AI開発のやり方や進め方を徹底解説:ステップごとの手順と効果的な進行フロー

AI開発は、課題の設定と要件定義から始まり、データの収集と前処理、モデルの設計と学習、実装と本番環境への展開を経て、運用と改善を繰り返しながら進みます。従来のシステム開発と異なる工程も多いため、段階ごとの要点を押さえることが大切です。

本テーマに関する全体ガイドは、以下の記事をご覧ください。

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AI開発の特徴とプロジェクトの全体像

AI開発には、通常のシステム開発とは異なる「モデル構築」「データ活用」「精度評価」などの工程が含まれます。

通常のシステム開発との違い

一般的なソフトウェア開発では、要件や動作を事前に定義し、その仕様に沿って実装とテストを行います。一方でAI開発は、学習データによって振る舞いが決まるため、予測精度や再現性が変動しやすい性質があります。そのため、AIプロジェクトでは次のような違いが見られます。

要件が曖昧なまま進むことがあり、データの収集と加工が成果に直結し、モデルの精度検証と改善を繰り返す必要があります。

AI開発の全体ステップ

AI開発の典型的な流れは、次のステップに分かれます。

データの準備からモデルの学習・評価、システムへの組み込みまでは、次の4つの段階で進みます。

  • データ収集・前処理
  • モデル設計・選定
  • 学習・評価・チューニング
  • システム実装・連携

これらのステップは一度で終わるものではなく、モデルの改善やデータの追加を繰り返しながら進むのが特徴です。

フェーズ1:課題設定と要件定義

AI導入は、解決したい課題を明確にするところから始まります。課題が決まったら、その解決にAIを使うべきかどうかを、発注側と開発会社で確かめます。

ビジネス課題の明確化

まずは「どんな課題をAIで解決したいのか」を具体的に定めます。たとえば、次のような目的が考えられます。

顧客からの問い合わせ分類を自動化したい、生産ラインの異常を自動で検知したい、購買データから売上予測を行いたいといった例です。

この段階で、AIがその課題に適した手段かを見極めることが、特に重要です。

成果指標(KPI)の設定

AIの精度は数値で判断されるため、評価に使う指標を前もって決めておく必要があります。たとえば、モデルの種類ごとに次のような指標が使われます。

分類モデルでは正解率、再現率、F1スコアを、回帰モデルでは平均二乗誤差と決定係数を、生成AIではBLEUスコアとユーザー評価を使います。

目的に応じてKPIを文書にまとめ、目標値を定めておくと、プロジェクトの進行や判断がしやすくなります。

ポイント

AIを使う理由を説明できない課題は、データ収集に進む前に見直します。成果指標の目標値も先に決めておくと、進行や判断の拠り所になります。

フェーズ2:データ収集と前処理

AI開発で最も時間がかかるのが、このデータ準備の段階です。データの質がモデルの性能に直結するため、丁寧に進める必要があります。

データの収集

開発会社と発注側で、既存システムのログ、Excel、CSVファイル、外部APIなどから必要なデータを集めます。

画像やテキスト、音声などの非構造データも対象に含まれます。

データがない場合は、センサーやIoTの導入を検討するほか、オープンデータやAPI連携で外部のデータを補う方法もあります。

前処理・クリーニング

欠損値の補完、異常値の除去、データの正規化などを行います。加えて、分類ラベルを付ける作業(アノテーション)が必要になることもあります。この工程の質は、その後の学習フェーズに大きく影響します。

データの分割と管理

モデルの学習用、検証用、テスト用にデータを分けて、過学習やバイアスが生じないように管理します。

機密性の高いデータについては、匿名化や暗号化の対応も必要です。

ポイント

データの量と質が足りているかは、モデルを作る前に確かめておくとよいでしょう。不足していれば、センサーやIoTの導入や外部データの補完を検討します。

フェーズ3:モデルの設計と学習

ここからAIモデルを構築します。目的やデータに合わせて、適した手法を選びます。

アルゴリズムの選定

目的によって使うモデルは異なり、代表的なものは次のとおりです。

画像分類にはCNN(畳み込みニューラルネットワーク)、テキスト分類にはBERTやRNNが使われます。予測系には決定木、ランダムフォレスト、XGBoost、異常検知にはAutoencoderやIsolation Forestが使われます。

ツールでは、Pythonのscikit-learnやTensorFlow、PyTorchなどが一般的です。

モデルの学習と検証

学習用データでモデルを学習させ、検証用データで性能を確かめます。精度が十分でない場合は、次の対策を試みます。

具体的には、ハイパーパラメータの調整、特徴量エンジニアリングの工夫、データ量の増加や拡張処理(データオーギュメンテーション)を行います。

ポイント

精度が十分でないときは、ハイパーパラメータの調整、特徴量の工夫、データ量の増加のうち、どれが効くかを検証用データの結果で確かめます。

フェーズ4:実装・システム連携・本番環境への展開

モデルが完成したら、実際の業務で使えるよう、システムと連携させていきます。

モデルのAPI化

推論モデルは、REST APIなどを通じて外部から呼び出せるようにします。構築には、FlaskやFastAPIが一般的に用いられます。

フロントエンド・業務システムとの統合

WebアプリやWebの業務画面などのユーザーインターフェースとつなぎ、利用者がAIを使える環境を整えます。

モニタリング・ログ管理

運用後のトラブルに備えて、処理時間や推論結果、異常値などをログに記録します。そのうえで、継続的に監視できる体制をつくります。

フェーズ5:運用と改善サイクル

AI開発のゴールは、継続的に業務で使い、成果を上げることです。

精度の高いモデルを作ることは、その手段の一つです。

モデルの再学習とバージョン管理

業務やユーザーの変化に伴って、AIモデルの精度は徐々に下がります。そのため、データを定期的に追加して再学習を行い、性能を保ちます。

利用状況の分析とフィードバック反映

ユーザーがどこで迷っているか、どの予測が役に立っているかを分析します。その結果をUI改善やモデルのチューニングに活かし、AIの効果をさらに高めていきます。

ポイント

精度が落ちたかどうかは、利用状況の分析と評価指標の推移で確かめ、再学習が必要かを決めます。改善を続けられる運用体制は、開発の段階から用意しておきましょう。

成功するAI開発のための実践ポイント

AIプロジェクトを成功させるうえで押さえておきたいポイントを、実践の視点から取り上げます。

早期テストによるフィードバック収集

最初から完璧を目指すより、MVP(実用最小限のプロトタイプ)で早めにテストし、ユーザーや現場の声を取り入れながら改善するほうが、成功への近道です。

データとビジネスの両面からの検討

AIモデルの性能に加えて、実際の業務フローやユーザー体験とどう結びつくかを、常に意識しておきましょう。

特に、現場の担当者との連携が欠かせません。

継続的な改善と運用設計

AIは一度作って終わりではなく、継続的な改善と再学習が求められます。そのため、開発体制だけでなく、運用体制や改善の流れも設計段階で考えておくことが大切です。

ポイント

学習データによって精度が変わるため、データの準備と精度の検証は計画の初めから組み込み、後回しにしないのが目安です。

まとめ

AI開発を成功させるには、技術を導入するだけでなく、ビジネス課題の設定から運用設計までを見据えて進める必要があります。どのフェーズでも、目的に合ったアプローチを取ることが、最終的な成果に直結します。

正しい進め方を理解し、チームで認識をそろえながら進めることで、AIプロジェクトの成功率は格段に高まります。

まずは小さな一歩から、AI活用を始めてみてはいかがでしょうか。

AI開発の全体像をあわせて知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

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株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。