建設業の生成AI活用を解説|大成建設・鹿島に見る全社導入のポイント

大成建設は2025年8月、OpenAIと連携したChatGPT Enterprise活用の人材育成・業務改革プロジェクトを1,000名規模へ拡大したと公式発表しました。鹿島も2023年8月から、グループ従業員約2万人を対象にAzure OpenAI Serviceを使った専用対話型AI「Kajima ChatAI」の運用を開始しています。

※本記事は2026年8月時点の情報です。

両社の事例は、建設現場の作業をAIが自律的に管理するという話ではありません。安全性、機密情報、現場固有の知識を前提に、社内環境や人材育成、記録、業務プロセスを整えることが全社展開の条件になります。

建設業のIT・事業責任者にとっては、自社で生成AIを本格導入する際に何を先に決めるべきかを判断する材料になります。

本社・現場・専用AI環境・人による確認をつないだ建設業の生成AI全社展開の図解
全社展開は、本社が整えた専用AI環境を現場が使い、人が最終確認する流れで進む

大成建設と鹿島の公式事例

両社が公式発表している取り組みを整理すると、次のとおりです。

企業取り組み確認できるポイント
大成建設ChatGPT Enterpriseを使った人材育成・業務改革250名から始め、2025年8月に1,000名体制へ拡大
鹿島Azure OpenAI Serviceを使ったKajima ChatAI約2万人を対象に専用環境、認証、利用履歴を整備

ポイント

大成建設は人材育成プログラムの拡大、鹿島は専用環境の運用開始と、全社導入の入り口が異なります。自社の状況に近い事例から着手のヒントを得られます。

建設業で先に整える業務領域

施工計画の下書き、社内検索、記録整理、人による承認の4領域を示す図解
全社展開を急ぐ前に、文書作成・検索・記録整理・人による承認の4領域から着手する企業が多い

全社導入を急ぐ前に、次の4つの業務領域から生成AIの活用を始めている企業が多く見られます。

  • 施工計画、報告書、議事録などの文書下書き
  • 社内基準、過去事例、技術資料の検索
  • 現場写真や記録の整理と専門家への確認
  • 安全、品質、契約に関わる出力の人による承認

ポイント

文書作成や検索など定型業務から着手し、安全・品質・契約に関わる最終判断は人が担う体制を先に整えます。

全社展開で重要なガバナンス

入力情報の範囲、外部共有、利用者の権限、ログの保存、誤出力の報告という5つのガバナンス項目を示す図解
専用環境があっても、入力範囲・共有・権限・ログ・報告の5項目を決めなければ安全な全社運用にならない

専用環境を用意するだけでは、全社利用を安全に運用できません。次の5項目を事前に決めておく必要があります。

  • 入力してよい情報の範囲
  • 外部への共有可否
  • 利用者ごとの権限設定
  • 利用ログの保存
  • 誤出力が起きた際の報告

導入事例運用監視を参考に、現場と本社の責任分担を設計します。

ポイント

入力範囲・共有可否・権限・ログ・報告フローの5点を、現場展開の前に本社主導で定義しておくことが全社運用の前提になります。

よくある質問(FAQ)

Q. 大成建設は何人規模で生成AIを使っていますか?

公式発表では、2025年8月に人材育成プログラムが1,000名体制へ拡大し、ChatGPT Enterpriseを順次全社員へ展開する方針が示されています。

Q. 鹿島のKajima ChatAIは何が特徴ですか?

鹿島公式発表では、Azure OpenAI Serviceを活用した専用環境で、入力情報を外部学習に利用させない構成、従業員認証、利用履歴の記録が説明されています。

Q. 建設現場の判断をAIに任せられますか?

文書作成や検索の支援と、安全・品質・契約判断は分けます。重要な判断は資格・経験を持つ担当者が根拠を確認し、AIは補助に限定します。

まとめ

大成建設と鹿島の事例は、建設業の生成AI導入が、個人利用から専用環境・人材育成・全社運用へ進んでいることを示します。

現場固有の知識と安全・品質責任を守るため、AIの支援範囲、入力情報、認証、ログ、人の最終確認を先に設計しましょう。

参考情報:
大成建設「建設業界最大規模の生成AIプロジェクトが始動」
鹿島「Kajima ChatAIの運用を開始」

ポイント

支援範囲・入力情報・認証・ログ・人の最終確認を先に設計してから、全社展開の規模を広げます。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。