業務設計コンサルとは?|考え方/特徴/仕組み/目的を解説

業務設計コンサルとは、参照できる既存の業務フロー(As-Is)が存在しない状態から、組織体制・役割分担・業務フロー・KPIをゼロベースで組み立てる支援のことです。

新規事業の立ち上げや新会社の設立、M&A後の組織統合などで、前例がなく手をつけ方に迷うときに使われる支援です。

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業務設計コンサルの全体像と特徴

業務設計コンサルの全体像を確認する担当者

業務設計コンサルが専門とするのは、まだ形になっていない事業や組織そのものの設計図を描くことです。そもそも参照すべきAs-Isが存在しない場面が主な対象で、新製品・新サービスのローンチも含まれます。

  • 組織体制・役割分担の設計
  • 業務フローとKPIの構築
  • 前例のない業務をゼロから設計

参照すべきAs-Isが存在しない場面

業務プロセス改革のように既存の受発注フローや経費精算フローを見直すプロジェクトであれば、現状の流れを図に起こし、ボトルネックを洗い出すところから着手できます。一方、新規事業の立ち上げや新会社の設立では、比較対象となる現状の業務がそもそも存在しません。業務設計コンサルは、たたき台が何もない状態から、業務フロー・組織図・KPIを新規に組み立てる点に専門性があります。

ビジネスモデルの解像度を上げる工程

比較対象がないため、業務設計コンサルはまずビジネスモデルの解像度を上げるところから着手します。具体的には、誰にどのような価値を、どういう順序で提供する事業なのかを整理します。そのうえで、必要な業務機能(Capability)を洗い出していきます。

既存プロセスの改革であれば現状分析から入れます。一方で、ゼロベース設計は、この仮説構築そのものに一定の時間を要する点が特徴です。

ポイント

判断の目安は、比べられる現状の業務フローが社内にあるかどうかです。現状を見直すのか、まっさらな状態から組み立てるのかで、依頼する支援の種類が変わります。

業務設計コンサルの仕組みと支援の進め方

業務設計コンサルの支援フローを確認する担当者

標準的な支援は、要件定義と組織設計、業務フロー設計、規程・マニュアル化と試行準備の順に進みます。また、コンサルタントは2〜3名体制で参画する前提で、月額単価150万〜300万円程度が一般的な目安とされています。期間と費用感は、対象範囲の大きさによって大きく変わります。

要件定義と組織設計、RACIの確定

最初のフェーズでは、ビジネスモデルの解像度を上げながら、必要な業務機能を洗い出します。そのうえで、組織図と、RACI(実行責任・説明責任・協業・報告)を定義します。誰が実行責任(R)を負い、誰が説明責任(A)を負うのかを、ここで決めることになります。

期間の目安は、小〜中規模の新規事業立ち上げで1〜1.5ヶ月程度です。一方、M&A後の組織統合(PMI)のような大規模プロジェクトでは、統合方針とガバナンス策定に1〜2ヶ月程度を要します。

業務フロー設計と規程・試行準備

組織設計が固まったあとは、大日程(レベル1)から部門間連携(レベル2)、担当者ごとの詳細手順(レベル3)へと、業務フローをBPMN等に落とし込みます。あわせてKPIも策定します。

その後は、業務マニュアルや各種帳票を整え、システム要件に落とし込んだうえで、試行に進みます。また、小〜中規模モデルでは、全体でおよそ3〜4ヶ月、費用相場はおよそ1,000万〜3,000万円程度が目安とされています。

大規模なPMI・新会社設立のフェーズ分け

M&A後の組織統合や全社DXの新会社立ち上げのような大規模プロジェクトでは、まず統合方針とガバナンスを策定します(1〜2ヶ月程度)。続いて、営業・人事・経理など全部門の業務フローをゼロベースで設計します(3〜4ヶ月程度)。そのうえで、就業規則などの各種規程を策定します。Day1(統合・稼働開始日)に向けたリハーサルと試行には、3〜6ヶ月程度を見込みます。

全体ではおよそ6〜12ヶ月、費用相場は5,000万〜1億円以上に及ぶこともあります。小〜中規模モデルとは桁が異なるため、予算もその前提で組む必要があります。

業務設計コンサルの主な支援内容

業務設計コンサルの支援内容を打ち合わせる担当者

支援内容は、組織・役割分担の設計と業務フローの詳細化を中心に、規程・マニュアルの整備やトライアル運用の設計まで広がります。どこまでを外部に依頼し、どこからを自社の推進担当者が担うかは、社内にプロジェクトを回せる人材がどれだけいるかで変わります。

組織体制とRACIの設計

新規事業や新会社の立ち上げでは、誰がどの役割を担うかがまだ定まっていないことも珍しくありません。そこで業務設計コンサルは、必要な業務機能から逆算して組織図を描き、各機能の実行責任・説明責任・協業・報告(RACI)を明確にする作業を支援します。

説明責任者(A)が定まらないまま進めると、設計が発散するおそれがあります。そのため、ここは早い段階で固める必要があります。

業務フロー図とトライアル運用の設計

組織体制が固まったら、部門間の連携から担当者ごとの詳細手順までをフロー図に落とし込み、業務マニュアルと帳票フォーマットを整えます。

さらに、フロー図やマニュアルのドラフト段階では、「もし顧客から初日にクレームが来たら、誰がどう対応するか」といったイレギュラーシナリオも用意します。そのうえで、机上シミュレーションや模擬オペレーションによるトライアル運用を支援します。

パイロット運用(スモールスタート)まで踏み込む場合は、処理時間やエラー率といったKPIが実用レベルに達しているかを実データで検証します。その結果をもとに、本格展開の前にGo/No-Go判断を行います。

トライアル運用でよくある失敗パターン

ゼロベース設計特有の失敗には、参照モデルがないことを理由に思考停止し、一般的なテンプレートをそのまま流用して検証を省いてしまう場合があります。また、正常系(ハッピーパス)だけを検証して、イレギュラーケースの想定が不足したまま本格展開してしまう場合もあります。

机上の理屈だけで設計し、現場の感覚を持つ担当者を巻き込まないまま本格展開すると、稼働後に大きな乖離が発覚しやすくなります。こうした失敗を踏まえ、業務設計コンサルは検証範囲の設計も支援します。

導入目的と期待できる効果

業務設計コンサル導入の目的を整理する会議

業務設計コンサルを利用する目的は、組織図や業務フロー図を描くこと自体より、参照モデルのない状態で生じる手戻りや長期化を防ぐことにあります。意思決定者がいないまま設計が発散する事態を避けることも、目的に含まれます。

参照モデル不在による手戻りの防止

既存プロセスの改革であれば現状分析から着手できます。一方、ゼロベース設計はたたき台そのものが存在しません。そのため、ビジネスモデルの解像度が低いまま設計に着手すると、後工程で大幅な手戻りが起きやすくなります。

業務設計コンサルを活用する狙いの一つは、この仮説検証の往復を、専門家の伴走によって最小限に抑えることです。

意思決定者とRACIの明確化による設計の発散防止

新規事業や新会社の立ち上げ初期は、キーパーソンが定まっていないことが多くあります。誰が最終的な意思決定を担うのかが曖昧なまま進むと、検討範囲が際限なく広がるおそれがあります。

「せっかく作るなら」という発想で対象部門や機能が膨らみ、大規模化や長期化を招くケースも見られます。業務設計コンサルは、最初にスコープと意思決定者を固めることで、この膨張を防ぐ役割も担います。

ポイント

新規事業や新会社では、意思決定者と対象範囲が定まらないまま進むことが多いため、この2点を早い段階で固めておく意味は大きくなります。

フルスクラッチ設計とフレームワーク活用型の違い

フルスクラッチ設計とフレームワーク活用型を比較する担当者

業務設計コンサルの進め方には、標準フレームワーク活用型と、フルスクラッチ・オーダーメイド型があります。標準フレームワーク活用型は、ITILやISO、業界標準の組織モデル・規程テンプレートを土台にします。フルスクラッチ・オーダーメイド型は、汎用フレームワークを一切使わない完全なカスタム設計です。どちらを選ぶかによって、期間・費用・得られる独自性は大きく変わります。

標準フレームワーク活用型のスピードと初期費用

標準フレームワーク活用型は、ITILやISO、業界標準の組織モデル・規程テンプレートを土台に、自社向けの一部をカスタマイズする進め方です。設計スピードが速く、初期費用を抑えられるほか、業界のベストプラクティスを取り込めます。一方で、自社特有の事業モデルの独自性を十分に表現しきれない場合がある点は、デメリットになります。

フルスクラッチが価値を発揮するコア業務

フルスクラッチ・オーダーメイド設計は、汎用フレームワークを一切使わない完全なカスタム設計です。他社の成功事例(ベストプラクティス)が存在しない事業モデルを対象に、顧客体験(CX)から完全に逆算して、バックオフィス業務をゼロから構築します。

事業モデルそのものが競争優位の源泉となるケースが対象です。一方で、期間・費用は標準フレームワーク活用型と比べて1.5〜2倍程度に膨らむ傾向があります。構想策定フェーズが半年以上に長引くことも珍しくありません。

ハイブリッド型という現実的な選択肢

業務の部分ごとに、進め方を使い分ける考え方もあります。事業モデルの独自性が競争優位に直結するコア業務はフルスクラッチで設計し、経理・法務・一般的な人事労務などのノンコア業務は標準フレームワークを活用します。このハイブリッド型は、実務で現実的な選択になることが多いといえます。

オーダーメイドで深く入り込む場合には、固定報酬に加えて利益に応じたレベニューシェアを組み合わせた契約形態が採用されることもあります。

ポイント

どちらを選ぶかは、事業モデルの独自性がどこにあるかで決まります。競争優位につながるコア業務と、一般的なノンコア業務を分けて考えると、整理しやすくなります。

業務設計コンサルと他のコンサルティングサービスの違いを整理する担当者

「業務設計」という言葉は、業務プロセスの見直しから組織開発まで幅広い場面で使われます。そのため、隣接するコンサルティングサービスと混同すると、依頼内容とコンサルタントの専門領域がずれてしまいます。

特に、社名や資料に「業務改革」「業務改善」といった言葉を掲げる会社を横並びで比べていると、自社が必要としているのが既存プロセスの作り替えなのか、ゼロからの新規設計なのかが曖昧なまま提案を受けかねません。

業務プロセス改革との比較対象の有無

業務プロセス改革は、受発注や経費精算など既存の特定業務を対象に、現状(As-Is)の流れを構造的に見直して新しい型に作り替えるプロジェクトです。比較対象となる現状があるため、課題の抽出から着手できます。

これに対し業務設計コンサルは、参照すべきAs-Isが存在しない、まっさらな状態から組み立てます。業務フローや組織体制を新規に設計する点が、両者の最大の違いです。RACIやKPIも、ゼロから設計します。

業務改革コンサルとの対象領域の違い

業務改革コンサルは、業務プロセス改革・BPRという既存プロセスの改革プロジェクトを、外部から企画し推進を支援するアドバイザリーです。構想策定や現状分析のファシリテーション、合意形成の支援が中心的な役割になります。

一方で業務設計コンサルは、ゼロベースの新規設計そのものを担う点で、対象領域が異なります。

業務改善との変化の起点の違い

業務改善は、既存の型を維持したままの漸進的な効率化を指します。業務設計コンサルとは、変化の起点が根本的に異なります。つまり、既存プロセスがあるかないか、そのものが違います。

依頼するサービスを間違えないためには、まず自社が「作り替える」段階にあるのか、「ゼロから組み立てる」段階にあるのかを見極めることが出発点になります。

ポイント

依頼先を選ぶ前に、自社が「作り替える」段階なのか「ゼロから組み立てる」段階なのかを見極めることが大切です。業務改善や業務改革コンサルとは、変化の起点が異なる点を押さえておくと、依頼内容のずれを防げます。

業務設計コンサル導入前に確認しておきたいポイント

業務設計コンサル導入前の確認ポイントを話し合う担当者

業務設計コンサルを検討するときは、期間や費用の相場だけでなく、設計完了後の定着支援や、自社の規模に見合った進め方かどうかまで確認しておけば、導入後の想定外を減らせます。

設計完了後の定着支援費用

ゼロから設計した業務フローは、稼働し始めると必ず、想定外の例外パターンやリソース不足によるボトルネックに直面します。そのため、設計完了後も定着支援(アドバイザリー・PMO支援)として契約を続けるのが一般的です。

稼働率10〜20%程度のパートタイム支援であれば月額50万〜100万円程度、実務推進の代行を含むハンズオンPMO型であれば月額100万〜200万円程度が、一つの目安とされています。導入後3ヶ月〜半年をめどに、自社のプロセスオーナーへノウハウを移管する「卒業」を前提とした計画を立てておくと、費用を抑えやすくなります。

小規模な新規事業で検討価値がある場合

対象範囲が小さい新規事業でも、意思決定者が定まっていない場合や、参照できる前例が社内にまったくない場合には、検討する価値があります。一方、既存事業を広げる形で始める小規模なサービスで、社内に事業立ち上げの経験者がいるなら、外部の専門家に頼らず自社だけで設計を進められることもあります。

自社に合う具体的な選び方や評価軸は、業務設計コンサルの選定ポイント・選び方・種類で詳しく解説しています。

ポイント

期間や費用の相場は対象範囲の大きさで大きく変わるため、範囲をそろえてから比べるのが基本です。定着支援の費用も予算に入れておくと、導入後に費用が想定より膨らむのを防げます。

まとめ

業務設計コンサルの要点をまとめる担当者

業務設計コンサルは、参照すべきAs-Isが存在しない新規事業・新会社・M&A後の組織統合などを対象とする支援です。組織体制やRACIを、業務フローやKPIとあわせて、ゼロベースで組み立てます。

業務プロセス改革や業務改革コンサル、業務改善とは、変化の起点となる現状の有無そのものが異なります。

ゼロからの仮説構築を専門とする支援

既存プロセスの改革であれば、現状分析から着手できます。一方、業務設計コンサルはビジネスモデルの解像度を上げるところから始めるため、意思決定者の明確化とスコープの固定が特に重要になります。

標準フレームワーク活用型とフルスクラッチ型のどちらを選ぶか、あるいはハイブリッド型にするかは、事業モデルの独自性がどこにあるかによって決まります。

設計した業務フローのシステム化を見据えた検討

まずは、自社が置かれているのが「既存プロセスの改革」なのか「ゼロからの新規設計」なのかを整理することから始めてください。業務設計コンサルが設計した組織体制や業務フローは、多くの場合、そのままシステムに落とし込む段階に進みます。

既存のパッケージやテンプレートでは吸収しきれない独自の業務フローや承認ルールが多い場合、既製品の導入だけでは対応が難しいことがあります。そこで、riplaはフルスクラッチ開発の立場から、業務設計コンサルの支援で固まった組織体制・業務フローを、独自のシステムや既存システムとの連携へ落とし込む構築を支援しています。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。