使うかどうかです。したがって、除外リストへ登録しても、社内ネットワークからのWeb閲覧、検索エンジンの表示、他のアプリからのアクセスまで一律に止まるわけではありません。
最大1,000ドメイン・既定無効という仕様
Microsoftの発表によると、組織は最大1,000ドメインを除外対象として設定できます。多数のドメインを対象にできる一方、無制限の遮断リストではありません。自社の情報源ポリシーやリスク評価に基づき、登録対象を定期的に見直す運用が必要です。
| 項目 | 確認できる内容 | 運用上の意味 |
|---|---|---|
| 対象 | Microsoft 365 CopilotとCopilot ChatのWeb grounding | Copilotが外部Webを根拠にする場面の統制 |
| 除外単位 | 外部ドメイン | 参照させたくないサイト群をリスト化する |
| 上限 | 最大1,000ドメイン | 優先順位を付けてリストを管理する |
| 初期状態 | 既定では有効になっていない | 導入する組織が管理者設定を行う |
| 設定方法 | 提供されたPowerShellスクリプト | 管理者権限と変更手順を準備する |
既定無効であることは、機能が自動的に組織の方針へ適応するわけではないという意味でもあります。導入を決めた場合は、対象ドメインの選定、設定担当者、レビュー頻度、例外を戻す手順までを先に決めておきます。
設定はPowerShellで行う管理者向け機能
Domain Exclusionは、ユーザーがCopilot画面から個別に設定する機能ではありません。Microsoftが案内する「Configure Tenant Domain Exclusions」PowerShellスクリプトを使い、テナントの管理者が設定します。Microsoftの発表では、CSVから新しい除外リストを作成するほか、既存設定の更新、現在の設定のエクスポート、設定の削除、テンプレートCSVの生成に対応すると説明されています。
導入時は「リスト作成」より先に判断基準を決める
最初に、除外したいドメインを「法務・コンプライアンス」「ブランドセーフティ」「社内で承認した情報源との整合性」などの理由と結び付けます。そのうえでCSVを準備し、Search AdministratorまたはGlobal Administratorの権限でスクリプトを実行し、設定後の回答を検証します。設定を追加するだけでなく、組織の方針が変わったときに更新・削除できることも確認します。
- 除外理由と対象ドメインの責任者を記録する
- 登録数が1,000件に近づかないよう、重複や不要な項目を定期的に整理する
- 設定後に代表的な質問を実行し、回答の参照先が方針どおりか確認する
- 方針変更時にリストを更新・エクスポート・削除する手順を残す
Webアクセス制御や内部データDLPとは役割が違う
Domain Exclusionを導入するときに最も注意したいのは、「指定ドメインを組織から見られなくする機能」と誤解しないことです。Microsoftが説明しているのは、CopilotのWeb-groundedな回答で特定ドメインを外部情報源として使わないようにする制御です。ネットワークの出口でWeb通信を遮断したり、ブラウザーの閲覧先を制限したりする機能ではありません。
同じく、社内ファイルやメールなどのアクセス権を調整する機能でもありません。内部データの保護やDLPは、誰がどの情報を参照・共有できるか、どの条件で持ち出しを防ぐかという別の統制です。Copilotを企業導入する場合は、Domain ExclusionをWeb groundingの参照先管理として位置付け、ID・権限・情報保護・監査の仕組みと分けて設計します。AIエージェントや社内ツールまで含む統制の考え方は、シャドーAI対策の実装でも整理しています。
また、外部情報の発見性を高める施策と、Copilotの参照先を制限する施策も同一ではありません。AI検索での見つかり方を考えるGEO(生成エンジン最適化)の議論と、テナントのWeb grounding方針を分けて管理すると、公開コンテンツの戦略と社内統制が混線しにくくなります。
企業導入では「全部許可」と「Web検索停止」の間を設計する
Web groundingには最新情報を得られる利点がありますが、どの外部サイトも同じ基準で扱ってよいとは限りません。Domain Exclusionは、Web検索を全面的に無効化するか、無制限に任せるかの二択にせず、組織が避けたい参照先だけを除外する中間的な選択肢です。
評価では「除外した結果」まで確認する
候補ドメインをリストに入れたら、設定前後で同じ質問を実行し、回答の内容、引用や参照先、ユーザー体験への影響を確認します。回答品質だけでなく、業務上必要な情報が欠けたときの代替手段も決めておくことが大切です。AIの実行経路を継続的に観測するAgentOpsの考え方と同じく、設定を一度入れて終わりにせず、変更後の挙動を追える状態にします。
なお、Copilotの製品選定そのものでは、モデル性能だけでなく統合先、セキュリティ、運用責任を比較する必要があります。法人向け生成AIの比較で扱ったような観点に、Web groundingの許可・除外方針を加えると、導入後の管理負荷も見積もりやすくなります。
よくある質問(FAQ)
Q. Microsoft 365 CopilotのDomain Exclusionは何を除外しますか?
CopilotのWeb groundingで参照される外部ドメインを除外します。設定したドメインは、Web groundingに基づくMicrosoft 365 CopilotとCopilot Chatの回答で利用されない扱いになります。
Q. Domain Exclusionで組織全体のWebアクセスを遮断できますか?
いいえ。対象はCopilotのWeb groundingです。ネットワーク、ブラウザー、検索エンジンなどでのWebアクセスを一律に制御する機能ではないため、必要なアクセス制御は別の仕組みで設計します。
Q. Domain Exclusionは社内データのDLP対策になりますか?
いいえ。Domain Exclusionは外部Webの参照先を管理する機能で、社内ファイルやメールのアクセス権、共有、持ち出しを制御するDLP機能ではありません。内部データの保護は、権限管理や情報保護など別の統制と組み合わせます。
Q. 最大何個のドメインを設定でき、どうやって有効化しますか?
最大1,000ドメインを設定できます。機能は既定では有効になっておらず、管理者が提供されたPowerShellスクリプトを使って設定します。MicrosoftはSearch AdministratorまたはGlobal Administratorの権限での実行を案内しています。
まとめ|Domain ExclusionはCopilotの参照先を細かく管理する
Microsoft 365 CopilotのDomain Exclusionは、Web groundingで使わせたくない外部ドメインを、管理者が最大1,000件まで除外する機能です。既定では無効で、PowerShellスクリプトによる設定が必要です。
ただし、これはWeb全体のアクセス制御でも、社内データDLPでもありません。Copilotが外部Webを根拠に回答する場面の参照先管理として導入し、ネットワーク、ID・権限、情報保護、監査の仕組みとは役割を分けて運用しましょう。
参考情報:
Microsoft Community Hub「More control over web grounding with Domain Exclusion for Microsoft 365 Copilot」
Microsoft Learn「Domain Exclusion」
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