EC移行を支援する製品・サービスは、移行代行専門会社、移行専用クラウドツール、公式の取り込み機能の3系統に分けると、自社に合う候補を選びやすくなります。
系統ごとの特徴、比べる軸、主要な6つの製品・サービスを順に見ていきます。全体の流れは、EC移行の完全ガイドもご覧ください。
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EC移行を支援する製品・サービスの3つの系統

EC移行を支援する製品・サービスは、性質の異なる3つの系統に分けられます。移行作業を会社に任せるのか、ツールで進めるのか、移行先の公式機能を使うのかによって、比べる内容が変わります。
- 移行代行専門会社:会員データや注文履歴などの移行作業そのものを請け負う事業者
- 移行専用クラウドツール:100を超えるECプラットフォーム間の移行に対応するクラウドサービス
- 公式の取り込み機能:移行先プラットフォーム自身が用意する取り込み機能
データ移行代行専門の会社
会員データ、商品マスタ、注文履歴の移行作業そのものを、専門に請け負う会社です。依頼先によって差が出やすいのは、対応するカートシステムの種類、過去の移行実績、データ検証やテスト移行まで扱う対応範囲です。
移行後のデザインリニューアルや保守・改修まで一気通貫で対応する会社もあれば、データ移行だけに特化する会社もあります。そのため、問い合わせる前に依頼したい範囲を明確にしておくと、各社の提案を横並びで見られます。
複数プラットフォーム対応の移行専用クラウドツール
特定のプラットフォームの組み合わせに限らず、100を超えるECプラットフォーム間のデータ移行に対応するクラウドサービスです。
料金は、移行したいデータの件数に応じた従量課金が一般的です。また、無料のデモ移行を用意していて、事前に精度を確認できる製品もあります。
移行作業の大部分はツールが自動で処理するため、短期間・低コストで完了しやすい方式です。ただし、日本語独自の商習慣や自社特有のデータ項目には、個別対応してもらえない場合があります。
移行先プラットフォームが提供する公式の取り込み機能
移行先のプラットフォーム自身が、他社サービスからのデータ取り込みを支援する公式のアプリやツールを提供している場合があります。
追加費用が発生しにくい一方で、対応できるデータの範囲や移行元プラットフォームの種類には制約があります。そのため、自社のデータ構成と適合するかを、事前に確認しておく必要があります。
定期購入台帳やポイント残高など、標準的な移行対象に含まれにくい項目がある場合、公式ツールだけで移行を完結させるのは難しくなります。その場合は、専門会社への部分的な依頼を組み合わせる方法も検討します。
製品・サービスを比較するときの共通軸

製品紹介ページの機能一覧を見ても、自社のデータ構成や移行規模に合うかは判断しにくいものです。そこで、対応範囲、実績、料金体系、移行後のサポートの4つの軸をそろえて、各社を横並びに比べます。
各社に同じ質問項目を示し、回答を同じ形式で受け取ると、営業資料の見栄えではなく実務への対応力で比べられます。
対応データの範囲と移行実績
会員データ・商品マスタ・注文履歴のうち、どこまで標準で対応できるかを確認します。あわせて、クレジットカード情報や定期購入台帳など自社特有の項目に対応できるかも確かめます。さらに、自社と近い規模や業態での移行実績があるかも、判断の材料になります。
実績を尋ねるときは、件数の多さに加えて、自社と同じカートシステムの組み合わせを扱った経験があるかまで質問しておくと、実態に即した判断ができます。
料金体系とサポート範囲
料金は、移行するデータの件数に応じた従量課金の製品もあれば、要件に応じた個別見積もりが中心の製品もあります。
移行後のデータ検証、カスタマイズ設定、リニューアルサイト構築まで支援してもらえるかは、製品・サービスによって差があります。そのため、見積もりの段階で対応範囲を明確にしておきます。
料金の安さだけで選ぶと、必要な検証や保守対応が含まれていないことがあります。結局のところ追加費用が発生することもあるため、総額での比較を心がけます。
EC移行を支援する主要な製品・サービス6選
2026年7月時点で現行の公式ページを確認できた、6つの製品・サービスを取り上げます。掲載順は、対応領域や特徴ごとに整理した並びで、優劣を示すものではありません。
料金や対応範囲は変更される可能性があります。そのため、問い合わせる際は、最新の公式情報もあわせて確認してください。
LitExtension
LitExtensionは、140を超えるECプラットフォームに対応した移行専用のクラウドサービスです。
- 対応例:Shopify、WooCommerce、Magento、BigCommerceなど
- 料金:移行するエンティティ数に応じて79ドルから(2026年7月時点の公式サイト掲載、最新情報は要確認)
- 特徴:無料のデモ移行で少数の商品・顧客データを試験移行できます
カラフルクローバー(ECサイトデータ移行代行)
株式会社カラフルクローバーは、20種類以上のカートシステムに対応したデータ移行代行サービスを提供しています。
- 対応例:Shopify、ecforce、W2 Unified、EC-CUBEなど20種類以上
- 料金:8万円(税別)から(2026年7月時点の公式サイト掲載)。規模や要件によって変わるため、見積もり時に確認します
- 対応データ:商品・顧客・受注データに加え、定期購入台帳やクレジットカード情報にも対応
マイクロウェーブ(既存データ移行サービス)
株式会社マイクロウェーブは、ECシステムのリプレイスに伴うデータ移行を専門に支援しています。会員データ、商品データ、受注データという主要な3種類のデータ移行に対応しています。また、料金は公式サイトに具体額の記載がなく、個別見積もりで対応する形式です。
ND&I(ECカート移行サービス)
ND&I株式会社は、25以上のプラットフォームに対応したカート移行サービスを提供しています。対応例としては、Shopify、EC-CUBE、フューチャーショップなどがあります。
データ移行に加えて、デザインリニューアルや移行後の保守・改修まで対応する点が特徴です。なお、料金は公式サイトに具体額の記載がなく、問い合わせによる見積もりです。
Shopify公式のストア移行アプリ
移行先がShopifyに決まっている場合は、Shopify自身が公式のヘルプセンターで案内する取り込みアプリを使う方法もあります。
- 取り込み対象:商品、顧客、過去の注文、ギフトカード、ストアクレジット、ブログやページなど
- 取得方法:Shopifyアプリストア経由での取り込み
- 注意点:対応データの範囲や移行元プラットフォームには条件があり、事前確認が必要です
EC研究室(ECモール商品データ移行サービス)
EC研究室株式会社は、楽天市場の商品情報を複数のモール・プラットフォームへ一括で移行するサービスを提供しています。
- 移行先例:Yahoo!ショッピング、Amazon、Qoo10、フューチャーショップ、MakeShop、Shopifyなど
- 料金:通常価格16万5,000円(税込、2026年7月時点の公式サイト掲載)
- 注意点:実際の作業内容によって価格が変わる場合があるため、見積もり時に確認します
自社の課題別に候補を絞る方法

6つの製品・サービスを一斉に細部まで比べるより、自社の課題を一つに絞り、その課題に強い製品から検討するほうが効率的です。
複数の課題を同時に抱えている場合は、まず業務への影響がもっとも大きい課題から着手します。解決したあとに、次の課題へ順番に取り組む進め方が現実的です。
特定カート間のデータ移行を代行してほしい場合
移行作業そのものを丸ごと任せたい場合は、カラフルクローバー、マイクロウェーブ、ND&Iのようなデータ移行代行専門の会社が候補になります。
対応するカートシステムの組み合わせと、定期購入台帳や決済情報など自社特有のデータへの対応可否を確かめます。
社内にデータベースの専門知識を持つ人が少ない企業ほど、検証やテスト移行まで一貫して伴走してもらえる会社を選びます。その結果、移行後のトラブル対応の負担も抑えられます。
複数プラットフォームを比較しながら移行したい場合
移行先が決まっていない場合や、複数の候補を比べたい場合は、LitExtensionのように対応プラットフォーム数の多いクラウドツールが候補になります。
無料のデモ移行を使うと、実際のデータでの移行精度を事前に確認できます。さらに、移行先の候補ごとに同じデータでデモ移行を試すと、プラットフォームの選定と移行ツールの選定を同時に進められ、比較検討の手戻りも減らせます。
モール間の商品データだけを移行したい場合
楽天市場やYahoo!ショッピングなど、モール間で商品データを移行したい場合は、EC研究室のようなモール特化サービスが候補になります。Shopifyへの移行を既に決めている場合は、公式のストア移行アプリも比較対象に加えます。
モールごとに商品情報の入力フォーマットや必須項目が異なるため、単純なコピーでは対応できない項目があります。依頼の前にその項目を洗い出しておくと、見積もりの精度が上がります。
料金・契約前に確認すべきこと
公開されている料金の安さだけで選ぶと、自社特有のデータ項目やカスタマイズ対応で追加費用が発生し、想定より総額が膨らむことがあります。
課金の対象
移行するデータの件数(商品数・顧客数・注文数)に応じた従量課金なのか、要件ごとの個別見積もりなのかを、まず確かめます。
定期購入台帳やクレジットカード情報など、標準の移行対象に含まれない項目があるときは、別料金になっていないかを見積もり時に明確にします。
件数に応じた従量課金の製品では、想定より多くの件数を移行すると、金額が大きく上がることがあります。そのため、見積もりの時点で自社の最大想定件数を伝え、上限額の目安を確かめておきます。
契約前に見る移行後のサポート範囲
データ移行の完了後に、検証作業、リニューアルサイトの構築、旧システムのデータの保持・削除まで対応してもらえるかは、製品・サービスによって差があります。
移行作業だけを請け負う契約なのか、移行後の運用まで含む契約なのかは、事前にすり合わせておきます。
旧システムのデータを、いつまで、どのような形式で保持してもらえるかも確かめる必要があります。移行後に問題が見つかった際の切り戻しに関わるため、契約前に押さえておくべき項目です。
トライアル移行・デモによる最終候補の絞り込み
資料上の説明だけで候補を一つに絞らず、実際のデータを使ったデモ移行やトライアル移行で、移行精度と対応の丁寧さを確かめる進め方が望まれます。
デモ移行・トライアル移行による実データの挙動確認
無料のデモ移行機能を持つ製品では、少数の商品・顧客データを実際に移行し、項目の欠落や表記崩れがないかを確かめられます。
データ移行代行の会社に依頼する場合も、本番前の検証環境への試験移行を依頼できるかを確認しておくと安心です。
デモ移行の対象データには、標準的な商品だけでなく、セット商品やオプション付き商品など自社特有の複雑なパターンも含めます。そうすると、本番移行時の見落としを減らせます。
移行後のデータ検証体制
移行の完了後に、件数の突合や主要項目の抜き取り確認を、移行を請け負う会社と自社のどちらが担当するかを、契約前に取り決めておきます。
検証を発注側だけに任せる契約になっていないかを、確認作業の分担まで含めて見積もりの段階ですり合わせます。
検証の範囲を全件確認とするか抜き取り確認とするかで、必要な工数と精度は変わります。そのため、自社のデータ規模に合った現実的な検証方針を、事前に話し合っておきます。
EC移行の製品選びで確認しておきたいポイント
製品・サービスを最終決定する前に、見落としやすい点を順に確かめておきます。
料金が非公開の製品の個別見積もりによる比較
公式サイトに具体的な料金の記載がない製品・サービスも珍しくありません。その場合は金額を推測せず、同じ移行要件を各社へ提示して見積もりを取り、総額と対応範囲を横並びで比べます。
見積もり依頼の際は、対象データの種類と規模、希望する移行時期、検証の範囲まで同じ条件で伝えると、各社の回答を公平に比べられます。
評価軸をそろえた比較の進め方は、EC移行の選定ポイント・選び方・種類で解説しています。
対応プラットフォームの組み合わせの確認
移行元と移行先の組み合わせによっては、対応している製品・サービスが限られることがあります。そのため、現行システムの名称とバージョン、移行を希望する先のプラットフォームを具体的に伝えて、対応可否を確かめます。
カスタマイズを重ねてきたシステムほど、標準的な対応表には載っていない独自機能が含まれていることが多いです。事前に機能一覧を整理して共有すると、確認がスムーズに進みます。
まとめ
EC移行を支援する製品・サービスには、データ移行代行専門会社、移行専用クラウドツール、移行先公式の取り込み機能という3つの系統があります。それぞれ、得意な領域と料金体系が異なります。
自社の課題の見極め
自社の課題がデータ移行の代行なのか、複数候補の比較なのか、モール間の商品データ移行なのかを見極めます。それが、6つの製品・サービスから適切な候補を選ぶ出発点になります。
トライアル移行による精度の確認と最終決定
デモ移行やトライアル移行で実際の精度を確認したうえで、最終的な製品・サービスを決定してください。
デモで既製品の限界が見えたときは、次の選択肢もあります。
- 業務要件が既製品で吸収しきれない場合:基幹システムとの連携や独自の商品構造は、部分的な個別開発の組み合わせを検討します
- riplaの支援範囲:フルスクラッチ開発の立場から、既存システムとの連携を含むEC移行の実行支援を行っています
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
