データ分析システム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

データ分析システム開発は、要件定義から運用まで4つのフェーズを順に進めるプロジェクトです。

各フェーズで決めたことは後工程に響くため、流れを先に押さえておくと、手戻りによる時間とコストの無駄を減らせます。

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・データ分析システム開発の完全ガイド

データ分析システム開発の全体像

データ分析システムの主要要素をETL/ELT、DWHまたはデータレイク、BIツール、分析・AIエンジンの4層で示した図
取り込みから分析までを支える要素が積み重なっています。

データ分析システムとは・特徴

要素と価値の両面から捉えると、データ分析システムの全体がつかめます。

  • データ分析システムとは、企業内外のさまざまなデータソースから情報を収集・蓄積・加工し、ビジネス上の意思決定を支えるシステムの総称です。
  • 売上データや顧客行動に加え、IoTセンサーやSNSのデータも統合して、ダッシュボードやレポート、機械学習モデルによる予測分析といった形で価値を提供します。
  • 主要要素はETL/ELT、DWHまたはデータレイク、BIツール、分析・AIエンジンです。

データは、取り込んで蓄え、見せて分析するという一連の流れで扱われます。

近年はクラウドネイティブな構成が主流になり、AWS・GCP・Azureのマネージドサービスを使った構築が増えています。

データ分析システムが選ばれる理由

企業がデータ分析システムの導入や開発を選ぶ最大の理由は、データドリブン経営を実現することです。感覚や経験に頼った意思決定から、実データに基づく客観的な判断へ移ることで、経営の効率と競争力が大幅に向上します。

既存のExcelや手作業によるレポート作成では対応しきれない大量データの処理や、リアルタイム分析のニーズの高まりも、大きな背景です。業界によって、データ分析の使い道は変わります。

  • 製造業:品質改善、予知保全
  • 小売業:需要予測、在庫最適化
  • 金融業:不正検知、リスク管理

業界を問わず高い導入効果が実証されているため、DX推進の中核プロジェクトとして位置づけられるケースが増えています。

ポイント

データ分析システムは、取り込みから分析までの要素がつながって成り立つものです。自社の目的に照らして、どの要素を重視するかを整理しておくことが、判断の出発点になります。

データ分析システム開発の進め方

要件定義・データ戦略策定フェーズ

最初のフェーズでは、ビジネス課題を明確にし、データ戦略を立てます。「何のためにデータ分析システムを構築するのか」という目的を、事業部門・経営層・ITチームが共同で言葉にしておくことが不可欠です。

具体的には、課題の洗い出しから、非機能要件の定義までを進めます。

  • 課題の洗い出し:取り組むべきビジネス課題を挙げる
  • データソースの調査:利用するデータソースを調べ、データ品質を評価
  • KPI・成果指標の設定:KPIや成果指標を決める
  • 非機能要件の定義:パフォーマンス、セキュリティ、可用性

このフェーズに2〜4週間程度を確保し、関係者全員の合意を取り付けておくと、後工程がスムーズに進みます。

特に、要件定義の精度が低いまま進めると、後工程で手戻りが多発し、コストが2〜3倍に膨らむケースも少なくありません。

システム設計・アーキテクチャ設計フェーズ

要件定義が終わったら、システム全体のアーキテクチャを設計します。技術の選定から設計図、データモデル、ルールの策定までを、この段階で決めておきます。

  • 技術スタックの選定:データの収集・蓄積・加工・提供の各レイヤーで使う技術。
  • 設計図の作成:データフロー図、ER図、インフラ構成図。
  • データモデリング:スタースキーマ、スノーフレークスキーマなどの設計。
  • ポリシーの策定:データガバナンスとアクセス制御のルール。

クラウド環境では、AWSのRedshift・Glue・QuickSight、GCPのBigQuery・Dataflow・Looker Studioなどの中から、各プラットフォームの特性を考慮して選びます。Azureでは、Synapse Analytics・Data Factoryなどが候補になります。

設計フェーズには通常3〜6週間を要します。設計は後の開発効率に直結するため、十分な時間を確保することが推奨されます。

開発・実装・テストフェーズ

設計書に基づいて、データパイプラインやDWH・データレイクを構築し、BIダッシュボードの実装やAPIの開発を進めます。アジャイル手法を採用し、2週間単位のスプリントで小刻みにリリースします。そのうえで、業務部門のフィードバックを取り込む方式が効果的です。

テストフェーズでは、単体テスト、結合テスト、UAT(ユーザー受け入れテスト)を段階的に行い、データを多面的に検証します。

  • データの正確性:欠損・重複・異常値を念入りに検出し、業務部門が期待する数値と合っているかを照合
  • パフォーマンス:処理速度の確認
  • セキュリティ:安全性の検証

開発・テストフェーズ全体では、2〜6か月程度が一般的な期間です。

運用・改善フェーズ

リリース後は、システムを安定して動かし、データ品質を保ち続けることが大切です。

運用では、監視とコストの管理に加えて、改善を回す仕組みを整えます。

  • 監視:パイプラインの死活監視とデータ品質アラート
  • コストの管理:インフラコストの適正化
  • 改善サイクル:ビジネスニーズの変化に応じた、新たなデータソースの追加と分析機能の拡張
  • レビュー会議:四半期ごとに利用状況とKPIの達成度を振り返り、次の改善の優先度を決める場

改善を続けることで、システムの価値を保ち、高めていけます。また、運用フェーズでは、月次の保守コストとして開発費の10〜20%程度を見込んでおくのが一般的です。

ポイント

進め方は、要件定義から運用まで4つのフェーズを順に踏みます。各フェーズで決めたことを次へ正しく渡すことが、手戻りを防ぐ目安になります。

データ分析システム開発の費用相場

規模別の費用目安

データ分析システムの開発費用は、規模や要件によって大きく変わります。たとえば、小規模なPoC(概念実証)段階なら300〜800万円程度です。部門単位の中規模なシステム構築では1,000〜3,000万円程度、全社横断型の大規模なDWH・データレイク構築では5,000万円〜数億円に及ぶケースもあります。

クラウドサービスを使ってスモールスタートにすれば、最小限の機能から始めて段階的に広げることで、初期投資を抑えられます。

初期開発費とは別に、ランニングコスト(クラウドインフラ費用・保守費用)として月額50〜300万円程度を見込んでおく必要があります。

費用を左右する要因

費用を大きく左右するのは、まずデータソースの数と複雑さです。連携するシステムが多いほど、コストは高くなります。

さらに、リアルタイム処理の有無も影響し、バッチ処理よりストリーミング処理のほうが高コストになります。セキュリティ・コンプライアンス要件の厳しさや、AIや機械学習機能の有無も要因になります。

また、ベンダーの技術力や所在地(オフショアか国内か)によっても単価は変わります。国内の大手SIerに依頼する場合と、スタートアップやフリーランスに依頼する場合とでは、同規模でも2〜3倍の差が生じることがあります。

ポイント

費用は規模と要件で大きく変わるため、初期開発費と月額のランニングコストを分けて、見積もりの前提を揃えて比べることが大切です。

データ分析システム開発会社の選び方

データ分析システム開発会社を選ぶ際の確認観点として、同規模・同業界の実績、技術スタックの説明、コミュニケーション力、定期的な進捗報告を並べた図
実績から進捗共有まで、提案時に確かめる項目が並びます。

技術力・実績の確認

開発会社を選ぶ際は、まず貴社と同規模・同業界のデータ分析システム開発の実績があるかを確かめます。

提案の段階で、アーキテクチャ図や技術スタックの説明が具体的かどうかを見ます。加えて、クラウドサービスの認定資格(AWSパートナー、GCPパートナーなど)を持っているかも、重要な判断材料です。

また、過去案件のケーススタディを見せてもらえるか、参照先企業に問い合わせられるかを確かめ、実際の制作物の品質を事前に評価できると理想的です。特に、技術力の高い会社は、提案書の段階から具体的なデータモデルの例やパイプライン設計の概要を示してくれる傾向があります。

コミュニケーション力の見極め

データ分析システム開発では、業務部門・IT部門・開発ベンダーが密接に連携する必要があります。そのため、技術力だけでなく、ビジネス課題をデータやシステムの言葉に置き換えて、わかりやすく説明できるコミュニケーション力が求められます。

提案段階の打ち合わせでは、担当者がビジネスの視点で課題を整理しようとするか、専門用語をかみ砕いて説明してくれるかに注目してみてください。

定期的な進捗報告や課題共有の仕組みを示せる会社を選ぶことが、プロジェクトの成功率を高めることにつながります。

ポイント

開発会社は、実績と技術力、提案段階での説明の具体性、コミュニケーション力を合わせて見ることが大切です。複数社の提案を同じ観点で比べると、違いがはっきり見えてきます。

データ分析システム開発の成功のポイント

データ分析システム開発の成功要因として、ビジネス課題の明確化、データ品質の確保、段階的なアプローチを3枚のパネルで示した図
目的・データ・進め方の視点をそろえて取り組みます。

ビジネス課題の明確化

データ分析システムの失敗事例の多くは、「とりあえずデータを集めてから考える」という曖昧な始まり方に原因があります。

プロジェクトを始める前に、「どの課題を解決するか」「誰がどのデータを使って何を判断するか」を書き出し、経営層・業務部門・IT部門の三者が合意しておくことが必要です。

たとえば、「営業部門が週次で売上予測を確認し、来週の重点訪問先を決める」といった具体的なユースケースを定めておくと、必要なデータやシステムの機能がはっきりします。

データ品質の確保

「ゴミを入れればゴミが出る(Garbage In, Garbage Out)」といわれるように、データ品質が低ければ、分析結果の信頼性は直接損なわれます。

既存データの品質調査(プロファイリング)を早い段階で行い、欠損や重複、形式の不統一などの問題を把握したうえで、データクレンジングの計画を立てることが重要です。

また、システムの稼働後も、データ品質を継続して監視する仕組みを組み込み、異常を自動で検知できる体制を整えます。そうすることで、長期にわたってデータの信頼性を保てます。

段階的なアプローチ

最初から完璧なシステムを作り込むより、スモールスタートで価値を実証しながら拡張していく段階的アプローチのほうが、成功率を高めます。

  1. 初期成果の提示:最も効果の大きいユースケースでPoC(概念実証)を行い、3か月以内に成果を出します。これにより、経営層や業務部門の理解と支持を得やすくなります。
  2. ロードマップの作成:成功事例をもとに機能を広げていく道筋を描いておくと、長期のプロジェクトでも対象範囲の調整が容易です。

データ分析システム開発は、進め方と会社選びによって成否が大きく分かれるプロジェクトです。本記事で解説したフェーズを踏まえ、まずは自社のビジネス課題とデータの現状を整理することが出発点になります。

専門ベンダーへの相談を検討するなら、複数社から提案を受けて、技術力・実績・コミュニケーション力を総合的に比べることをお勧めします。データドリブン経営の実現に向けて、確かな一歩を踏み出しましょう。

本テーマの全体ガイドは、下の記事をご覧ください。

ポイント

失敗を避けるには、ビジネス課題を最初に明確にし、データ品質を早い段階で確かめ、小さく始めて広げていくことが欠かせません。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。