業務プロセス改革の保守・運用費用・ランニングコストについて

業務プロセス改革の保守・運用費用は、月額20万円程度から150万円を超える範囲まで変わります。その幅を左右するのは、対象規模、システム連携、支援体制です。

長期計画では、ライセンス・改修・定着支援を含むTCO(総所有コスト)で見積もります。全体像は完全ガイドで確認できます。

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新プロセス定着後にかかる運用保守費用の全体像

中堅企業の1プロセス、中小企業の絞った範囲、全社規模のBPRについて、保守・運用費用の月額目安を3枚のパネルで示した図。
対象が広い区分ほど、費用の目安幅も大きくなります。

業務プロセス改革は、特定の1つの業務プロセスを対象に、現在の流れを見直して新しい業務の型を設計する取り組みです。全社・複数部門を経営目標に基づいて再構築するBPRとは、対象範囲が異なります。また、既存の型を保って漸進的に効率化する業務改善とは、構造を作り替える点で変化の度合いが異なります。

新プロセスの設計、システム導入、移行を終えても、取り組みは完了しません。そのため、運用の実態に合わせてモニタリングと改善を続ける保守・運用フェーズが、投資対効果の実現には欠かせません。

特定のプロセスだけを対象にするため、全社規模のBPRより費用規模は抑えられます。一方で、システムのライセンス費用と、人による定着化支援の費用の両方が発生します。

発注側は、外部専門家への委託費用を踏まえて、自社の人員だけで運用するか、一定期間伴走を受けるかを検討します。対象プロセスの重要度と自社の体制が、月々の費用を左右します。

月額費用相場(1プロセスあたり月50万〜150万円程度)

企業規模や対象範囲ごとの保守・運用費用は、下の3区分のような幅になります。

  • 中堅企業の1プロセス:月額50万〜150万円程度
  • 中小企業・さらに絞った範囲:月額20万〜50万円程度
  • 全社規模のBPR:月額100万〜400万円程度

中堅企業の1プロセスの目安には、ライセンス、軽微な改修、定着化支援、KPIモニタリングの費用が含まれます。利用者数や基幹連携の複雑さによっては、費用が目安より上振れすることがあります。

たとえば、受発注で基幹連携が密で拠点数も多い場合は、月額150万円を超える例もあります。

発注側は継続費用を、定着と投資対効果のために必要な追加投資として捉えます。

導入費用だけを予算に組むと、稼働後半年ほどで認識のずれが表面化します。その結果、経営層の理解を得られず、保守体制が縮小されることがあります。

複数社から見積もりを取る際は、運用支援の範囲と費用も併せて比べます。

業務プロセス改革が「導入して終わり」にならない理由

選定と導入を終えても、すぐに効果が出るとは限りません。そのため発注側は、導入の時点から、移行期と稼働後を見据えた体制を組んでおきます。

  • 移行時:旧来のやり方へ戻るリスクへの備え
  • 稼働後:定着化支援とKPI監視の継続
  • 体制設計:小規模でも例外対応や問い合わせの見込み

長年のやり方から移る際は、対象が1つのプロセスでも混乱や抵抗が生じることがあります。支援がなければ、現場が「昔のやり方の方が楽だった」と感じ、旧来のプロセスに戻る場合があります。

導入だけで終えると、数ヶ月後に新プロセスが形骸化して、投資が無駄になる可能性があります。そのため、この取り組みは一度限りのプロジェクトではなく、継続的な業務運営として扱います。

経営層がこれを一度きりの改善イベントと捉えると、導入の完了と同時に予算と人員が打ち切られ、現場が支援を受けられずに孤立する場合があります。

対象が1つのプロセスでも、関係部署や取引先が多ければ、例外対応や問い合わせが増えます。負荷を低く見積もると、担当者が疲弊して、他業務にしわ寄せが及ぶことがあります。

ポイント

自社だけで運用するか、一定期間伴走を受けるかで迷ったら、対象プロセスの重要度と社内で動かせる人員を比べます。重要度が高く人員が限られるほど、伴走の期間を長めに取るのが目安です。

保守・運用費用の内訳

ツールと人による運用を表す図を中心に、ライセンス費用、軽微な改修・システム保守、定着化支援・KPIモニタリングの月額範囲を示した図。
人による定着支援が、3費目の中で広い金額幅を持ちます。

保守・運用費用は、システム(ツール)の維持費と、人(プロセス・定着化)の維持費に分けて見ます。その中身は、ライセンス、改修・保守、定着化支援の3項目に分かれます。

  • ライセンス費用:月額数万〜30万円程度
  • 軽微な改修・システム保守:月額10万〜30万円程度
  • 定着化支援・KPIモニタリング:月額30万〜80万円程度

システム/ツールのライセンス費用(月額数万〜30万円程度)

ライセンス費用を見積もるには、まず利用者の数と契約中のツールを確認します。

  • 利用料:月額数万円〜30万円程度
  • 課金基準:ユーザー数やデータ容量に応じた従量課金が一般的

対象になるのは、ワークフローシステム、経費精算SaaS、RPAなどの月額・年額の利用料です。特に全社員が使う経費精算は、企業規模に比例して費用が増えるため、見積もりの段階で注意が必要です。

発注側は契約の前に、ユーザー増加による上振れを試算しておきます。複数のSaaSを組み合わせる場合は、個別の費用が小さくても、合計が想定を超えることがあります。

契約を更新するときは、各ツールの利用状況と費用を洗い出し、使われていない機能やアカウントがないかを確かめます。そうすると、無駄なコストの削減に役立ちます。

軽微なプロセス改修・システム保守と定着化支援の費用(月額10万〜30万円程度・30万〜80万円程度)

運用中は、制度変更に伴う設定の調整に加えて、現場への定着支援も続きます。

  • 軽微な改修:月額10万〜30万円程度
  • 定着化支援・KPI監視:月額30万〜80万円程度

改修の対象は、組織変更に伴う承認ルートや経費項目の追加、税制改正に伴う入力項目の修正などです。

人事異動や決算期など、組織や制度の変更が集中する時期は、費用が一時的に増える傾向があります。そのため、繁忙期を見越して予算配分を調整しておくと、追加請求に備えられます。

設定変更をSIerやベンダーに委託する場合、月の一定時間まで、または一定件数までのチケット制の契約が多く見られます。

定着化支援では、旧プロセスへの回帰をデータで監視し、現場の不満や要望を聞いたうえで、新入社員向けの追加研修を行います。

外部コンサルタントとは、月額リテイナーなどで契約します。その一般的な形が、月1〜2回の定例会議でKPIをレビューし、軽微な業務改善を助言するアドバイザリー契約です。

この3項目を合計すると、特定プロセスの運用保守費用は、月額50万〜150万円程度に収まることが多くなります。

ポイント

月額の見積もりは、ライセンス、改修・保守、定着化支援の3つに分けて比べると、費用の膨らみどころが見えます。中でも定着化支援は費用範囲が最も大きいため、見積もりの中身を先に確かめておくと判断しやすくなります。

費用が変動する要因

例外処理の発生頻度、利用ユーザー数とライセンス体系、推進担当者の異動や退職という費用変動要因を3枚のチェックリストカードで整理した図。
契約前に見通しを立てる観点を3つに分けています。

対象を特定のプロセスに絞る業務プロセス改革には、固有の費用変動要因があります。事前に把握しておけば、想定外の費用増を防げます。

対象プロセスの「例外処理」の発生頻度

例外処理にかかる費用は、要望の頻度と委託契約の範囲によって変わります。

  • 変更要望が多い:部署別の承認フローなどが続くと、専門家の再設計や改修が重なり費用が高騰する
  • 外部依存の契約:ドロップダウン追加も外部委託なら、ロックインで費用が下がらない場合がある

設計段階で例外を排除できなかった場合、その負担は運用段階に移ります。そのため、導入前のスコープ管理が運用費用を左右します。

取引先や顧客の商習慣に結びつくプロセスでは、自社の都合だけで例外を廃止できないことがあります。そこで、許容する例外と、標準化を優先する範囲を文書にまとめておくと、稼働後も一貫して判断できます。

利用ユーザー数の増減とライセンス体系

ライセンス費用は、利用者の範囲と将来の展開計画によって変わります。

  • 全社員が利用:規模や拠点の拡大に伴い費用が増える
  • 特定部門が利用:費用の増加は限定的
  • 段階的な料金プラン:複数年の展開計画も踏まえて選ぶ

SaaSには、1アカウントあたり月額で課金するものが多くあり、経費精算や勤怠管理などがその例です。

受発注のように利用者が特定部門に限られる場合は、対象を選ぶ時点で将来の人数を見込んでおくと、予測精度が上がります。複数年の展開計画に合うプランを選べば、長期の費用を抑えることに役立ちます。

推進担当者が異動や退職をすると、背景やルールの意図が失われ、引き継ぎや文書の整備に想定外の費用が生じます。そのため、熱意あるキーパーソン1人に定着化を頼らず、マニュアルやQ&A集を用意して複数人で運用します。

ポイント

例外処理の多さと利用者数の増減は、契約前に見込みを立てておくべき要因です。例外は導入前に線を引くほど、稼働後の費用を読みやすくなります。

保守・運用費用を抑えるための考え方

業務プロセス改革では、効果を落とさずに保守・運用費用を抑える余地があります。主な観点は、内製化(市民開発)と標準機能の活用です。

ノーコード/ローコードによる市民開発の推進

発注側は、プログラミングの知識がない現場担当者(市民開発者)が、ドラッグ&ドロップで業務アプリやワークフローを作成・修正できるツールを選びます。そうすると、軽微な改修の外注費を大幅に削減するか、ゼロにできます。

外部支援からの移行は、導入後3ヶ月〜半年をめどに、プロセスオーナー(業務改革の推進担当者)へノウハウを移す計画が有効です。定例会議の進行やKPI集計を社内で担えるようになれば、定額契約を解除するか、スポット相談に変更できます。

移管が終わる前に支援を打ち切ると、新プロセスが定着しないおそれがあります。そのため、段階的に移行する計画が必要です。

  1. 導入後1〜3ヶ月は、外部コンサルタントがKPIレビューと定着化支援を主導します。
  2. 4〜6ヶ月目から、社内のプロセスオーナーが会議進行を担い、外部担当者は助言します。

権限移譲のロードマップは、保守・運用契約を結ぶ前に合意しておきます。

「Fit to Standard」の徹底によるシステム保守費用の削減

SaaSでは、特殊な改修を避ける方針を社内ルールとして定めます。

  • Fit to Standard:SaaSの標準機能に自社プロセスを合わせる
  • 定期測定:効果に応じて機能や契約を見直す

カスタマイズを重ねると、バージョンアップのたびにエラー対応や互換性の確認が発生し、保守費の無駄につながります。そのため、設計の段階から保守しやすい選定と要件定義を行えば、長期の費用を抑えられます。

定期測定は運用費用に含め、四半期に一度など、当初の目的に対する効果を確かめます。たとえば、処理時間の削減やエラー率の低下を見ます。

効果が薄れた機能やオプションは、費用の対象から外して削減します。定期的に洗い出すことで、費用の高止まりを防ぎ、継続的な取り組みにつなげます。

ポイント

標準機能で足りる範囲は、先にカスタマイズしないと決めておくと判断がぶれません。市民開発で内製化できる軽微な改修から始め、外部支援は移管の期限を決めて段階的に縮めるのが目安です。

まとめ

導入費用だけでなく、複数年の保守・運用費用まで含めて投資計画を立てることが、継続的な業務運営の出発点になります。業務プロセス改革は1つの業務プロセスを対象にするため、全社・複数部門を対象とするBPRとは異なります。

費用は月額50万〜150万円程度が目安です。また、業務改善と違って、システム導入と定着化の双方に継続投資が必要です。

内訳は、ライセンスが月額数万〜30万円、軽微な改修・保守が10万〜30万円、定着化支援・KPI監視が30万〜80万円程度です。

例外の頻度や利用者数を踏まえて、ノーコード/ローコードで市民開発を進めるとともに、Fit to Standardで標準機能を活用します。体制を見直す際は、利用規模と例外処理を整理したうえで、複数社に相談します。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。