ECのモダナイゼーションの基盤には、パッケージ型、クラウド型、フルスクラッチの3つの提供形態があります。提供形態、製品の得意領域、自社の刷新課題を照らし合わせて候補を絞ると、要件に合う基盤を選びやすくなります。紹介するのは、ecbeingやebisumartなど6製品です。各テーマの詳しい内容は、関連記事もあわせてご覧ください。
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・ECのモダナイゼーションの完全ガイド
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パッケージ型・クラウド型・フルスクラッチの提供形態の違い
提供形態はパッケージ型、クラウド型、フルスクラッチの3つで、既存資産の引き継ぎやすさと自由度のバランスがそれぞれ異なります。そのため、自社の独自性によって向き不向きが変わります。
パッケージ型は業界標準機能とカスタマイズ性の両立が論点
パッケージ型は、中堅・大手企業向けのEC構築基盤をベースにする形態です。
- 独自要件:自社特有の要件も、カスタマイズで組み込めます。
- 標準機能:基幹連携や複雑な販促機能を備える製品が多く、開発期間を抑えやすい傾向があります。
- 製品の制約:フルスクラッチより期間を短くしやすい一方、設計思想による制約は残ります。
既存資産を引き継ぎやすいかを見るうえでは、ベンダーがECリニューアル・リプレイスを専用メニューとして扱っているかが手がかりになります。
クラウド型の短期導入と法改正・機能更新への追随
クラウド型は、サーバーを調達しなくても利用を始められます。
- 更新対応:機能更新や決済制度の変更への対応を、継続して受けられます。
- 課金体系:従量課金、固定料金、レベニューシェアなどの仕組みが、製品ごとに異なります。
- 移行作業:クラウド型でも、SEO評価やデータ移行が自動で完了するとは限りません。
課金体系は、自社の流通額の見込みに合うかで判断します。一方、SEO評価を引き継ぐためのリダイレクト設計と移行データの整備は、自社で進めます。
独自の物流・在庫引当ロジックを最優先する場合のフルスクラッチ
独自の購買体験や複雑な物流・在庫引当ロジックが競争優位に直結する場合は、フルスクラッチが選択肢になります。標準機能では要件を吸収しきれないケースが、これに該当します。
この場合は、要件定義から実装までを業務フローに合わせて設計するプロジェクトとして計画します。既製品を一覧で比べる進め方とは、前提が異なります。
製品を比較するときの共通軸

機能一覧を見ただけでは、自社の刷新要件に合うかを判断しにくいものです。そこで、候補を同じ条件で比べられるよう、4つの観点を共通の質問として使います。比較では、対象規模、EC刷新実績、連携・拡張性、料金体系の4つを確認します。
対象規模とEC刷新実績の比較
製品ごとに対象とする企業規模や年商レンジは異なるため、比べる前に自社の規模を整理しておくと、判断の基準がそろいます。
- 対象規模:標準機能で満たせる範囲と導入支援の内容
- 刷新実績:既存ECのリニューアル・リプレイス実績
データ移行や連携部分の対応力は、刷新案件の経験から推測しやすくなります。新規構築の数だけでは、その部分が見えにくいためです。
連携・拡張性と料金体系の確認
決済代行、WMS、基幹システムとのAPI連携は、標準対応で済む範囲と個別開発になる範囲に分けて見ていきます。
- 固定料金:一定額で決まる型のプラン
- 流通額連動:流通額に応じて課金されるレベニューシェア型
- 機能数連動:機能の多寡に応じて段階が分かれるプラン
料金体系は、自社の売上規模との相性も含めて比べます。詳しい評価手順はECのモダナイゼーションの選び方と選定ポイントで整理しています。
ECのモダナイゼーションの主要製品6選
2026年7月時点で現行の公式ページとEC刷新への対応を確認できた6製品を取り上げます。掲載順はランキングではありません。
得意な企業規模や料金体系は製品ごとに異なるため、自社の課題と利用条件をそろえて比べます。
ecbeing
ecbeingは中堅・大手企業向けのEC構築基盤です。候補に入れる前に、実績、機能、刷新への対応、料金の扱いを押さえておきます。
- 構築実績:1,600件以上で構築を手がけています。
- 対応機能:フルカスタマイズ、基幹連携、定期購入・頒布会、オムニチャネル、越境ECに対応しています。
- 刷新実績:「ECリニューアル・リプレイス」を独立したメニューに掲げ、複数の事例を公開しています。
- 料金:公式サイトに具体額の表示はなく、問い合わせが必要です。
見積もりは、商品数と連携要件を示して取得します。
ebisumart(えびすマート)
ebisumartは、BtoCとBtoBに対応するクラウド型のEC基盤です。
- 導入規模:800サイト以上で導入されており、年間流通総額は2,045億円と公表されています。
- 連携・安全性:API連携のカスタマイズ、ISMS取得のセキュリティ体制、マルチドメインに対応しています。
- 刷新対応:「既存ECサイトのリプレース」をソリューションとして明記しています。
料金は従量課金、固定料金、レベニューシェアの3プランで、具体額は公表されていません。そのため、想定する流通額を示して比較見積もりを取ります。
futureshop(フューチャーショップ)
futureshopは幅広い規模で利用されています。利用規模や販売機能、移行対応、公式価格を確かめます。
- 利用規模:平均年商は8,739万円で、5店舗に1店舗が年商1億円を超えています。
- 販売機能:SEO・SNS連携、サブスク、会員ステージ機能を備えています。
- 移行対応:commerce creatorでのカスタマイズと.htaccessによる301リダイレクトに対応し、移行相談も受け付けます。
- 公式価格:初期費用22,000円〜、月額費用27,000円〜、売上手数料0円です(2026年7月時点)。
規模感や移行機能、料金を合わせて見ると、自社との近さを判断できます。掲載価格が自社の利用条件に当てはまるかは、見積もりの段階で確かめます。
W2 Commerce
W2 Commerceは、幅広い企業規模と複数の事業モデルに対応します。導入実績、事業モデル、主な機能、刷新実績を順に見ていきます。
- 導入実績:スタートアップから大企業まで1,100社が導入し、標準機能は1,000以上です。
- 事業モデル:B2C、サブスク・リピート通販、B2B、越境ECに対応しています。
- 主な機能:店舗連携、購買履歴を使ったAIパーソナライズ、モジュール型プラグインを備えています。
- 刷新実績:複数ECを統合した事例はありますが、既存ECのリニューアル・リプレイスは個別の確認が必要です。
料金の具体額は非公開のため、問い合わせで確かめます。
Shopify Plus
Shopify Plusは大規模ブランド向けのクラウド型EC基盤です。処理規模、拡張性、海外対応と移行、料金の観点で整理します。
- 処理規模:100万点以上の商品・バリエーション、毎分1万件超のチェックアウトに対応できる規模と、公式に示されています。
- 拡張性:ヘッドレスAPIによるフルカスタマイズと、無制限のAPI統合に対応しています。
- 海外・移行:越境ECは150ヶ国以上に対応し、既存システムからの切り替えを支援しています。
- 料金:要問い合わせです。
海外展開や大規模トラフィックを重視する企業にとって、候補に入れやすい製品です。
MakeShop byGMO
MakeShop byGMOは大企業から中小企業まで利用されています。対応モデル、標準機能、移行支援、料金の面から見ていきます。
- 対応モデル:クラウド型で、BtoC・BtoB・BtoEに対応しています。
- 標準機能:600以上の機能に加えて、デザイン、決済、販促、配送の機能を備えています。
- 移行支援:「ショップ移転サービス」と「EC構築アドバイス」が用意されています。
- 月額料金:2026年7月時点で、Premiumは月額11,000円、Enterpriseは月額11,000円〜です(別途費用あり)。
- 決済手数料:2026年7月時点で3.14〜3.19%です。
価格の適用条件や最新情報は、見積もりの時点で確かめます。
課題別に候補を絞る方法
6製品を一度に細かく比べるより、最も大きな課題を一つ決めて必須要件で候補を絞る方が効率的です。
企業規模や独自要件、海外展開の有無によって、適した製品は変わります。
中堅・大手企業で基幹連携を重視する場合
基幹連携や複雑な販促機能を重視する場合は、ecbeingやebisumartが候補になります。そのうえで、デモで刷新実績と引き継ぎ連携の実装範囲を確かめます。
年商規模が大きく既存連携が複雑な場合は、新規構築の実績に加えて、リニューアル・リプレイスの実績も重視します。
海外展開や中小規模での立ち上げやすさを重視する場合
越境ECや海外の大規模トラフィックを重視する場合は、Shopify Plusが候補になります。Shopify Plusは、150ヶ国以上への対応と無制限のAPI統合を掲げています。
中小規模で費用を抑えて立ち上げる場合は、料金体系が明確なfutureshopやMakeShop byGMOを検討します。ただし、標準機能で業務フローをどこまでカバーできるかは、個別に確かめる必要があります。
B2Cとサブスク・B2Bを併用する場合は、複数の事業モデルへの対応を掲げるW2 Commerceも比較の対象になります。
料金・契約前の確認事項

公開価格だけで選ぶと、流通額の増加やAPI連携、サポートで想定外の費用が生じることがあります。そのため、移行や運用の費用まで含めた総額で比べます。
確認対象の中心は、月額費用と決済手数料、データ移行です。そのほか、リダイレクト対応、教育、日常運用も対象に含めます。
課金モデルと流通額の増加に伴う費用変化
固定料金型は流通額が増えても費用が変わりにくい傾向があります。一方、レベニューシェア型や決済手数料型は、売上の伸びに応じて費用も増えます。
- 見積もりの前提:現在の流通額に加えて、1年後と3年後に想定される流通額も示します。
- 体系の比較:どちらの体系が有利かを試算して比べます。
- 非公開の価格:ecbeingやebisumartなど価格が非公開の製品は、個別の見積もりで金額を把握します。
- 比較表の数値:推測値は入れず、見積もりで得た数値だけを並べます。
契約書で確認するデータ保持・解約時のデータ返却条件
クラウド型では、商品マスタや会員情報、注文履歴を事業者に預けることになります。決済関連の情報も含まれるため、データの扱いを事前に確かめておく必要があります。
そのうえで、権限管理やバックアップの方法を確かめるとともに、障害時の復旧やデータの保管場所も見ておきます。
別の仕組みに移る際にどの形式でデータを受け取れるかは、契約前に確かめておきます。特に、長期で利用する場合は、乗り換えやすさを確保しておく必要があります。
デモ・PoCによる最終候補の絞り込み

資料比較で2〜3製品に絞ったら、実際の商品データと連携先を使って、デモまたはPoCを行います。担当者だけでなく、法務、物流、情報システムにも関わってもらうと、導入後の行き違いを減らせます。さらに、可能であれば、決済代行やWMSの担当者にも加わってもらいます。
データ移行から連携動作までの一連の検証
実際の商品マスタや会員データのサンプルを使うと、移行後の表示崩れやデータ欠損を確かめやすくなります。続いて、決済代行やWMSとの連携を試し、注文から出荷指示までつながるかを検証します。加えて、旧URLから新URLへの301リダイレクトも試しておくと、本番移行時の作業がスムーズになります。
自社の数値による導入効果の実測
PoCの前に、改修工数とカート離脱の状況、月間の連携エラー件数を記録しておきます。そのうえで、PoC後の数値と比べて導入効果を確かめます。
公式サイトの導入実績や削減効果は、そのまま自社には当てはめられません。そのため、自社の商品数、会員数、流通額をもとに、削減見込みを試算します。
ECのモダナイゼーション導入前に確認しておきたいポイント
おすすめ順位や知名度よりも、刷新要件と利用規模を同じ条件で比べると、判断の材料がそろいます。選定の際に迷いやすい点も、あわせて確かめておきます。
既製品で対応できない要件と、フルスクラッチの比較
紹介した6製品は、クラウド型を中心とするSaaS・PaaSです。そのため、独自の物流・在庫引当や複雑な基幹連携が必須であれば、個別開発も比較対象に入れます。
既製品のカスタマイズで吸収できない場合は、業務要件を整理したうえで、クラウドサービスと基幹システムを組み合わせるハイブリッド構成も候補に入ります。
最優先課題によるおすすめ製品の違い
おすすめ製品は企業ごとの最優先課題によって変わり、全企業に共通する1位はありません。基幹連携の複雑さや海外展開、料金の分かりやすさのうち、自社が最も優先する課題に合う製品が候補になります。必須要件で2〜3製品に絞り込み、同じシナリオのデモまたはPoCで比べます。
見積もり取得時点の最新料金情報
ここで紹介した料金情報は、2026年7月時点で公式サイトに掲載されていた内容です。プランや金額は改定されることがあるため、そのまま契約判断に使うのは避けます。
契約前には、各社の公式サイトや営業窓口で最新の料金と適用条件を確かめます。
まとめ
製品選定では、提供形態を踏まえたうえで、対象規模と刷新実績、連携・拡張性、料金体系の順に候補を比べます。また、6製品では、企業規模や料金、刷新実績の示し方に違いがあります。資料上の機能数だけでなく、商品マスタや会員情報、注文履歴の移行を実データで確かめます。
決済、在庫、基幹連携との互換性も、実データで検証します。既製のクラウド型ECで複雑な物流・在庫引当や基幹システムとの密結合に対応できない場合、業務を無理に製品へ合わせると運用の負担が残ります。
製品比較で不足機能が見えた場合は、riplaがフルスクラッチ開発の立場から、その整理と、既存資産を引き継ぐEC刷新プロジェクトの構築を支援しています。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
