IT戦略コンサルの期間は企業規模によって変わり、中小企業・スタートアップは1〜2ヶ月、中堅企業は2〜4ヶ月、大企業は4〜6ヶ月が目安です。
納期を左右するのは、台帳不在で既存システムの全容が見えないことや、部門間の期待値のずれ、ベンダーロックインの確認です。
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IT戦略コンサルの概要(DX戦略コンサルとの違い)
IT戦略コンサルは、情報システム部門が主体となって技術基盤側の中期計画を策定するサービスです。
主な対象読者は、情報システム部門長やCIOです。
近年は、経営陣がビジネスモデル変革を描くDX戦略コンサルと混同されることが増えています。DX戦略が「何を目指すか」を描く一方、IT戦略は、その構想を実現するために情シスが技術基盤を組み直します。混同したまま発注すると、期待と異なる成果物になる場合があります。
具体的には、既存システムを調査し、あるべき構成や3〜5年単位のIT投資計画をまとめます。加えて、ガバナンス体制や組織・人材戦略の立案も行います。
期間を見積もる前に、成果物とDX戦略コンサルや情シス内製との違いを明確にしておきます。立ち位置の理解が、見積もりの出発点になります。
工数の大半は、経営陣の合意形成よりも、数百・数千のシステムについて老朽化や依存度、データ連携の状況を洗い出す作業にかかります。
IT戦略コンサルが対象とする範囲(現状調査〜グランドデザイン〜投資計画〜ガバナンス組織)
対象となる工程は、現状調査からガバナンス・組織戦略の策定までの4つです。工程ごとの範囲は対象システムや拠点によって異なるため、期間もそれに応じて変わります。
- 現状調査:現状の技術的な課題と機会の把握
- 全体設計:システム全体の構成設計
- 投資計画:刷新時期や統廃合、年次予算のまとめと承認
- 統制・組織:ITルール、ベンダー管理、役割と人材計画の整備
現状調査では、数百・数千の既存システムを一覧にして、老朽化や保守切れ、サポート終了のリスクを確認します。
予算と人員の面では、守りと攻めのIT予算の内訳や情シスの人員・スキルも調べ、ベンダー依存度やデータ連携も洗い出して、技術課題と機会を探ります。
全体設計では、事業戦略に沿ったITアーキテクチャの全体像を描きます。クラウドの適用範囲やデータ連携基盤、セキュリティ方針も定義します。
投資計画では、刷新の順序を決めたうえで、年次の概算予算を算出します。
統制・組織では、全社ITルールやベンダー管理の方針を見直し、情シスの役割を定め直します。そのうえで、採用・育成計画も立てます。
DX戦略コンサル・情シス内製との役割の違い
スケジュールを見積もる際は、DX戦略コンサルや情シス内製との役割の違いを確認しておきます。
- DX戦略コンサル:経営陣・取締役会が主導する超上流工程で、デジタル技術により事業モデルや顧客体験のTo-Beを描く
- IT戦略コンサル:情シスが主体となり、構想を技術的に実現する中期計画や全体設計、投資、統制を扱う。経営構想の是非は判断しない
- 外部コンサル:客観的な評価や他社ベンチマーク、専任の調査を通じて、社内で後回しになりがちな全体最適を支援
役割の違いを関係者と共有しておくと、検討範囲が広がりすぎたり、期待値がずれたりするのを防げます。この共有が、期間を予定内に収める第一歩です。
企業規模別のIT戦略策定期間の目安

期間の目安は、現状調査から投資計画・ロードマップの承認までです。DX戦略コンサルと違って実態調査が大半を占めるため、期間はシステム数や部門・拠点の広がりに左右されます。構成情報の整備状況や複雑さ、情シス体制も影響します。
規模の区分は、中小企業・スタートアップ、中堅企業、大企業に分けて見ていきます。
中小企業・スタートアップ:1ヶ月〜2ヶ月
中小企業やスタートアップの期間は、1ヶ月〜2ヶ月程度が目安です。ただし、規模や体制によって調査にかかる時間は変わります。
- 対象と体制:システム数が限られ、情シス担当者や兼任者と直接やり取りできる
- 進め方:現状調査から全体設計、簡易的な投資計画まで、短い期間で進む
- 承認:稟議の階層が浅く、経営層の了承を得てから次へ進みやすい
- 調査の注意点:専任情シスの不在や構成の未文書化が多く、想定より調査が長引く場合がある
- 期間短縮:サーバーやSaaS契約の洗い出しを、ヒアリングと並行して行う
中堅企業(複数事業部・システム数十規模):2ヶ月〜4ヶ月
中堅企業の期間は、2ヶ月〜4ヶ月程度が目安です。
期間内に収めるため、システム調査や社内調整の条件を事前に確認しておきます。
- 調査範囲:数十規模のシステムを事業部ごとに運用している場合、調査に時間がかかる
- 意思決定:大企業ほど階層は深くなく、情シス部門長が全体設計の方向性をまとめれば、投資計画へ進みやすい
- 初期準備:各事業部のシステム管理者への聞き取りと契約書類を初期に集められるかで、2〜4ヶ月を守れるかが分かれる
大企業(複数事業部・拠点、システム数百規模):4ヶ月〜6ヶ月(最大1年)
大企業や複数拠点・グループ会社を抱える企業では、4ヶ月〜6ヶ月が目安です。
対象システムが数百に及び、複数部門の調整も必要な場合は、最大1年かかることもあります。
- 現状把握:事業部やグループ会社ごとに情シスやベンダーが異なるため、全体把握に時間がかかる
- 部門調整:責任者どうしの利害調整が必要になる
- 決裁:複数の階層にまたがり、経営会議やIT投資委員会で複数回の合意が必要になるため、期間が延びる
- 段階的に進行:基幹系と全社共通基盤のグランドデザインを固めてから、事業部別ロードマップへ展開する
段階を分けて進めるのは、一度に完成させようとすると調査範囲が広がりやすくなるためです。
フェーズ別のスケジュールと期間配分(標準4ヶ月モデル)

工程は、現状調査、全体設計、投資計画・ロードマップ、ガバナンス・組織戦略の4つです。
標準的な4ヶ月・16週間の例では、現状調査に約1.5ヶ月、全体設計に約1.5ヶ月を配分します。投資計画・ロードマップに約3週間、最終報告に約2週間が目安です。統制・組織戦略は、これらと並行して進めます。
中心になるのは、既存システムを把握して事業戦略に沿って設計する地道な作業です。
投資対効果を数値で示すための調査や検討も、この段階で行います。
現状調査・アセスメント:第1週〜第6週(約1.5ヶ月)
現状調査は約1.5ヶ月が目安で、プロジェクトの成否を左右する工程です。
成果物は、現状課題を整理したアセスメントレポートです。
- システム:構成一覧と、保守切れやサポート終了のリスクの確認
- 予算:守りのITと攻めのITの使途の分析
- 人員:情シス部門の担当人数やスキルの洗い出し
- ベンダー:依存度やロックインの状況の把握
システム一覧が古い、あるいは存在しない企業もあります。その場合は、資料収集に加えて、担当者へのヒアリングや実機確認で実態を調べます。
対象範囲を決めないままだと、後から追加の要望が出て工程が長引きます。そのため、初期に対象システムのリストを確定し、関係者で合意しておきます。
情報システム全体のグランドデザイン策定:第7週〜第14週(約2ヶ月)
現状調査が終わったら、事業戦略に沿って情報システム全体を設計します。この工程の期間は、約2ヶ月が目安です。
- 全体構成:IT構成やクラウドの適用範囲、データ連携基盤、セキュリティ方針の決定
- 全体最適:個別の刷新に加えて、重複機能の整理と全社共通のデータ基盤の設計
- 統廃合判断:事業部の個別最適システムを俯瞰し、統合か維持かを選ぶ。短縮は個別最適を招く
IT投資計画・ロードマップ策定〜最終報告:第15週〜第16週(約2〜3週間)
全体設計の後は、具体策に優先順位を付けたうえで、投資計画と最終報告をまとめます。
- 具体策:刷新、データ連携基盤、クラウド移行、人材育成などの洗い出し
- 投資計画:3〜5年のロードマップと年次の概算IT投資額を、約3週間で算定する
- 統制・組織:並行して進め、シャドーIT対策の全社ルールやベンダー管理、情シスの役割、採用・育成計画を整える
- 最終報告:情シス部門長やCIOが、優先理由や投資対効果の測定方法を説明し、予算とリソースの承認を得る
- 承認後:経営陣の質問に答える資料を準備する。承認が得られるとコンサル期間は一区切りとなり、計画の実行と運用は情シスが担う
納期を左右する要因と遅延対策

遅延の原因は、技術的な難しさより、情報の未整備や部門間の調整不足にある場合があります。これは、システムの実態を把握する作業が避けられないためです。
代表的な遅延要因と、納期を守るための進め方を順に見ていきます。
既存システムの全容が把握できていない「台帳不在」の壁
遅延要因は、台帳の不在、情シスと事業部門の期待値のずれ、ベンダーロックイン調査の3つです。
- 台帳不在:構成台帳や契約一覧がなく、調査が長引く
- 期待値のずれ:技術最適と業務効率の優先度が異なる
- ロックイン調査:契約やソースコードの権利確認に時間がかかる
担当者の異動や退職を経て、全体像を誰も把握していない企業もあります。そうした場合は、聞き取りとサーバーや契約の実地確認が欠かせません。
情シスは技術面の最適を、事業部門は業務効率を優先しがちです。そのため、全体設計をめぐる議論が平行線になる場合があります。
特定のベンダーに開発や保守を依存していると、統廃合の判断材料が揃うまで工程が滞ることがあります。
CIO・情シス部門長の関与と調査の優先順位付け
部門をまたぐ調査を進めるには、CIOや情シス部門長の関与が要ります。開始前に協力体制を整えておきます。
- 協力を依頼:部門長から各部門へ、調査協力を明確に伝える
- 調査に優先順位:影響や老朽化リスクの大きいシステムを先に調べる
- 役割を分担:社内情報の収集と外部の専門調査を分ける
現場の協力が得にくい場合に備えて、部門長がすぐに介入できる体制も必要です。調査への協力は、開始時から働きかけておきます。
すべてのシステムを同じ精度で調べると時間がかかります。そこで、影響の小さい周辺システムは簡易調査に留める方法が有効です。
契約や構成の情報は情シスが集め、市場動向の比較や設計など専門性が要る部分は外部に委託できます。
この分担であれば、社内の実態に詳しい情シスの知見を生かしつつ、期間の短縮を図れます。
まとめ
IT戦略コンサルの期間は、中小企業で1ヶ月〜2ヶ月、中堅企業で2ヶ月〜4ヶ月が目安です。
大企業は4ヶ月〜6ヶ月で、最大1年かかる場合もあります。
納期を見積もる際は、情シス主体の中期IT計画であることを確かめたうえで、現状調査やシステム全体を最適化するまでの時間も見込みます。
遅延の要因になるのは、台帳の不在、部門間の期待値のずれ、ベンダーロックインです。
遅延対策には、責任者の関与と調査の優先順位付けが有効です。
検討を始めるときは、まず自社の構成情報がどこまで整備されているかを確認します。そのうえで、複数のコンサルティングパートナーに相談し、現実的な計画を立てます。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
