ERPコンサルは、自社が支援を必要とする工程を基準に、3つの種類から選びます。パッケージ選定から定着化まで、得意な範囲が会社ごとに異なるためです。
知名度や提案書の分かりやすさだけで決めると、必要な体制と合わないことがあります。選定後に別の会社へPMOを依頼し直す場合もあります。
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ERPコンサル依頼前に整理する自社の課題
コンサル会社の一覧を集める前に、社内の担当者が自社で不足している部分を特定します。対象は、パッケージ選定と要件定義、ベンダー交渉、導入プロジェクト管理です。
特定した課題を一文で言えるようになると、比較の対象に入れるべき会社のタイプと、依頼しなくてよい範囲が見えてきます。
候補選定と推進管理の課題の切り分け
複数のERPパッケージやベンダーの提案を横並びで比べられていない場合は、選定支援そのものが課題です。一方で、選定が進んでいても、社内に推進できる人材がいないこともあります。ベンダーとの調整や日程管理に不安がある場合は、PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)機能の不足が課題です。
この二つを混同したまま依頼先を探すと、選定支援を得意とする会社にPMO常駐を依頼してしまうなど、期待とのずれが生じかねません。課題を切り分けるには、社内の担当者に「いま止まっている作業は何か」を具体的に挙げてもらうのが有効です。
候補パッケージの機能差を資料だけで判断できなければ、選定支援が向いています。ベンダー決定後の予算や日程を管理できなければ、PMO支援が候補になります。両方が同時に不足している場合は、後述する伴走フルサポート型を検討する余地があります。
経営層と現場の意見対立を調整する第三者の力
経営層はコストと期間の短縮を優先し、現場は現行業務の継続を優先するという対立は、ERP選定プロジェクトでよく見られます。この対立が続くと、パッケージ選定より前に、社内の合意形成が停滞します。
そのため、ERPコンサルには機能比較だけでなく、経営層と現場をつなぐ力も求められます。たとえば、シミュレーションや影響範囲を示して、合意形成を進められるかを確認します。
ERPコンサルの3つの種類

主な種類は、選定支援特化型、PMO常駐型、選定から定着化までを担う伴走フルサポート型の3つです。実際の会社は複数の特徴を併せ持つため、分類名より、自社が最も重視する工程をその会社が主な領域としているかを確かめます。
選定支援特化型
現状アセスメントからFit&Gap分析まで、評価基準の確立、RFP作成、ベンダー比較を主な領域とするタイプです。選定完了後の導入実装やPMOは、ベンダーやSIerに引き継ぐ前提で契約するケースが多いため、比較的短期(4〜7ヶ月程度)で契約が完了する傾向があります。
まだどのパッケージにするか決まっていない企業や、複数ベンダーの提案を客観的に評価したい企業に向いています。
PMO常駐型と伴走フルサポート型
PMO常駐型は、パッケージ選定が済んだあとの導入プロジェクトに常駐し、ベンダーやSIerとの調整、進捗・リスク管理、経営層への報告を担います。すでに選定を終えた企業や、社内にプロジェクトマネジメントの経験者が少ない企業に適しています。
伴走フルサポート型は、現状アセスメントからPMO、定着化フォローまでを一社で一貫して担います。選定と実装の間で情報が途切れる懸念を減らせる点が特徴です。ただし、対応範囲が広い分、契約期間も長くなりやすいため、費用の見積もり方法をあらかじめ確認しておく必要があります。
依頼先を比較する7つの評価軸
候補会社は、実績や体制、費用などの側面から比べます。同じ質問を各社に示し、回答の根拠をそろえることが欠かせません。
- 実績と中立性:業種や業務領域での経験と、特定ベンダーとの関係の有無
- 体制と成果物:担当者のスキルや報告方法、成果物のサンプル
- 費用とフォロー:契約形態、稼働率、工数、安定期までの支援の範囲
実績・体制・費用の観点で比べると、提案書の見た目ではなく、実務への適合度を見極められます。
実績・中立性・体制の確認
まず、自社と近い業種・規模・業務領域でのプロジェクト経験があるかを確認します。同じ「ERPコンサル」でも、製造業の生産管理に強い会社と、会計・人事領域に強い会社では、評価できる範囲が異なります。
自社は、特定ベンダーとのリセラー契約や提携関係の有無を確かめ、完全独立系なのか、一部に提携先を持つのかを把握します。
さらに、体制面では、実際に配置される担当者の経験年数や、複数案件を掛け持ちしていないかも確認します。提案時に登場した優秀な担当者が、契約後は別の若手に交代することも珍しくありません。
成果物・費用・フォロー範囲の確認
各社の説明は、実績の裏付けや体制の実名を示してもらったうえで評価します。たとえば、RFPや評価表、Fit&Gap一覧といった成果物のサンプルで、内容が具体的に書かれているかを確かめます。証拠が示せない項目は保留にし、印象だけで点数をつけないようにします。
契約形態と費用は、準委任契約を前提に相場観を確かめます。一般的なコンサルタントは月額150万〜200万円程度ですが、高度な専門知識を持つシニアは月額200万〜300万円以上です。稼働率や工数の算定根拠も示してもらいます。
コミュニケーションの頻度や報告の形式が、自社の意思決定のサイクルに合うかも確認します。稼働後のフォロー範囲では、本稼働後のハイパーケア期間から安定期にかけて、稼働率を段階的に下げる設計になっているかを見ます。
独立系・SIer系・会計事務所系ファームの選び分け

純粋な中立性を重視するなら、独立系ファームが第一候補です。導入後のシステム開発まで一体で任せたいならSIer系が、会計・税務まわりの整合性を重視するなら会計事務所系が適しています。
どのタイプにも一長一短があるので、自社が何を最優先するかに応じて使い分けるのが実務的です。
独立系とSIer系の判断基準
独立系ファームは、特定ベンダーの販売やシステム開発を行わない前提のため、比較評価の中立性を重視する企業の候補になります。ただし、選定後の実装は別の会社へ改めて発注することになり、選定時の要件や評価根拠を実装担当へ正確に引き継ぐ工程が別途必要です。
SIer系は、選定から実装までを同じグループ内で進めやすいタイプです。一方で、自社グループの得意な製品や開発体制に寄っていないかは、見極める必要があります。提案の背景にある損得構造を理解したうえで話を聞くことが、判断の分かれ目になります。
会計事務所系の強みは経理・税務との整合性
会計事務所や監査法人系のコンサルティング部門は、決算業務や税務、内部統制との整合性を踏まえたERP選定に強みを持つ傾向があります。経理・財務の要件が複雑な企業では、会計・監査の観点が役立ちます。
上場準備や内部統制対応と並行する場合も、助言を受けられます。なお、生産管理や物流など会計以外の業務領域では、独立系やSIer系のコンサルタントと役割分担する体制を検討したほうがよい場合もあります。
RFP作成とコンペ・PoCの進め方
依頼先を決めるコンペでは、実際の業務課題にどこまで踏み込んだ回答が返ってくるかに注目します。可能であれば、契約前に小規模なトライアル(現状アセスメントの一部だけを依頼するなど)を行い、実務レベルの相性を確かめます。
RFPに記載する現状の課題と求める成果物
コンサル会社向けのRFPには、対象範囲と現行システムの概要を書きます。あわせて、業務上の課題、想定スケジュール、経営層が重視する評価基準も示します。
求める成果物は、現状分析レポートや評価基準表などです。また、RFPドラフト、Fit&Gap一覧、PMO報告書の頻度も明示します。
要件は「必須」「望ましい」の2段階に分けておくと、対応可否が分かれた際にも判断しやすくなります。
小規模トライアルで見る実務の相性
本契約の前に、現状アセスメントの一部や既存資料をもとにした簡易的な評価基準の設計だけを、有償の小規模トライアルとして依頼できないか相談する方法もあります。トライアルでは、担当コンサルタントが自社の業務説明をどこまで正確に理解し、質問の質がどの程度深いかを見ます。
段階を踏む場合は、RFI/RFPの提案評価から、実機デモによるFit&Gap分析へ進めます。サンドボックスでのPoCへ進む場合は、各段階の合格条件を確認します。また、コンサル側が条件を具体的に示せるかどうかも、実務経験の材料になります。
トライアルを設定できない場合は、過去の類似案件を確認します。匿名化した現状分析レポートや評価基準表の実物を見せてもらうと、画一的な資料だけの会社と、案件ごとに評価軸を設計する会社とで差が出ます。
ERPコンサル選定の失敗を避ける方法

よくある失敗は、発注側が提案書の内容と実際に配置される担当者のスキルを確かめないまま契約し、プロジェクトの開始後に力量不足が分かることです。そこで、依頼目的と社内の責任者を明確にし、経営層・現場・情報システム部門それぞれの視点を選定プロセスに反映します。
提案書の見栄えと知名度に頼った判断
大手コンサルティングファームでも、自社に合う実績があるとは限りません。一方で、小規模なファームでも、特定業界のERP選定に強ければ理解が早い場合があります。
必須要件(実績・中立性・体制)を満たさない会社は除外し、残った候補を費用とフォロー体制で比べます。候補を確認する場合は、ERPコンサルのパッケージ・クラウド製品一覧も参照できます。
社内の役割分担と責任範囲の明確化
ERPコンサルは、意思決定の材料を整理して推進を支援する立場で、最終的な選定判断や社内調整の責任は社内で持つ必要があります。そのため、社内で経営層への説明責任者、現場の窓口、ベンダーとの交渉者を決めておきます。役割が曖昧だと、提案がまとまっても社内の意思決定が進みません。
削減できる期間やコストの見込みは、コンサル側の一般的な数値を前提にせず、自社の現状アセスメント結果に基づいて具体的に算出してもらうことが重要です。契約範囲を最初から選定からPMOまで一括で決め切ろうとすると、失敗の原因になります。一つの進め方として、まずは現状アセスメントと評価基準の確立までを契約し、その成果物の質を見てからPMOフェーズを続けるかを判断できます。
フェーズを分けて契約すれば、途中でコンサル会社の力量に疑問を感じた場合にも、大きな損失を出さずに軌道修正しやすくなります。
ERPコンサル導入前に確認しておきたいポイント
候補を絞ったあとも、契約範囲、費用の考え方、成果物の質を確認しておくと、契約後に「思っていた支援と違った」という事態を避けられます。
中堅・中小企業にとっての依頼価値
企業規模の大小よりも、社内にパッケージ比較やプロジェクト推進の経験者がいるかどうかで判断します。経験者が少ない場合、選定を誤ると数年単位の投資が無駄になりかねません。そのため、規模が小さくても、スポットでの選定支援を依頼する価値はあります。
すでに導入するパッケージが確定し、実装ノウハウだけが必要な場合は、そのパッケージに強いベンダーやSIerへ直接相談するほうが適切なこともあります。
SIer系の中立性の個別確認
SIer系であっても、必ずしも自社グループ製品へ誘導するとは限りません。ただし、提案の背景に何らかの利害関係がないかを確認する姿勢は必要です。
発注側は、提案の根拠となったデータや比較基準の開示を求め、他の独立系ファームの評価と突き合わせると、偏りの有無が見えてきます。
トライアルで見る質問の深さと成果物の具体性
小規模なトライアルを依頼できる場合は、担当コンサルタントが自社の業務説明をどれだけ正確に理解しているかを見ます。表面的ではない質問が返ってくるかも、あわせて確認します。
成果物については、一般論に終わらず、自社の現状に即した具体的な記載になっているかを見ます。この確認が、契約後のミスマッチを防ぐことにつながります。
まとめ
ERPコンサルの選定では、まず支援が必要な工程を特定します。そのうえで、選定支援特化型、PMO常駐型、伴走フルサポート型から方向性を選びます。次に、7つの評価軸で候補を比べ、自社に合う2〜3社まで絞り込みます。
可能であれば、小規模なトライアルで実務レベルの相性も確認します。独立系・SIer系・会計事務所系のどれを選ぶかは、知名度よりも、中立性をどこまで重視するか、実装まで一体で任せたいか、会計・税務との整合性が課題かによって判断します。
自社独自の業務要件や、選定後の基幹システムとの深い連携は、既存の依頼先では対応しきれない場合があります。そうした場合は、個別の要件整理や開発を組み合わせる方法も選択肢になります。
riplaは、フルスクラッチ開発の立場から、ERPコンサル選定前の要件整理を支援します。選定後は、基幹システムと既存システムをつなぐ連携にも対応し、独自業務に合わせた個別開発まで行っています。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
