勘定奉行は、企業規模、業種、グループ・海外拠点の有無によって5つのクラウド型エディションに分かれており、自社の会計要件に合わせて選びます。
提供形態の違い、比べる観点、5製品の特徴、周辺製品との連携、契約前の確認事項の順に見ていきます。各テーマの詳細は、下の関連記事でも確認できます。
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パッケージ型とクラウド型、勘定奉行の現行ラインナップの位置づけ
勘定奉行は、ソフトウェアを購入して自社サーバーに導入するパッケージ型として普及してきました。パッケージ型は独自ネットワークや閉域網の要件に対応しやすい一方、サーバー調達・保守や更新を自社で担う範囲が広くなります。
現在、公式サイトで確認できる主力製品はクラウド型が中心です。この記事では、現行ページで確認できたクラウド型を扱います。なお、製品ごとに提供形態の定義が異なるため、資料の表記だけで判断せず、実際の提供形態と保守体制を確認しておく必要があります。
オンプレミス型の自社運用の範囲と改修体制
以前から勘定奉行を使う企業の中には、オンプレミス型を継続利用している企業もあります。
- 法改正対応・更新:対応や更新は、自社とパートナー企業が分担して担います。
- 年間保守:契約しているパートナー企業の提供サービス。
以降では、公式サイトで料金と機能を確認できるクラウド型を中心に見ていきます。
クラウド型のエディションの分かれ方
クラウド型には、中小企業向けの標準版、建設業・個別原価管理向け、中堅・上場企業やグループ企業向けがあります。さらに、海外拠点を持つ企業向けの製品もあります。続く節では、比べるときの共通項目を示したうえで、各エディションを紹介します。
エディションを比較するときの共通項目

自社の会計処理に合うかは、機能一覧を見ただけでは判断しきれません。そこで、次の4つの観点をそろえて比べ、会計処理に合うものを選び分けます。
- 企業規模:各エディションが対象とする企業の規模。
- 業種機能:工事別やプロジェクト別の原価管理が必要かどうか。
- 拠点範囲:国内グループや海外拠点への対応要件。
- 料金体系:公開価格と個別見積もりの別。
企業規模と業種特化機能の要否
標準版で足りるか、工事別原価計算やプロジェクト別原価管理が必要かによって、比べるエディションが変わります。また、標準機能がどこまで対応するかは、自社の勘定科目体系と実際の取引パターンに照らして確かめます。
グループ・海外拠点の有無と料金体系
自社の事業展開に照らして、候補となるエディションの違いを見比べます。
- 拠点対応:国内グループ会社や海外子会社がある場合は、IFRS対応、グループ一元管理、多言語・多通貨対応の製品が候補になります。
- 料金体系:公式サイトで金額を確認できる製品と、業務要件によって個別見積もりになる製品があります。
- 価格比較:比較表には確認できた事実だけを載せ、非公開の価格は推測で埋めません。
評価の進め方そのものは、勘定奉行導入の選定ポイント・選び方・種類で詳しく解説しています。
勘定奉行の主要クラウドエディション5選
2026年7月時点で、現行の公式ページから料金と機能を確認できた5製品を取り上げます。並び順は優劣ではなく、対象企業規模が小さい順です。
勘定奉行クラウド(標準)
中小企業向けの標準版で、取扱量に応じたプランが用意されています。主な機能、2つのプランの料金、適合条件を、次の項目で並べています。
- 主な機能:自動仕訳・自動チェック、データの紐づけと根拠確認、50種以上の帳票、API連携。
- エントリープラン:2026年7月時点で月額7,750円〜、年額93,000円〜、初期費用0円。
- 標準プラン:同時点で月額28,000円〜、年額336,000円〜、初期費用70,000円。
- 適合条件:標準的な会計・税務業務が中心で、業種特化の原価管理が不要な企業。
プランは仕訳伝票明細件数や請求書発行件数によって分かれています。ただし、価格は変わる可能性があるため、契約前にパートナー企業へ最新価格を確認します。
勘定奉行クラウド[建設業編]
建設業の中小企業向けのエディションです。工事の業務に合うかどうかを、機能と価格の両面から見ます。
- 工事業務:工事別仕訳・原価計算を自動化し、証憑管理から支払まで一貫処理。
- 周辺機能:適格請求書のペーパーレス発行、AI自動仕訳、金融機関とのデータ連携。
- 料金と試用:2026年7月時点で月額27,500円〜、年額330,000円〜、初期費用50,000円〜。30日間の無料トライアルあり。
- 適合条件:工事進行基準や工事別原価管理が会計処理で大きな比重を占める企業。
勘定奉行クラウド[個別原価管理編]
プロジェクト型ビジネス向けの製品で、案件単位の収支管理が課題の企業が主な対象です。
- 主な機能:案件ごとの個別原価計算を自動化し、証憑・支払管理や収支のリアルタイムでの把握に対応。
- 対象と期間:中小企業、中堅企業、上場企業が対象。導入から稼働まで約2ヶ月が目安。
- 料金:2026年7月時点で月額27,500円〜、年額330,000円〜、初期費用50,000円〜。
- 適合条件:システム開発業やコンサルティング業など、案件単位の収支管理が課題の企業。
奉行V ERPクラウド
中堅・成長・上場・グループ企業向けの上位機種です。機能、設計の考え方、料金の扱い、適合条件を、次の項目で確認できます。
- 主な機能:IFRS、国内外子会社の統合管理、固定資産管理、IPO・監査に対応。
- 設計:Fit to Standardを前提とした設計で、大規模ERPにありがちな過度なカスタマイズを抑えやすい。
- 料金:業務要件によって変わり、公式サイトに具体的な金額はないため、問い合わせが必要です。
- 適合条件:上場準備中やグループ経営を行い、会計基盤を将来拡張したい企業。
勘定奉行クラウドGlobal Edition
海外拠点を持つグループ企業向けの製品です。想定課題から料金、利用実績まで、次の5点で確認できます。
- 想定課題:現地報告の遅れ、内部監査の難しさ、既存海外ERPの高コスト。
- 多言語・多通貨:日英切替や自動翻訳に対応し、現地・機能・連結通貨を扱えます。
- 税務・管理:VAT/GSTを含む付加価値税に対応し、複数現地法人を1ドメインで一元管理。
- 料金:2026年7月時点で月額66,000円〜、ライセンス数で変動。初期費用100,000円。
- 利用実績:公式サイトでは41の国と地域での利用実績を掲載。海外子会社の会計を本社で把握したい企業が候補になります。
給与奉行・固定資産奉行など周辺製品との連携
OBCの奉行シリーズには、給与計算の給与奉行、固定資産管理の固定資産奉行、労務手続きの総務人事奉行などがあります。そこで、周辺製品との連携の要否を先に決めておくと、比べるエディションを絞り込めます。
給与奉行・固定資産奉行とのデータ連携と役割分担
たとえば、給与の結果を人件費の仕訳にしたり、減価償却費を月次の会計データに反映したりする運用があります。
同じシリーズ同士では、勘定科目や部門コードを連携しやすい場合があります。ただし、連携のしやすさは契約するエディションの組み合わせによって変わるため、同じシリーズでも自動で連携するとは限りません。連携項目と頻度は、パートナー企業に確かめておきます。
既存の販売管理システムなど他社製品との連携
他社製品と連携するなら、データの取り込み方と用途を先に決め、そのうえで接続範囲を確かめます。
- 取り込み対象:販売管理やECで発生する売上・仕入データを、どう取り込むかが運用を左右します。
- 接続仕様:API連携が案内されたエディションでも項目や同期時期は異なるため、接続実績を確かめ、必要なら連携部分の開発を検討します。
- 仕訳の精度:独自の販売フローや在庫管理があると、標準CSV連携では精度を保てないことがあります。
- データの用途:参考として取り込むか、自動仕訳の根拠にするかを分けて決めると、稼働後の手戻りを抑えられます。
自社の状況別に候補を絞る考え方

必須要件を先に整理しておくと、5製品を並べて比べる手間が減ります。業種特化機能と、グループ・海外展開の有無で候補を絞り込めます。
標準的な会計処理が中心の中小企業
業種特化の原価管理が不要で、仕訳・決算・インボイス対応が中心なら、勘定奉行クラウド(標準)から検討します。一方で、工事別・案件別の原価管理が重要なら、建設業編または個別原価管理編を優先して比べます。
グループ経営・海外展開を行う企業
国内グループ統合やIPO・監査対応が課題なら、奉行V ERPクラウドを候補にします。海外子会社の会計を本社で把握したい場合はGlobal Editionを候補にします。両製品は標準版より高額になる傾向があるため、対象範囲と拡張計画を踏まえて比べます。
契約前の確認事項

公式価格は目安にすぎず、実際の金額は利用人数、請求件数、必要なオプション機能によって変わります。
特に、業種特化版や上位機種は、標準版より見積もりの個別要素が多い傾向があります。そのため、複数社から同じ条件で見積もりを取り、内訳を比べておきます。
契約先パートナー企業の最新価格と支援範囲
OBCは直接販売せず、全国のパートナー企業を通じて提供しています。そのため、公式価格は目安として扱い、契約先から最新の見積もりを取ります。
データ移行支援、導入研修、稼働後の問い合わせ対応は、パートナー企業ごとに範囲が異なる場合があります。そこで、複数社に同じ条件を示し、支援の範囲を比べておきます。
既存データの移行範囲とエディション変更の可否
別エディションやオンプレミス型から移る場合は、勘定科目体系、補助科目、過去の仕訳をどこまで引き継げるかを確かめます。また、将来、標準版から業種特化版や上位機種へ移る可能性があるなら、契約時にエディション間の移行のしやすさも見ておきます。
勘定奉行導入の製品選びで押さえる要点
業種特化の要件とグループ・海外展開の有無を先に比べ、料金はその後に確かめます。
オンプレミス型が必要な場合のパートナー企業への個別確認
公式サイトで料金と機能を具体的に確認しやすいのは、クラウド型の製品が中心です。一方、独自ネットワークなどの理由でオンプレミス型が必須なら、提供状況と保守体制を契約予定のパートナー企業に確かめます。
業種と企業規模によるエディションの選び分け
どの製品が合うかは、標準会計、業種別の原価管理、グループ・海外展開のうち、どれを優先するかで決まります。まず、必須要件で2つ程度まで絞り、無料トライアルやデモで操作性を確かめてから判断します。
料金の最新情報の再確認
この記事の料金は2026年7月時点の公式掲載情報です。プラン改定や税制変更で価格が変わる可能性があります。このため、契約直前にパートナー企業または公式サイトで最新価格を確認します。
まとめ
現行の製品は、5つのクラウド型エディションを中心に構成されています。その内訳は、標準版、建設業編、個別原価管理編、奉行V ERPクラウド、Global Editionです。対象規模、業種機能、グループ・海外対応がそれぞれ異なるため、自社の会計処理に照らして候補を絞ります。
業種・規模・グループ展開の3点による候補の絞り込み
標準会計、業種別原価管理、グループ・海外展開の3観点から、5製品の候補を2つ程度まで絞れます。そのうえで、料金と機能の詳細をパートナー企業に確かめます。
標準機能で足りない部分の連携と個別開発
製品を決める前に、導入後に必要となる対応も見通しておきます。
- 標準機能:紹介したエディションで会計・税務業務の大部分に対応できます。
- 連携要件:既存の販売管理や独自の承認フローでは、標準機能で吸収しきれない要件が残ることもあります。
riplaは、製品選定で明らかになった連携要件の整理や、既存システムと勘定奉行をつなぐ構築を支援しています。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
