総合コンサルのフルスクラッチ・オーダーメイド開発について

総合コンサルのフルスクラッチ・オーダーメイド開発は、競争優位に関わるコア領域を、コンサルの伴走を受けながら自社専用に一から作り、内製化していくアプローチです。

社内にノウハウを移し、自走できる体制を作ることが、総合コンサルの大きな役割です。

▼全体ガイドの記事
・総合コンサルの完全ガイド

総合コンサルにおける内製化・自社専用体制構築の位置づけ(パッケージ導入との違い、専門特化型サービスとの違い)

総合コンサルにおける内製化・自社専用体制構築とは(パッケージ導入との違い、専門特化型サービスとの違い)

システム導入で、SaaSやパッケージを使うか、フルスクラッチで内製化するかは、「そのシステムが自社の競争力に直結するかどうか」で切り分けて決めます。この考え方はハイブリッド戦略と呼ばれます。

総合コンサルは、診断・戦略立案の段階で、経営・業務・IT・組織の複数の視点から、どの業務が競争優位の源泉(コア)で、どの業務が業界共通の定型業務(ノンコア)かを見極めます。そのうえで、コア領域はフルスクラッチ・オーダーメイド型で内製化し、ノンコア領域はパッケージやSaaSを導入するよう提案します。この見極めが、内製化を検討するうえでの出発点になります。

  • 対象範囲:経営・業務・IT・組織の4つの観点で見る業務領域
  • 判断基準:競争力への直結度

パッケージ・既製ツール導入(ノンコア領域向け)との違い

パッケージ・既製ツールは、経費精算や勤怠管理のような業界共通の定型業務(ノンコア業務)に向いています。必要な機能があらかじめ備わっているため、一から開発する必要がなく、導入コストや運用コストを大幅に抑えられます。社内にIT人材がいなくても、短期間で導入できるのが特徴です。

パッケージでは、独自のカスタマイズに限界があり、「自社の業務をシステムに合わせる」必要があります。一方、フルスクラッチ・オーダーメイド型の内製化は、独自のUI/UXやビジネスモデルに直結するデータ基盤など、競争優位の源泉を、システムに直接組み込むためのアプローチです。

パッケージの枠に収まらない柔軟なシステムを作れるため、「システムを自社のビジネスに合わせる」ことができます。総合コンサルは、この切り分け自体を経営戦略の一部として扱います。そのため、機能要件だけでなく、事業計画や組織体制の変化も見据えて、コア/ノンコアを判断できる点が特徴です。

DXコンサル・ITコンサルによる内製化支援との違い

内製化支援の位置づけを理解するうえで混同を避けたいのが、DXコンサルとITコンサルそれぞれによる内製化への関わり方の違いです。DXコンサルは、DX・デジタル変革という一つのテーマに特化して一気通貫で伴走するため、内製化の対象もデジタル施策に関わるシステムに絞られやすくなります。

一方、ITコンサルは情報システム・ITインフラの最適化という技術領域に特化しています。そのため、内製化支援も技術移転やアーキテクチャ設計が中心となり、事業戦略や組織人事制度の観点は前提として与えられることが多くなります。

これに対して総合コンサルは、コア/ノンコアの見極めから技術移転、人事制度の設計までを一つのチームで担い、内製化の目的・実務・組織に一貫性を持たせやすい点が特徴です。なかでも、優秀なエンジニアを採用・定着させる評価制度や給与テーブルの設計は、技術領域に特化したサービスだけでは対応が難しく、組織人事の専門性を持つ総合コンサルならではの強みが発揮される領域です。

ポイント

競争優位に直結する業務は内製化し、業界共通の定型業務はパッケージやSaaSと切り分けます。支援会社は、経営から組織まで横断して見られるかを基準に選びます。

自社専用の体制を一から構築するメリット・デメリット

自社専用の体制を一から構築するメリット・デメリット

自社専用の開発体制をフルスクラッチで構築すると、大きなメリットがある一方で、見過ごせないデメリットも生じます。総合コンサルを活用する際は、この両面を経営・業務・IT・組織それぞれの観点から正しく理解して意思決定することが重要です。

技術面だけでメリットとデメリットを判断すると、組織や人事制度が追いつかず、内製化が頓挫するケースも少なくありません。そのため、複数の領域を横断して評価できる体制を、最初から整えておくことが望まれます。

メリット:業務適合性・競争優位性、拡張性とコントロール、ベンダーロックイン回避

メリットの1つ目は、圧倒的な業務適合性と競争優位性を確保できることです。自社の強みを最大化する独自のプロセスをそのままシステム化できるため、他社には真似できないビジネスモデルを実現できます。最大の価値は、業務にシステムを合わせられる点にあります。

2つ目は、柔軟な拡張性とコントロールです。外注ベンダーとの契約交渉や見積もり調整のリードタイムが不要になり、パッケージの仕様変更制限やベンダーのバージョンアップに振り回されることもありません。顧客のフィードバックや市場動向の変化に合わせて、自社のペースで新機能の追加や改善を回せるようになります。

3つ目は、ナレッジの蓄積とベンダーロックインの回避です。なぜその設計にしたのかという判断基準や技術的知見は、「組織の資産」として社内に蓄積されます。内製化体制の構築とセットで行うことで、ソースコードやシステムアーキテクチャのブラックボックス化を防ぎ、特定ベンダーに依存して身動きが取れなくなる(ベンダーロックイン)リスクを根絶できます。

デメリットと費用・期間へのインパクト

デメリットの1つ目は採用・育成のハードルと初速の遅さで、IT人材市場は超売り手市場のため、優秀なエンジニアやPMの採用・定着は困難です。社内メンバーが自走できるまでにも時間がかかります。2つ目は属人化とブラックボックス化のリスクで、仕組みづくりなしに内製化を進めると、特定の担当者しか中身を理解できず、その人材が退職すると保守が破綻するリスクがあります。

3つ目は費用・期間へのインパクトで、内製化は費用・期間ともに大幅に増えます。費用はパッケージ導入の数倍〜数十倍、対象範囲によっては数億円規模になるケースも珍しくなく、期間も最短で1年〜3年以上を要するのが一般的です。特に要件定義は、パッケージなら既製の機能から選べば済むところを、ゼロベースであるべき姿を描き切る必要があるため、膨大な時間がかかりやすくなります。

総合コンサルの伴走支援は、まさにこれらのデメリットを軽減するために存在します。コンサルタントが即戦力として初期の開発を支えながら社内メンバーを育て、標準化されたプロセスの設計で属人化を抑えます。さらに、診断・戦略立案の段階で投資対効果の試算まで済ませておけば、経営層への説明材料を手元に持ったまま実行支援フェーズに入れます。

ポイント

内製化は、業務適合性や競争優位を得られる一方で、採用・育成や費用・期間の負担が大きくなります。技術面だけでなく、組織や人事制度まで含めて両面から判断するのが目安です。

総合コンサルによる内製化の支援(複数領域を横断する人材育成・ノウハウ移転)

総合コンサルが内製化をどう支援するか(複数領域を横断する人材育成・ノウハウ移転)

人材育成・ノウハウ移転は、主に3つの取り組みで構成されます。総合コンサルは、経営・組織・ITの複数領域を横断できる強みを生かし、お客様が自走できるよう支援します。その進め方は、一緒に手を動かしながらノウハウを移譲する伴走型で、システムを作って納品する丸投げとは異なります。

OJTによる技術移転と属人化しない仕組みづくり

1つ目は混成チームの組成(OJTを通じた技術移転)です。コンサルの専門エンジニアが、社内のIT・業務部門のメンバーと同じチームに入り、ペアプログラミングなどで実践的なスキルとアジャイル開発の進め方(型)を伝えます。スクラムの導入やCI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)のパイプライン構築も、クライアントの組織文化に合わせてカスタマイズし、定着させます。

2つ目は「属人化しない仕組み(構造)」の提供です。個人のスキルに依存しないよう、コンサルが主導して、「誰が見ても理解できる設計書・運用マニュアルのフォーマット」「コードレビューの基準」「開発フロー」などの標準化されたプロセスを設計し、社内に定着させます。

3つ目は学習プロセスの組み込みです。定期的な勉強会やハンズオン研修など、社内人材(非IT人材も含む)が継続的に学べる育成プログラムを、プロジェクトの中に設けます。これにより、組織全体のITリテラシーを底上げします。

組織・人事制度のアップデートまで含む横断支援、向いている企業の特徴

総合コンサルならではの強みは、技術移転にとどまらず、優秀なエンジニアを採用・定着させる評価基準、給与テーブル、キャリアパスの設計など、組織人事の知見を生かした横断的な支援ができる点です。内製化体制の構築に向いているのは、大きく3つのタイプの企業です。

1つ目はコア事業で独自の提供価値を持ちたい企業で、既存のパッケージやSaaSでは要件を満たせず、自社独自のサービスやデータ活用で他社との明確な差別化を図りたい企業です。2つ目はビジネスの変化が激しい業界の企業で、サービスリリース後も、短いサイクル(週単位など)で仮説検証とシステムの継続的なアップデートを繰り返す必要がある企業です。

3つ目は経営層が長期的な視点で投資できる企業で、短期的なコスト削減ではなく、デジタルケイパビリティ(組織能力)の向上を中長期の経営戦略・投資と位置づけられる大企業や中堅企業です。これらの条件に当てはまるかどうかは、診断・戦略立案フェーズで、経営戦略・業務改革・IT/DX・組織人事の複数の観点から見極めます。内製化への投資判断を誤らないための、重要なステップです。

ポイント

フルスクラッチの内製化に向くかは、コア事業で独自の価値を持ちたいか、事業の変化が激しいか、経営層が中長期の投資として見られるかで判断します。

進め方のステップ

進め方のステップ

伴走型の総合コンサルと協働すると、属人化を防ぎながら段階的に内製化を進められます。

各ステップの節目では、経営戦略・業務改革・IT/DX・組織人事の観点から進捗を確認します。どれか一つの領域だけが先行すると他が置き去りになるため、総合コンサルが中心となって歩調を合わせることが重要です。

Step1〜2:構想策定・戦略立案と、開発基盤・初期体制の構築

Step1は構想策定・戦略立案で、経営戦略に基づき、コア領域はフルスクラッチ(内製)、ノンコア領域はパッケージやSaaS等(外注)で代替する前提を立てます。そのうえで、将来の内製化組織のビジョン、必要な人材要件、投資対効果(ROI)のロードマップも策定します。

Step1では、診断フェーズで培った経営・業務・IT・組織を横断する現状分析の知見が最も活きます。Step2は開発基盤と初期体制の構築で、コンサルタント主導で初期のコアチームを立ち上げます。

開発を始める前に、開発フロー、ドキュメントの規約、コードレビューの基準などを文書化します。特定の個人だけに知識が偏らないよう、属人化を防ぐルールを設計し、クラウドインフラの設計、開発ツールの選定、セキュリティ基準の策定など、今後の開発の土台となる標準的な環境を整えます。

Step3〜4:パイロット開発を通じた伴走と、自律化・スケール

Step3はパイロット開発(MVPリリース)を通じた伴走です。コンサルの専門家と社内メンバーの混成チームで、影響範囲の小さい領域からスコープを絞ったMVP(Minimum Viable Product)をアジャイル手法でスモールスタート開発します。最初はコンサルタントが主要ロール(スクラムマスターやテックリードなど)を担い、社内メンバーを巻き込みながら技術とノウハウを移譲します。

Step4は自律化とスケール(フェーズアウト)です。最初から100%内製を目指すのではなく、パイロットでの成功体験をもとに、対象のプロダクトやチームの数を段階的に広げます。主要なロールもクライアント社員へ順次委譲し、コンサルタントはレビューや後方支援を経て「技術アドバイザー」として退き、3〜5年かけて自社だけでシステムを継続改善できる自走体制を完了させます。

失敗しやすいのは、あるべき姿(To-Be)をゼロベースで描くはずが、現場ヒアリングで「今の画面や帳票と同じに」と押し切られる「現行踏襲」や、各部門の要望が際限なく増え、予算・スケジュールが破綻する「要件の肥大化」です。数年後の完成形は最初から定義できないため、パイロット部門でMVPを動かし、フィードバックで修正を重ねるアジャイル・アプローチを初期から取り入れることが成功の鍵です。

ポイント

内製化は、構想と仕分けから始め、パイロット開発で小さく動かしながら広げるのが基本です。要件の肥大化や現行踏襲を避けるには、修正を繰り返すアジャイル・アプローチが有効です。

まとめ

総合コンサルのフルスクラッチ・オーダーメイド開発まとめ

総合コンサルにおけるフルスクラッチ・オーダーメイド開発について、パッケージとの違いから、メリット・デメリット、人材育成、進め方のステップまで解説してきました。総合コンサルによる内製化支援の本質は、DXコンサル(DX・デジタル変革に特化)やITコンサル(情報システム最適化に特化)のいずれか単体では実現しにくい一貫性にあります。

自社専用の体制には、業務適合性・競争優位性の確保、拡張性とコントロール、ナレッジ蓄積といったメリットがある一方、採用・育成のハードルや属人化のリスク、費用・期間へのインパクトといったデメリットもあります。これらのデメリットは、コンサルタントの伴走によって軽減できます。

OJTによる技術移転、標準化された仕組みづくり、組織・人事制度のアップデートまで含めた横断支援を通じて、3〜5年かけて自走体制へ段階的に移行していきます。これが、フルスクラッチでの内製化を成功させる王道です。

内製化体制の構築を検討されている方は、まず自社のどの業務領域がコアにあたるのかを、経営戦略・業務改革・IT/DX・組織人事の複数の観点から整理します。そのうえで、複数のコンサルティングパートナーに相談し、現実的な移行計画を立てることをお勧めします。

▼全体ガイドの記事
・総合コンサルの完全ガイド

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>

執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。