データサイエンスコンサルとは?|考え方/特徴/仕組み/目的を解説

データサイエンスコンサルは、統計・機械学習の専門知見で経営課題を特定し、人材育成や意思決定の変革まで助言する、組織のデータ活用能力を築く支援です。

自社にデータサイエンティストがおらず、どこから手を付ければよいか分からない企業や、外部に頼んでも実証実験止まりになる企業は少なくありません。

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データサイエンスコンサルの位置づけと特徴

データサイエンスコンサルの位置づけを確認する担当者

データサイエンスコンサルは、企業が持つデータを経営にどう生かすかを助言し、分析を実行できる体制を社内に作る支援です。

特徴は、経営課題の特定から人材育成までを一連の取り組みとして扱う点にあります。単発の分析レポートを納品するだけの支援とは、そこが異なります。

支援の対象は、データ活用を進めるうえでの一連の工程です。

  • データ活用課題の整理
  • 分析・モデル設計
  • 業務への展開と効果検証

単機能AIプロダクト・予測分析基盤の「実装」とは異なる立場

AI異常検知やAI需要予測のように特定の業務課題を解く単機能のAIプロダクトは、あらかじめ定義された課題に対する実装を担います。また、予測分析システムのように複数の分析機能を統合した業務基盤を構築するのも、システムそのものを作る取り組みです。

これに対してデータサイエンスコンサルは、何を解くべき経営課題とするか、どの統計・機械学習手法が適しているかを検討します。いわば「作る前」の意思決定を支援する立場です。

システムやプロダクトの実装自体は、要件が固まった後に別の開発パートナーへ引き継がれることも珍しくありません。

組織の自走化をゴールに据える考え方

データ活用は継続的な取り組みです。市場環境や保有データは変わり続けるため、経営とデータ活用の関係も継続して見直す必要があります。

データサイエンスコンサルは、コンサルタントが分析を代行し続けるよりも、顧客企業自身が分析を続けられる状態をつくることを目的とします。

データ活用支援を手がけるブレインパッドのインタビューでは、データ活用は経営と同じく継続的に取り組むものであり、顧客が自走できる組織づくりをゴールに据える姿勢が語られています。

ポイント

自社が求めるのが分析の納品なのか、経営課題の特定から人材育成までの伴走なのかで、この支援が合うかどうかは変わります。

伴走支援の基本的な仕組み(アセスメントから内製化まで)

データサイエンスコンサルの支援フローを整理する担当者

データサイエンスコンサルの支援は、いきなり分析に入らず、現状把握から段階的に進みます。

一般的には、まずアセスメントで経営課題とデータの状態を確認し、戦略とロードマップを描きます。そのうえでPoCによる検証を経て、内製化に向けた組織づくりへ進みます。

各フェーズを飛ばして一足飛びに分析へ進むと、何を解くべきかが定まらないまま作業だけが先行します。その結果、後工程でやり直しが起きやすくなります。

アセスメントと課題特定から始まる支援

最初のフェーズでは、経営陣や事業部門へのヒアリングを通じて、解決すべき経営課題を特定します。同時に、保有データの質と量、組織としてのデータ活用の成熟度も確認します。

システム開発を伴わず戦略立案が中心の支援であれば、このフェーズは1〜3カ月程度を要するのが一般的とされています。部署間の調整に時間がかかる大企業では、さらに長引く場合もあります。

データの抽出権限がなかなか付与されない、紙やばらばらのフォーマットでデータが管理されているといった状態は、この段階でよく見られる遅延要因です。こうした状態では、想定より多くの時間をデータクレンジングに割く必要が生じることもあります。

データ活用戦略とロードマップの策定

課題が整理されたら、優先して取り組むテーマを選び、仮説を設計します。あわせて、必要となる統計・機械学習手法の見立てや、将来の組織体制・人材要件の検討も行い、3〜5年程度の中長期ロードマップとしてまとめます。

この段階で描く方向性が曖昧なままPoCへ進むと、後工程での手戻りが大きくなりがちです。そのため、時間をかけて合意形成を進めることが重視されます。

PoCから内製化までの段階的な実行

戦略が固まったら、実データを使った小規模なテーマでPoC(概念実証)を行い、現場が効果を実感できる小さな成功を積み重ねます。

PoCの後は、社内人材へのトレーニングを行い、分析から得られた知見を業務プロセスに組み込む体制づくりへ進みます。

ブレインパッドの事例では、新規顧客に対して5カ月程度伴走し、現場へのデータ活用の定着とデータサイエンティストの育成を進めるケースが紹介されています。一方で、内製化に向けた支援は、半年から数年単位の時間軸で捉える必要があります。

ポイント

アセスメントから内製化まで、段階を飛ばさずに進められるかが判断の目安です。各段階の期間と遅延要因を把握しておくと、社内の準備に合わせて計画を立てやすくなります。

契約形態から見る関わり方の違い

データサイエンスコンサルの契約形態を比較する会議

依頼の形は、複数の契約形態から選べます。壁打ち中心のリテーナー契約、実務に深く入り込む伴走支援、自走後のフォローに徹するサポートデスクなど、関わり方の濃淡によって役割が変わります。

リテーナー(顧問・アドバイザリー)契約の中心は壁打ちと品質管理

リテーナー契約では、コンサルタントが分析の手を動かすより、経営陣や推進リーダーへの壁打ちが中心になります。戦略の軌道修正や定例ミーティングでの助言、随時の質問対応も含まれます。

リテーナー契約は、分析作業を社内人材が担える段階に進んだ企業や、方針の妥当性を専門家の視点で確かめたい企業に向いています。

継続的な伴走支援(準委任・稼働ベース)の人材育成

伴走支援では、データサイエンティストやコンサルタントが週数日からフルタイムで現場に参画します。OJT形式の人材育成、分析の共同作業、分析結果を業務へ適用するための社内調整までを担います。

組織のデータ活用能力を実践的に引き上げる、いわば中核となる契約形態です。内製化を目指す企業の多くも、この形態を中心に据えます。

サポートデスク・チケット制による自走後のフォロー

顧客企業が自走を始めた段階では、月単位の時間数やインシデント数を上限とするチケット制のサポートデスクが選択肢になります。分析そのものは任せず、技術的な質問への回答や、手法選定に迷ったときの確認先として利用する形態です。

契約形態は、プロジェクトの進行に応じて変わります。リテーナーから伴走支援へ、伴走支援からサポートデスクへと移行していくことも珍しくありません。

ポイント

壁打ち、伴走、自走後のフォローのどれが社内の状況に合うかで選ぶのが目安です。社内人材が分析を担えるかどうかを見ると、契約形態を決めやすくなります。

データサイエンスコンサルが提供する主な支援内容

データサイエンスコンサルが提供する主な支援内容

企業によって濃淡はあるものの、支援の要素は、経営課題の特定と仮説設計、統計・機械学習手法の選定、データ分析人材の育成などに整理できます。

経営課題の特定と分析テーマの仮説設計

顧客企業自身も「何をゴールにすべきか」が明確でないまま依頼することは珍しくありません。そこでデータサイエンスコンサルは、経営層や現場へのヒアリングを重ね、解くべき経営課題を言語化します。

そのうえで、どのようなデータでどのような仮説を検証すべきかを一緒に設計します。特に、この段階の進め方は、後続のPoCや内製化の成否を左右します。

統計・機械学習手法の選定アドバイザリーとモデル構築の伴走

課題に応じて、どのような統計手法や機械学習アルゴリズムが適しているか、どの程度のデータ量と精度が必要かを検討します。そのうえで、実データを用いたモデル構築を社内人材と共同で進めます。

手法選定を外部に任せきりにせず、社内人材と一緒に検討します。そのため、モデルがブラックボックス化しにくく、後から社内で改善・運用できる状態を保てます。

ただし、高度な統計的手法を導入すること自体が目的化すると、現場が仕組みを理解できず運用が止まってしまいます。また、精度と説明のしやすさのバランスを取ることも助言に含まれます。

データ分析人材の育成とデータドリブン文化の醸成

分析結果を一度の示唆で終わらせず、業務プロセスへ組み込む体制づくりを進めます。また、社内人材へのスキルトレーニングも、データサイエンスコンサルが担う役割です。

データサイエンスコンサルは、経営層と現場の温度差を埋めるチェンジマネジメントも含め、データドリブンな意思決定を組織文化として根付かせることを目指します。

導入目的と期待できる効果

データサイエンスコンサル導入の目的を整理する会議

データサイエンスコンサルを導入する目的は、単なる分析代行にとどまらず、経営とデータ活用の距離を縮めることにあります。外部依存から脱却し、持続的な改善サイクルを組織内につくることも目的に含まれます。

経営とデータ活用の距離の縮小と意思決定の精度向上

経営課題の特定から仮説設計、手法選定までを専門家と共に行えば、勘や経験だけに頼っていた意思決定に、データに基づく裏付けを加えられます。特に、複数の事業部門にまたがる課題や、社内に前例のないテーマでは、第三者の専門的な視点が仮説の幅を広げる役割を果たします。

社内の議論だけでは「これまでのやり方」を前提にした選択肢しか出てこないことも多くあります。そのため、外部の知見が意思決定の選択肢そのものを広げるきっかけになります。

外部依存からの脱却と持続的な改善サイクルの構築

分析を外部にすべて委ねる体制では、担当者が変わるたびに関係を一から築き直す必要があります。さらに、変化への対応スピードも上がりにくくなります。

そこでデータサイエンスコンサルは、コンサルタントと顧客企業が一緒に手を動かして分析やモデル構築を進めるプロセスそのものを、人材育成の場と位置づけます。最終的に顧客が自走できる組織づくりを実現することを重視します。

経営陣の号令と現場の温度差というよくある失敗パターンにも、両者の間に立って合意形成を進める役割で関わります。そのため、システム導入だけでは埋まりにくい組織内のずれを縮められる点も、導入効果のひとつです。

単機能AIプロダクト・システム開発との違い

データサイエンスコンサルと他の取り組みの違いを比較する担当者

データサイエンスコンサルは、AI活用や生成AIの領域で語られる単機能プロダクトの実装や、業務システムそのものの開発と混同されがちです。ただし、扱う対象と、形に残るものには明確な違いがあります。

AI異常検知・AI需要予測などの単機能AIプロダクト実装との違い

AI異常検知やAI需要予測といったプロダクトの目的は、あらかじめ定義された特定の業務課題を解く機能を実装することです。導入企業は、どの課題を解くかがすでに明確になっている前提で、実装パートナーを選びます。

一方、データサイエンスコンサルが関わるのは、そもそもどの経営課題を解くべきか、その課題にどのようなデータと手法を当てるべきかが定まっていない段階からです。特定プロダクトを実装する立場ではなく、その手前の意思決定を助言する立場にあります。

予測分析システムなど統合基盤の開発との違い

予測分析システムのように、需要予測や異常検知など複数の分析機能を統合した業務基盤を構築することは、システム開発そのものの取り組みです。一方で、データサイエンスコンサルは、基盤を自ら作る立場ではなく、その前提として、どのようなデータ活用戦略を描き、どの機能を優先すべきかを整理する助言者の立場を取ります。

実際にフルスクラッチで基盤を構築する必要が出た場合は、要件が固まった段階で開発パートナーへ引き継ぐか、並行して連携する形が一般的です。ただし、基盤構築の要件定義をコンサルタントと開発パートナーが別々に進めると、想定していた分析ロジックと実装内容がずれることもあります。そのため、両者の連携方法をあらかじめ決めておくと、手戻りを防ぎやすくなります。

ポイント

AIプロダクトや業務システムの実装を頼む前に、どの経営課題を解くかがまだ決まっていないなら、まず助言を受ける段階として考えるのが目安です。

データサイエンスコンサル導入前に確認しておきたいポイント

データサイエンスコンサル導入に関する質問を整理する担当者

データサイエンスコンサルを検討するときは、いつ依頼すべきか、内製化を目指す場合になぜ外部の力が要るのか、成果をどう測るかを事前に整理しておきます。依頼後の期待値のずれを防ぐためです。

依頼に適したタイミング:経営課題の言語化に迷う段階

「AIやデータを何かに使いたい」という漠然とした発想のままでは、依頼してもテーマが定まらず、実証実験だけを繰り返す「PoCの罠」に陥りがちです。

依頼する企業が、解くべき経営課題をある程度絞り込めており、保有データの状況も把握できている段階であれば、戦略立案からPoCへスムーズに進みやすくなります。

内製化を前提とした初期段階での外部の専門知見の役割

最終的に社内で分析を回せる体制を目指す場合でも、何を優先すべき課題として設定するか、どの手法が適しているかという初期の目利きには専門知見が必要です。

コンサルタントと顧客企業が一緒に手を動かして進めるプロセスそのものが育成の場になります。そのため、内製化を急ぐあまり最初から外部の関与を最小限にすると、かえって遠回りになることがあります。

成果の測り方と組織の自走度合い

成果は、分析レポートの完成度に加えて、現場が分析結果を業務に活用できているか、社内人材がどの程度自走して分析を回せるようになったかを、導入前に定めた基準と照らして確認します。具体的な依頼先の選び方や評価軸は、データサイエンスコンサルの選定ポイント・選び方・種類で整理しています。

ポイント

経営課題がある程度絞れているか、内製化の方針がどこまで決まっているかを先に確かめると、依頼の時期を見誤りにくくなります。

まとめ

データサイエンスコンサルの要点をまとめる担当者

データサイエンスコンサルは、統計・機械学習の専門知見をもとに経営課題を特定し、手法選定から人材育成、データドリブン経営への転換までを助言する支援サービスです。その過程で、組織のデータ活用能力そのものを構築します。

単機能のAIプロダクト実装や統合的な予測分析基盤の開発とは異なり、システムやプロダクトを「作る」立場ではなく、何を作るべきか、どう組織を変えるべきかを助言する立場にあります。

データサイエンスコンサルは組織の自走化を支える伴走型サービス

アセスメントから戦略立案、PoC、内製化支援までの一連の流れを、リテーナー、伴走支援、サポートデスクといった契約形態を使い分けながら進めます。最終的には、顧客企業自身がデータを活用し続けられる状態を目指します。

自社の経営課題とデータの現状整理

まずは、自社がどのような経営課題を抱え、どこまでデータを蓄積・整備できているかを整理してください。課題とデータの現状が見えてくると、依頼すべき支援の範囲や契約形態も具体化しやすくなります。

分析基盤やシステムそのものの構築が必要になった段階では、既製のパッケージやクラウドサービスを組み合わせる方法のほか、自社の業務に合わせたフルスクラッチ開発や既存システムとの連携も選択肢になります。

ripla は、フルスクラッチ開発の立場から、データサイエンスコンサルの支援を経て固まった要件を踏まえ、システム構築や既存システムとの連携を支援しています。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。