ITインフラ調査の進め方と事例|現状分析からクラウド移行・システム刷新へ

ITインフラ調査は、サーバーやネットワーク、ストレージ、セキュリティの現状を調べ、クラウド移行やシステム刷新の計画につなげる作業です。進め方は、まず目的と範囲を決め、刷新方針の策定まで順に進めます。

本テーマに関する全体ガイドは、以下の記事をご覧ください。

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・システム刷新・モダナイズ/アーキテクチャ設計の完全ガイド

ITインフラ調査が求められる背景

多くの企業でITインフラ調査が必要とされるのは、事業のデジタル化が進むなかで、既存の環境が追いつきにくくなっているためです。

DX推進に伴う基盤の見直し

デジタルトランスフォーメーションの推進には、柔軟で拡張性の高いIT基盤が必要です。

ところが、従来のオンプレミス中心の環境では、その求めに応えきれないケースが増えています。

老朽化と複雑化

長年使われてきたシステムや機器は複雑化しており、全体像を把握できていない企業も少なくありません。そのため、どこから手を付けるかを決めにくくなります。

クラウド活用の加速

クラウドサービスの利用が広がるなかで、既存のインフラをどこまで移行できるかを判断するには、現状の調査が欠かせません。

セキュリティリスクの増大

IT環境が多様になったことで、セキュリティやガバナンスを強化する必要性が高まっています。また、環境ごとに対策が分かれると、全体のルールをそろえにくくなります。

ITインフラ調査の目的

ITインフラ調査は、現状の課題を明らかにしたうえで、最適なインフラ構成や移行の方針を決めるために行います。

調査の結果は、次の計画づくりの材料にもなります。

主な目的

現状の課題を明らかにするため、調査では次の点を確かめます。

  • 現状インフラの全体像の把握
  • 老朽化機器や非効率な構成の特定
  • コスト最適化の検討
  • クラウド移行やシステム刷新の計画立案
  • セキュリティ対策で見直すべき点を確かめます。

ポイント

目的は、現状の全体像をつかみ、移行や刷新の計画に使える情報をそろえることです。迷ったときは、その項目が計画づくりに必要かどうかで判断するとよいでしょう。

ITインフラ調査の進め方

インフラ調査は段階を踏んで進めることで、計画の精度が高まります。

進め方の流れは、次のとおりです。

1. 調査の目的と範囲を明確化

最初に、何のために調査するのか、どの範囲を対象にするのかを、発注側と開発会社で決めておきます。対象範囲には、たとえばサーバーやネットワーク、ストレージ、クラウド、セキュリティなどが含まれます。

2. 現状の資産把握

ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク機器の構成情報を、現場の担当者に確認しながら集めます。特に押さえたいのは、サーバーの台数、スペック、利用状況です。

構成情報のほかに、次の項目も現場の担当者に確認しながら集めます。

  • ネットワーク構成
  • 通信経路
  • ストレージ容量、利用状況
  • ライセンスや契約状況を確認します。

3. 運用状況と課題の分析

障害の発生状況や運用の進め方を、次の観点で確かめます。
・障害発生頻度
・運用の属人化
・バックアップやセキュリティの脆弱性
こうして見えた内容をもとに、運用面の課題を整理します。

4. パフォーマンス評価

モニタリングデータを使い、CPU、メモリ、ストレージの利用率や、ネットワーク帯域の利用状況を数値で評価します。

5. 将来の要件整理

今後必要になるシステムの規模や性能の要件を、ビジネス戦略やDX推進計画に沿って書き出します。

書き出した要件は、次の方針を比べるときの基準になります。

6. 最適化・刷新方針の策定

現状分析の結果をもとに、次のような方針の中から、システムごとに合うものを検討します。
・クラウド移行(IaaS、PaaS、SaaS)
・ハイブリッドクラウド化
・オンプレミス機器の更新
・セキュリティ強化策も選択肢になります。

ポイント

前の段階の結果を次の段階に引き継ぐと、刷新方針を立てる根拠がそろいます。目的と範囲を先に決めておくと、途中で調べる範囲が広がりにくくなります。

ITインフラ調査で注目すべきポイント

ITインフラ調査で確認するコスト構造、セキュリティ、クラウド適合性、標準化とガバナンスをパネルで示した図。
費用から運用ルールまで、調査対象を横断して捉えられます。

調査で特に注目したいのは、次の視点です。

コスト構造の可視化

運用コスト、人件費、ライセンス費用などを一覧にし、どこに費用がかかっているかを確かめます。こうして分かった内容を、どの投資を優先するかを判断する材料として使います。

セキュリティの現状評価

アクセス制御、ログ監視、脆弱性管理の体制がどうなっているかを確かめ、見えにくいリスクを洗い出します。

クラウド適合性

どのシステムがクラウド移行に向いているかを分析します。ただし、性能要件やセキュリティ要件によっては、オンプレミスを残す選択もあります。

標準化とガバナンス

機器やソフトウェア、設定がどの程度ばらばらかを見て、標準化によって運用ガバナンスを強められるかを検討します。

ポイント

クラウドへ移すか、オンプレミスに残すかは、性能要件とセキュリティ要件で分けて判断します。コストは、運用コスト、人件費、ライセンス費用を合わせて見ると、投資判断の材料になります。

ITインフラ調査後に期待できる効果

インフラ最適化を中央に置き、運用効率、コスト、セキュリティ、事業スピードへの効果を結んだ図。
最適化の成果は、日々の運用と事業の両面に広がります。

調査結果をもとにインフラの最適化を進めると、次のような効果が期待できます。

運用効率の向上

自動化や標準化によって運用の工数を減らし、システムの安定性を高めます。

コスト最適化

不要な機器を廃止したり、クラウドを活用したりすることで、コストを減らせます。

セキュリティ強化

リスクを洗い出して体制を整えれば、事故やインシデントを防ぎやすくなります。

事業スピードの向上

柔軟なインフラ基盤が整えば、新しいサービスやシステムの開発を素早く進められます。

ITインフラ調査の成功事例

実際にITインフラ調査を行って成果を上げた3社の事例を紹介します。

事例1:製造業A社

老朽化したオンプレミス環境を調査し、クラウドへの移行計画を策定しました。その結果、保守費用が30%削減され、新規システム開発のスピードも向上しました。

事例2:金融業B社

データセンター内のインフラを詳しく調べ、セキュリティリスクを特定しました。そのうえで、ゼロトラストモデルを導入してセキュリティを強化するとともに、監査への対応力も向上させました。

事例3:小売業C社

ECサイトの負荷に耐えられなくなった既存システムを調べました。そこで、クラウド型のスケーラブルなインフラを採用し、繁忙期のアクセス増にも耐えられる体制を実現しました。

ITインフラ調査を成功させるポイント

ITインフラ調査を成功させる要素として、経営層と現場の連携、外部専門家の活用、定期的な見直しを並べたチェックリスト。
関係者の連携と継続的な見直しが、調査を判断に活かす土台になります。

調査の効果を最大限に引き出すには、次の点を押さえて進めます。

経営層と現場の連携

経営の視点で戦略を示し、現場の課題感とすり合わせることで、調査の実効性が高まります。さらに、現場の課題が経営に届くと、刷新の優先順位も決めやすくなります。

外部専門家の活用

社外の専門家など第三者の視点を取り入れると、現状の課題やリスクを客観的に把握できます。

定期的な見直し

調査は一度で終わらせず、年単位で定期的に行います。そのたびに、最新の状況に合わせて最適化を進めます。

ポイント

経営層の戦略と現場の課題感をすり合わせ、第三者の視点も取り入れると、調査が実際の判断に使いやすくなります。調査は年単位で繰り返すと、最新の状況に合わせやすくなります。

まとめ

ITインフラ調査は、現状の課題を把握して、将来に向けた最適化やクラウド移行を進めるうえで欠かせない作業です。

・現状の資産と課題を一覧にする
・クラウドや最新技術を前提に、刷新方針を立てる
・運用効率化、コスト削減、セキュリティ強化を実現します。

ITインフラ調査から刷新方針までを一連の流れで進めれば、企業は変化の激しい時代に対応できる、柔軟で強固なIT基盤を築けます。

システム刷新全体の考え方は、以下の記事にまとめています。

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株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。