情シスコンサルの選定ポイント/選び方/種類

情シスコンサルは、自社の課題に合う支援領域と、現場で実行まで担う範囲を比べて選びます。知名度だけで決めると、支援内容が合わず体制づくりが進まないおそれがあります。

支援領域は、体制構築や運用標準化、ヘルプデスクなどに分かれています。

支援領域を広く把握したい場合は、情シスコンサルの全体ガイドも参考になります。

情シスコンサルの完全ガイド

情シスコンサル選定前に整理すべき自社の課題

会社を探す前に、問題が起きている場所を洗い出します。体制構築や人材育成、ベンダー管理など、どの領域に当たるかを確かめるのが出発点です。そのうえで、課題を一文で説明できると、比較する会社と不要な提案を見分けやすくなります。

体制構築の停滞と属人化のリスク

体制の停滞や属人化は、次のような状態で表れます。

  • 役割と承認の不在:役割分担が曖昧で、承認者も決まっていない場合は、体制構築が課題です。
  • 知識の属人化:特定の担当者に知識が集中し、退職や異動で運用が止まる場合は、同じ課題が潜んでいます。
  • 決裁の滞り:経営層や事業側の意思決定が遅いことも、体制を見直すサインです。
  • 情報の分断:情報が「ない・遅い・見つからない」という三重苦が続いていないかを、情シスの担当者が確かめます。
  • 導入の先行:運用ルールを決める人がいないまま新しいツールやSaaSを入れると、定着しにくくなります。

発注側は、誰がいつまでに何を決めるかを、体制づくりの順序から相談できる会社を候補に入れます。

運用コストの高騰と内製化の遅れ

契約が割高な場合は、コスト構造を見直す必要があります。

  • コスト課題:優先度の低い機能やブラックボックス化で費用が膨らむ状態。
  • 内製化課題:リスキリングやSaaS・パッケージへの切り替えが進まない状態。

レガシーシステムがブラックボックス化して保守工数が増えている場合も、同じ課題に含まれます。

内製化が課題の場合は、非コア業務を外部に任せるスマートIT分業の設計も確かめます。

コスト見直しと内製化は関連していますが、相談先の得意な領域は異なります。そのため、提案を比べる前に、どちらを重視するかを決めておきます。

一方で、体制構築とコスト見直しは、切り分けて考えなくても構いません。承認や発注の流れが明確になれば、割高な契約も見つけられます。

コストを見直して生まれた予算を、体制強化に充てられる場合もあります。

どちらから着手するかは、現場で先に限界が来ている課題を見て決めます。

ポイント

自社の課題が体制構築と運用、内製化のどれに当たるかを先に決めると、比べる会社と不要な提案を見分けやすくなります。課題が複数あるときは、先に着手する領域から決めます。

情シスコンサルの3つの種類

情シスコンサルの支援内容として、役割定義やロードマップの整備、運用プロセスの標準化、契約や人材育成の見直しを3つのパネルで示した図。
自社の優先業務がどの領域に当たるかを見渡せます。

情シスコンサルの支援は、主に次の3領域に分けられます。各社が複数の領域を扱うこともあります。そのため、自社の優先業務が標準メニューに含まれるかを確かめておきます。

  • 体制構築:役割定義やロードマップを整える。
  • 運用支援:ヘルプデスクや運用プロセスを標準化する。
  • ベンダー管理・内製化:契約や人材育成を見直す。

体制構築・ロードマップ策定特化型

この型の支援は、主に次の内容です。

  • 支援内容:役割定義やRACI設計、意思決定階層を整理し、体制構築のロードマップを作る支援です。
  • 会議体の設計:月次の戦略会議と週次の戦術会議を設計することもあります。
  • 規模への対応:5〜10名規模の小規模な組織から30名以上の大規模な組織まで、成熟度に応じた段階設計ができるかを確かめます。
  • 向いている企業:体制の骨格がない企業や、拡大に伴って役割が崩れている企業に適しています。

運用アウトソーシング型とベンダーマネジメント・内製化支援型

運用アウトソーシング型は、問い合わせ対応や運用標準化、ITSMツール導入、PoCを支援します。日々の運用負荷を下げたい企業に適しています。

ベンダー管理・内製化支援型は、SLA整備やベンダー評価、社員のリスキリング計画を扱います。標準フレームワークとフルスクラッチのどちらを選ぶかを整理し、TCOの見直しを進めたい企業に合います。

情シスコンサル選定で比較すべき7つの評価軸

候補となる会社は、7つの評価軸で比べます。前半は、対応領域と体制構築の実行支援範囲、PoC支援の有無を見ます。後半は、ベンダー中立性や契約形態の柔軟性、料金体系とTCO、実績・体制です。

各社に同じ質問を出し、回答と提案内容をそろえておくと、印象ではなく適合度で判断できます。

対応領域・実行支援範囲・PoC支援

まず、体制構築、運用標準化、人材育成、ベンダーマネジメント、内製化推進のうち、どこまでが標準メニューに入り、どこからが追加契約になるかを確かめます。

  • 標準メニュー:含まれる支援領域の範囲。
  • 実行支援:診断後の伴走や小規模PoCまで担う範囲。
  • PoC条件:評価するKPIと想定期間の事前提示。

現状調査や診断だけを担うのか、ロードマップ策定後の実行支援や小規模PoCの伴走まで担うのかを確かめます。

PoCについては、対象業務の選定基準と想定期間を、事前に提示できるかを見ます。評価するKPIは、一次解決率や平均対応時間、エスカレーション率などです。

実行支援の範囲を確かめるときは、「体制図を作成して終わり」なのか、「作成した体制図に沿って実際に運用が回るまで伴走する」のかを区別して見ることが大切です。

前者はドキュメント作成のコンサルティングにとどまりやすい一方、後者は現場の定着まで責任を持つ関わり方です。そのため、費用体系も大きく異なります。

ベンダー中立性・契約形態・料金体系とTCO

特定のITSMツールベンダーやSaaSベンダーとの提携が強い会社では、提案が特定製品の導入に偏りやすくなります。

  • 中立性:特定製品への提案の偏りの有無。
  • 契約形態:依頼したい工程をカバーする契約かどうか。
  • TCO:社内の負担も含めた総額の見積もり。

契約形態では、顧問・アドバイザリー型、常駐・ハンズオン型、成果報酬型のうち、自社が依頼したい工程をどれがカバーするかを確かめます。

料金体系では、月額顧問料や常駐単価に加えて、体制移行にともなう社内工数、教育コスト、ツール導入費用までをTCOに含めて見積もります。

比較では、「対応可能」という回答だけで済ませず、提案書やデモ、契約条項のどこで確かめるかを決めておきます。確かめられない事項は保留にしておくと、営業説明の分かりやすさだけで評価が決まるのを防げます。

ポイント

対応領域や実行支援の範囲、PoC、契約形態、料金体系を、同じ質問で各社に聞いて回答をそろえると、印象ではなく適合度で比べられます。

常駐型・顧問型・成果報酬型の選び分け

常駐・ハンズオン型と顧問・アドバイザリー型を、向いている企業の状況で左右に比較した図。
社内の実行体制によって、現場へ入る支援か方針を助言する支援かが分かれます。

標準的な運用改善や継続的な現場対応を重視するなら、常駐・ハンズオン型が第一候補になります。

すでに実行部隊がいて方針の確認だけを求めるなら顧問・アドバイザリー型が、コスト削減など成果を数値で示しやすいテーマに絞るなら成果報酬型が適しています。

常駐型と顧問型の判断基準

常駐・ハンズオン型は、週3〜5日ほど情シスに入り込み、ベンダーコントロールや運用プロセス改善、トラブルシューティングのエスカレーション対応まで担います。

体制構築やヘルプデスクの流れの刷新を、現場主導で進めたい企業に向いています。

  • 常駐・ハンズオン型:現場主導で体制や運用を変えたい企業向け。
  • 顧問・アドバイザリー型:社内に実行できるメンバーがいる企業向け。
  • 成果報酬型:成果を数値で示しやすいテーマ向け。

顧問・アドバイザリー型は、月1〜2回の定例同席や随時相談を通じて方針の妥当性を確かめる形態です。稼働率が10〜20%程度と低い分、費用も抑えられます。ただし、実行そのものは自社側が担う前提になります。

迷う場合は、「今すぐ体制を動かせる人がいるか」を自問するのが有効です。方針は理解していても、実行に割ける時間がないケースもあります。

その場合は、常駐・ハンズオン型を短期集中で入れ、体制が回り始めたら顧問・アドバイザリー型へ切り替える計画を、コンサル会社に提案してもらいます。あらかじめ移行計画を確かめておくと、契約の柔軟性を判断しやすくなります。

成果報酬型と段階移行の組み合わせ方

成果報酬型は、削減できたITコストやベンダー費用の一部を報酬として支払う形態です。

  • 成果報酬型:数値化しやすいコスト削減やライセンス見直しに向く。
  • 段階移行:常駐型で安定化し、顧問型へ引き継ぐ。

たとえば、クラウド費用を見直す取り組みは、削減額を数字で追いやすいテーマです。一方で、体制構築のような定性的なテーマには向きません。

導入直後は常駐・ハンズオン型で安定化を図り、運用が落ち着いた後に情シスのプロパー社員へ引き継ぐか、顧問型へ少しずつ移る段階移行は、年間の費用を抑える現実的な進め方です。

ポイント

社内に今すぐ体制を動かせる人がいるかで、常駐型と顧問型を分けて考えます。成果報酬型は、削減効果などを数値で示しやすいテーマに絞るときに使います。

比較表・RFPとデモ・PoCの進め方

問い合わせ件数が多い業務領域の選定、準備から小規模公開までの検証、一次解決率や対応時間の変化の確認を順に示した図。
実業務を通すことで、提案内容と運用負荷を確かめやすくなります。

比較表やRFPでは、支援メニューの有無だけでなく、自社の体制課題と合格条件を発注側から示します。

デモや提案の場では、説明を聞くだけで終わらせず、自社の課題を題材に、現場と経営層の双方で確かめます。

RFPに載せる体制課題と非機能要件

RFPには、解決したい課題と自社の体制の情報を書きます。体制の情報は、次の項目に分けて整理します。

  • 体制情報:人数、拠点数、対象業務範囲、現行の体制図。
  • 目標と条件:KPI、SLA、稼働日数、報告頻度、契約条件。
  • 優先順位:要件の「必須」「望ましい」「将来」の区分。

そのうえで、月次戦略会議や週次戦術会議といった意思決定階層の設計案を示します。あわせて、ヘルプデスクの一次解決率や平均対応時間の目標値、ベンダーとのSLA整備状況も伝えます。

非機能要件には、常駐時の稼働日数や報告頻度、契約期間、途中解約の条件を含めます。各要件を「必須」「望ましい」「将来」の3段階に分けておくと、候補を失う事態を避けられます。

RFPを作る段階で、体制構築の完了基準を言葉にしておくことも欠かせません。ゴールを「役割定義書ができた」とするのか、「新しい承認フローが実際に3ヶ月連続で回った」とするのかは、発注側が決めます。ゴールの置き方によって、コンサル会社に求める伴走期間や関与の深さが変わります。

PoCにおける1つの運用フローのフルパス検証

PoCでは、検証に使う業務領域を1つ選びます。

  • 対象選定:問い合わせ件数が多い業務領域。
  • 一連の検証:準備、テスト、小規模公開までの流れ。
  • 合格条件:一次解決率や対応時間の変化を記録する。

選んだ業務では、必要最小限のナレッジを準備し、トライアル環境でテストしてから、小規模公開まで進めます。

合格条件には、一次解決率や平均対応時間の変化、エスカレーション率、利用者の満足度を含めます。

クラウド型ツールなら、最短1週間程度で公開まで進められるかも確かめます。PoCを小さな本番として扱うと、提案書だけでは見えない運用負荷を比べられます。

ポイント

RFPには自社の体制課題と合格条件を書き込み、PoCは実際の業務1つを最後まで通して、一次解決率や対応時間の変化を確かめる形で行います。

情シスコンサル選定の失敗を避ける方法

よくある失敗は、体制図やメニューの充実度だけで比べ、実際の運用負荷や引き継ぎ後に自走できるかを確かめないことです。

発注側は、導入目的と責任者を明確にし、経営層や現場担当者、情報システム部門の視点を選定に反映します。

支援メニューが多くても、自社の最優先課題が追加契約になると、運用は複雑になります。

  • 追加契約:最優先課題が対象に含まれるか。
  • 課題との一致:支援領域の広さより大切な要素。
  • 候補比較:必須要件による除外と、TCOや実行支援による比較。

支援領域を絞った会社でも、課題と一致すれば、体制の定着負担を抑えられます。

必須要件を満たさない会社は除外し、残った候補をTCOと実行支援の実効性で比べます。

具体的な候補を探すときは、情シスコンサルのパッケージ・クラウド製品一覧を使うと、共通の基準で比べられます。

システム外の運用ルールと責任者

体制移行後に、誰が運用を担うのかが曖昧なままだと、コンサル終了後に再び属人化が進みます。

  • 運用責任者:運用ルール更新と契約更新の判断者。
  • 引き継ぎ:データ・ドキュメントの受け取り方。
  • 効果測定:対応時間や費用の変化を同じ条件で測る。

発注側は、受け皿となる情シスのプロパー社員や、月次の振り返り(KPT)の実施者、契約終了後のデータ・ドキュメントの引き継ぎ方法も決めておきます。

削減効果は、コンサル会社の一般値をそのまま使わず、導入前後の対応時間やエスカレーション件数、ベンダー費用を同じ条件で計測することが重要です。

体制図や運用ルール、ベンダーとの合意事項を、どの形式で受け取るかも、選定の段階で確かめておくべき事項です。また、契約終了時の引き継ぎ方法も、選定段階で確認しておくべき事項です。独自テンプレートに依存したまま契約が終わると、その後の運用更新に支障が出ることがあります。

ポイント

失敗を防ぐには、メニューの多さや知名度よりも、コンサル終了後に属人化が戻らないよう、運用責任者と引き継ぎ方法を先に決めておくことが大切です。

情シスコンサル導入前に確認しておきたいポイント

候補を絞ったあとは、対応人数だけでなく、契約形態との相性や実案件での運用のしやすさまで確かめます。比較表からは見えにくい条件も事前に検証しておくと、導入後に運用が止まるリスクを抑えられます。

少人数の場合の判断材料:課題の性質と体制の分散度

人数だけでなく、体制の分散度や属人化の進み具合、ベンダー対応の負担を見て判断します。

少人数でも、複数の担当者が別々にベンダー対応をしているなら、支援を受ける価値があります。一方で、すでに役割分担が明文化されて機能しているなら、無理に契約を広げる必要はありません。

課題の数値化しやすさで見る契約形態

コスト削減のように成果を数値で示しやすいテーマなら成果報酬型が、体制構築やヘルプデスク刷新のように継続的な現場対応が必要なテーマなら常駐・ハンズオン型が適しています。

すでに実行部隊がいて方針の確認だけを求める場合は、顧問・アドバイザリー型で十分なこともあります。

PoCで行う実際の問い合わせ対応の検証

実在する問い合わせ領域を使い、対象の選定からナレッジ準備、トライアル、小規模公開まで一通り確かめます。

担当者だけでなく、実際に問い合わせをするユーザー側にも協力してもらいます。そうすると、エスカレーション対応や評価基準の運用まで確かめられ、公開後の運用負荷が見えてきます。

まとめ

情シスコンサルの選定では、体制構築の停滞、運用コストの高騰、内製化の遅れのうち、どれが自社の課題かを特定します。

方向性は、体制構築・ロードマップ策定特化型、運用アウトソーシング・ヘルプデスク特化型、ベンダーマネジメント・内製化支援特化型から選びます。

候補は、7つの評価軸で比べます。前半は対応領域や実行支援範囲、PoC支援の有無で、後半はベンダー中立性や契約形態、料金体系とTCO、実績・体制です。

実在する1つの運用フローを使ったPoCで、一次解決率や対応時間の変化まで確かめることが大切です。

課題診断から2〜3社への絞り込み

体制構築の停滞、運用コストの高騰、内製化の遅れのうち、最優先課題を一つ決めます。次に、対応領域や実行支援範囲、契約形態、料金体系を同じ質問で比べれば、知名度に左右されず候補を絞れます。

実案件のPoCによる最終確認

大切なのは、資料上のメニュー数より、自社の体制課題を実際に解決できるかどうかです。判断は、関係者で確かめた運用負荷と、測定した削減効果をもとに行ってください。

  • 実案件:自社の体制課題を解決できるか。
  • 関係者:経営層と現場担当者を含めた運用負荷の確認。
  • 効果測定:削減効果と残る運用工数。

既存の情シスコンサルの支援範囲では、独自のシステム連携や開発フェーズまで対応しきれないこともあります。

そうした場合は、riplaは、フルスクラッチ開発の立場から、体制整理を踏まえた個別開発や既存システムとの連携を含む構築を支援しています。

▼全体ガイドの記事
・情シスコンサルの完全ガイド

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>

執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。