配送管理システム移行のパッケージ/クラウド製品一覧

配送管理システムの移行で検討する製品は、移行先となるシステムと、データを移し替える移行実行ツールの2種類に分けて見ると整理できます。

取り上げる主要5製品のうち、4製品は移行先の候補、残る1製品はデータ移行を担うツールです。全体像は完全ガイドにもまとめています。

▼全体ガイドの記事
・配送管理システム移行の完全ガイド

配送管理システム移行における「パッケージ」「クラウド」の考え方

パッケージ型とクラウド型について、自社サーバーでの運用とクラウドのデータインポート機能を対比した図
移行後に担う運用範囲も、選択時の見比べどころです。

配送管理システムの移行先には、自社サーバーに個別に導入するパッケージ型と、ベンダーが運用するサービスをインターネット経由で使うクラウド型の2種類があります。

現在はクラウド型が中心で、移行のしやすさも比べやすくなっています。そのため、この記事では確認可能なクラウドサービスを対象にしています。

パッケージ型の自社運用と改修体制の維持

従来型のパッケージは、ソフトウェアを買い切って自社サーバーに導入する形態を指すことが一般的です。この形態は、自社固有のセキュリティ基準や既存の基幹連携に対応しやすい可能性があります。

サーバーの調達・監視・バックアップ・バージョンアップは、自社側で担う範囲が大きくなります。そのため、移行後もこの体制を維持できるかを、移行計画と合わせて検討する必要があります。

旧パッケージから新パッケージへ移行する際は、ベンダーが異なると移行支援を個別契約で手配することもあります。そこで、見積もりの段階で移行作業の範囲がどこまで含まれるかを確認しておくことが大切です。

クラウド型のデータインポート機能の充実度と移行のしやすさ

クラウド型は、サーバーを調達せずに利用を始めやすく、ベンダー側での機能更新を受けられる点が特徴です。

配送管理システムの移行では、CSVやAPIによるデータインポート機能の充実度が、実際の移行のしやすさを左右します。さらに、既存システムのデータ形式をどこまで吸収できるかも確認したい点です。

ポイント

自社でサーバーの調達や監視、改修体制を続けられるかで、パッケージ型とクラウド型のどちらを検討するかを見極めます。クラウド型なら、データインポート機能の充実度を先に比べるとよいでしょう。

「移行先システム」と「移行実行ツール」という2つの製品カテゴリ

移行先システムが配送業務を担い、移行実行ツールがデータ移行を担う役割の違いを示した図
業務を動かす製品とデータを運ぶ製品は、別々に検討します。

配送管理システムの移行を検討する際は、移行先となる新しいクラウドサービスと、データそのものを移し替える移行実行ツールを分けて考えます。そうすると、どの製品に何を任せるかが見えてきます。

移行先システムが担う配送業務

移行先システムは、車両の動態管理や配車計画の作成など、移行後の配送業務そのものを担うクラウドサービスです。

旧システムからのデータインポート機能や、他サービスとのAPI連携の有無は、移行時の作業量を大きく左右します。

移行実行ツールが担うデータ移行

移行実行ツールは、旧システムのデータベースから新しい環境へデータを移し替える作業を担うサービスです。移行先システムの機能とは別に、データ移行の観点で比べる必要があります。

CDC(Change Data Capture)による無停止移行に対応したツールもあります。初期ロードと差分同期を組み合わせることで、業務の停止時間を最小限に抑えて移行できます。

移行先システムの選定を先に終えてから移行方法を検討すると、対応できるデータ形式や連携方式の制約に後から気づくこともあります。そのため、両方の検討を並行して進めることが望まれます。

ポイント

業務を動かす移行先システムと、データを運ぶ移行実行ツールを別々に比べたうえで、両者の組み合わせが成り立つかを見るのが目安です。

製品を比較するときの共通軸

製品比較で確認するデータインポート・API連携、移行支援体制、料金体系、拡張性の4項目を並べた図
同じ観点を候補ごとに並べると、違いを追いやすくなります。

候補製品を同じ条件で比べるには、データインポート・API連携、移行支援体制、料金体系という共通の質問に置き換えることが大切です。

データインポート機能とAPI連携の範囲

「データ連携に対応」と書かれていても、移行のしやすさは実際の作業範囲で決まります。そのため、次の点を具体的に確認します。

  • CSVを手動でアップロードする方式か、APIによる自動連携ができるか
  • 既存の車両マスタや顧客データを、どこまで一括で取り込めるか

自社の旧システムから出力できるデータ形式を提示し、実際に取り込めるかをデモや個別検証で確かめます。

移行支援体制と料金体系

移行時に専任担当者のサポートが付くか、移行期間中の並行稼働や問い合わせ対応がどこまで含まれるかも、比べるうえで欠かせません。

料金は、車両台数、拠点数、利用人数など、製品ごとに異なる単位で決まります。公開されていない料金を推測で比較表に入れないのが基本です。自社の規模を提示したうえで、見積もりを取得します。

詳しい評価軸や比較の進め方は、配送管理システム移行の選定ポイント・選び方・種類で整理しています。

ポイント

データ連携、移行支援、料金の各点を同じ条件で聞き、具体的な回答が得られた製品を残すとよいでしょう。回答の内容をそろえると、製品どうしの違いが見えやすくなります。

配送管理システム移行で検討したい主要製品5選

2026年7月時点で現行の公式ページを確認できた5製品を紹介します。掲載順は評価の順位を表しません。移行先の候補となる4製品と、データ移行そのものを担う1製品に分けて並べています。

MOVO Fleet(株式会社Hacobu)

MOVO Fleetは、GPSによる車両動態管理をクラウドで提供するサービスです。ブラウザで利用でき、ソフトウェアのインストールは不要です。

  • 料金:月額1,980円/台から(2026年7月時点の公式表示)。端末代金や初期費用は別途で、見積もりが必要です。
  • データ連携:走行実績データをCSVで出力でき、APIの活用オプションも用意されています。
  • 連携実績:日野コネクティッドトラック、東京海上日動の法人ドライブエージェント、LYNA自動配車クラウドと連携できます。

既存の動態管理データを新しいシステムへ引き継ぐ場合は、連携実績の一覧と自社の連携範囲を照らし合わせるとよいでしょう。

Loogia(株式会社オプティマインド)

Loogiaは、実際の走行データを学習した配車最適化クラウドです。標準パッケージでの利用と、個別カスタマイズの両方に対応しています。

  • データ連携:Excel・CSVによる一括登録と、APIを活用した外部システム連携に対応しています。
  • 移行への効果:既存データを取り込むことで、担当者の手作業による再入力を減らせる可能性があります。
  • 料金:具体的な金額は公開されておらず問い合わせ制です。移行対象データの量や拠点数を提示して見積もりを取得します。

自社独自の配車ルールがある場合は、その範囲をどこまでカスタマイズで対応できるかも、見積もり時に確認しておくとよいでしょう。

Cariot(株式会社Cariot)

Cariotは、車両データをダッシュボードに集約して可視化する車両動態管理クラウドです。パッケージには、スマートフォンアプリ型のCariot Mobile、車載デバイス型のCariot GPS Logger、ドライブレコーダー型のCariot Drive Recorderがあります。

  • パッケージ:車両環境に合わせて3種類から選べます。
  • 料金:専用ページからの問い合わせ形式で、公式サイトには公開されていません。
  • データ連携:公式トップページに明示的な記載がなく、移行時は個別に確認が必要です。

既存の管理表やアルコールチェック記録など、複数の記録を一つのダッシュボードに集約したい企業もあります。移行後にどの記録を優先して統合するかは、事前に決めておくと運用設計を組み立てやすいです。

LYNA自動配車クラウド(株式会社ライナロジクス)

LYNA自動配車クラウドは、独自のAIエンジンによる配車計画作成をクラウドで提供するサービスです。インストール不要の完全クラウド型と、PCやサーバーに導入するデスクトップ型を選べます。

  • 料金:月額60,000円が基本料金です(2026年7月時点)。拠点数・台数・利用人数で変動し、要見積もりです。
  • データ連携:CSV形式でのデータインポートに対応しています。
  • 連携実績:ゼンリンデータコム、Hacobu、traevoなどとのパートナー連携が明記されています。

複数システムを組み合わせて運用している企業の移行先としても、検討しやすい製品です。

AWS Database Migration Service(Amazon Web Services)

AWS Database Migration Service(AWS DMS)は、データベースの移行を専門に担うマネージドサービスです。移行先の配送管理システムそのものではありません。

  • 対応データベース:Oracle、SQL Server、PostgreSQL、MySQL、MongoDB、MariaDBなど幅広い形式に対応しています。
  • 移行方式:ソースDBを稼働させたまま、CDC(変更データキャプチャ)による無停止移行に対応しています。
  • 料金:時間単位の課金とサーバーレススケーリングを組み合わせた体系です。

移行元と移行先のどちらもこれらのデータベース上に構築されている場合は、データ移行ツールの一つとして比較検討に値します。

ポイント

5製品は優劣ではなく役割で見分けるのが目安です。移行先の候補として比べる製品と、データ移行を担う製品では、確認する項目が変わります。

自社の優先課題別に候補を絞る方法

5製品を一斉に細部まで比べるより、自社が移行で最も重視する論点を一つ決めて、そこから絞り込むほうが効率的です。

車両の動態管理と可視化を重視する場合

現在地の把握や運転記録のデジタル化を優先するなら、MOVO FleetやCariotのような動態管理クラウドが候補になります。

既存システムが出力するデータ形式と、各製品のCSV・API対応範囲を照らし合わせ、移行時にどこまで自動連携できるかを確認します。

両製品とも料金体系や連携範囲の詳細は個別見積もりが前提です。そのため、車両台数と必要な連携先を具体的に示したうえで比べると、公開情報だけでは見えにくい違いが分かります。

配車計画そのものの高度化を重視する場合

配車計画の精度や作成時間の短縮を優先するなら、LoogiaやLYNA自動配車クラウドのような配車最適化クラウドが候補になります。

いずれも一括登録やAPI連携によるデータ取り込みに対応しています。既存の配送実績データをどこまで活用できるかを、デモで確かめるとよいでしょう。

過去の走行実績データが多い企業ほど、配車最適化アルゴリズムの精度を検証しやすくなります。取り込む期間と範囲を事前に決めておくと、デモで同じ条件を比べられます。

データ移行そのものの安全性・速度を重視する場合

移行先システムの機能以上に、既存データベースの移行を慎重に進めたい場合があります。その際は、AWS DMSのような移行専用ツールを、移行先システムの選定とは別に検討します。

CDCによる無停止移行を採用するかどうかは、移行先システムのAPI仕様とあわせて、移行実行の設計段階で決める必要があります。

料金・契約前の確認事項

公開されている月額料金だけで安い製品を選ぶと、車両台数の増加や連携範囲の拡大に伴って、想定外の費用が生じることがあります。そのため、移行にかかる一時費用と、移行後の運用費用を分けて確認することが大切です。

課金単位の違い

クラウド製品の料金は、車両台数、拠点数、利用アカウント数など、課金単位が製品ごとに異なります。

現在の車両台数だけでなく、移行後1年・3年程度の想定台数を伝えたうえで見積もりを取得します。初期費用、最低契約期間、追加連携にかかる費用まで、同じ条件で比べます。

AWS DMSのような従量課金型のツールは、データ量や移行期間によって費用が変動します。そこで、想定データ量を踏まえた試算を依頼するとよいでしょう。

データの取り出し・返却条件

移行先システムを将来また乗り換える可能性も踏まえ、契約終了時にどの形式でデータを取り出せるかを事前に確かめます。

API連携やCSV出力に対応している製品でも、対象データの範囲や保存期間は製品ごとに異なります。したがって、契約書や仕様書で明文化しておくことが望まれます。

ポイント

月額料金だけで比べず、初期費用、最低契約期間、追加連携の費用、データを取り出す条件を同じ前提で並べるとよいでしょう。

配送管理システム移行の製品選定で押さえておきたいポイント

製品一覧から候補を選ぶ際に、判断が分かれやすい論点を取り上げます。

移行先システム1製品だけで足りる場合

移行先システム1製品で足りるかを判断するには、移行先システムの機能に加えて、既存データベースからどう安全にデータを移すかという移行実行の観点も、別に検討する必要があります。

データ構造が複雑な場合や、無停止移行を重視する場合は、AWS DMSのような移行専用ツールをあわせて比較対象に含めることが望まれます。

料金が公開されていない製品の比較方法

多くの製品で、車両台数や拠点数に応じた個別見積もりが必要です。そこで、同じ条件(車両台数、拠点数、想定データ量)を各社へ提示し、回答内容を並べて比べると、公開情報では見えない実質的なコスト差を把握できます。

見積書の項目が製品ごとにばらばらな場合は、整理し直して並べ替えます。初期費用と月額費用、移行支援費用、オプション連携費用に分けると、総額で比べやすくなります。

複数製品を組み合わせた導入

複数の製品を併用することも可能です。MOVO Fleetのように、他サービスとの連携を前提にした製品もあります。

動態管理クラウドと配車最適化クラウドを組み合わせて運用する例も見られます。移行実行ツールと移行先システムは役割が異なるため、両方を併せて検討するのが一般的です。

まとめ

配送管理システム移行を検討する際は、移行先となる新しい配送管理・配車クラウドと、データそのものを移し替える移行実行ツールを分けて考えることが基本です。

今回紹介した5製品にも、車両動態管理、配車最適化、データベース移行そのものという異なる役割があります。

2つの製品カテゴリを意識した候補の絞り込み

移行先システムの機能比較と、データ移行の実行方法の検討は、別々の軸で進める必要があります。

自社が優先する論点(車両の可視化、配車の高度化、データ移行の安全性)を明確にしてから、該当するカテゴリの製品を比べ始めると、検討を整理しやすくなります。

自社データを使った検証による最終判断

最終判断の前に、実際の車両データや配送実績データを使った検証を行います。資料の機能一覧からは読み取れない点を、次の観点で確かめます。

  • インポートや連携が、どこまでスムーズに進むか
  • 車載端末の特殊なデータ形式や独自API仕様を、既製ツールで吸収できるか(できない場合はフルスクラッチ開発も選択肢です)

移行先システムと移行実行ツールの両方について、自社データでの検証結果を記録に残しておくと、本番移行時の判断や将来の再移行の検討にも参考になります。

riplaはフルスクラッチ開発の立場から、製品比較で明らかになった移行要件の整理を支援しています。既存システムと新システムをつなぐ独自のデータ移行基盤の構築も支援対象です。

▼全体ガイドの記事
・配送管理システム移行の完全ガイド

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>

執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。