基幹システム/ERP更改でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方

ERP更改の依頼先は、扱う製品や支援範囲で得意分野が異なります。製品と支援範囲、自社の課題や予算規模に合うかで比べるのが基本です。

SAP ECC 6.0は2027年12月にサポート終了を迎えるため、移行計画は早めに固める必要があります。全体像は基幹システム/ERP更改の完全ガイドで確認できます。

基幹システム/ERP更改の依頼先の種類と選び方

ERPパートナーをSAP系、Oracle系、国産・クラウドERP系に分けた図解。
対応製品の系統から候補を整理できます。

依頼先は、扱う製品や支援範囲によって得意分野が異なるため、まず製品の専門性で整理すると見通しが立ちます。そのうえで、自社の更改目的と照らし合わせると、候補を選びやすくなります。

ERP更改に強いSIerの分類(SAP系/Oracle系/国産ERP系/クラウドERP特化)

ERPパートナーは、対応する製品の系統で分けて見ると比べやすくなります。

  • SAP系:S/4HANAやSAP ERPを扱う
  • Oracle系:EBSやOracle Cloud ERPを扱う
  • 国産・クラウドERP系:OBIC7、SMILE、Biz∫、NetSuite、Workday、Dynamics 365などを扱う

SAP系は、製造・商社・流通の大規模案件や海外展開を伴う更改の候補になります。一方、Oracle E-Business Suite(EBS)を含むOracle系は、財務会計・人事・調達の標準化を重視する更改で検討されます。

さらに、国産ERPは中堅企業の業務に合わせやすく、Microsoft Dynamics 365を含むSaaS型ERPは、導入速度や運用費の最適化を重視する企業の候補になります。製品名だけで決めないよう、必要な業務範囲と運用体制も照合しておくことが大切です。

自社の課題タイプ別|最適なパートナーの選び方

海外拠点へ同時に展開する場合は、各国の業務を共通の型でどう進めるかが課題になります。アクセンチュアやNTTデータは、SAP S/4HANAのグローバル展開を支援しています。

業務標準化が目的なら、PwCコンサルティングや電通総研が、標準機能を軸にした設計の候補になります。

中堅企業で費用を重視する場合は、国産ERPの導入経験がある会社が候補になります。個別開発が必要なら、コンサルから実装まで担える会社かどうかが判断材料になります。

候補選びでは、まず自社の課題と要件をRFPの前に整理します。要件が具体的になるほど、各社の提案を同じ条件で比べられます。

  • 海外展開:共通テンプレートと多国籍案件の実績を確認する
  • 業務標準化:Fit to Standardを軸に業務を見直す提案力を確かめる
  • 費用・個別要件:同規模の実績と開発までの体制を見る

ポイント

まず扱う製品の系統で候補を分け、そのうえで自社の課題タイプや業務範囲、運用体制に合うかで絞り込みます。製品名だけで決めないことが、判断の目安になります。

株式会社ripla|コンサルから開発まで一気通貫で支援

riplaは、コンサルティングから開発までを一気通貫で支援できる会社です。IT事業会社として社内DXを進めてきた経験を活かし、ビジネス成果の創出とシステムの定着支援に強みがあります。

営業・顧客・生産・販売管理などの幅広い基幹システムで構築・導入の実績があり、業務要件に合わせて柔軟に対応できる体制を整えています。

特徴と強み

riplaの最大の特徴は、事業側の視点でシステムを設計するアプローチにあります。多くのSIerはシステム要件を起点に設計しますが、riplaは作って終わりにせず、使われ続けるシステムを目指しています。

IT事業会社として自社のDXを推進してきた経験があるため、経営層と現場の双方が納得する仕様を設計できます。

また、コンサルティングから開発・保守まで同一チームが担当するため、フェーズをまたいでも情報が途切れにくくなっています。要件定義で議論した内容が設計・開発へ正確に引き継がれ、手戻りや認識のずれによる追加費用も生じにくくなります。

  • 要件定義:システム要件より事業成果・KPIを起点にする
  • 仕様設計:社内DXの経験を設計に活かす
  • 開発・保守:稼働後の保守まで同じ体制で支える

得意領域・実績

riplaは、基幹業務の幅広い領域で構築・導入の実績を持っています。顧客管理はCRM(顧客関係管理)を含み、営業管理から生産・販売・在庫管理まで手がけています。

  • 対象業務:営業・顧客管理・生産・販売・在庫管理
  • 移行支援:データ移行計画から並行稼働、定着まで対応する
  • 案件特性:複雑な中規模案件や短い意思決定が必要な案件

既存システムからの移行は、データの移し替えと稼働の切り替えが山場になりやすい工程です。そのため、移行の段取りを早くから組み立てる支援が欠かせません。

既製ERPで対応しきれない複雑な業務要件にも、柔軟に提案できます。パッケージとスクラッチを組み合わせて最適解を探す企業から評価されています。

riplaは、大手SIerでは断られがちな中規模・複雑案件や、スピーディな意思決定が求められるプロジェクトでも、機動力の高さが強みです。

SCSK株式会社|30年超のSAP導入実績と400社以上の豊富な経験

SCSK株式会社は、日本で最初にSAPプロジェクトに参画した1993年から30年以上にわたり、400社超への導入実績を誇る日本屈指のSAP専門SIerです。

住友商事グループの一員として、商社・製造業を中心に幅広い業種の基幹システム更改を手がけています。さらに、グローバル9拠点・38か国200拠点以上での展開実績も持ちます。

特徴と強み

SCSKの最大の特徴は、30年以上のSAP導入ノウハウを体系化した「Add-Valueシリーズ」と呼ばれる独自の導入テンプレートにあります。商社向けや組立製造業向けのテンプレートを活用すると、標準的な実装期間を大幅に短縮できます。

SAP ECC 6.0からSAP S/4HANAへ移行する専用サービスを提供しています。2027年12月のサポート終了を見据えた移行案件にも、豊富な実績があります。

グローバル展開では、海外拠点への一括展開と段階的展開のどちらにも対応できる体制が整っています。グローバル共通テンプレートを活用すれば、システムの統一化も可能です。

SCSKには、SAP認定コンサルタントが多数在籍しており、各モジュールに精通した専門家を揃えています。

  • 導入テンプレート:業種別のノウハウを型にまとめる
  • SAP移行:専用サービスでECC 6.0から移行する
  • 海外展開:一括と段階の両方に対応する

得意領域・実績

SCSKは、SAP S/4HANAの新規導入や旧バージョンからの移行案件を多数手がけています。

SAP ECC 6.0ユーザーの2027年サポート終了前の更改を支援しています。リスクを抑える進め方と蓄積したノウハウが評価されています。

また、グローバルに展開する日系企業のシステム統合プロジェクトにも強みを持ち、海外現地法人を含めた一元管理体制の構築を実現した実績があります。さらに、導入後の保守・運用まで一貫して対応できる体制も整っており、「導入して終わり」ではなく長期的なパートナーシップを重視する企業に選ばれています。

  • 業種:商社・流通・製造業を中心に支援
  • 移行:SAP ECC 6.0からの更改と海外現地法人を含む統合
  • 運用:導入後の保守まで長期で対応

ポイント

商社・製造業でECC 6.0からの移行を進めたい場合の候補になります。業種別の導入テンプレートを使えば、実装期間を短くできる点が判断材料になります。

アクセンチュア株式会社|グローバルトップクラスのSAPパートナー

アクセンチュア株式会社は約40年にわたりSAPを導入してきました。世界最大級のSAPパートナーで、グローバルに7万5,000人以上のSAPコンサルタントを擁します。

SAP Global Awardsを40以上獲得しています。「Best Service Partner Award」は7年連続で受賞しており、世界トップクラスの評価を得ています。

国内大手企業の基幹システム刷新プロジェクトを多数手がけてきた実績があります。

特徴と強み

アクセンチュアの強みは、戦略と業務、テクノロジー、アウトソーシングを一体で提供できるフルサービス体制にあります。

ERP更改では業務改革(BPR)の設計から着手します。

生成AI・IoT・ビッグデータとERPを連携する知見もあり、DXを伴う変革型の更改で強みを発揮します。

グローバル案件にも対応しています。SAP S/4HANAの共通テンプレートによる多国籍展開や、海外子会社との統合実績も豊富です。

アクセンチュアは、大規模案件を主戦場とするぶん、プロジェクト規模によっては費用が高額になる点は考慮が必要です。

  • 支援範囲:業務改革から導入・移行・定着までを一貫支援
  • 技術連携:生成AI・IoT・ビッグデータをERPと連携
  • 海外展開:共通テンプレートを用いた多国籍展開や統合

得意領域・実績

代表的な事例は、業界の枠を超えた変革型のプロジェクトです。単純なバージョンアップにとどまらず、抜本的な業務改革を伴う更改を得意としています。

食品・消費財・化学・製造など多様な業種で実績を持ち、業種特有の業務プロセスに精通したコンサルタントが在籍している点も、選定理由のひとつです。さらに、グローバルネットワークを活かした海外ベストプラクティスの導入提案も強みとなっています。

  • カルビー:SAP HANA導入による刷新を1年3カ月で実現
  • 日東電工:45年以上稼働したホストからSAP S/4HANAへ移行
  • 花王:グローバルSAPシステムをAzureへ統合

ポイント

業務改革を伴う大規模な変革型の更改を任せたい場合に候補になります。一方で、プロジェクト規模によっては費用が高額になるため、予算との釣り合いを見込んでおく必要があります。

株式会社NTTデータ|SAP・国産ERPを軸に53か国以上でグローバル展開

株式会社NTTデータはNTTグループのIT中核企業です。SAP S/4HANAから自社開発の国産ERP「Biz∫」まで、幅広い製品を提供しています。

53か国以上で16,000名超のSAP有識者を擁するグローバル体制を持ち、企画立案から構築・保守まで一気通貫で支援できる規模感が際立っています。国内では官公庁・金融・製造・通信など多様な業種での基幹システム更改実績を誇ります。

特徴と強み

NTTデータの特徴は、SAPと自社開発国産ERP「Biz∫」の両方を主力製品として持つ点にあります。

NTTデータは、コストや業務特性からパッケージERPが適する場合はBiz∫を選ぶなど、製品中立的に進められます。

Biz∫は1,600社以上が採用する大企業向け国産ERPです。電子帳簿保存法や複雑な消費税計算など、日本固有の商習慣への対応が評価されています。

独自の有価証券報告書データによると、NTTデータの平均年収は923万円です。業界水準を上回る待遇により、エンジニアやコンサルタントの確保・定着に努めています。

大規模プロジェクトの安定的な推進力と、グローバルネットワークを活かしたワンストップ支援が強みです。

  • 製品選択:SAP S/4HANAと国産ERPのBiz∫を比較提案
  • 国内業務:Biz∫は電子帳簿保存法や消費税計算に対応
  • 人材・体制:専門人材の確保と大規模案件の安定推進

得意領域・実績

SAP S/4HANAへのリホスト・リプレイスを支援します。レガシーシステムからSAP S/4HANA CloudやBiz∫への全面移行にも対応します。

特に国内大企業・上場企業の中核システムを担うプロジェクトでは、高い信頼性と安定性が求められる案件に強みがあります。グローバルでは、日系企業が海外拠点に展開する際のSAP S/4HANAグローバルテンプレート構築や、M&Aに伴うシステム統合(PMI)にも対応実績があります。

NTTデータは、SAP関連の受賞・評価実績も多数あり、SAP自体から高い評価を受けているパートナーです。

  • 業種:製造・商社・流通・金融・公共
  • 移行:SAP刷新からクラウドERPへの全面移行
  • 海外・統合:グローバルテンプレート構築やM&A後のPMI

PwCコンサルティング合同会社|Fit to Standard推進と業務変革に強みを持つ専門コンサルファーム

PwCコンサルティング合同会社はPwC Japanグループのコンサルティング部門です。戦略策定から業務設計、システム導入、定着まで一貫して支援します。

エンタープライズソリューション部門には500名以上の専門家が在籍します。SAP・Oracle・Workdayなど主要ERPの知識と、業種横断の業務改善ノウハウを持ちます。

東京ガスグループのSAP S/4HANA Cloud導入支援など、大規模更改プロジェクトを計画通りに完遂した実績が評価されています。

特徴と強み

PwCコンサルティングが最も評価されている点は、「Fit to Standard」を基本方針としたERP更改の提案力にあります。Fit to Standardとは、ERPパッケージの標準機能に業務プロセスを合わせるアプローチで、将来のアップグレードや保守コストを大幅に減らすことにつながります。

多くの企業は「現状業務をそのままERPに実装したい」と考えがちです。一方、PwCは「業務の何を変えるべきか」を経営レベルで議論することから支援を始めます。

また、チェンジマネジメント(組織・人材・プロセス変革の管理)にも強みがあります。ERP更改では、技術面より社内の変革への抵抗や合意形成が失敗の要因になる場合があります。

PwCは、システム導入と並行して組織変革を推進する専門チームを持ち、「システムが稼働しても使われない」という最悪の事態を防ぐ支援を行っています。

  • 業務設計:標準機能に合わせ、過剰な個別開発を抑える
  • 経営判断:現行業務の何を変えるかを経営層と議論する
  • 定着化:専門チームが組織変革と合意形成を支援する

得意領域・実績

PwCコンサルティングは、SAP S/4HANAの導入・更改実績を持ちます。

東京ガスグループのSAP S/4HANA Cloud導入では、要件定義から稼働までの過程で、経理・資材・物流業務の標準化とスリム化を実現しています。

生産領域へのERP導入でも、製造プロセスの見える化や在庫管理の改善に貢献した実績があります。

さらに、大規模プロジェクトのPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)支援にも実績があり、全体を取りまとめる役割を担えます。

  • 業種:エネルギー・製造・消費財・金融
  • 個別事例:東京ガスグループの導入を計画どおり2年で完了
  • 大規模案件:複数ベンダーが関わるプロジェクトのPMO

電通総研株式会社|商社・流通に精通した20年超のSAP専門SIer

電通総研株式会社(旧・株式会社電通国際情報サービス)は、20年以上にわたりSAP ERPの導入・更改を手がけてきた専門SIerです。

SAP導入実績の9割以上が商社業界で、業種に特化した知見を持ちます。貿易・輸出入・プロジェクト管理など商社特有の業務に詳しいコンサルタントが在籍します。

SAP S/4HANA Cloud Private Editionへの移行実績があります。Oracle Fusion Cloud ERPの導入も手がけています。

特徴と強み

電通総研の最大の特徴は「業種特化の深さ」にあります。

電通総研は、「自社の業務はERPでは実現できない」という課題を解決してきた実績もあります。

SAP S/4HANA Cloud Private Editionへの移行も支援します。既存カスタマイズの整理・標準化を含む設計を行い、移行後の運用安定化まで対応します。

データ活用の観点からも強みを持ち、SAPのデータをBIツールや分析基盤と連携させる「SAPデータ利活用」の提案も積極的に行っています。さらに、ERPを経営データの見える化と意思決定支援に生かす構想を描ける点が、高度なニーズを持つ企業から評価されています。

  • 商社業務:業務慣行や商流に沿ったSAP設計
  • クラウド移行:既存カスタマイズを整理し、運用安定化まで支援
  • データ活用:SAPとBI・分析基盤を連携

得意領域・実績

電通総研は、SAP ERP・SAP S/4HANAの実績を多数持ちます。

SAP S/4HANA Cloud Private Editionへの移行では、データ移行の設計からテスト、本番稼働まで一貫して対応します。移行後の安定稼働にも実績があります。

Oracle Fusion Cloud ERPで総勘定元帳の二重管理を解消し、業務負担を軽減した事例もあります。SAPとOracleの両方に対応できる点も強みです。

SAPデータとBIツールを連携した経営ダッシュボードの構築にも実績があります。データウェアハウス(DWH)との統合設計を含め、更改後のデータ活用まで支援します。

  • SAP:商社を中心に導入・更改・更新を支援
  • Oracle:総勘定元帳の二重管理解消や負担軽減
  • データ連携:BIダッシュボードやDWH統合を実施

失敗しないベンダー選定の実践テクニック

ベンダー選定で確認するFit to Standardの提案力、予算帯、定量・定性評価、担当者を示すパネル図。
提案内容から実際の担当体制まで順に目を向けられます。

基幹システム・ERP更改のベンダー選定では、実績が多い会社が自社に合うとは限りません。

大手SIerに依頼したからといって、プロジェクトの成功が保証されるわけではありません。自社の課題・文化・予算規模に合ったパートナーを選ぶことが何より大切です。

発注担当者が現場で実践しやすい選定の方法を、順に見ていきます。

Fit to Standard提案力の評価方法

ERP更改プロジェクトが失敗する最大の原因のひとつが「過剰なカスタマイズ」です。

現行業務をそのままERPに移植しようとすると、標準機能から外れたアドオン開発が積み重なります。その結果、コストが膨らみ、将来のアップグレードも難しくなります。

Fit to Standardとは、ERPの標準機能に業務を合わせる考え方です。優秀なSIerほど、このアプローチを強く勧めます。

発注側が「要件をどう実現するか提案してほしい」と尋ねると、Fit to Standardの提案力を評価できます。

優秀なSIerは、「この業務はアドオンではなく業務フローの見直しで解決できる」と提案してきます。一方で、すべての要件に「開発で対応します」と答えるベンダーは注意が必要です。

過剰な開発を勧めるSIerは、短期的な売上を優先して、長期の保守コストを発注側に回しがちです。

  • RFPで確認:標準機能外の要件と対応案を求める
  • 提案を評価:業務フローの見直し案があるかを見る
  • 注意する回答:全要件を開発で対応するとする提案

RFPにおける予算提示の駆け引き術

RFPに予算を書くかどうかは、発注担当者が最も迷う点のひとつです。予算を記載しないほうが、実態に即した見積もりを引き出せるケースは多いです。

予算を先に提示すると、ベンダーは提示額の90〜100%に近い見積もりを出す傾向があります。さらに、予算内に収めようとするあまり、スコープが意図せず削られたり、実現可能性の低い前提が盛り込まれたりするリスクもあります。

一方、予算を完全に非開示にすると、規模感の異なる見積もりが複数社から届き、比較できなくなるという問題も生じます。そこで、理想的なRFPでは「予算帯(例:2億〜3億円程度を想定)は示すが、それが上限ではない」と書きます。

見積もり後は、金額に含まれない作業を確認します。さらに、追加費用が生じやすいリスク項目も尋ね、後からのコスト増を防ぎます。

  • 非開示:実態に即した見積もりを得やすいが、比較条件がばらつく
  • 予算帯を提示:2億〜3億円程度など幅を示し、上限とはしない
  • 見積もり確認:削減範囲と追加費用のリスクを尋ねる

スコアリング評価+定性評価の併用法

ベンダー選定では、提案書を点数化するスコアリング評価(定量評価)と、担当PMの対応力や企業文化との相性を見る定性評価を組み合わせると効果的です。

スコアリング評価では、技術力と実績、価格など、各項目に重みを付けて点数化します。ただし、数字だけで決めると見落とす点があります。

ERP更改は最短でも1〜2年以上かかる長期プロジェクトです。そのため、担当PMとの相性や意思疎通、問題発生時の対応姿勢が成否に直結します。定性評価では、プレゼンを担当したコンサルタントが実際のプロジェクトに入るかどうかも必ず確認します。

大手SIerでは、優秀な提案担当者がプレゼンのみを担当し、実際の作業は経験の浅いスタッフが行うという「看板と実態の乖離」が起きることがあります。そのため、契約前に「担当PMと担当コンサルタントを確定し、変更する際は事前承認を求める」旨を契約書に盛り込むことをお勧めします。

  • 定量評価:技術・実績・価格・管理・サポート体制を採点する
  • 定性評価:担当PMとの相性や問題発生時の対応を見る
  • 契約確認:提案担当者の参画と交代時の承認条件を定める

ポイント

標準機能に業務を合わせる提案ができるかを最初に見極め、予算は上限ではない帯で示します。定量と定性の両方で評価し、実際に担当するコンサルタントの参画まで契約で確認することが判断の目安です。

ベンダーロックインを防ぐ契約時の注意点

ベンダーロックインを、データ所有権、SLA、契約形態で防ぐ仕組みを示す図解。
契約時の取り決めが依存を抑える支えになります。

基幹システム・ERP更改後の最大のリスクのひとつが「ベンダーロックイン」です。特定のベンダーへの依存度が高くなりすぎると、保守・運用費用が割高になっても乗り換えられない状況に陥ります。契約段階でできる備えと、契約後に進める脱却の手順を順に見ていきます。

データ所有権・SLA・契約形態の取り決め

まず押さえたいのは「データ所有権」を明確にすることです。クラウドERPを利用する場合は、システム内に蓄積されたデータが発注者(自社)に帰属することを契約書に明記する必要があります。

契約書に「データの所有権はサービス提供者に帰属する」または「データのエクスポートには追加費用が発生する」といった条項がないかを、必ず確認します。データは企業の資産なので、ベンダーが変わっても引き継げる形式(標準的なCSVやAPIでのエクスポート対応)で提供されることを条件にします。

SLA(サービスレベルアグリーメント)では、システム稼働率(例:99.9%以上)を決めます。加えて、障害時の復旧時間目標(RTO)と復旧ポイント目標(RPO)も数値で合意しておきます。さらに、ヘルプデスクの対応時間と水準も具体的に決めます。

準委任契約(SES)、請負契約、保守契約は、それぞれリスクと責任範囲が異なります。そのため、内容を理解し、プロジェクトの性質に合う契約を選ぶことが欠かせません。

大規模な更改では、フェーズごとに契約を見直す「フェーズドコントラクト」方式を採ると、後から生じるスコープ変更のリスクを抑えられます。

  • データ:自社帰属とCSV・APIによる出力条件を明記する
  • SLA:稼働率・RTO・RPO・窓口対応を数値で合意する
  • 契約:責任範囲を確認し、必要なら段階ごとに見直す

脱ベンダーロックインの具体的ステップ

ベンダーロックインから抜け出すには、まず現行システムの見直しから始めます。独自のカスタマイズが標準機能へ移せるかどうかは、その見直しで見えてきます。

カスタマイズが多いほど、ベンダーへの依存と乗り換えコストは高まります。そこで更改時には、標準機能で代えられるカスタマイズを積極的にやめていきます。

次に、社内でシステムの知識を持つ人材を育成し確保することが、ベンダーロックインを防ぐ根本策になります。特定のベンダーだけが中身を知る状態を避けられれば、将来の乗り換えの選択肢も広がります。

保守費用は、市場価格とのずれを定期的に確かめておくと、コストの適正化と依存からの脱却につながります。

  • カスタマイズの洗い出し:独自カスタマイズと移行コストを把握する
  • 社内に知識を蓄積:仕様書・設計書・テストケースを保管する
  • 価格を定期比較:保守更新時に複数社から見積もりを取る

ポイント

データが自社に帰属し、CSVやAPIで取り出せることを契約書に明記するのが出発点です。SLAや契約形態、独自カスタマイズの洗い出しも合わせて進め、乗り換えられる状態を保ちます。

まとめ

基幹システム・ERP更改を依頼できるおすすめの6社と、失敗しないベンダー選定の実践テクニックをお伝えしました。

株式会社riplaは、コンサルから開発まで一気通貫で対応し、事業成果にこだわった支援が特徴です。SCSK株式会社は、30年超のSAP実績と400社以上の豊富な導入経験を持ちます。

アクセンチュア株式会社は、グローバルトップクラスのSAPパートナーとして大規模な変革型プロジェクトを得意とします。株式会社NTTデータは、SAPと国産ERPの両方を持つ規模感と安定性が強みです。

PwCコンサルティング合同会社は、Fit to Standardの推進と業務変革への深い知見が評価されています。電通総研株式会社は、商社業界を中心とした業種特化のSAP知識が際立ちます。

基幹システム・ERP更改の成否は、パートナー選定の質に大きく左右されます。だからこそ、大手だから安心、実績が多いから正解、という思い込みは禁物です。

自社の更改目的・課題・予算・プロジェクト規模に合ったパートナーを、今回お伝えしたベンダー評価の軸で選んでください。

提案力の見極め、RFPの進め方、スコアリング評価を組み合わせます。契約では、ロックイン対策も欠かせません。各社を同じ基準で評価すれば、プロジェクトの成功につなげられます。

まずは複数社に声をかけ、提案内容と担当コンサルタントの質を比較することからはじめてみてください。

本テーマの全体像は、下記の記事でご確認いただけます。

▼全体ガイドの記事
・基幹システム/ERP更改の完全ガイド

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。