DX支援のフルスクラッチ・オーダーメイド開発について

内製化は、適性を確かめ、実務で人を育て、コア領域から自走を進める取り組みです。

戦略策定はDX戦略コンサル、全社展開はDX推進コンサル、現場実装はDX支援が担います。内製化支援は育成や組織設計、契約の見直しまで含み、検討中・進行中の方に向けて期間やOJT、成功と失敗を整理します。

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DX支援が担う「内製化体制構築」という実行支援

開発チームを中心に、内製化で引き継ぐ4つのノウハウを注釈線で示した図
対象には設計やレビューの習慣も含まれます。

内製化体制構築支援は、開発を進める力を時間をかけて自社へ移す取り組みです。なお、採用だけで完了するものではありません。

移転の対象には、要件定義の進め方やコードレビューの文化、設計ドキュメントの整備が含まれます。さらに、技術的負債への向き合い方も、外部パートナーから引き継ぎます。

実際のプロジェクトは、外部パートナーと社員の混成チームで進めます。そこで、DX支援では、この実務を通じて知識とノウハウを移していきます。

パッケージ導入・外注依存からの脱却を支える伴走

内製化を進めるには、まず自社で担う領域と外部に任せる領域を切り分けます。競争力に直結する領域から取り戻すのが、現実的な出発点になります。

  • コア領域:競争力に直結する業務を、優先して内製化する領域
  • ノンコア領域:外部に任せ続ける業務の範囲

パイロット導入や本番実装を外部に頼り続けるほど、内製化のハードルは上がります。特に、仕様変更や不具合のたびに発注・見積もり・調整が生じ、変化の速い現場業務との間にギャップが生まれます。

DX推進コンサル・DX戦略コンサルとの接続

内製化は、戦略構想と全社計画を現場の実行につなぐ取り組みです。3つの役割がうまく連携しなければ、現場の外注依存は続きやすくなります。

  • DX戦略コンサル:戦略の策定と、自社で持つ開発力の構想
  • DX推進コンサル:全社展開の管理と、人材・組織計画への落とし込み
  • DX支援:現場実装と内製化への伴走、社員の育成

発注する側は、支援を依頼する前に、自社のDX戦略や推進計画で内製化がどう位置づけられているかを確認しておきます。

内製化の適性を見極めるチェックポイント

内製化体制構築支援に着手する前に、自社が踏み出す時期として適切かを確認しておきます。判断材料は、業務の変化、人材、経営層の投資許容度です。

  • 継続的な変化:対象業務やシステムが今後も変化する見込みがあるか
  • 社内の人材:開発経験者か、IT組織のリーダー候補が最低1名いるか
  • 投資の許容:採用・教育コストの増加を一定期間許容できるか

変化の少ない業務では、外注のまま続けたほうが効率的な場合もあります。一方で、条件が揃わないまま内製化を進めると、体制構築が頓挫しやすくなります。なお、DX支援会社への相談では、まず適性診断から始めてもらう方法もあります。

ポイント

内製化に踏み出すかは、業務の変化、社内の人材、投資の許容の3点で見極めます。着手後は、コア領域から順に社員が担う範囲を広げ、ノンコア領域は外部に任せ続けます。

内製化に要する期間の目安とフェーズ別の体制構築

オンボーディングから完全な自走体制までの内製化の時間軸を、4段階と期間で示した図
節目ごとに社員主体の範囲が広がる時間軸です。

内製化には「納品」のような明確なゴールがないため、期間は組織の成熟度が段階的に高まっていくプロセスとして捉えます。

オンボーディングから自走体制確立までの時間軸

期間を見積もるときは、環境を把握する段階から、合同チームで実践する段階を経て、社員が主体となって複数の案件を動かす段階までを見込みます。

  • オンボーディング:1〜2ヶ月以上。既存システムやコード規約の把握
  • 初期の実践:半年〜1年。合同チームで要件定義から実装・テストまでを経験
  • 成果が出始める時期:1〜2年。社員主体でリリースし、変更対応が速くなる
  • 完全な自走体制:3〜5年。学習文化が定着し、複数案件を自社で並走できる状態

オンボーディングは、新規採用者や社内メンバーが既存環境を把握するための最低期間です。また、初期の実践では、DX支援会社と合同チームを組みます。

この時間軸を共有しておくと、「半年で完全に内製化できる」といった非現実的な期待を避けられ、長期の計画も立てやすくなります。

フェーズ別の外部パートナーとの関わり方

自社のIT成熟度に合わせて、外部への依存度を段階的に下げていく方法が有効です。各フェーズで、社員と外部パートナーの役割を変えていきます。

  • フェーズ1・IT専任不在の準備期:開発チームを急に立ち上げず、要件定義や外注プロジェクトのPMの経験を積む
  • フェーズ2・内製化着手:混成チームでの協働開発と、一部業務の社内への移行
  • フェーズ3・DX組織定着・自走期:複数案件が並走し、外部パートナーは直接開発せず技術助言に徹する

DX支援が主に支えるのは、フェーズ1から2への移行です。フェーズ1では設計ドキュメントの作成を必須にし、フェーズ2では社員がプロダクトオーナーを担います。

フェーズ3では、社内で全社最適のアーキテクチャを設計し、データ基盤・認証基盤や人材のキャリアパスを整えます。そのうえで、フェーズ3以降は自社主導の運営へ移すのが一般的です。

ポイント

内製化は納品で終わらないため、オンボーディングから完全な自走まで3〜5年を見込む計画が現実的です。フェーズ1から2への移行をDX支援が支え、フェーズ3以降は自社主導へ移します。

人材育成・OJTの実践的な進め方

実務チケットを使ったOJTの4段階をカードで示した図
実務の中で、見本から確認まで順に経験します。

内製化の成否を分けるのは、座学ではなく、業務を通じた知識移転(OJT)です。このため、DX支援では、具体的な手法を実務に取り入れて人材育成を進めます。

Four Keys・VSMによる現状の可視化

育成の前に、開発チームの現在地を把握しておきます。Four KeysやVSMを使えば、開発速度や承認待ち時間を定量的に示せます。

  • Four Keys:デプロイ頻度、変更リードタイムなど4つの指標
  • VSM:バリューストリームマッピングによる工程の把握

工程ごとの待ち時間を数値で把握できるので、「なんとなく開発が遅い」という感覚に頼らずに済みます。その結果、育成の優先順位も定められます。

コンサルタントは社員と一緒に、現状を見える形にしていきます。この過程で、継続的な改善を自社で回すノウハウも移します。

実務チケットを使ったペアプログラミングと学習の習慣化

実務チケットを使うOJTでは、メンターと学習の時間を設けます。題材は架空の課題ではなく、実際の業務です。

  1. やってみせる(Show)
  2. 説明する(Tell)
  3. やらせてみる(Do)
  4. 確認し、追加指導する(Check)

メンターは役割として定め、週2回程度の固定枠を設けます。

OJTでは、ペアプログラミングやモブプログラミングで実務に取り組みます。実務課題を通じて、技術だけでなく、要件の読み解き方や仕様の調整方法も身につきます。

学習は日々の業務に組み込めます。たとえば、毎週、動くもの(デモ)と事業KPI、Four Keysなどの指標を確認します。レビューを続けることが、学習を組織の習慣にする鍵です。

外部パートナーの役割を「技術アドバイザー」へ移行するタイミング

OJTを重ねながら、社員の習熟度に応じてDX支援会社の関わり方を変えていきます。その移行を判断するには、実務チケットの完了割合を使えます。

  • 育成初期:コンサルタントがコードを書き、設計判断を主導する段階
  • 社員の習熟後:コンサルタントがレビューと助言を担う段階

社員がチケットを自力でこなせるようになっても、コンサルタントが実行者であり続けると、社員は見ているだけになり、内製化は進みません。

直近1〜2ヶ月の実務チケットのうち、社員だけで完結した割合を、Four Keysなどと合わせて定点で観測します。たとえば、その割合が7割以上になった時点で、正式な役割移行の節目を設定する方法が実務的です。

ポイント

OJTでは実務チケットを使い、育成の前に現在地を数値で示します。社員だけで完結した割合が7割以上になった時点を、技術アドバイザーへの移行の節目とする方法が実務的です。

成功のポイントと失敗パターン

内製化支援を成功させるには、数値基準やルールを明確にしておくことが必要です。あわせて、典型的な失敗を把握し、計画に回避策を織り込んでおきます。

技術的負債解消の工数確保と著作権移転契約

DX支援の内製化では、成功に向けて数値基準をルール化します。工数・採用・契約の基準を定めておくと、将来の自走や他社への移行に備えられます。

  • 技術的負債:開発工数の20〜30%を解消に充てる方針
  • 採用計画:採用数を1.5〜2倍に見込んだ計画
  • 著作権:終了時に発注者側へ移転する契約の明文化

新規開発を優先しすぎると保守が破綻するため、工数の2〜3割は、リファクタリングや非機能要件の改善に確保しておきます。

IT人材不足が見込まれるなかで、エンジニア採用は計画どおりに進まないことが多いため、期間を長めに見積もります。外部パートナーを使う代替案も用意しておきます。

ソースコードと設計ドキュメントの著作権は、プロジェクト終了時に発注者へ移ることを契約書に明記します。これにより、ベンダーロックインを避け、内製化の実効性を保てます。

属人化・コスト削減優先・全部内製化という3つの失敗

内製化体制構築でよくある失敗は、属人化、初期投資の削減、全領域の内製化の3つです。それぞれに備えた対策を取ります。

  • 属人化:設計ドキュメントとペアプログラミングによる知識の共有
  • コスト削減優先:開発環境や教育への初期投資の確保
  • 全部内製化:コア領域は内製し、ノンコア領域はSaaSや外注に任せる

1〜2名だけがシステム全体を把握すると、その人材の退職時に運用・保守が破綻します。また、少数精鋭で進める場合も、知識は共有します。

目先のコスト削減を優先して開発環境や教育予算を削ると、効率が下がり、プロジェクトが長期化します。結果として、外注時よりコストが膨らむことがあります。

基幹システムから周辺ツールまで100%自前で作ろうとすると、リソースが不足し、中途半端に終わるおそれがあります。そのため、競争力に直結するコア領域と、勤怠管理などのノンコア領域を分けることが必要です。

3つの失敗を事前に把握し、DX支援会社と回避策を計画に織り込むことが、内製化体制構築を成功に導きます。

ポイント

数値基準を定め、著作権の移転を契約に明記し、技術的負債の解消に工数の2〜3割を確保しておくと、属人化や全部内製化といった失敗を避けられます。

まとめ

一般的なフルスクラッチ開発は、既存パッケージに頼らず、ゼロからシステムを組み上げます。一方、内製化支援は、自社の技術組織を段階的に作り、実務を通じた知識移転を中心に据えます。

オンボーディングは1〜2ヶ月、合同チームでの実践は半年〜1年、成果が出るまで1〜2年、完全な自走体制には3〜5年が目安です。

Four Keys・VSMで現状を把握し、実務チケットを使ってOJTを進めます。あわせて、技術的負債の工数確保と著作権移転の明文化も行います。

属人化や初期投資の削減、全領域の内製化を避けるには、コア領域とノンコア領域を整理することが欠かせません。そのうえで、自社の適性を確かめ、実務を通じた移転に強みを持つDX支援会社へ相談します。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。