基幹システムやERPの移行は、会計・人事・販売といった全社の業務基盤を一斉に作り替える大規模プロジェクトです。長年使い込んだシステムにはアドオンや例外運用が積み重なり、データ構造も複雑化しているため、移行そのものが「最大の難所」になります。だからこそ、技術力だけでなく業務理解とデータ移行の知見を兼ね備えたパートナー選びが、プロジェクトの成否を大きく左右します。
本記事では、基幹システム/ERP移行を任せられるおすすめの開発会社・ベンダーを6社紹介するとともに、Fit to Standardやアドオン最小化、リフト&シフトと再構築の使い分け、データ移行の落とし穴、契約形態の使い分けといった実務・PM視点での選び方を解説します。IPAの調査データも交えながら、失敗しないベンダー選定の判断軸をお伝えしますので、移行の発注を検討している方はぜひ最後までご覧ください。
▼全体ガイドの記事
・基幹システム/ERP移行の完全ガイド
基幹システム/ERP移行のパートナー選びが重要な理由

基幹システム/ERP移行は、会計・人事・販売管理など全社の業務が乗る基盤を扱うため、一般的なシステム開発とは比較にならないほど影響範囲が広くなります。データ移行のミスやダウンタイムの長期化は、月次決算の遅延や出荷停止といった事業リスクに直結します。そのため、技術と業務の双方を理解したパートナーを選べるかどうかが、プロジェクト全体の成否を決めると言っても過言ではありません。
適切なパートナー選定が成否を分ける理由
基幹システムやERPの移行では、パッケージ選定・業務整理・システム設計・データ移行・既存システム連携など、検討すべき要素が広範囲に及びます。これらを一気通貫で考えられる会社ほど、後工程での手戻りや想定外コストを抑えられます。逆に、開発スキルだけを評価して発注すると、業務要件のズレが移行直前に発覚し、稼働延期に追い込まれるケースが少なくありません。
IPAが約4,000社を対象に実施した調査(799社が回答)では、CDOやCIOといったCxOを設置している企業ほど、社内の情報共有が円滑でシステムの可視化や内製化が進み、モダナイゼーションが順調に進む傾向が示されています。これは裏を返せば、自社だけで全社最適の判断を下せる体制が整っていない場合、外部パートナーが司令塔の役割を担う価値が大きいことを意味します。
また、IPAは2030年に最大79万人のIT人材が不足すると試算しており、人海戦術での内製対応には限界があります。限られた社内リソースを補い、移行のリスクを引き受けてくれるパートナーを選ぶことが、現実的なプロジェクト推進の前提になります。
発注前に確認すべきポイント
発注前にまず確認したいのは、自社が「リフト&シフト(既存をそのままクラウド等へ移す)」と「再構築(業務を見直して作り直す)」のどちらを目指すのかを、パートナーが一緒に整理してくれるかどうかです。移行の目的が曖昧なまま開発に着手すると、アドオンが膨らみコストと期間が際限なく増大します。
次に重要なのが、データ移行をどこまで主体的に担ってくれるかです。基幹システム/ERP移行では、得意先や仕入先のマスタ、会計の勘定科目体系、過去の取引履歴といった大量データの移行が最大の山場になります。移行リハーサルや並行稼働の計画を提示できる会社ほど、本番切替のリスクを下げられます。
株式会社ripla|コンサルから開発まで一気通貫で支援

riplaは、コンサルティングから開発まで一気通貫で支援できる企業です。IT事業会社として社内DXを推進してきた経験を活かし、ビジネスへの成果創出とシステムの定着支援に強みがあります。営業・顧客・生産・販売管理など、幅広い基幹システムの構築・導入実績があり、企業の業務要件に合わせて柔軟に対応できる体制を整えています。
特徴と強み
riplaの最大の強みは、業務要件の整理(コンサルティング)から実装・定着支援までを同じチームで担える点にあります。基幹システム/ERP移行では、業務を理解しないまま開発を進めると、アドオンが肥大化してFit to Standardが崩れがちです。riplaは業務の本質を見極め、標準機能で実現できる部分とカスタマイズすべき部分を切り分けながら、過剰な作り込みを抑える進め方を得意としています。
また、移行で必須となるデータ移行や並行稼働の設計についても、現場の運用を踏まえた現実的な計画を立てられます。コンサルと開発が分断されないため、要件と実装の間で生じやすい認識のズレを最小化できるのも特徴です。
得意領域・実績
riplaは営業・顧客管理・生産・販売管理といった基幹業務の構築・導入で実績を積んでおり、会計・人事・販売の連携を前提とした全社最適の設計に対応できます。自社でDXを推進してきた事業会社としての視点から、「導入して終わり」ではなく現場が使い続けられる定着支援まで踏み込めるのが特徴です。
中堅・成長企業の業務要件に柔軟に合わせられる体制を整えているため、大手SIerのパッケージ型導入では拾いきれない個別事情にも対応しやすい点が評価されています。コンサルから開発・運用までワンストップで任せたい企業に適したパートナーです。
アビームコンサルティング株式会社|業務改革を伴うERP導入に強い総合系

アビームコンサルティングは、戦略立案・構想策定から業務改革・設計、システム開発・導入まですべての領域に対応する総合系コンサルティングファームです。ERP標準機能の範囲内で業務を実現するアプローチを重視しており、Fit to Standardを前提とした早期・低コストでの導入を得意としています。基幹システム/ERP移行を、単なる入れ替えではなく業務改革の機会として捉えたい企業に適しています。
特徴と強み
アビームコンサルティングの強みは、構想策定から実装・定着までを一貫して支援できる総合力にあります。Oracle ERP CloudやSAPなど主要ERPに対応し、標準機能の範囲で業務を実現することで、過剰なアドオンを抑えた導入を進められます。これはアドオン最小化とFittoStandardという、基幹システム/ERP移行で最も重要な原則を体現したアプローチです。
また、PMOとしてプロジェクト全体を統制する役割にも長けており、複数システムが絡む大規模な移行でも進行管理を任せられます。業務側の意思決定支援とシステム導入を同じ目線で進められる点が、純粋な開発会社との違いです。
得意領域・実績
アビームコンサルティングは、製造業をはじめ幅広い業界でERP刷新やDX推進プロジェクトを手がけてきた実績があります。中期経営計画の推進に向けてアドバイザリーとして参画し、PMOとしてERP刷新やRPA導入をサポートした事例なども公開されています。
近年はインフラ業界向けのSAP ERPソリューションで「RISE with SAP」を採用するなど、クラウドERPへの移行支援にも積極的です。全社IT基盤の刷新を業務改革とセットで進めたい企業にとって、心強い選択肢となります。
株式会社NTTデータ|グローバル大規模ERP移行に対応

NTTデータは、国内最大級のシステムインテグレーターとして、大規模かつグローバルな基幹システム/ERP移行に対応できる体制を持つ企業です。53以上の国・地域に1万6,000名を超えるSAP有識者が在籍しており、海外拠点を含む全社規模のERP統合やSAP S/4HANAへの移行プロジェクトを推進できます。複数国にまたがる移行を検討している大企業にとって有力な選択肢です。
特徴と強み
NTTデータの強みは、圧倒的な開発リソースとグローバルなSAP有識者ネットワークにあります。基幹システムの刷新やSAP S/4HANA移行のような大規模案件でも、多数の専門人材を投入して進行を支えられます。海外子会社を含むERP統一など、難易度の高いプロジェクトに対応できる点が大きな魅力です。
また、長年にわたり官公庁や金融など社会インフラ級のシステムを支えてきた実績があり、可用性やセキュリティが厳しく求められる基幹システムでも安心して任せられます。大規模・高信頼性が要件となる移行に向いています。
得意領域・実績
NTTデータは、製造・流通・金融・公共など幅広い業界で大規模ERP導入や基幹システム再構築を手がけてきました。グローバルテンプレートを用いた多国展開や、複雑に絡み合った既存システムの段階的な移行など、規模と難易度の両面で高い対応力を持っています。
豊富なSAP有識者を背景に、移行後の運用保守までライフサイクル全体を支援できる点も特徴です。事業の根幹を支える基幹システムを、長期的に伴走してもらいたい大企業に適したベンダーと言えます。
株式会社電通総研|SAP導入で国内屈指の実績

電通総研(旧・電通国際情報サービス/ISID)は、1995年からSAPソリューションを提供し、SAP ERPの導入およびバージョンアップで国内累計300以上のプロジェクトに携わってきたベンダーです。SAP S/4HANAへの移行支援に強みを持ち、移行の事前アセスメントから本番稼働、運用まで一貫して支援できます。SAPを軸に基幹システムを移行したい企業にとって、実績面で信頼できる選択肢です。
特徴と強み
電通総研の強みは、30年近いSAP導入の蓄積に裏打ちされた移行ノウハウです。S/4HANAへの移行ではコンバージョン(既存資産を活かした移行)と再構築の選択が論点になりますが、同社は自社調査でユーザー企業の移行動向を把握しており、最適な移行方式の判断を支援できます。
BusinessSPECTREやPanayaといった、SAP移行を効率化する自社・代理製品を保有している点も特徴です。移行前の影響範囲解析を短期間で行うことで、想定外の手戻りやコスト膨張を抑えられます。
得意領域・実績
電通総研は、製造業や大手企業を中心にSAP ERPの導入・バージョンアップを数多く手がけてきました。SAPユーザー企業を対象とした独自調査を継続的に発行するなど、SAP領域における知見の発信でも知られています。
S/4HANA移行トータル支援サービスを提供し、移行のアセスメントから本番までを体系的にカバーできる点も特徴です。SAPを前提に基幹システムを刷新したい企業にとって、専門性の高いパートナーとなります。
SCSK株式会社|国産ERP「ProActive」を持つワンストップ型

SCSKは、商社系の大手SIerとして、各ERP製品の導入から開発、運用・保守までをワンストップで提供できる企業です。自社開発の国産ERP「ProActive」は、誕生から30年を超え、これまで6,600社以上の企業グループに採用されています。海外パッケージへの全面移行に不安がある企業や、日本の商習慣に合った会計・人事を重視する企業にとって、有力な選択肢になります。
特徴と強み
SCSKの強みは、国産ERP「ProActive」を軸に、製品提供から導入・運用までを自社で完結できる点です。海外ERPのように複雑なアドオン開発に陥りにくく、日本企業の会計・人事業務にフィットしやすい設計のため、Fit to Standardを実現しやすいのが特徴です。
また、ERPだけでなく周辺システムの開発やインフラ構築、運用アウトソーシングまで幅広く対応できます。移行後の運用負荷まで含めて任せたい企業にとって、窓口を一本化できる安心感があります。
得意領域・実績
SCSKは、ProActiveを中心に幅広い業界・規模の企業へ会計・人事・販売管理などの基幹システムを提供してきました。レガシーシステムの効果的な刷新に向けた取り組みも公開されており、長年使ってきた基幹システムの移行先として検討しやすい実績を備えています。
SAPやOracleなど海外ERPの導入にも対応しているため、製品の選択肢を比較しながら最適解を探せる点も強みです。国産・海外を問わず、自社に合ったERPを選びたい企業に適したベンダーです。
日鉄ソリューションズ株式会社|製造業の大規模ERPに強い

日鉄ソリューションズ(NSSOL)は、1990年代のERP黎明期から四半世紀以上にわたり、製造業を中心に多くの業種でERP導入と運用保守の実績を積み重ねてきた大手SIerです。製造業を中心に70社を超える企業へ大規模ERPシステムを導入してきた実績があり、SAP認定資格を持つ100名以上の技術者が導入から運用保守までを支援します。複雑な業務を抱える製造業の基幹システム移行に強みを持ちます。
特徴と強み
NSSOLの強みは、製造業の複雑な業務を理解した基幹系業務コンサルタントと、SAP認定資格を持つ多数の技術者を擁する点です。生産管理や購買、在庫といった製造業特有の業務とERPを連携させる設計に長けており、業務理解と技術の両輪で移行を支えられます。
また、基幹システムの専任サポート部門を有し、システムライフサイクル全体でのトータルサポートをグローバルに提供できます。導入後の保守運用まで一貫して任せられるため、長期的な安定稼働を重視する企業に向いています。
得意領域・実績
NSSOLは、製造業を中心に大規模ERPの導入を多数手がけており、複雑に絡み合った基幹システムの可視化と段階的な更改に強みを持ちます。ビッグバン移行のリスクを避けたい大企業にとって、段階的に移行を進められる進め方は大きな安心材料です。
SAP S/4HANAへの移行支援や、移行後の運用保守(AMO)サービスまで体系化しており、移行をゴールにせず継続的な活用を見据えた支援ができます。製造業ならではの要件を抱える企業に適したベンダーです。
基幹システム/ERP移行のパートナー選びのポイント

ここまで6社を紹介してきましたが、最終的にどの会社を選ぶかは、移行の目的と自社の体制によって変わります。ここでは、基幹システム/ERP移行ならではの観点と、契約姿勢・ベンダーロックイン回避という実務視点から、失敗しない選定のポイントを解説します。
Fit to Standardとデータ移行の知見を確認する
まず確認すべきは、Fit to Standardの考え方を共有できるかどうかです。標準機能で業務を回す前提に立てず、現行業務をそのまま再現しようとするとアドオンが膨張し、コストと将来の保守負荷が跳ね上がります。要件のすべてをカスタマイズで受け入れる会社より、「その運用は本当に必要か」と問い直してくれる会社の方が、移行後も健全に使い続けられます。
次に重視したいのが、データ移行の知見です。基幹システム/ERP移行では、得意先別の複雑な単価マスタ、勘定科目体系、過去の取引履歴などのクレンジングとマッピングが最大の難所になります。文字コードや外字の差異、データ構造の不整合といった落とし穴に対し、移行リハーサルや並行稼働を計画できる会社を選ぶことが、本番切替の失敗を防ぐ鍵になります。
あわせて、リフト&シフトと再構築のどちらが自社に適しているかを一緒に判断してくれるかも見極めましょう。目的に応じて手法を提案できる会社ほど、過不足のない移行を実現できます。
契約姿勢とベンダーロックイン回避を見極める
契約面では、フェーズに応じた契約形態の使い分けを提案してくれるかが重要です。要件が固まりきらないアセスメントや要件定義の段階は準委任契約とし、仕様が確定した開発フェーズで請負契約に切り替えると、双方のリスクを抑えられます。最初からすべてを請負で押し込もうとする会社は、仕様変更に弱く、追加費用のトラブルにつながりやすい傾向があります。
さらに見落としがちなのが、ベンダーロックインの回避です。基幹システムは長期にわたって使い続けるため、ソースコードの著作権や設計ドキュメントの帰属、運用権限の所在を契約に明記しておく必要があります。これを曖昧にすると、将来の改修や他社への乗り換え時に身動きが取れなくなります。
費用面では、初期費用だけでなく、新旧並行稼働の二重コストやデータクレンジングといった隠れコストを事前に提示してくれるかも確認しましょう。経営層への説明では、初期コストの比較ではなく移行後の運用コスト低減シミュレーションを示すと、投資判断を得やすくなります。
業務理解とプロジェクト管理体制を評価する
基幹システム/ERP移行は会計・人事・販売といった部門横断の業務に関わるため、システム開発の技術だけでなく、自社の業務を理解できるかが重要です。同業種・同規模での導入実績があるか、業務コンサルタントが在籍しているかを確認すると、要件のすり合わせがスムーズになります。
最後に、プロジェクト管理体制も評価しましょう。長期にわたる移行では、進捗管理や課題管理、関係部門との調整を担うPMOの存在が成否を左右します。誰が責任を持って全体を統制するのか、移行リハーサルや本番切替の計画をどう立てるのかを、契約前に具体的に確認しておくことが大切です。
まとめ

基幹システム/ERP移行は、会計・人事・販売を横断する全社基盤を作り替える大規模プロジェクトであり、データ移行とダウンタイムの管理が最大の難所になります。本記事では、株式会社riplaをはじめ、アビームコンサルティング、NTTデータ、電通総研、SCSK、日鉄ソリューションズの6社を、それぞれの強みとともに紹介しました。
パートナー選びでは、Fit to Standardとアドオン最小化の考え方を共有できるか、データ移行やリフト&シフト・再構築の知見があるか、そして準委任から請負への契約の使い分けやベンダーロックイン回避といった契約姿勢を備えているかが重要な判断軸です。IPAの調査が示すように、CxO主導の体制やパートナーとの連携が、移行の成否を大きく左右します。
コンサルから開発・定着支援までを一気通貫で任せたい場合は、業務理解と実装を同じチームで担える株式会社riplaのような会社が有力な選択肢になります。本記事を参考に、自社の目的と体制に合ったパートナーを見つけ、失敗のない基幹システム/ERP移行を実現していただければ幸いです。
▼全体ガイドの記事
・基幹システム/ERP移行の完全ガイド
株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
