データ活用戦略の立て方と事例|データ基盤構築・BIツール活用で業務改革を実現する方法

データ活用戦略は、目的を決め、社内外のデータを一覧にし、データ基盤を整えてから、BIツールなどの分析ツールを導入して、業務改善や意思決定に結びつける流れで進めます。データを戦略的に収集・分析し、意思決定や業務改善に役立てる取り組みは、あらゆる業界で注目されています。

本テーマに関する全体ガイドは、以下の記事をご覧ください。

▼全体ガイドの記事
・データ分析・データ活用の完全ガイド

データ活用が注目される背景

データ活用が企業の重点テーマになっているのは、経営判断の速さ、扱うデータの量、顧客への向き合い方に関わるからです。

DX推進と意思決定のスピード化

ビジネス環境の変化が激しいなかで、経営判断を速く下すことが求められています。データを活用すると、勘や経験に頼らずに意思決定できるようになります。

膨大なデータの増加

IoTやSNS、業務システムなどから、企業が扱うデータの量は年々増え続けています。そのため、集めたデータを正しく整理して活用できるかどうかが、競争力の差を生む要因になっています。

顧客体験の向上

顧客の行動データや嗜好データを活用すると、サービスの改善や新しい価値の提供につなげられます。

データ活用戦略を立てるステップ

データ活用を企業の成長につなげるには、計画的な戦略が欠かせません。目的の明確化から業務改善への展開まで、段階を追って進めていきます。

1. 目的の明確化

データ活用を進めるうえで最初にすべきことは、何を達成したいのかを明確にすることです。目的には、たとえば次のようなものがあります。

  • 売上拡大
  • 業務効率化
  • 顧客満足度の向上

目的が決まれば、必要なデータと分析の方向性も定まります。

2. データの棚卸し

社内外にどのようなデータがあるかを一覧にし、どこに何が保管されているかを洗い出します。販売データ、顧客データ、在庫データ、Webアクセスログなど、多様なデータソースを把握しておくことが、この後の基盤づくりの土台になります。

3. データ基盤の整備

データを分析・活用するには、データを一元管理できる基盤が欠かせません。そこで、データウェアハウスやデータレイクを構築し、品質を保ったデータを蓄積していきます。

4. 分析ツール・BIツールの導入

整備したデータ基盤の上で、BIツールやデータ分析ツールを使って分析します。ツールの導入をゴールにせず、利用者が使いこなせる運用体制をつくることが大切です。

5. 業務改善・意思決定への展開

分析の結果を、業務プロセスの改善、経営戦略の策定、新規事業の検討といった実際の行動に結びつけることが、データ活用のゴールです。

ポイント

各段階を順に進められているかを見ると、戦略のどこが弱いかが分かります。たとえば、目的は決めたのに業務改善への展開が止まっていれば、そこが弱点になります。

データ基盤構築のポイント

データ基盤の周囲に、統合と一元化、品質管理、セキュリティと権限管理を配置した図
基盤の整備状況を3つの観点から見渡せます。

データ活用の土台となる基盤は、先に整えておくことが欠かせません。基盤が整っていないと、データを集めても活用しきれません。

データの統合と一元化

部門ごとにバラバラで管理されているデータを統合すると、全社で一貫した指標を使って意思決定できるようになります。

品質管理(データガバナンス)

不正確なデータや重複したデータが混ざっていると、分析結果も信頼できなくなります。そのため、データの品質を保つルールを決めておくことが重要です。

セキュリティと権限管理

機密データを扱う以上、セキュリティ対策は欠かせません。あわせて、誰がどのデータを見られるかを適切に設定しておく必要があります。

ポイント

データの統合、品質のルール、権限の設定がそろっているかを見ると、基盤づくりで足りない部分が分かります。判断に迷ったときは、この3点から順に確かめてください。

BIツール活用のメリット

BIツールのメリットとしてデータの可視化、データドリブンな文化の定着、リアルタイムの意思決定を並べた図
可視化から組織の判断、意思決定の速さまで効果が広がります。

BIツールを使うと、専門知識がなくてもデータを活用できる環境が整います。

データの可視化

複雑なデータも、グラフやダッシュボードで分かりやすく表現できます。そのため、現場でも分析結果をすぐに共有できます。

データドリブンな文化の定着

誰でもデータを見て判断できる環境が整うと、組織全体でデータに基づく意思決定を行えるようになります。

リアルタイムの意思決定

最新のデータを瞬時に分析し、その結果を意思決定に反映できます。これにより、競合他社より一歩先んじた行動がとれるようになります。

ポイント

BIツールの効果は、専門知識がない現場の人がグラフやダッシュボードを見て、自分で判断できるかどうかで確かめられます。

データ活用の成功事例

実際にデータ活用を進め、業務改革につなげた企業の事例を見ていきます。

事例1:小売業A社

販売データと顧客の購買履歴を統合し、BIツールで見える形にしました。その結果、売れ筋商品の分析や在庫の最適化ができるようになり、在庫コストを大幅に削減しました。

事例2:製造業B社

生産ラインのIoTデータを集めて分析し、設備の故障を予測する仕組みを構築しました。そのため、計画的なメンテナンスが可能になり、稼働率が向上しました。

事例3:金融業C社

顧客データと行動ログを統合して分析し、顧客の属性に合わせた提案を自動化しました。これにより、成約率が改善するとともに、顧客満足度を高めることにも成功しました。

ポイント

事例を見るときは、どの業務の課題に対して、どのデータを統合して使ったかに注目すると、自社の課題と照らし合わせやすくなります。

データ活用を定着させるためのポイント

データ活用の定着に向けた経営層のコミットメント、教育・トレーニング、継続的な改善を示すチェックリスト図
経営と現場の取り組みを並行して進める構成です。

データ活用を一時的なプロジェクトで終わらせないためには、組織全体で取り組む必要があります。

経営層のコミットメント

経営層がデータ活用の重要性を理解し、それを組織の文化として根付かせることが求められます。

教育・トレーニング

現場の担当者がデータを使いこなせるよう、BIツールの操作方法やデータ分析の基礎を教えておくことが大切です。

継続的な改善

活用の取り組みは、継続して育てていくものです。基盤や分析手法を定期的に見直すことで、精度を高め続けられます。

ポイント

定着しているかは、経営層が取り組みに関わっているか、現場の担当者が使える教育があるか、基盤を定期的に見直しているかで判断できます。

まとめ

目的の明確化から基盤整備、ツール導入、業務改善への展開までの流れを、しっかり整えておくことが大切です。特に押さえたいのは、データを資産として捉えて全社で一元管理すること、BIツールを活用して意思決定の質を高めること、小さく始めて大きく育てるアプローチで進めることです。

データを活かした経営は、今後の企業競争力を左右する要素になります。今から取り組むことで、将来の成長を支える基盤を築いていけます。

データ分析とデータ活用の全体像をさらに知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。