IT新規事業開発のパッケージ/クラウド製品一覧

IT新規事業開発を検討すると、ビジネスモデルの設計に強いツール、オープンイノベーションのパートナー探索に強いプラットフォーム、PoCやMVPをノーコードで形にできるツールなど、さまざまなクラウドサービスが見つかります。IT新規事業開発そのものは特定のソフトウェアではなく事業開発コンサルティングを指しますが、実務ではこうしたクラウドツールを組み合わせて仮説検証を進めるのが一般的です。

本記事では、2026年7月時点で現行の公式情報を確認できた主要6製品を、ビジネスモデル設計、オープンイノベーション、PoC・MVP開発という3つの領域に分けて紹介します。各ツールの得意領域、課題別の絞り方、料金・契約前の確認点、トライアルでの見極め方まで解説しますので、候補ツールを比較する際の基準としてご活用ください。

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IT新規事業開発を支えるクラウドツールの位置づけ

IT新規事業開発を支えるクラウドツールの位置づけを確認する担当者

IT新規事業開発は、市場調査から投資判断までを一気通貫で支援する事業開発コンサルティングであり、単体のパッケージ製品として提供されるものではありません。ただし実務の各工程では、ビジネスモデル設計、オープンイノベーション、PoC・MVP開発を支えるクラウドツールが広く活用されており、これらを自社に合わせて選び、組み合わせることが検証のスピードを左右します。

ビジネスモデル設計を支えるツールの役割です

事業アイデアの初期段階では、顧客への提供価値や収益の仕組みを図や共通のフレームワークで整理するツールが使われます。関係者が同じキャンバス上で議論できることで、資料の行き来による伝達ロスを減らし、仮説を素早く更新できる点が特徴です。

オープンイノベーションプラットフォームの役割です

自社単独でアイデアを検証するだけでなく、外部のスタートアップや協業パートナーと組んで新規事業を進める場合には、双方をつなぐマッチングプラットフォームが使われます。社内に人脈がなくても、登録された企業群から協業候補を探せる点が導入の主な動機になります。

ツールを比較するときの共通軸

IT新規事業開発ツールを比較する共通軸を整理する会議

製品紹介ページの機能一覧だけでは、自社の検証プロセスに適合するか判断できません。候補を同じ条件で比べるため、対応する検証フェーズ、共同編集のしやすさ、外部連携、料金体系、日本語対応を共通の質問に置き換えることが重要です。

対応する検証フェーズと共同編集のしやすさを確認します

最初に、ビジネスモデル設計、パートナー探索、PoC・MVP実装のうち、そのツールがどのフェーズを主な対象としているかを確認します。次に、経営層、事業責任者、現場担当者が同じ画面やボード上で同時に編集・コメントできるかを確認します。検証段階では関係者の意見をその場で反映できるかどうかが、仮説の更新スピードに直結します。会議中に修正した内容がそのまま記録として残るかどうかも、議事録の作成負担を左右する実務上のポイントです。

外部連携・料金体系・日本語対応を確認します

会計・チャット・プロジェクト管理ツールなど、既存の社内ツールとの連携有無や、エクスポート形式も比較ポイントになります。料金体系は、ユーザー数課金、案件数課金、機能単位の従量課金など製品によって異なるため、想定する利用人数や期間を提示して見積もりをそろえます。海外製ツールは日本語のインターフェースやサポート窓口の有無も、現場への定着に影響する要素です。

IT新規事業開発を支える主要クラウド製品6選

IT新規事業開発を支える主要クラウド製品を一覧で検討する様子

ここでは、2026年7月時点で現行の公式ページと対象業務を確認できた6製品を紹介します。掲載順は優劣を示すランキングではありません。ビジネスモデル設計、オープンイノベーション、PoC・MVP開発という自社が重視する領域に合わせて確認してください。

Strategyzer

Strategyzerは、ビジネスモデルキャンバスやバリュープロポジションキャンバスを用いて事業の仮説を整理したい企業向けの候補です。ポートフォリオマップやチームアラインメントマップなど、複数の事業アイデアを並行して管理するフレームワークも提供しており、200,000以上の企業、178カ国以上での利用実績が公式サイトに掲載されています。2026年7月時点の公式サイトには、戦略実行のためのプレイブックライブラリが年間299ユーロ(1シートあたり)で掲載されていますが、法人向けプランは個別見積もりとなるため、対象人数と利用範囲を伝えて最新の条件を確認してください。

Miro

Miroは、アイデア出しからリリースまでの製品開発プロセスを、ビジュアルなホワイトボード上で進めたい企業の候補です。ビジネスモデルキャンバスやリーンキャンバスを含む6,000以上のテンプレートが用意されており、経営層から現場担当者まで同じボード上でリアルタイムに意見を出し合える点が特徴です。2026年7月時点の公式サイトには、無料プランに加え、年間契約時で月額8米ドル(ユーザーあたり)のStarter、月額20米ドル(ユーザーあたり)のBusiness、30ユーザー以上を対象に個別見積もりとなるEnterpriseが掲載されていますが、料金は変更される可能性があるため契約前に最新情報を確認してください。

AUBA(運営: 株式会社eiicon)

AUBAは、自社単独でのアイデア検証だけでなく、外部のスタートアップや企業との協業によって新規事業を進めたい企業の候補です。累計登録社数39,000社、マッチング数10万件以上、共創事例数1,700件以上という実績が公式サイトに掲載されており、業界や領域を横断したパートナー探索に活用できます。無料プランに加えてOIBASICプランなどの有料プランが用意されていることを公式サイトで確認できますが、具体的な月額金額は公開されていないため、検討する事業領域と利用目的を伝えて見積もりを取得することが適切です。

Creww Growth(運営: 株式会社クルー)

Creww Growthは、アクセラレータプログラムを通じてスタートアップと企業の協業を進め、新規事業創出やDX推進につなげたい企業の候補です。2025年に実施されたプログラムの告知や協業事例が公式サイトに継続して掲載されており、現行稼働しているサービスであることを確認できます。料金は公式サイト上に明記されていないため、想定するプログラムの規模や期間を伝えたうえで個別に確認する必要があります。

Bubble

Bubbleは、事業アイデアのMVPやプロトタイプをコードを書かずに構築したい企業の候補です。Web・モバイル双方のアプリケーションをノーコードで開発できる点が特徴で、公式サイトでは同社自身が自社サービスを使ってプロダクトを構築していることも紹介されています。無料から始めて利用規模に応じて有料プランへ移行できる料金体系が公式サイトで案内されていますが、具体的なプラン名や金額はページ構成上確認できなかったため、検討時は公式サイトの料金ページで最新の条件を直接確認してください。

STUDIO

STUDIOは、新規事業のランディングページやサービスサイトを素早く公開し、市場の反応を確かめたい企業の候補です。コードを書かずにデザインを自在に構築できるノーコードのWeb制作プラットフォームで、90万人以上のユーザー、3万社以上の導入実績、22万件以上のサイト公開実績が公式サイトに掲載されています。無料プランに加えて、有人サポートを利用できるMiniプラン以上の有料プランが用意されていることを確認できますが、具体的な金額は公式サイトの料金ページで確認することをおすすめします。

自社の課題別に候補を絞る方法

自社課題からIT新規事業開発ツールの候補を絞るチーム

6製品を一斉に細部まで比較するより、最も大きな課題を一つ決め、必須要件で候補を減らす方が効率的です。事業アイデアの整理、協業パートナーの探索、MVP・PoCの実装では、適したツールのタイプが異なります。

事業アイデアの整理・言語化を優先したい場合

顧客への提供価値や収益モデルがまだ言葉になっていない段階では、StrategyzerやMiroといったビジネスモデル設計・アイデア創出に強いツールを優先します。関係者が多い場合はMiroのような共同編集型のホワイトボードが、フレームワークに沿った体系的な整理を重視する場合はStrategyzerのようなキャンバス特化型が向いています。

協業パートナーの探索を優先したい場合

自社単独でのリソースだけでは新規事業のスピードや専門性が不足している場合は、AUBAやCreww Growthのようなオープンイノベーションプラットフォームを優先します。すでに社内に候補となる協業先の心当たりがあるかどうかで、マッチング機能を重視するか、プログラム型の伴走支援を重視するかが変わります。

MVP・PoCの実装スピードを優先したい場合

アプリケーションとしての機能検証が必要ならBubbleのようなノーコードアプリビルダーを、まずはランディングページで需要を確かめたい段階ならSTUDIOのようなノーコードのWebサイト制作ツールを優先します。検証したい仮説が「機能が使われるか」なのか「そもそも興味を持たれるか」なのかによって、選ぶべきツールの種類が変わります。

料金・契約前に確認すべきこと

IT新規事業開発ツールの料金と契約条件を確認する担当者

公開されている料金だけで安価なツールを選ぶと、利用人数の増加や連携機能の追加で想定外の費用が生じることがあります。月額費用だけでなく、導入準備、教育、将来の乗り換えまで含めた総保有コストで判断します。

何に対して課金されるかを確認します

クラウドツールの料金は、ユーザー数、案件数、テンプレート利用数、マッチング成立件数など、課金単位が製品によって異なります。現在の利用人数だけでなく、検証が進んだ後の想定人数も伝えたうえで、初期費用や最低利用期間、上位プランへの移行条件を確認します。料金が非公開または要問い合わせの製品も珍しくないため、確認できない具体額を比較表へ推測で書き込まないようにします。海外製ツールでは為替の変動によって円換算の負担額が変わる場合もあるため、複数月にわたって利用する前提で、想定される支払額の幅もあわせて確認しておくと安心です。

データの持ち出しと契約終了時の扱いを確認します

事業アイデアの検討過程でツールに蓄積したキャンバスや検証結果、協業候補とのやり取りは、事業の重要な資産になります。エクスポート形式や、契約終了後にどの範囲までデータを持ち出せるかを契約前に確認しておくと、将来別のツールへ移行する際の手戻りを防げます。

トライアル・デモで最終候補へ絞る

IT新規事業開発ツールのトライアルを実施するチーム

資料比較で2〜3ツールまで絞ったら、実際に検討している事業アイデアを題材にトライアルやデモを行います。担当者だけでなく、経営層や現場のメンバーにも参加してもらうと、導入後の定着度合いを事前に見極めやすくなります。

実際の事業アイデアでトライアルを行います

抽象的なサンプルデータではなく、自社が実際に検討している事業アイデアの一部を使ってツールを試すと、テンプレートの使いやすさや共同編集の実用性を具体的に判断できます。オープンイノベーションプラットフォームであれば、実際にどのような協業候補が見つかるかを確認することが、掲載企業数の多さ以上に重要な判断材料になります。

検証速度と定着度を実測して判断します

トライアル期間中は、アイデアを整理するまでにかかった時間、関係者からのフィードバック件数、実際に最後まで使い切ったメンバーの割合などを記録します。ツールを導入しただけで検証が速くなるわけではなく、社内での運用ルールと組み合わせて初めて効果が出るため、トライアルの結果は数値で残しておくと、本格導入の判断材料として使いやすくなります。

IT新規事業開発の製品比較で押さえておきたいポイント

IT新規事業開発の製品比較に関する質問を確認する担当者

ツール一覧から候補を選ぶ際は、無料プランの範囲やおすすめ順位だけでなく、自社の検証フェーズと利用規模を同じ条件で比較する必要があります。ここでは、選定時に判断が分かれやすいポイントを整理します。

1つのツールで全工程をまかなえるとは限りません

ビジネスモデル設計、パートナー探索、PoC・MVP実装のすべてを1つのツールでまかなえるとは限りません。多くの企業では、アイデア整理にはMiroやStrategyzerのようなツールを、実装検証にはBubbleやSTUDIOのようなツールを使い分けています。複数ツールを併用する場合は、情報の受け渡し方をあらかじめ決めておくことが重要です。

独自の検証プロセスが必要な場合は個別開発も選択肢です

既製のクラウドツールでは自社の検証プロセスや承認フローに合わない場合、内部向けの検証管理システムを個別に開発する選択肢もあります。既製ツールを組み合わせても解決しない要件がある場合は、汎用ツールに固執せず、自社専用の仕組みを検討する価値があります。

おすすめのツールは検証フェーズによって変わります

すべての企業に共通する1位のツールはなく、事業アイデアの整理段階か、協業パートナー探索の段階か、MVP・PoCの実装段階かによって適したツールが変わります。まず自社が最も時間をかけている工程を特定し、その工程に強いツールから比較を始めてください。

まとめ

IT新規事業開発ツールの選定方針をまとめるチーム

IT新規事業開発の実務では、ビジネスモデル設計、オープンイノベーション、PoC・MVP開発という工程ごとに、目的の異なるクラウドツールを組み合わせて検証を進めることが一般的です。今回紹介した6製品にも、キャンバスによる整理、共同編集によるアイデア創出、協業パートナー探索、ノーコードによる実装支援など、異なる特徴があります。

検証フェーズの特定から2〜3ツールへ絞り込みます

事業アイデアの整理、協業パートナー探索、MVP・PoCの実装のうち、最も支援が必要な工程を決めます。そのうえで対応フェーズ、共同編集のしやすさ、外部連携、料金体系を同じ質問で比較すれば、知名度だけに左右されず候補を絞れます。

検証の先にある独自システムの構築も見据えます

ツール選定は、事業アイデアの検証段階だけで完結するものではありません。事業として立ち上がり、独自の業務フローや基幹システムとの連携が必要になった段階では、既製のクラウドツールだけでは対応しきれない要件が見えてきます。riplaはフルスクラッチ開発の立場から、検証段階で明らかになった要件の整理や、自社の業務に合わせたシステム構築を支援しています。支援先選びの評価軸はIT新規事業開発の選定ポイント・選び方・種類で解説していますので、あわせてご確認ください。

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株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。