Infor導入の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

Infor導入は、業種と業務範囲に合うCloudSuiteを選び、標準機能との適合を確かめながら、製品選定から定着まで5つのフェーズで段階的に進みます。特に、要件定義、データ移行、ローカライズを早期に計画し、カスタマイズを絞ることが、費用や期間の管理につながります。

Inforの全体像:業種特化クラウドERPとしての強み

CloudSuiteを中心に、製造、流通・小売、ヘルスケア、建設・エンジニアリング向けの製品ラインを示す図。
業種に合わせて製品ラインを見比べられます。

Inforは米Koch Industries傘下のグローバルERPベンダーで、製造・ヘルスケア・流通・ファッション・建設などを対象にしています。

Inforは世界67,000社以上に導入されていると記事に記載があり、日本でも製造業・物流企業で採用が広がっています。

CloudSuiteは、Amazon Web Services(AWS)上のマルチテナント型SaaSとして提供されています。

AI・機械学習機能のInfor ColemanやInfor Birstとの連携も、記事で紹介されています。

日本語対応や国内法規制への対応は、Infor Japanが整備すると記事では説明しています。

Infor CloudSuiteの主要ラインナップ

Infor CloudSuiteは、業種ごとの業務プロセスを標準機能に取り入れたクラウドERPです。候補製品は、自社の業種や業務に合わせて比べます。また、Fashionなど各業界向けのCloudSuiteも確認します。

  • 製造:Industrial(旧SyteLine)・Manufacturingで、生産計画、製造実行、SCMの業務を扱います。
  • 流通・小売:CloudSuite Distribution。在庫、受注、倉庫管理を統合する製品です。
  • ヘルスケア:CloudSuite Healthcare。病院経営や患者管理が対象です。
  • 建設・エンジニアリング:CloudSuite Construction。プロジェクトと原価の管理に特化しています。

SAP・Oracleとの違い:業種特化の優位性

SAP S/4HANAやOracle Fusion ERPは汎用性の高い水平型、Inforは業種特化の垂直型として比べられます。選定の際は、導入期間やTCO(総所有コスト)も含めて、次の点で違いを見ます。

  • 標準機能への適合:Inforでは、業種固有の業務フローを標準機能のまま扱えることがあります。
  • カスタマイズの範囲:SAPやOracleでは追加開発が要る業務も、Inforは設定で対応できることがあります。
  • 選定時の注意:適性は業種や規模で異なるため、RFPとフィットギャップ分析で比べることになります。

ポイント

製品は業種別のラインナップから候補を絞り、業種固有の業務を標準機能で扱えるかどうかを目安に比べます。SAPやOracleと比べる場合も、同じ点で見ます。

Infor導入の進め方:5つのフェーズ

業種・モジュール選定からGo-Live・移行・定着まで、Infor導入の5段階を順に示す図。
各段階の合意事項を確かめながら次へ進みます。

Infor導入は、製品選定から定着まで5つのフェーズで進みます。全体の目安は6〜18か月ですが、規模や業種、モジュールで異なります。また、各段階で何を納め、何に合意するかを先に明確にしておきます。

フェーズ1:業種・モジュール選定

必要なCloudSuiteやモジュールは、業種と生産方式で決まります。そのため、選定の段階で次の条件を整理しておきます。

  • 生産方式:受注生産(MTO)か見込生産(MTS)か、単品かロットかで、必要な機能が変わります。
  • 要件の整理:Certified Partnerや販売代理店と、RFPを作成します。
  • 業務フィット:デモで実業務との適合を確認し、複数の製品を比較します。
  • 期間:選定には1〜2か月を見込みます。後工程の手戻りを避けるため、判断は慎重にします。

フェーズ2:要件定義・フィットギャップ分析

要件は、標準機能と照らし合わせて整理します。標準機能で満たせる部分はフィット、満たせない部分はギャップと呼び、ギャップへの対応を次の3段階で検討します。

  1. 業務を標準に合わせる:フィット to スタンダードで、業務プロセスを見直します。
  2. 設定で対応する:コンフィギュレーションで、業務要件を満たせるかを見極めます。
  3. 追加開発を検討する:必要なギャップに限ってアドオンの採用を見極め、保守への影響を評価します。

フィット率が高いとされる製品でも、企業固有の業務とのあいだにギャップは生じることがあります。そのため、要件分析には2〜3か月を見込みます。

フェーズ3:設定・カスタマイズ(最小化推奨)

まず開発会社が設定と必要最小限の拡張を行い、業務部門による確認を繰り返します。

  • 設定・拡張:CloudSuiteではコアのソースコード改修を基本的に行わず、Infor IONやInfor Mongooseを使って必要な機能を組み込みます。
  • プロトタイプ確認:業務部門のキーユーザーが、CAT(コンファレンスルームパイロット)で試します。
  • データ準備:品目、取引先、勘定科目などのマスタを、開発と並行して用意します。
  • 期間:目安は3〜6か月で、プロジェクトの規模によって変わります。

フェーズ4:テスト・トレーニング

発注側と開発会社は、テストで業種固有の処理を確かめ、ユーザーが本番で使えるよう準備します。

  • システムテスト:単体、結合、End-to-Endの各段階で、生産計画や出荷連携などを見ます。
  • トレーニング:キーユーザーで2〜4週間、全ユーザー展開にはさらに2〜4週間を見込みます。
  • 移行の最終確認:マスタ、残高、過去データが、どう移ったかを最後に見ます。
  • 日本語資料:マニュアルや研修資料の整備に、追加の工数が必要な場合があります。

フェーズ5:Go-Live・移行・定着

Go-Liveでは、旧システムから切り替えたうえで、データと初期処理を確かめます。

  • 切り替え:移行データの整合性と初期トランザクションを確かめます。
  • 定着支援:稼働後1〜3か月は、ヘルプデスクや追加のトレーニングを強めます。
  • 継続改善:SaaSの更新に対応したうえで、在庫回転率、受注リードタイム、財務締め時間などを追います。

最後に、KPIを見ながら改善を続け、導入後の投資対効果を評価します。

ポイント

5つのフェーズは順に進め、段階ごとに決めた内容と合意事項を確かめてから次へ進みます。カスタマイズは必要最小限にとどめ、期間と費用が膨らむ前に見直します。

Infor導入でよくある失敗と対策

Infor導入で初期に確認するカスタマイズ、データ移行、国内対応の3領域を示す図。
3領域を早めに洗い出すと、対策を計画へ組み込めます。

Infor導入では、カスタマイズ、データ移行、国内対応の3つが計画から漏れると、費用や稼働に影響します。代表的な問題ごとに、起きることと対策を対にして示します。

失敗①:過剰カスタマイズによる保守コスト増大

既存業務をそのまま再現しようとすると、拡張が増えて保守負担が大きくなります。

  • 起きる問題:カスタマイズが増えるほど、バージョンアップ時の影響範囲や保守費用が広がります。
  • 対策:BPRの観点で業務をInfor標準フローに合わせ、経営層が方針を明示します。

失敗②:データ移行の甘い見積もり

マスタデータの重複や欠損、取引先情報の不統一は、移行の工数を膨らませます。

  • 起きる問題:データ移行を軽く見積もると、Go-Live直前に混乱するおそれがあります。
  • 対策:初期にデータの品質を調べ、クレンジング・移行設計・ツール開発・リハーサルの時間を確保します。

失敗③:グローバル製品の日本語対応・ローカライズ不足

グローバル製品では、画面や帳票の一部が英語のまま残ることがあります。また、国内の要件には、追加の対応が必要になる場合もあります。

  • 確認する範囲:消費税、電子帳簿保存法、給与計算などの要件が対象です。
  • 対策:RFPで対応範囲と費用をあらかじめ合意し、日本での導入実績があるパートナーを選びます。

ポイント

カスタマイズ、データ移行、国内対応の3つは、計画の初期に洗い出して対策を決めておくと、費用や稼働への影響を抑えられます。

Infor導入の期間・体制の目安

導入期間は、企業規模、対象業務、カスタマイズ量によって変わります。そのため、記事に記載された規模別の期間を比べたうえで、対象モジュールや拠点数に合わせて計画します。

  • 中小企業:従業員100〜300名、2〜3モジュール:6〜9か月
  • 中堅企業:従業員300〜1,000名、4〜6モジュール:9〜15か月
  • 大企業・複数拠点:従業員1,000名以上:15〜24か月以上

続いて、プロジェクトは発注側と認定パートナーの役割を分けて組みます。

  • 発注側:経営層のオーナー、PM/PMO、各部門1〜3名のキーユーザー、IT担当者
  • 受注側:プロジェクトマネジャー、業種・技術コンサルタント、データ移行担当者
  • グローバル調整:本社や海外拠点と連携する場合は、英語で調整できる担当者を考慮します。

初期費用には、ライセンスや実装コンサルティングに加えて、インフラや教育も含まれます。

  • 中小企業:2,000万〜8,000万円程度
  • 中堅・大企業:1億円以上になるケースもあります。
  • 年次ランニングコスト:SaaS利用料・保守・サポートを含め、初期費用の20〜30%程度を見込む例があります。

ポイント

導入期間は企業規模、対象業務、カスタマイズ量で変わるため、対象範囲を先に決めておきます。体制と初期費用の見込みも同時に立てると、予算と期間の見通しを持ちやすくなります。

まとめ:Infor導入を成功させるためのポイント

Infor導入には、製品との適合に加えて、設定・移行・国内対応を含む実行計画が必要です。

  • 業種・モジュール選定:CloudSuiteの業種別ラインナップから選びます。
  • 標準機能の活用:業務を標準に合わせ、カスタマイズを絞ります。
  • フィットギャップ分析:要件定義に十分な時間を確保します。
  • データ移行:初期段階から、マスタのクレンジングに取りかかります。
  • パートナー選定:国内実績とローカライズ対応力を確認します。

まずは、自社の業種と業務条件を明確にしたうえで、Infor認定パートナーと製品適合・移行・保守の範囲を相談してください。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。