業務システム改修のパッケージ/クラウド製品一覧

業務システム改修に使うクラウド型のローコード/ノーコード製品は、比較の軸、課題別の適性、料金体系の3点で見ると選びやすくなります。

比較の軸を確認したうえで製品を紹介し、課題別の候補、料金の確認点の順に見ていきます。

▼全体ガイドの記事
・業務システム改修の完全ガイド

パッケージ型とクラウド型の違い(業務システム改修における位置づけ)

パッケージ型は、自社環境に導入して自社サーバーで運用する形態です。これに対してクラウド型は、ベンダーが運用するサービスをインターネット経由で利用する形態です。

業務システム改修では、既存システムを入れ替えるパッケージ製品より、機能を追加・変更するクラウド型の基盤が使われることが多くなります。そのため、ここではクラウド型のローコード/ノーコード基盤を取り上げます。

自社運用と外部依存の度合い

オンプレミス構成は、閉域網や独自のセキュリティ基準に合わせやすい形態です。ただし、サーバーやバックアップ、バージョンアップを自社で担う範囲が大きくなります。

クラウド型は、サーバーを調達せずに短期間で使い始められ、ベンダー側の機能更新も受けられます。一方で、基幹システムとの連携範囲や契約終了時のデータ出力方法は、事前に確認しておく必要があります。

短納期・低予算という改修の性質とクラウド型の相性

業務システム改修は、2〜4週間程度の短納期・低予算で完結させることが多い取り組みです。そのため、導入に時間がかかるパッケージ型より、クラウド型のほうが改修の性質に合う方式です。アカウントを発行すればすぐに画面や項目を追加できるからです。

ポイント

自社サーバーで運用する責任を持てるか、閉域網などの独自基準を優先するかで、パッケージ型とクラウド型のどちらが合うかが分かれます。短納期の改修が中心なら、クラウド型から検討するとよいでしょう。

ローコード/ノーコード基盤が業務システム改修に向いている理由

ローコード/ノーコード基盤で扱いやすい入力項目、帳票、画面レイアウト、マスタデータの改修を示す図。
画面とデータの小さな変更が並びます。

業務システム改修でよく行われるのは、入力項目や帳票の追加、画面レイアウトの微調整、マスタデータの拡張です。こうした変更は、フルスクラッチで作り直すより、画面やワークフローを視覚的に組み立てられるローコード/ノーコード基盤で扱うほうが対応しやすい領域です。

現場担当者が直接改修に関われる範囲

多くのローコード/ノーコード基盤は、専門知識がなくても、画面部品を配置しワークフローを設定するだけでアプリを構築できます。そのため、情報システム部門だけでなく、現場の業務担当者が自分で小さな改修を行えると、外部発注から完了までの待ち時間を大幅に短縮できます。

基幹連携や大規模な変更に向かないケース

基幹システムとの複雑なAPI連携や、大量データの高速処理が必要な場合は、ローコード/ノーコード基盤だけでは対応しきれないことがあります。そのため、改修の対象がどこまでローコード/ノーコードで完結するかを見極めることが、製品選定の前提になります。

ポイント

入力項目や帳票の追加のような小さな変更は、ローコード/ノーコード基盤で扱うほうが向いています。一方で、基幹連携や大量データの処理を伴う改修は、基盤だけで対応できるかを先に見極める必要があります。

製品を比較するときの共通軸

製品比較を中心に、連携方法、課金単位、権限管理、運用の手間の4軸を配置した図。
候補ごとに同じ4項目を見比べられます。

候補を比べるときは、製品紹介ページの機能一覧を自社の改修ニーズに当てはめて読みます。そのうえで、連携方法や課金単位、権限管理、運用の手間という共通の質問に置き換えて比べることが重要です。

発注先や依頼形態について詳しく知りたい場合は、業務システム改修の選定ポイントで整理しています。

既存システムとの連携方法と権限管理

既存の業務システムや会計・人事システムとつなぐ方法と、権限管理の仕組みは、製品ごとに比べておきたい項目です。

  • 接続方式:API連携かCSV連携か、同期の頻度やエラー時の扱い
  • 権限管理:誰が承認し、公開範囲をどう制御するか

権限管理は、現場主導の改修をどこまで認めるかを決めるうえで欠かせない項目です。誰もが自由にアプリを公開できる設定のままだと、似たような改修アプリが部門ごとに乱立しかねません。

また、情報システム部門が承認フローやレビュー体制を組み込めるかを見ておくと、現場による内製改修を組織として管理しやすくなります。

課金単位と運用の手間の比較

課金の考え方は製品によって違うため、比較の前提として、まず課金単位の種類を押さえておきます。

  • ユーザー数課金:利用者数に応じて費用が変わる
  • アプリ数課金:作成したアプリの数に応じて費用が変わる
  • データ容量課金:保存するデータ量に応じて費用が変わる

見積もりを取るときは、1年後・3年後に想定される利用規模を伝えます。そのうえで、運用開始後のアカウント管理や問い合わせ対応にかかる社内工数も含めて比べます。

ポイント

候補の違いは、連携方法や課金単位などを同じ条件で並べて初めて見えてきます。特に権限管理は、現場主導の改修をどこまで認めるかを決めるうえで欠かせません。

業務システム改修に使える主要クラウド製品6選

ここで取り上げるのは、2026年7月時点で現行の公式ページを確認できた6製品です。掲載順は優劣を示すものではなく、単に並べた順番です。

製品ごとに得意な領域や料金体系が違うため、自社が改修したい範囲と照らし合わせて検討することが大切です。

kintone(サイボウズ)

kintoneは、業務アプリを画面上で組み立てながら、入力フォームや承認ワークフローを短期間で追加・変更できるクラウド基盤です。特に、マスタデータの追加や申請フォームの改修など、部門単位の小規模な改修と相性がよい点が特徴です。

  • ライトコース:月額1,000円/ユーザー
  • スタンダードコース:月額1,800円/ユーザー
  • ワイドコース:月額3,000円/ユーザー

初期費用は無料で、最少10ユーザーから契約できます。ただし、2026年7月時点の公式サイトの情報なので、契約前には最新の料金を確かめておきたいところです。

Microsoft Power Apps

Microsoft Power Appsは、Microsoft 365やDataverseと連携しながら業務アプリを構築・改修できるクラウド基盤です。すでにMicrosoft 365を使っている企業では、認証基盤やデータ連携を共通にしやすく、そのぶん改修時の工数を減らせる可能性があります。

  • 開発者プラン:非運用環境向けに無料で利用できます
  • Power Apps Premium:1ユーザーあたり月額2,998円
  • エンタープライズプラン:最少2,000シートで1ユーザーあたり月額1,799円

ライセンス体系が複数あるため、自社の利用規模を伝えたうえで条件を比べます。料金は2026年7月時点の公式サイトの情報です。契約前に最新の適用条件を確かめてください。

Google AppSheet

Google AppSheetは、スプレッドシートやGoogle Workspaceのデータを土台に、ノーコードで業務アプリを組み立てられる基盤です。Excelやスプレッドシートで運用してきた簡易的な業務システムを、現場担当者の手で少しずつアプリ化し、改修していきたい場合の候補になります。

  • Starterプラン:1ユーザーあたり月額5ドル
  • Coreプラン:1ユーザーあたり月額10ドル
  • Enterprise Plusプラン:1ユーザーあたり月額20ドル

テストユーザー10名までの無料トライアルもありますが、為替や課金体系は変わることがあります。そのため、契約前に公式サイトで最新情報を確かめてください。

OutSystems

OutSystemsは、クラウド型のOutSystems Developer Cloud(ODC)を中心に提供されるローコード基盤です。比較的大規模な業務アプリの構築・改修にも対応できます。既存の基幹システムとつなぎながら、複数部門にまたがる業務システムを段階的に改修したい企業に向いています。

  • アプリケーション規模:見積もりに影響する要素
  • ユーザー数:内部・外部ユーザー数に応じて変動
  • 追加機能:24時間365日サポートなどが加算対象

料金は、開発環境のみで本番利用ができない無料のPersonal Editionを除き、個別見積もり制です。そのため、本番導入の具体的な費用は、見積もりを取って確かめる必要があります。

Mendix

Mendixは、パブリッククラウドのMendix Cloudに加え、プライベートクラウドやオンプレミスにも対応できる柔軟な基盤です。将来クラウドとオンプレミスを使い分けたい企業や、複数のアプリを一つの契約でまとめて改修したい企業に適しています。

  • Freeプラン:無料で利用できます
  • Basicプラン:月額52.50ユーロから
  • Standardプラン:月額918ユーロから2,295ユーロ
  • Premiumプラン:要見積もりです

構成オプションは「One App」と「Unlimited Apps」の2つがあります。契約前に、最新の料金を公式サイトで確かめてください。

Claris FileMaker

Claris FileMakerは、クラウドホスティングのFileMaker Cloudを提供するローコード開発プラットフォームです。自己ホスト型のFileMaker Serverも選べます。

既存のFileMakerで作られた業務システムを、社内の担当者やパートナーが継続的に手直ししていく運用と相性のよい製品です。既存の資産を活かした改修を重視する企業に向いています。

  • Starterプラン:5〜10ユーザー向け(年間契約)
  • Maxプラン:5〜99ユーザー向け(年間契約)
  • 100ユーザー以上:個別見積もり

具体的な金額は購入手続きの中で確認する仕組みです。そのため、見積もりの時点で公式サイトの最新情報を確かめる必要があります。

自社の課題別に候補を絞る方法

6製品を細かく一斉に比べるより、改修したい対象を先に絞り、必須要件で候補を減らすほうが効率的です。適した製品タイプは、既存の業務ツールとの親和性、改修の規模感、将来のスケール範囲によって異なります。

部門単位の小規模改修を積み重ねたい場合

申請フォームやマスタデータの追加のように、部門単位の改修を素早く積み重ねたいケースがあります。kintoneやGoogle AppSheetは、現場担当者でも扱いやすいノーコード寄りの製品です。また、すでにMicrosoft 365を使っている企業なら、Power Appsとの親和性も比べる材料になります。

大規模な基幹連携や既存資産の継続活用が課題の場合

複数部門にまたがる大きめの業務システムを、段階的に改修したいケースもあります。その場合は、OutSystemsやMendixのように、基幹連携やオンプレミスへの拡張性を備えた製品を候補に入れます。一方、既存のFileMakerで構築された資産を活かしたい場合は、Claris FileMakerを中心に改修の範囲を確かめていきます。

料金と契約前の確認事項

契約前の確認項目として、最低利用期間、追加ユーザー単価、課金対象範囲、エクスポート形式を並べたチェックリスト図。
料金条件とデータの持ち出し方を一緒に確認できます。

公開されている月額料金だけで安い製品を選ぶと、利用者数や連携範囲が広がったときに、想定外の費用が生じることがあります。

月額費用だけでなく、導入時の設定、教育、日常運用までを含めた総保有コストで比べます。将来の解約やデータ移行も、同じ比較に入れておきます。

将来の利用規模を伝えたうえでの見積もり

ユーザー数課金の製品では、今の利用人数だけでなく、1年後・3年後に想定される利用部門の広がりも伝えて、見積もりを取ります。

  • 最低利用期間:契約期間の縛り
  • 追加ユーザー単価:単価が変わる境界
  • 課金対象範囲:編集権限者だけか、閲覧・承認のみのユーザーも含むか

課金対象の範囲は製品によって異なり、想定より対象人数が多くなることがあります。小さく始めたあとに費用が膨らむのを防ぐため、契約前によく確かめてください。

契約前に見るデータの持ち出しと解約条件

ローコード/ノーコード基盤に業務データを蓄積していくと、将来の乗り換えが難しくなることがあります。

  • エクスポート形式:作成したアプリやデータを、どんな形で書き出せるか
  • データの引き出し範囲:解約時にどこまでデータを取り出せるか
  • 設計内容の書き出し:画面構成やワークフローの定義を、別の形で取り出せるか

こうした点を契約前に確かめておくと、特定の基盤へ依存しすぎるリスクを抑えられます。アプリの構造が特定の基盤に閉じ込められていると、将来の移行時に作り直しの費用が大きくなります。

ポイント

月額の安さだけで決めると、利用規模が広がったときに想定外の費用が出ることがあります。将来の費用、課金対象の範囲、データの持ち出しまで含めて、総保有コストで比べます。

業務システム改修の製品選定で押さえておきたいポイント

候補を絞ったあとは、製品数の多さやおすすめ順位よりも、実際に改修したい業務と製品の相性を見ることが大切です。ここでは、選定時に判断が分かれやすい点を取り上げます。

オンプレミス運用が必須な場合の考え方

閉域網での運用が必須な場合でも、Mendixのようにプライベートクラウドやオンプレミス構成に対応できる製品があります。また、Claris FileMakerのように、自己ホスト型のサーバー構成を選べる製品もあります。

自社のセキュリティ基準と、各製品で対応できる構成を照らし合わせて選んでください。

改修の対象範囲によるおすすめ製品の違い

どの企業にも共通する1位の製品はなく、部門単位の小規模な改修か、複数部門にまたがる大きめの改修かで、適した製品が変わります。まず改修したい対象範囲を明確にし、同じ改修シナリオを使って2〜3製品を試すことをおすすめします。

ローコード基盤だけで対応できない場合の対処法

基幹システムとの複雑な連携や大量データ処理が絡む改修は、ローコード/ノーコード基盤だけでは対応しきれないことがあります。その場合は、標準機能で済ませられる部分と専門的な開発が要る部分に分け、後者だけを開発会社に個別発注する組み合わせも検討してください。

ポイント

オンプレミスが必須か、改修が部門単位か複数部門にまたがるかで、候補の絞り方が変わります。ローコード基盤だけで対応できない部分は、開発会社への個別発注と組み合わせて検討します。

まとめ

業務システム改修に使えるクラウド製品は、改修したい対象によって向いている製品が変わります。

  • 部門単位の小規模改修:kintone、Google AppSheet
  • Microsoft 365との親和性重視:Power Apps
  • 大規模な基幹連携や既存資産の継続活用:OutSystems、Mendix、Claris FileMaker

まずは、改修したい対象範囲と既存システムとの連携の複雑さを整理します。そのうえで、2〜3製品に絞り、実際の改修シナリオを試してみるのがよいでしょう。

ローコード/ノーコード基盤だけでは対応しきれない複雑な連携や大規模な変更が見つかることもあります。その場合は、既製ツールにこだわらず、個別開発やハイブリッド構成も選択肢に入ります。

riplaはフルスクラッチ開発の立場から、ローコード/ノーコード基盤では対応しきれない業務要件の整理を支援しています。既存システムとの連携を含む改修や構築も手がけています。

▼全体ガイドの記事
・業務システム改修の完全ガイド

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>

執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。