ERPコンサルの開発期間・スケジュール・納期について

ERPコンサルの期間は、選定支援のみか導入PMOまで頼むかと、企業の規模や拠点数で変わります。

選定支援のみで部門を限定すれば2〜4ヶ月、全社刷新の中堅企業は選定だけで4〜7ヶ月程度が目安です。大企業で選定からPMOまで頼む場合は、1年〜数年になることもあります。

▼全体ガイドの記事
・ERPコンサルの完全ガイド

ERPコンサルの役割(ERPパッケージ導入・BPRとの違い)

ERPコンサルは、業務要件を整理し、自社に合うERP製品やベンダーを客観的に評価します。

選定後は、導入を計画どおり進めるための管理や支援も担います。

期間を見積もるには、まず隣接するサービスとの違いと、ERPコンサルの役割を押さえることが出発点になります。

工数の大半は実装ではなく、要件を言葉にする作業や提案を比べる作業といった、意思決定の支援にかかります。

ERPコンサルが担う支援範囲(選定支援・要件定義・RFP作成・ベンダー比較評価・PMO)

要件整理から製品選び、導入時の進行管理まで、ERPコンサルの支援は大きく2つに分かれます。

  • 選定支援:要件整理からパッケージとベンダーの決定までを支援
  • 導入PMO:発注企業の立場から、導入プロジェクトの進行を管理

選定支援では、業務とシステムの現状を調べ、要件やRFP(提案依頼書)を整えます。そのうえで、複数社の提案と見積もりを比べ、製品とベンダーの決定を助けます。

導入PMOでは、ベンダーが構築を進める間、スケジュール・品質・課題を管理します。ベンダーのコントロールも、発注企業側の立場から支援します。

両フェーズを一貫して頼む方法もあれば、選定支援のみ、PMOのみをスポットで依頼する方法もあります。

企業のニーズに合わせて、支援の範囲を設計できます。

ERPパッケージ導入(実装)・BPR・DX推進との役割の違い

実装、業務再設計、事業変革は、それぞれ対象が異なります。ERPコンサルと比べる際は、まず各取り組みの範囲を押さえておくと、混同を防げます。

  • ERP導入:選定済みの製品について、設定や開発など実装を担う
  • BPR:システム選定の有無を問わず、業務プロセスを再設計する
  • DX推進:デジタル技術を使った事業変革全般を扱う

ERP導入では、パッケージベンダーやSIerが、abas ERPやEpicorなどの設定、マスタ整備、アドオン開発、現場教育を進めます。

一方、ERPコンサルは発注企業側の第三者として、どの製品を選ぶかを支援します。選定後も、導入が計画どおり進んでいるかを管理します。なお、DX推進では基幹システムの刷新も扱います。

この違いを初期の段階で関係者と共有すると、依頼範囲の認識違いを防げます。さらに、開発期間を予定内に収めるための出発点にもなります。

ポイント

ERPコンサルの役割は、要件整理と製品選びの支援、導入の管理です。実装やBPR、DX推進とは担う範囲が違うため、依頼前に範囲を分けて確認しておくと、見積もりの前提がそろいます。

支援範囲・企業規模別の期間目安

小規模、中堅企業、大企業・グループ会社のERPコンサル支援範囲と期間目安を3つのパネルで示した図。
対象範囲が広がるほど、支援期間も長くなる構成です。

期間は、依頼範囲(選定支援のみか導入PMOまでか)、対象業務、拠点数で変わります。

規模別の目安は、小規模、中堅企業、大企業やグループ会社ごとに分けて示します。

小規模(部門限定・パッケージ選定支援のみ):2〜4ヶ月

部門や対象業務を限定し、パッケージ選定支援のみを依頼する場合、目安は2〜4ヶ月程度です。対象が限られ、意思決定者との距離も近いため、比較的短期間で進められます。

要件整理、RFP作成、ベンダー比較評価、最終選定までが主な範囲です。

PMOによる導入管理は含めず、選定後の実装はベンダーに任せる分業が一般的です。

中堅企業(全社基幹刷新の選定支援+一定期間のPMO伴走):4〜7ヶ月+伴走期間

全社の基幹業務を対象に刷新する中堅企業では、選定支援だけで合計4〜7ヶ月程度が目安です。工程ごとの期間は、次のように積み上がります。

  • 現状アセスメント・分析:約2〜3ヶ月
  • 評価基準の確立・優先順位付け:約1〜2ヶ月
  • 方針決定・ベンダー選定:約1〜2ヶ月

対象には、会計、生産管理、販売管理などが含まれます。また、選定後もPMOが伴走するケースが増えます。

ベンダーがシステムを構築する約6〜18ヶ月の間、進捗・品質・課題を継続して管理します。

大企業・グループ会社(複数拠点・グローバル、フルPMO伴走):1年〜数年

大企業や、複数の事業部門・グループ会社・海外拠点を持つ企業が、全社刷新を選定からPMOまで頼む場合、1年〜数年になることもあります。

  • 現状把握:拠点・事業部ごとの業務とシステムの調査
  • 合意形成:複数階層の意思決定と、要件標準化の調整
  • 段階的な展開:複数年にわたる実装と伴走管理

選定支援でも、異なる業務やシステムの把握と、グループ会社間の合意に時間を要します。導入PMOではインクリメンタル方式で段階的に実装するため、支援も長期にわたります。

ポイント

期間は依頼範囲と規模で変わります。部門限定の選定支援は2〜4ヶ月、全社刷新の中堅企業は選定だけで4〜7ヶ月が目安です。自社の依頼範囲を先に決めておくと、社内で同じ前提から話せます。

選定支援フェーズ〜導入PMOフェーズの工程別スケジュール

現状アセスメントから定着化フォローまで、ERP導入支援の5工程と本文記載の期間目安を時系列で示した図。
選定後の実装と定着化にも、それぞれ期間を見込む構成です。

選定支援は現状調査からベンダー選定・契約まで、導入PMOは契約後の構築を発注側から支えます。そのため、2つのフェーズに分けて流れを見ていきます。

全体を一括りにすると、意思決定の速さや管理の細かさの違いで、計画にずれが生じやすくなります。

選定支援フェーズ:現状アセスメント→評価基準確立→RFP発行・ベンダー選定・契約

候補製品を選んで契約まで進める選定支援では、工程ごとに調べることや判断する内容、必要な期間が異なります。

  • 現状アセスメント・分析:現行システムと業務の状態の洗い出し
  • 評価基準の確立・優先順位付け:刷新対象の見極めと、評価基準の設定
  • 方針決定・ベンダー選定:候補の絞り込みから、最終選定と契約まで

現状アセスメントでは、現行システムの構造、業務フロー、データモデル、外部連携を洗い出します。

期間は約2〜3ヶ月が目安です。

評価基準の確立・優先順位付けでは、刷新対象を見極め、コスト削減率や業務効率化目標などの定量的なKPI・評価基準を設定します。

期間は約1〜2ヶ月が目安です。

方針決定では、パッケージ候補を絞り、RFP(提案依頼書)を発行して、複数社から提案と見積もりを募ります。

また、経営層の「安く早く」と現場の「安全で確実」の食い違いを調整しながら、選定と契約に進みます。この段階は約1〜2ヶ月が目安です。

3工程を合わせた選定支援フェーズは、合計約4〜7ヶ月が標準的な目安です。RFP作成には、要件定義と並行して2〜4週間程度を見込みます。

導入PMOフェーズ:段階的実装への伴走と本稼働後の定着化フォロー

製品とベンダーを決めた後は、導入から定着までをPMOが伴走します。スケジュールには、次の期間を含めて計画します。

  • 段階的実装:規模に応じた中長期の実装で約6〜18ヶ月
  • 定着化フォロー:本稼働後に約6〜12ヶ月
  • ハイパーケア:本稼働直後の、稼働密度を高めた支援

リスクは、一度に切り替えるビッグバン方式と比べ、影響の小さい機能や部門から移すインクリメンタル方式で管理します。

構築の間は、PMOが進捗・品質・課題とベンダーを継続して管理します。

本稼働後は、運用監視体制の最適化や、現場担当者への教育(リスキリング)を進め、新しいシステムとガバナンスを組織に定着させます。定着化の期間を初期計画に含めておかないと、稼働後に追加の支援が必要になることがあります。

稼働直後は不具合対応や現場からの追加要望が集中しやすいため、PMOの関わりを厚くしておきます。業務の安定に合わせて、支援範囲を段階的に縮小する配分も計画します。

ポイント

選定支援は現状調査から契約まで、導入PMOは契約後の構築を支えます。両者をどこまで頼むかを選定の前に決めておくと、工程の期間を無理なく組めます。

納期を左右する要因と遅延対策

納期を守るために発注側が開始前に準備する要件と評価基準、意思決定体制、RFPの精度を3つのカードで示した図。
3項目をそろえると、比較や合意形成を進めやすくなります。

ERPコンサルが関わるプロジェクトでは、納期が遅れる原因の多くが、技術ではなく組織の合意形成の停滞にあります。

とくに大手企業や、部門間の調整が必要な中堅企業では、この課題が目立ちます。

経営と現場の乖離による合意形成の停滞

遅延の要因として最も多いのは、経営層と現場の方針のずれです。そのため、要件や評価基準の合意に時間がかかります。

  • 投資方針の違い:経営は投資をコストと捉えて「安く早く」、現場は現行踏襲で「安全で確実」を求める
  • 選定時の意見対立:複数候補の比較で、関係者の意見が割れる
  • RFPの曖昧さ:提案や見積もりの前提が揃わなくなる

認識の差が大きいと、社内向けの説明資料や根回しが増えます。ベンダー選定(調達)は、候補の比較で関係者の判断がそろいにくく、1〜2ヶ月かかる例も少なくありません。

要件があいまいなまま出すと、各社の見積もりは前提が食い違い、比較の前に確認作業が増えます。また、各部門が慣れた業務に近い候補を推す、いわゆる「部門エゴ」も表に出てきます。

経営層が優先順位を示さず、調整を現場に任せると、結論が出ないまま検討期間が延びるおそれがあります。

現実的なスケジュールを引くための発注側の準備

納期を守るには、発注側が開始前に要件、体制、RFPの3点を整えておく必要があります。

  • 要件と評価基準:経営層と現場で重視する点を事前に合意
  • 意思決定体制:判断を迅速に下せる責任者と体制を整備
  • RFPの精度:業務要件と将来の拡張方針を具体化

評価基準には、コスト、機能網羅性、拡張性、ベンダー実績などがあります。事前にすり合わせておくと、比較段階の意見対立を抑えられます。

経営層、情報システム部門、現場のキーパーソンをつなぐ責任者を置きます。選定を始める前に判断体制を整えておくと、確認待ちによる停滞を防げます。

具体的なRFPがあると、提案の質と比較のしやすさが高まり、選定も速く進みます。また、ERPコンサルに選定支援を頼めば、客観的な評価基準の設計と進行役(ファシリテーション)を外部の専門家に任せられます。

ポイント

納期が遅れる原因の多くは、組織内の合意形成の停滞にあります。評価基準の事前合意、判断できる責任者の配置、具体的なRFPを先に整えておくと、遅延を防ぎやすくなります。

まとめ

ERPコンサルは、製品選定と導入プロジェクトの推進管理を支援するもので、abasやEpicorなどの実装そのものは担いません。選定支援のみなら部門限定で2〜4ヶ月、全社刷新では4〜7ヶ月が目安です。

導入PMOを含む場合、段階的実装に6〜18ヶ月、定着化フォローに6〜12ヶ月を要します。複数拠点やグループ会社を対象にする大企業では、全体が1年〜数年になることもあります。

納期を守るには、評価基準の事前合意、迅速な意思決定体制、精度の高いRFPが必要です。

まずは、選定支援のみか、PMOまで一貫して頼むかを整理し、基幹システムの選定支援とプロジェクト管理の実績があるパートナーに相談しましょう。

▼全体ガイドの記事
・ERPコンサルの完全ガイド

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>

執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。