AIサプライチェーン最適化の開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

結論から言うと、AIサプライチェーン最適化の開発は、業務目標、データ確認、需要予測、制約付き計画、並行稼働の順に進めます。予測が当たることと、使える供給計画ができることは別に検証します。

倉庫補充を例に、各工程で作るものと次へ進む判断基準を説明します。輸配送や拠点間配分にも、対象の制約に置き換えて同じ進め方を応用できます。

工程1:対象業務と成功条件を決める

対象・評価・基準を確認する工程1のチェックリスト
計画の使い道を先にそろえる

計画を変更する時点から逆算する

最初に、誰が、いつまでに、何を決めるかを確定します。例えば翌週の補充を金曜に決めるなら、金曜時点で入手できる情報から翌週の需要を予測します。

開始時に合意する内容は、成果と運用をつなぐ三つです。

  • 対象:倉庫、商品群、計画期間、最初に使う部署。
  • 評価:欠品、平均在庫、緊急便、計画作成時間。
  • 基準:現在の担当者の計画、または既存の補充ルール。

「在庫を最小にする」だけでは供給不足が最良の計画になりかねません。欠品を増やさない条件などを置き、費用と供給水準の優先順位を決めます。

現場の例外を先に集める

通常時だけでなく、販売終了、特売、納入遅延、代替品への切替を聞き取ります。担当者が表計算の数字を上書きする場面は、隠れた制約を見つける手掛かりです。

この工程の成果物は業務フローと評価表です。対象の判断者が合意できるまでは、複雑なモデル選定を急がないようにします。

ポイント

最初の工程で決めるのは予測手法ではなく、計画の使い道です。現行方式を比較基準として残します。

工程2:過去を再現できるデータを用意する

販売履歴に対応する在庫履歴・商品情報・供給情報のレイヤー図
欠品と商品変更の履歴を落とさず確認

販売ゼロの理由を区別する

販売がなかった日には、需要がなかった場合と、在庫がなく売れなかった場合があります。両者を同じゼロとして扱うと、補充を減らす方向へ誤る可能性があります。

販売履歴に対応する記録を確認します。

  • 在庫履歴:欠品した日時、入出庫、棚卸修正。
  • 商品情報:統廃合、荷姿、発売日、終売日。
  • 供給情報:発注日、実入荷日、最小単位、供給停止。

履歴が不足する場合は、推定した値と実測値を区別します。復元できない期間を評価に使うか、データ収集から始めるかを業務側と判断します。

予測時点に存在した情報だけを使う

検証では、将来の実績や確定後の納期を過去の予測に混ぜません。売上日だけでなく、データを入手した時刻も意識して抽出します。

データ台帳には意味、更新時刻、欠損時の処理を記録します。ブレインパッドの物流支援も、業務判断につながるデータ整備を扱っています。

ポイント

多量のデータより、判断時点を再現できるデータが必要です。欠品と商品変更の履歴を落とさず確認します。

工程3:需要予測と補充ロジックを別々に検証する

需要予測と補充ロジックを左右に分けて検証する比較図
予測精度だけを改善して完了とはしない

単純な予測を基準に改善を測る

前年同期や直近平均などを比較基準にし、AIを使うことで何が改善するかを確認します。評価期間を時系列で分け、売れ筋と低回転品を分けて見ます。

予測の評価には、誤差の大きさ以外も含めます。

  • 偏り:継続して過大・過小に予測していないか。
  • 商品群:新商品、季節品、定番品で傾向が違わないか。
  • 変動:需要急増時に不足する量を把握できるか。

平均だけ良くても、重要商品の不足を増やしていれば採用を再考します。予測の幅を補充にどう反映するかも、この段階で決めます。

制約を入れて実行可能な数量へ変える

需要予測をそのまま発注量にはしません。現在庫、入荷予定、調達期間、発注単位を使い、必要な補充量に変換します。期限や倉庫容量も加味します。

輸配送なら、GoogleのRoute Optimization APIのように、目的と車両容量などの制約を指定する考え方があります。

計画計算では、成立しない場合も試験します。

  • 供給不足:配分できない数量と対象を明示する。
  • 容量超過:別便や翌日への変更を承認対象にする。
  • 時間超過:前回計画などの代替案を提示する。

この工程の出口は、過去データ上で現行方式と計画を比較できることです。予測精度だけを改善して完了とはしません。

ポイント

予測誤差と計画の良し悪しを切り分けます。満たせない制約を隠さず示せることも完成条件です。

工程4:並行稼働から段階的に本番へ移す

並行稼働の手順と修正理由の記録

まずAI案を現行計画と並べ、担当者の承認を経て使います。修正理由を記録すると、データの不足、ルール漏れ、単なる慣行の違いを区別できます。

実運用の試験は、毎日の処理を一巡させます。

  1. データ更新と欠損を検査し、利用できる入力から補充案を作る。
  2. 現行計画と差が大きい商品を確認し、修正理由を残して承認する。
  3. 承認済み計画を基幹へ渡し、入荷・販売の結果を次回評価に取り込む。

同じ計画を二度取り込まない仕組みや、取消後の再送も試験します。画面上の数量と基幹側の受付結果が一致することを確認してください。

拡大条件と監視の担当を決める

対象を広げる前に、欠品や修正工数が許容範囲に収まるかを判断します。季節品を通年品の検証だけで自動化するなど、未評価の範囲へ一度に広げないようにします。

運用開始後は、商品構成や調達期間の変化を監視します。再学習の頻度を固定するだけでなく、悪化時に誰が調査し、元へ戻すかを決めておきます。

ポイント

本番移行は接続試験と業務評価を通過してから行います。対象追加の条件と停止・復旧の担当を残します。

まとめ

開発は、業務の判断をデータで再現し、予測と計画を検証する積み重ねです。小さな範囲で実行可能性を確かめ、承認と監視を備えてから適用範囲を広げます。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。