基幹システム/ERPのモダナイゼーションのパッケージ/クラウド製品一覧

モダナイゼーションの候補は、大きく4つの形態に分かれます。SAP純正の移行プログラムやデータ移行専門ベンダーによる移行支援、延命サービス、移行先のクラウドERPやパッケージです。形態ごとに関わり方が異なるため、自社に合う形態を先に選ぶと、6つの候補を比べやすくなります。各テーマの詳細は関連記事もご覧ください。

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・基幹システム/ERPのモダナイゼーションの完全ガイド

基幹システム/ERPのモダナイゼーションにおける提供形態の違い

SAP純正の移行プログラム、データ移行専門ベンダー、延命サービス、移行先クラウドERP・パッケージの4形態を並べた図解。
選ぶ形態によって、検討する対象が分かれます。

既存のSAP環境を刷新する移行プログラムがある一方で、データ移行専門ベンダーや延命サービス、移行先のクラウドERPやパッケージもあります。関わり方や検討事項は形態ごとに異なるため、先に違いを押さえておくと、後の比較がスムーズです。

各アプローチの基本的な考え方は、基幹システム/ERPのモダナイゼーションとは?考え方・特徴・仕組み・目的を解説で解説しています。前提として確認しておくと、以降の比較を読み解く助けになります。

SAP純正の移行プログラムとデータ移行専門ベンダー

既存のSAP ECC環境を刷新する場合は、SAP自身の移行プログラムを中心に検討する企業が多くを占めます。一方で、S/4HANA移行のうちブルーフィールド(選択的データ移行)を専門に手がけるベンダーを組み合わせる方法もあります。この方法では、既存カスタマイズとデータの取捨選択を細かく進められる場合があります。

延命サービスと移行先クラウドERP・パッケージ

サードパーティサポートで既存システムを延命し、モダナイゼーションの着手時期を計画的に遅らせる方法もあります。一方、独自の基幹システムやSAP以外のERPを刷新する場合は、中小企業向けクラウドERPや国内のプライベートクラウド型パッケージが候補になります。ただし、どの選択肢を組み合わせるかは、自社システムの現状と着手可能な時期を踏まえて判断する必要があります。

ポイント

既存のSAP環境を刷新するのか、独自基幹システムを移すのかで、見るべき形態は変わります。最初に形態の見当をつけてから製品を比べると、迷いが減ります。

製品・サービスを比較するときの共通軸

製品・サービスの共通比較軸として、対応範囲、データ移行支援力、法改正対応、料金体系、契約条件を配置した図解。
共通の観点をそろえると、候補ごとの差を確認できます。

自社の状況に合うかを見極めるには、紹介ページの機能一覧だけでなく、候補を比べるための観点が要ります。比べる軸は、対応範囲とデータ移行支援力、法改正対応のほか、料金体系と契約条件の5つです。観点は共通の質問に置き換え、どの候補にも同じ質問を投げかけます。そうすると、候補ごとの差が見えてきます。

対応範囲とデータ移行支援力の比較

対応範囲と移行支援は、提供内容によって追加作業の量が大きく変わります。そこで、追加作業を見極めるために、次の4つの観点で各候補を確認します。その差は、回答の根拠と動作確認の両面から確かめられます。

  • 対応範囲:既存カスタマイズ、標準機能、リハーサル、保守のどこまでが標準に含まれるか。
  • 移行支援:たとえば、自動変換ツールか個別マッピング開発かで、負担が変わります。
  • 回答の根拠:公式ページや見積書に記載を残し、裏付けのない項目は保留にします。
  • 動作確認:「対応可能」の根拠が不明なら、デモやPoCで確かめて、契約後の認識違いを防ぎます。

法改正対応と契約条件

2027年問題やインボイス制度、電子帳簿保存法への追随方針は、ベンダーやサービスごとに一つずつ確かめる必要があります。また、契約期間や解約条件、他社サービスへ乗り換える際のデータ持ち出し可否は、契約前に明文化しておくことが望まれます。

ポイント

候補ごとに同じ質問を投げ、回答に根拠が残っているかを基準にすると、紹介ページの見栄えに引きずられにくくなります。根拠のない項目は、デモで確かめてから判断してください。

基幹システム/ERPのモダナイゼーションに関わる主要6製品・プログラム

ここでは、2026年7月時点で現行の公式ページと提供内容を確認できた6製品・プログラムを紹介します。掲載順は優劣を示すものではありません。SAP純正プログラムとデータ移行専門ベンダー、延命サービス、移行先ERPでは性質が異なるため、自社の状況に照らして比べます。

RISE with SAP

RISE with SAPは、既存SAP環境を包括的に刷新する移行プログラムです。構成、導入事例、支援範囲の3点で、自社の刷新に合うかを見極めます。

  • 構成:クラウドインフラ運用、S/4HANA、SAP Business Technology Platformを含みます。
  • 導入事例:テスト時間86%削減、見積もりから現金化までのシナリオ97%短縮が報告されています。
  • 支援範囲:既存カスタマイズの洗い出しから移行後の運用まで、一気通貫の支援を求める企業に向く候補です。

料金は個別見積もりです。そのため、対象範囲と現在の環境を伝えて、見積もりを取得します。

SAP Cloud ERP Private

SAP Cloud ERP Privateは、移行方式や運用条件を踏まえ、既存環境の引き継ぎやすさと運用負荷の両面から自社に合うかを見極めます。

  • 製品:旧SAP S/4HANA Cloud, Private Editionのプライベートクラウド型S/4HANA環境です。
  • 既存環境:既存カスタマイズを引き継ぎやすい点があります。
  • 移行・運用:ブラウンフィールド型移行を中心に、クラウドで負荷を軽減したい企業の候補です。
  • 料金:個別見積もりです。
  • 更新:2025年10月に最新リリースが公式に案内され、継続的に機能更新されています。

SNP Group(Selective Data Transition)

SNP Groupは、グリーンフィールドやブラウンフィールドとは異なる、ブルーフィールド(選択的データ移行)の専門ベンダーです。自動車や製造業、小売、ユーティリティなどの業界で、S/4HANA移行の一部データや設定の選別移行を支援します。

資産を全面的に作り直す方法や丸ごと引き継ぐ方法と比べると、必要な部分だけを選んで移行したい企業の候補になります。また、料金は個別見積もりです。

Rimini Street

Rimini Streetは、SAPやOracleを含む既存基幹システムに対して、ベンダー保守に代わるサードパーティサポートを提供します。延命の訴求内容、候補になる企業の条件、料金の扱いから位置づけを確かめます。

  • サービス:Rimini SupportやRimini ManageなどでERPを延命し、高額なアップグレードや移行を先送りできると訴求しています。
  • 候補:2027年問題の期限が迫るなか、着手前の時間確保を望む企業の比較対象になります。
  • 料金:個別見積もりです。

Microsoft Dynamics 365 Business Central

Microsoft Dynamics 365 Business Centralは、中小規模企業向けのクラウドERPです。独自基幹システムやSAP以外のERPを刷新する際の候補になります。

  • 主な機能:財務、販売、サービス、業務管理を統合します。
  • 連携:AIエージェント機能や、Microsoft 365との接続があります。
  • Essentials:2026年7月時点で月額11,994円/ユーザーです。
  • Premium / Team Members:月額16,491円/ユーザー、月額1,199円/ユーザーです。

いずれも年払い・税別です。最新の価格と条件は、契約前に公式サイトで確認してください。また、30日間の無料試用もあります。

OBIC7クラウドソリューション

OBIC7クラウドソリューションは、国内で広く使われるOBIC7シリーズを、顧客専用のプライベートクラウドで提供します。さらに、Tier4相当のデータセンター、多重化構成、複数世代バックアップを備えており、短期間での利用開始をうたっています。

国内の基幹システムをプライベートクラウド型パッケージへ刷新したい企業の候補です。一方、料金は公式サイトに記載がなく、個別の問い合わせが必要です。

自社の状況別に候補を絞る方法

6候補を一度に細部まで比べるより、自社の状況を定めて必須要件で絞るほうが効率的です。状況によって適した候補は異なるため、場面ごとに見ていきます。

既存のSAP環境を刷新する場合の候補

SAP ECC環境の刷新では、RISE with SAP、SAP Cloud ERP Private、SNP Groupを中心に検討します。既存カスタマイズをどこまで引き継ぐかで候補を絞り、ブラウンフィールド寄りならSAP Cloud ERP Private、選択的移行ならSNP Groupを検討します。

全体の移行を一括で任せたい場合は、RISE with SAPを組み合わせるかどうかも検討します。

着手時期の調整と独自基幹システムの刷新に向く候補

2027年問題への対応時期を計画的に遅らせたい場合は、Rimini Streetのサードパーティサポートが候補になります。一方、SAP以外の独自基幹システムを刷新する場合は、中小規模ならMicrosoft Dynamics 365 Business Centralが候補です。

国内のプライベートクラウド型パッケージを希望する場合は、OBIC7クラウドソリューションが検討対象になります。

ポイント

必須要件を先に決めておくと、候補は2〜3に絞れます。既存SAPの刷新か、着手時期の調整か、独自基幹システムの移行かを、最初の分岐にしてください。

料金・契約前の確認事項

公開価格だけで選ぶと、移行範囲や法改正対応で想定外の費用が生じる場合があります。そのため、移行支援や教育、運用、将来の乗り換えまで含めた総保有コストで判断します。

費用が発生する対象

SAP移行プログラム、データ移行ベンダー、延命サービスの多くは個別見積もりです。費用は、対象システムの規模やカスタマイズ範囲によって変わります。

一方、移行先クラウドERPは、ユーザー数やモジュール数に応じた月額課金が中心です。そこで、現在と数年後の想定規模を伝え、初期費用や移行支援、教育、サポートを同じ条件で見積もってもらいます。

契約書で確かめるデータ保持・法令対応・乗り換え条件

基幹システムは会計や人事などの重要データを扱うため、権限管理や操作ログ、バックアップ、障害時の復旧体制を確かめておきます。委託先とデータ保管場所を含め、契約終了時にデータを受け取れる形式を契約前に明文化しておけば、将来の選択肢を残せます。

ポイント

個別見積もりの製品は、対象の規模とカスタマイズ範囲をそろえて依頼します。月額課金の製品は、ユーザー数と数年後の想定規模を先に伝えると、見積もりを比べやすくなります。

デモとPoCによる最終候補の絞り込み

デモ・PoCで確認するデータ移行リハーサル、機能等価性、業務サイクル、導入効果の実測を並べたチェックリスト図。
業務上の重要な処理から確認対象を定めます。

資料比較で2〜3候補まで絞ったら、実データと業務シナリオを使ったデモまたはPoCに進みます。

  1. 実データの一部を使ったデータ移行リハーサルを行います。
  2. 新旧システムの処理結果を突き合わせ、機能等価性を確かめます。

担当者だけでなく、経理や生産、情報システムなどの関係部門にも参加を調整すると、導入後の行き違いを減らせます。

データ移行から機能等価性までの確認

正常処理だけでなく、会計の締め処理や生産計画の切り替えも対象に含めます。そのうえで、業務サイクルに応じた並行稼働を設計し、本番移行時の想定外を減らします。

導入効果の実測と稟議での活用

PoCの前に、保守費用や法改正対応の工数、システムトラブルの頻度を記録し、PoC後の想定値と比べます。他社事例は参考にとどめ、自社の件数と人件費から削減見込みを算出します。そうすると、投資判断の説得力が高まります。

ポイント

PoCで何を確かめるかは、会計の締め処理のように止まると困る業務から決めると焦点が定まります。関係部門と優先順位をそろえておくと、評価の食い違いも減ります。

基幹システム/ERPのモダナイゼーション製品比較で押さえておきたいポイント

知名度やおすすめ順位だけでなく、自社の現状と着手時期を同じ条件で比べることが大切です。判断が分かれやすい点を、次の3点で確かめます。

SAP以外の基幹システムへの応用

提供形態の切り分けや移行支援力、総保有コストの比較は、SAP以外の独自基幹システムにも応用できます。ただし、移行先の候補は、自社のシステムに合わせて別途検討する必要があります。

延命サービスによる刷新の先送りと安全性

一時的な選択肢としては有効ですが、サードパーティサポートは既存システムの寿命を延ばす手段で、恒久的な解決にはなりません。そのため、最終的には刷新が必要という前提を関係者と共有し、延命期間中に移行計画を具体化します。

状況によって変わるおすすめの製品・サービス

候補はSAP刷新、着手時期の調整、独自基幹システムの移行先選定ごとに異なります。そのため、全企業に共通する1位はありません。

必須要件で2〜3候補に絞り、同じシナリオのデモまたはPoCで比べます。

まとめ

候補は、SAP純正の移行プログラムからデータ移行専門ベンダー、延命サービス、移行先クラウドERP・パッケージまでにまたがります。6候補には、包括刷新、選択的データ移行、寿命延長、移行先の標準機能提供など、役割の違いがあります。

自社の状況診断から2〜3候補への絞り込み

まず、自社がSAP刷新、着手時期の調整、独自基幹システムの移行先選定のどれに当たるかを明確にします。そのうえで、対応範囲や移行支援、法改正対応、料金体系を同じ質問で比べると、知名度に左右されずに候補を絞れます。

実データを使ったPoCでの最終確認

導入前に、PoCで自社業務に即した確認を行います。

  • 移行リハーサル:自社の会計・生産データを使った試行。
  • 機能等価性:新旧システムの処理が同じ結果になるか。
  • 独自要件:SAP純正プログラムやクラウドERPで対応しきれない要件が残るかどうか。

対応しきれない要件が残る場合は、riplaがフルスクラッチで不足機能の整理や既存システム連携を含む個別構築を支援します。具体的な選定の進め方は、基幹システム/ERPのモダナイゼーションの選定ポイント・選び方・種類もご覧ください。

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株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。