意思決定支援システム(SoD)の進め方と事例|構築手順とプロセスを解説

SoDは、蓄積されたデータを分析・活用して企業の意思決定を支える仕組みです。構築は、支援したい判断の目的を定めることから始め、データを集めて統合し、分析・可視化ツールを選んで実装する流れで進みます。

データ統合・SoD導入の全体像を知りたい方は、データ統合・SoD(意思決定支援)導入の完全ガイドもご覧ください。

意思決定支援システム(SoD)とは

SoRの記録・保存、SoEの顧客との絆、SoDの意思決定支援を3つのパネルで示した図
データを扱う目的が、3つのシステムを見分ける手がかりです。

SoDを理解するには、定義と、SoRやSoEなど関連する概念との違いを押さえておくと役立ちます。

SoDの定義と役割

SoD(System of Decision)は、蓄積されたデータを分析・活用し、企業の意思決定を支援するためのシステム群を指します。具体的には、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールや、AI(人工知能)を使った予測モデルなどが該当します。SoDの主な役割は、「次に何をすべきか」「どのようなリスクがあるか」といった問いに対する答えを示すことです。

SoR(System of Record)との違い

SoR(System of Record)は「記録のためのシステム」であり、ERP(基幹業務システム)やCRM(顧客管理システム)などが代表例です。正確なデータを記録・保存することが目的で、業務の効率化や統制に重きを置いています。一方で、SoDは、こうしたSoRに蓄積されたデータを活用する段階に位置します。

SoE(System of Engagement)との関係

SoE(System of Engagement)は、顧客との絆を深めるためのシステムで、SNSやWebアプリなどが該当します。SoEで得られた顧客の行動データも、SoDの重要な分析対象になります。

さらに、得られた知見をレコメンデーションなどのSoEの施策に反映させると、分析と施策が回り続けるサイクルが生まれます。SoR、SoE、SoDが連携すると、より高度な顧客体験を提供できるようになります。

ポイント

SoDかどうかは、蓄積されたデータで意思決定を支えているかで見分けます。SoRやSoEと迷ったら、記録、顧客との関係づくり、判断の支援のどれが主な役割かで整理するとよいでしょう。

SoDが求められる背景

今、多くの企業がSoDの構築に力を入れている背景には、いくつかの要因があります。

データドリブン経営の重要性

経験や勘に頼った経営判断では、複雑化する市場ニーズに対応しきれなくなっています。そのため、客観的なデータに基づいた論理的な意思決定(データドリブン経営)への転換が求められており、SoDは、そのための基盤として必要とされています。さらに、データを共通言語とすることで、組織内のコミュニケーションも円滑になり、納得感のある意思決定が可能になります。

市場環境の変化スピードへの対応

VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)の時代と言われるように、将来を予測することが難しくなっています。変化の兆候をいち早く捉えて行動に移すには、リアルタイムに近いデータを分析できる高度なシステムが欠かせません。SoDを活用すると、変化への対応にかかる時間を大幅に短縮できます。

ポイント

社内で経験や勘に頼った判断が続き、市場の変化に追いつけていないと感じるなら、データドリブン経営への転換と変化への速い対応という背景が自社に当てはまるかを見るとよいでしょう。

SoD導入のメリット

迅速かつ正確な意思決定、機会損失の防止、属人化の解消、ナレッジの共有をカードで示した図
判断の質と、組織で知見を活かす力の両面に効果が広がります。

SoDを導入すると、企業は具体的なメリットを得られます。

迅速かつ正確な意思決定の実現

必要なデータが整理され、可視化されているため、経営層や現場のリーダーは現状をすぐに把握できます。また、AIによる予測を活用することで、リスクを最小限に抑えた精度の高い判断が可能になります。これにより、機会損失を防ぎ、ビジネスチャンスを最大限に活かせます。

属人化の解消とナレッジの共有

ベテラン社員の経験則に頼っていた業務、たとえば発注量の決定や生産計画の作成などをシステム化すると、属人化を解消できます。分析結果や判断ロジックが共有されると、組織全体のスキルの底上げにもつながります。その結果、誰が担当しても一定の品質で業務を遂行できる体制が整います。

ポイント

SoDで何を得たいかを、意思決定の速さと精度、属人化の解消のどれに重きを置くかで整理しておくと、導入の目的がはっきりします。

SoD構築の進め方

目的と課題の明確化、データの収集・統合、分析・可視化ツールの選定と実装へ進むSoD構築の流れ
支えたい判断を定めると、後続のデータ統合やツール選定につながります。

SoD構築は、3つの段階を順に進めていきます。

  • 目的と課題の明確化
  • データの収集・統合
  • 分析・可視化ツールの選定と実装

目的と課題の明確化

まずは、「どのような意思決定を支援したいのか」「現状の課題は何か」を整理します。たとえば「在庫過多を防ぐために需要予測の精度を上げたい」のように、具体的なゴールを決めておきます。この段階で現場の声を十分にヒアリングしておくと、実際に使えるシステムに近づきます。

データの収集・統合

SoR(基幹システム)やSoE(Webログなど)から必要なデータを集め、DWH(データウェアハウス)やデータレイクに統合します。統合の際には、データの品質を保つためのクレンジング処理(ETL)も欠かせません。データが正確でないと、分析結果の信頼性も損なわれるため、慎重に進める必要があります。

分析・可視化ツールの選定と実装

目的に合わせて、BIツール(Tableau、Power BIなど)やAIモデル構築ツールを選定します。そのうえで、ユーザーが直感的に理解できるダッシュボードを設計し、予測精度の高いモデルを開発します。導入後も、ユーザーからのフィードバックを受けて改善を続けることが、定着につながります。

ポイント

構築で迷ったときは、どの判断を支えたいのかに立ち返ります。目的が決まっていれば、データの統合やツールの選定も、その目的に沿って決められます。

SoDの成功事例

すでにSoDを実際に導入し、成果を上げている企業の例を、小売業と製造業の2つの業種に分けて見ていきます。

小売業:需要予測による在庫最適化

ある小売チェーンは、過去の販売データや気象情報、イベント情報などをAIで分析し、店舗ごとの需要を予測するシステムを構築しました。

これにより、発注業務の自動化と在庫の適正化を実現し、廃棄ロスの削減と機会損失の防止に成功しました。さらに、店長の業務負担が軽減され、接客などのコア業務に注力できるようになりました。

製造業:生産計画の自動化と効率化

製造メーカーでは、受注状況や設備の稼働状況、人員配置などのデータを統合し、最適な生産計画を自動で立案するシステムを導入しました。

熟練担当者が数日かけて作っていた計画を、数分で作れるようになりました。計画変更にも柔軟に対応できるようになりました。また、生産効率の向上により、納期の短縮とコスト削減も達成しています。

ポイント

事例を読むときは、どの業務のどの判断を支えたのかを押さえると、自社の課題と比べて考えられます。成果の大きさだけで選ぶより、自社が支えたい判断に近い事例かを見るほうが参考になります。

まとめ

意思決定支援システム(SoD)は、データを価値ある情報に変え、企業の成長を後押しする仕組みです。

構築には、データの統合や分析技術の導入といった難しさもあります。そのため、スモールスタートで成果を積み重ねていくことが大切です。自社の課題に合わせたSoDの構築を検討する価値があります。

このテーマ全体のガイドは、次の記事で確認できます。

▼全体ガイドの記事
・データ統合・SoD(意思決定支援)導入の完全ガイド

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株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。