AI予知保全の開発は、要件定義から本開発、継続改善まで段階を踏んで進めると、故障リスクを抑えられます。
データに基づいて設備を保全すると、定期点検や事後対応に比べてコスト削減と稼働率向上を図れます。全体は4つの章に分けてあり、関心のある章からお読みいただけます。
▼関連記事一覧
・AI予知保全の開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順
・AI予知保全の開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方
・AI予知保全の開発見積相場や費用/コスト/値段について
・AI予知保全の開発発注/外注/依頼/委託方法について
AIシステム開発の種類・工程・費用・会社選定までの全体像については、無料ホワイトペーパー「AIシステム開発の完全ガイドブック」で詳しく解説しています。
AI予知保全の進め方

AI予知保全の開発は、要件定義・企画フェーズから始まり、PoC・本開発フェーズへ進みます。そのあとは、テスト・リリースを経て、継続改善へ移ります。各段階を丁寧に進めることで、後工程の手戻りを防ぎ、プロジェクトの成功につながります。
要件定義・企画フェーズ:対象設備の選定とKPI設定
AI予知保全のプロジェクトは、現状の課題を明らかにし、対象設備を絞るところから始まります。
- 設備の優先順位:故障リスク、停止時の影響、保全コストを比べて決めます。
- KPI:故障件数は月間○件から○件、稼働率は○%から○%、保全費用は年○万円の削減を狙います。
- データ:故障履歴、既存のセンサー値、点検記録の有無と量
初期は重要設備1〜3台から始めることが、成功の鍵です。導入の成果として、ダイセルは突発的な設備停止を90%削減しました。また、JR西日本では、自動改札機の故障予測AIにより、点検回数を30%、故障発生件数を20%削減しました。
KPI(重要業績評価指標)が曖昧なままだと、プロジェクトの成否を判断できません。そのため、具体的な数値目標を立てて、成果を評価します。
AIモデルの精度はデータの質と量に直結するため、このフェーズで調査結果をもとに、現実的な実現性を見通しておきます。
PoC・本開発フェーズ:検証と本番システムの構築
要件定義のあとは、PoC(概念実証)で小規模な実証実験を行い、AI予知保全の技術面での実現性を検証します。PoCの期間は一般的に1〜3ヶ月程度です。
PoCでは、センサーデータのノイズ除去、正規化、欠損値処理を行ったうえで特徴量を設計し、機械学習モデルを構築します。
候補としては、ランダムフォレストと勾配ブースティング(XGBoost/LightGBM)が挙げられます。ほかにも、LSTMやオートエンコーダがあります。
PoCで有効性を確認できたら、本番システムの構築へ進みます。本番システムは、次の4つの要素で構成します。
- センサー・IoT基盤:本番運用に必要な基盤の整備
- データパイプライン:データをシステム内で扱う流れの構築
- AIモデル:検証したモデルの本番環境への実装
- ユーザー画面:利用者向けのインターフェースの開発
リリース後も、運転条件の変化や新しい故障モードに合わせてモデルを更新する運用体制を持つことが、長期的な成果につながります。
▶ 詳細はこちら:AI予知保全の開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順
AI予知保全でおすすめの開発会社
AI予知保全の導入では、センサーの選定と設置設計、データ収集基盤の整備が必要です。さらに、AIモデルの開発・学習、既存設備管理システムとの統合、運用後の継続改善も欠かせません。複数の専門領域が連携するため、適切なパートナー選定が投資対効果を左右します。
開発会社の選定で確認すべき3つのポイント
製造業、プラント、交通インフラでは精度要件や法規制が異なるため、会社選びでは自社に近い分野の経験を重く見る必要があります。そのうえで、導入実績、支援範囲、本番移行後の改善体制の3点を確認します。
- 同業種・同設備の実績:近い領域での導入経験の有無
- 一貫した支援:センサーからAI開発・運用保守まで対応できるかどうか
- 本番後の支援:本番移行と継続改善のサポート内容
支援が工程の一部に限られると、連携不足で遅延するリスクがあります。また、設備の経年変化に合わせてモデルを更新する運用も欠かせません。
製造現場では、故障データが十分にないケースも多くあります。そのため、正常データのみで学習し、故障事例がなくても精度の高い異常検知モデルを構築できる手法を持つ会社を選びます。
おすすめ開発会社6選の特徴
AI予知保全の開発・導入支援に強みを持つ代表的な6選を紹介します。
- 株式会社ripla
- ブレインズテクノロジー株式会社
- 株式会社マクニカ
- 株式会社Laboro.AI
- 株式会社エクサウィザーズ
- 株式会社NTTデータ
株式会社riplaは、IT事業会社として社内DXを推進した経験を活かします。中小〜中堅製造業を中心に、上流の業務設計からシステム開発、導入後の定着まで一貫して支援し、既存基幹システムとの統合にも対応します。
ブレインズテクノロジー株式会社は、予兆検知ソリューション市場でシェアNo.1(3年連続)です。主力製品「Impulse」は2014年にリリースされ、稼働中のAIモデル数は30,000超です。
特許取得済みのAutoML技術を備え、大阪ガス・ヤンマーなどに導入されています。また、電気・ガス・水道のインフラ領域にも強みがあります。
マクニカの「Mpression Smart Motor Sensor」は、センサー、クラウド、AI分析が一体になった製品です。AIの専門知識がなくても導入でき、低圧三相モーターを中心に、全9種類の異常を0〜10のスコアで表示します。
Laboro.AIは、オーダーメイド型「カスタムAI」の開発を専門とする企業です。既製品で対応できない設備データや業務要件にも、独自モデルを構築します。さらに、ブラックボックス化を避ける伴走型開発と知識移転も支援します。
エクサウィザーズは、年間250件超のAI/DXプロジェクトを手掛ける総合AI企業です。ディープラーニングを含む先端技術と業界知識を組み合わせ、大規模案件から中規模PoCまで対応します。
NTTデータは国内最大級のSIerで、金融、製造、公共などの分野で大規模システムを開発・運用してきました。医療や交通などでも同様の実績があります。
同社は、既存基幹システムとの統合、グローバル対応、強固なセキュリティを強みとし、社会インフラ向けにも適しています。
▶ 詳細はこちら:AI予知保全の開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方
AI予知保全の費用相場

開発費用は、導入規模、対象設備数、AIモデルの複雑さによって変わります。そのため、予算を組むときは、規模別の費用目安と構成要素を正確に把握しておきます。
規模別の初期費用目安と費用構成
初期費用は、PoC・スモールスタート、中規模本格導入、大規模フルスクラッチ開発の3段階に分けて見ると、整理しやすくなります。
- PoC・スモールスタート:設備1〜5台で50万〜200万円程度です。
- 中規模本格導入:設備10〜50台で500万〜2,000万円程度です。
- 大規模フルスクラッチ:設備100台以上・複数拠点の構成で、2,000万〜1億5,000万円程度に達する場合があります。
PoCは、クラウドAI基盤で費用を抑えながら、本格導入の前に技術的な有効性を確かめられます。これにより、導入に伴うリスクを下げられます。
中規模の導入では、センサーの設置とAIモデルの費用に加えて、ダッシュボードやアラートの費用も重なります。たとえば、ケースB(設備20台・単一工場)の場合、初期費用は約1,200万円、月額は約25万円、年間では約300万円です。
同じケースの3年間TCO(総所有コスト)は約2,100万円です。なお、大規模構成には、ERP・MESとの統合、独自モデル開発、セキュリティ対策が含まれます。
費用項目は大きく3つに分かれ、1つ目はハードウェアとネットワーク・インフラです。2つ目はAI開発・学習とシステム開発で、3つ目はコンサルティング・要件定義です。
センサーは1台1万〜10万円、ネットワーク整備は10万〜100万円程度です。AIエンジニアは人月80万〜200万円、Webアプリ・ダッシュボード開発は人月60万〜150万円です。
AI開発とシステム開発の費用は、人月単価に工数を掛けて算出します。コンサルティング・要件定義費用は40万〜200万円程度です。
ランニングコストとコスト削減のポイント
初期開発費用に加えて、運用後はモデルの再学習や機器の交換などにかかるランニングコストも、予算に含めておきます。
- クラウド基盤:月額1万〜50万円以上です。
- 保守・運用:月額5万〜30万円程度です。
- モデル再学習:年間数十万〜数百万円です。
- センサー・機器:耐用年数3〜5年で、交換や維持の費用が発生します。
保守費用は、年間で初期開発費用の10〜20%が目安です。
ランニングコストと初期費用を抑えるには、導入範囲を絞ったり、既存のクラウドやサービスを使ったりする方法があります。
- スモールスタート:対象設備を絞って、段階的に導入します。
- クラウド基盤:AWS SageMakerやAzure Machine Learningの利用
- 補助金:デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の利用を検討します。
- SaaS型サービス:既存サービスの活用
- オフショア開発:コスト削減の可能性を検討します。
補助金を使うと、実質的な初期費用を30〜50%削減できる場合があります。また、オフショア開発では30〜40%程度削減できる可能性があります。
投資判断では、ROI(投資対効果)を試算します。たとえば、停止による損失が1時間あたり50万円で、年間5回故障する場合を考えます。
AI予知保全で故障を80%削減できれば、年間400万円の損失削減につながります。そのため、初期費用1,000万円のシステムでも、3〜4年で回収できる見込みです。
▶ 詳細はこちら:AI予知保全の開発見積相場や費用/コスト/値段について
AI予知保全の外注・発注方法

システム構築には、センサーデータの前処理、機械学習モデルの設計・学習・評価、システム実装など、幅広い専門知識が必要です。そのため、開発を検討する企業は、内製か外注かを判断し、外注する場合の発注手順を具体的に把握しておく必要があります。
外注・内製の判断基準とRFP作成の手順
開発体制は、社内に足りない専門性と、運用後に社内へ蓄積したい知識をもとに組み立てます。
- 外注:専門エンジニアがいない場合や、期間を短くしたい場合、PoCから始めたい場合に適しています。
- 内製:データや製造ノウハウの機密性が高い場合や、社内に知識を蓄積したい場合に選べます。
- ハイブリッド:PoCは外注し、本番運用は内製へ移す方式です。
このハイブリッド方式を採る製造業も多くあります。外注する場合は、発注プロセスの第一歩として、社内で要件を整理し、RFP(提案依頼書)を作成します。
RFPには、現状の設備とデータの状況から発注条件までを書いておくと、各社が同じ前提で見積もりを出せます。
- プロジェクトの背景と目的
- 対象設備と検知対象の故障モード
- 利用可能なデータの種類・量・形式
- 検知精度・アラート機能・可用性などの要件
- 予算感と希望納期
- 要件定義から運用保守までの発注範囲
詳しいRFPは見積もりの精度を高め、各社の提案を比べる材料になります。そこで、候補となる3〜5社にRFPを送り、提案書と見積もりを総合的に評価します。
契約形態の選び方とプロジェクト管理のポイント
AI予知保全の開発契約には、請負契約と準委任契約の2種類があります。
請負契約では、完成物の引き渡しが保証されます。一方で、AIモデルの精度は学習データに左右されるため、精度を保証するのが難しく、開発会社が難色を示す場合があります。
準委任契約は、誠実な業務遂行に対して報酬を支払う契約で、探索的なPoCに適しています。そのため、PoCは準委任の一形態である成果完成型(成果物の完成を報酬の支払条件とする形)で行い、仕様が明確な本番開発で請負へ切り替える方法が多く採用されています。
契約書では、知的財産権と秘密保持、品質・精度の扱いを、開発の前に決めておきます。
- 知的財産権:学習済みモデル、ソースコード、設計書の権利の帰属を定めます。
- NDA:秘密保持の範囲と期間、目的外使用の禁止を確認します。
- 品質・精度:検知精度と誤検知率の目標値、未達時の対応
- 瑕疵担保:責任と保証期間の明確化
- 終了後の条件:サポートと移管に関する条項
発注後は、週次または隔週で進捗を確認し、マイルストーンごとの達成状況を管理します。あわせて、保全担当者や設備エンジニアをチームに加えてください。現場の担当者がいないことは、「PoC疲れ」「PoC死」の典型的な原因です。
▶ 詳細はこちら:AI予知保全の開発発注/外注/依頼/委託方法について
まとめ
ここまで、進め方、おすすめ開発会社、費用相場、外注・発注方法の4テーマを見てきました。重要設備1〜3台から始め、効果を確かめながら段階的に広げると、成功率を高められます。進め方は、要件定義からPoC、本開発を経て、継続改善へ進みます。
開発会社は、同業種・同設備の実績、IoTセンサーからAI開発・運用保守までの一貫支援、本番移行後の改善サポートを基準に選びます。また、費用はPoCで50万〜200万円、中規模で500万〜2,000万円、大規模で2,000万〜1億5,000万円程度が目安です。
投資効果はランニングコストを含むTCOとROIで評価します。さらに、外注するときは、要件を丁寧に整理したうえで、3〜5社から比較見積もりを取ります。
契約時には、知的財産権の帰属、NDA、精度条項を明確にしておきます。発注後は現場を巻き込み、進捗とマイルストーンを管理しながら、アジャイルに進めます。
導入は、製造業の競争力強化、コスト削減、安全性向上に貢献します。まずは自社の課題と保有データを洗い出し、着実に一歩を踏み出してください。詳細は関連記事もご覧ください。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
