レガシーシステム移行のパッケージ/クラウド製品一覧

レガシーシステム移行の製品・サービスは、ミドルウェア型とクラウド・エージェント型に分けて見ると、自社の課題に合う候補を絞り込めます。

比較の観点、主要な7つの製品・サービス、課題別の絞り方、料金確認の要点を順に挙げています。

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自社導入型ツールとクラウド・エージェント型サービスの違い

ミドルウェア型とエージェント型・コンサルティング型の強みを左右で比べた図。
方式によって支援の重点が分かれます。

レガシーシステム移行の支援方法は、大きく2つに分かれます。ひとつは、自社環境やクラウド上に導入するミドルウェア型のツールです。もう一方は、ベンダーがクラウド上で提供するエージェント型・コンサルティング型のサービスです。

どちらも、メインフレームの資産をどう新しい環境へ移すかという同じ課題に応えます。ただし、変更の対象範囲や、自社側が担う作業負担の大きさは異なります。

ミドルウェア型の強み:コードを変えずに移せること

メインフレームのミドルウェアと同等の機能を、クラウドやオンプレミス環境の上に用意するタイプです。そのため、既存のプログラム資産をコード変更なしで稼働させられます。

業務ロジックを作り直すリスクを抑えられる一方、性能要件やライセンス体系は製品ごとに異なります。したがって、自社のトランザクション量やバッチ処理の規模で、実際に検証することが欠かせません。

エージェント型・コンサル型の強み:仕様解明と移行の実行支援

AIエージェントで仕様の解明や自動検証を行うタイプと、移行プロジェクト全体をコンサルティングの形で伴走するタイプがあります。

旧システムの仕様がブラックボックス化している企業や、社内に移行経験者が少ない企業で選ばれる傾向があります。ただし、どちらのタイプでも、アセスメントから運用定着化まで人による確認と合意形成が必要になります。

ポイント

既存のコードをほぼそのまま動かしたいならミドルウェア型、仕様が見えない、社内に移行経験者がいないならエージェント型・コンサル型が候補になります。

製品・サービスを比べるときの共通の観点

製品・サービスの比較項目として、対応言語と対応データベース、実績、検証支援、料金体系を並べた図。
候補ごとに同じ項目を確認できます。

製品紹介ページの機能一覧を見ても、自社の移行要件に合うかどうかは判断しにくいものです。そこで発注側は、対応言語と実績、料金体系などを共通の質問に置き換え、候補を同じ条件で比べることが大切です。

対応範囲と実績の比べ方

まず押さえたいのは、対応する言語(COBOL、アセンブラなど)、データベースの種類、対応するアーキテクチャです。これらは候補ごとに違うため、自社の対象システムに当てはまるかを見極めます。

「移行実績あり」と書かれていても、自社と近い規模や業種での実績なのか、部分的な検証段階までの実績なのかで、意味は変わります。そのため、導入事例の公開日や規模感を確かめたうえで、実際の担当者に詳しく聞くと判断の材料がそろいます。

検証支援・セキュリティ・料金体系の確認

移行後の性能検証と新旧システムの回帰検証を、どこまで自動化・支援できるかを確かめます。さらに、対象データに含まれる機密情報や個人情報の扱い、アクセス権限、通信・保存時の保護方針も見ておきます。

料金体系は製品・サービスによって異なり、ライセンス課金、プロジェクト単位の契約、月額課金などの形があります。評価の手順について詳しくは、レガシーシステム移行の選定ポイント・選び方・種類で整理している7つの評価軸もあわせて確認してください。

ポイント

各社に同じ質問をして、「移行実績あり」の中身や検証支援の範囲、データの保護、料金体系を並べると、候補の差が見えてきます。

レガシーシステム移行を支援する主要な製品・サービス7選

2026年7月時点で、現行の公式ページと対象業務を確認できた7つの製品・サービスを紹介します。掲載順は、優劣を示すランキングではありません。

それぞれ得意とする移行方式や支援範囲が違うため、自社の課題と対象システムをそろえて比べることが大切です。

AIベテランエンジニア(東京システムハウス株式会社)

AIベテランエンジニアは、COBOLシステムを対象にしたサービスです。コードから仕様書を自動で生成する仕組みに加えて、チャット形式の質疑応答で、修正案の提示や不具合調査を支援する仕組みを備えています。

特徴は、技術基盤、対象企業、提供状況、料金の4点に分けて整理できます。

  • 技術基盤:Google CloudのGeminiと、仕様書・COBOLノウハウのRAGを組み合わせた設計です
  • 対象企業:仕様がブラックボックス化した資産を、移行前のアセスメント段階で解明したい企業が候補です
  • 提供状況:2026年7月時点の公式サイトでは、Claude Code連携などを追加したバージョンの提供が案内されています
  • 料金:公式ページに具体的な記載はなく、問い合わせによる確認が必要です

ITモダナイゼーション/レガシーマイグレーション(JBCC株式会社)

JBCC株式会社は、メインフレームやオフコンのプログラム資産を移行するサービスを提供しています。移行先は、IBM i搭載のPower Systemsなど最新の基盤です。

特徴は、提案内容、実績、対象企業、料金の4点で分かれます。

  • 提案内容:移行後のWeb化やオープン化、クラウド化までを見据えた提案が特徴です
  • 実績:IBMからレガシーマイグレーション推進の実績で感謝状を受けたことが、公式サイトで案内されています
  • 対象企業:IBM iプラットフォームを中心に、移行を検討している企業です
  • 料金:個別相談での確認が前提です

Re@nove(株式会社シーイーシー)

Re@noveは、複数の分野をカバーするマイグレーションサービスです。対象は、メインフレーム移行、データベース移行、クラウド移行のほか、VB・Strutsなどのアプリケーションマイグレーションです。

特徴は、認定、実績・対象企業、料金の3点で分かれます。

  • 認定:2024年にAWSパートナー認定を取得しました
  • 実績・対象企業:2026年に入ってからも導入事例の追加が確認できるため、幅広い移行方式を一つの窓口で相談したい企業に向いています
  • 料金:公式ページに具体的な記載はなく、個別見積もりが必要です

レガシーマイグレーション(日立ソリューションズ・クリエイト)

日立ソリューションズ・クリエイトは、レガシーマイグレーションサービスを提供しています。企画や計画からインフラ構築、データ移行まで、一貫して支援する内容です。

移行の企画段階から相談したい企業や、インフラ構築も含めて任せたい企業の候補になります。なお、料金は公式ページに具体的な記載がなく、資料請求や提案依頼を通じて確認する必要があります。

レガシーマイグレーション オープンからオープンへ(株式会社エクサ)

株式会社エクサのこのサービスは、異なるOS環境のサーバーを統一OS環境へ移行するものです。既存プログラムの業務仕様は変えず、ソースコードのみを変換する「リホスト」方式を採用しています。

資産の洗い出しから、基盤構築、運用、教育までをワンストップで提供しています。関連するCOBOL変換サービスの案内も確認できるため、業務ロジックを変えずにオープン環境へ移行したい企業の候補になります。

料金は公式ページに具体的な記載がなく、個別相談での確認が必要です。

OpenFrame(日本ティーマックスソフト株式会社)

OpenFrameは、メインフレームのアプリケーションやビジネスロジックを変えずに、クラウドやオンプレミス環境へ自動で移行するミドルウェアです。

CICSやIMSなど、メインフレームと同等以上の性能を新しい環境で提供すると謳っています。また、2025年から2026年にかけての導入事例も、公式サイトで複数確認できます。

大規模なトランザクション処理を持つメインフレームを、コード資産を活かしたまま移行したい企業の候補になります。料金は公式ページに具体的な記載がなく、個別見積もりが必要です。

AWS Transform for mainframe(Amazon Web Services, Inc.)

AWS Transform for mainframeは、メインフレームワークロード向けのエージェンティックAIサービスです。レガシー資産のモダナイゼーションを、AIで自動化しながら支援します。

  • アセスメント・計画:初期の現状分析と移行計画を進めます
  • リファクタリング:既存コードの作り替えです
  • アプリケーションの再考(Reimagine):COBOL・CICS・DB2・VSAMなどレガシー資産の再設計まで対応します

2025年5月に一般提供が始まりました。さらに、2025年12月にはReimagineパターン対応とテスト自動化機能が追加されたことが、公式ブログで案内されています。

AWS環境への移行を前提に、AIによる分析・検証の効率化を重視する企業の候補になります。ただし、料金ページへの案内はあるものの、本文に具体額の記載はありません。

自社の課題別に候補を絞る方法

仕様解明、大規模なコード資産の移植、AI活用による効率化の3つに課題を分けた図。
優先課題を定めると候補を絞りやすくなります。

7つの製品・サービスを一度に細部まで比べるより、最も大きな課題を一つ決め、必須要件で候補を減らすほうが効率的です。仕様解明と基盤移行そのもの、AIによる効率化のどこに重点を置くかで、適した候補は変わります。

仕様がブラックボックス化している場合

社内にCOBOLコードの仕様を理解できる技術者がいない、あるいはドキュメントがほとんど残っていない場合があります。そうした場合は、AIベテランエンジニアのような仕様解明支援サービスを、まず候補に入れます。

その後の移行の実行段階では、JBCC、日立ソリューションズ・クリエイト、エクサなど、企画からデータ移行まで伴走するサービスが候補になります。

大規模メインフレームをコード資産ごとクラウドへ移したい場合

既存の業務ロジックをできるだけ変えず、大規模なトランザクション処理をそのままクラウドへ移したい場合があります。この場合は、OpenFrameのようなミドルウェア型のリホスト製品や、Re@noveのような複数分野に対応するマイグレーションサービスが選択肢になります。

AWSへの移行を前提に、アセスメントや検証でAIの支援を取り入れたい場合は、AWS Transform for mainframeも比較対象に加えられます。

ポイント

まず最優先の課題を一つ決め、仕様が見えないなら仕様解明の支援、大規模なコード資産を移すならミドルウェア型やマイグレーションサービスから候補を絞れます。

料金・契約前に確認すべきこと

今回紹介した7つの製品・サービスは、いずれも公式ページに具体的な料金の記載がなく、個別見積もりが前提です。公開価格がない分、見積もりの条件をそろえられるかどうかで、比較の質が左右されます。

費用の発生単位

プロジェクト単位の一括契約か、ミドルウェアのライセンス課金か、クラウドの利用量に応じた従量課金かによって、総コストの構造は大きく変わります。

比較するには、対象プログラムの本数、データ量、想定する並行稼働期間を各社へ同じ条件で提示することが必要です。そのうえで、見積もりに社内のテスト工数や教育研修費が含まれるかも確かめてください。

実質的な移行総費用は、ベンダーへの支払額の1.3〜1.5倍程度を見込んでおくと安全だとされています。

データの取り扱いと契約終了後の対応

移行対象のデータには、顧客情報や取引情報など、機密性の高いものが含まれます。そのため、ベンダーのAIサービスにコードやデータを渡す場合は、学習利用の有無、保存場所、契約終了後のデータ削除条件や返却方法を契約書で確かめます。

ロールバックの体制やバックアップ計画を、自社とベンダーのどちらが担うのかも、契約前に明確にしておく必要があります。

ポイント

見積もりは課金の単位と含まれる工数をそろえて比べ、データの扱いや契約終了後の対応は契約書で確かめると、判断を誤りにくくなります。

デモとPoCによる最終候補の絞り込み

資料で比べて2〜3候補まで絞ったら、自社の一部のデータやコードを使い、デモまたはPoCを行います。さらに、情報システム部門だけでなく、旧システムの仕様を知る担当者や業務部門も加わると、導入後の行き違いを減らせます。

一部のプログラムとデータによる、一連の流れの検証

影響の小さいプログラムとデータを選び、アセスメントから変換または移植、検証、切替まで、実際に一つの流れとして通します。正常系だけでなく、想定される文字コードの変換誤りやデータの欠損が起きた場合に、どこまで自動で検知できるかも試します。

効果とリスクの実測と稟議への活用

PoCの前に、仕様解明にかかっていた時間、想定している並行稼働期間、二重運用コストの見込みを記録しておきます。PoCのあとは、この記録を実測値と比べます。

ベンダーが示す一般的な削減効果を、そのまま自社に当てはめるのは避けます。自社のプログラム本数やデータ量をもとに見込みを算出するほうが、投資判断の精度が高まります。

ポイント

PoCでは旧システムの仕様を知る担当者を交えて例外処理まで試し、事前の見込みと実測値を比べると、稟議で根拠を示しやすくなります。

レガシーシステム移行の製品・サービス比較で押さえておきたいポイント

製品・サービスの一覧から候補を選ぶときは、知名度やおすすめ順位よりも、自社の対象システムと移行規模を同じ条件で比べることが欠かせません。

最優先課題で異なるおすすめの製品・サービス

全企業に共通する1位のサービスはなく、最優先課題に合う候補がおすすめです。仕様解明、大規模なコード資産の移植、AI活用による効率化のどれを優先するかで、候補は変わります。

まず必須要件で2〜3候補に絞り、同じシナリオのPoCで比べてください。

製品・サービスで対応できない場合の個別開発という選択肢

メインフレーム特有の文字コードや階層型データベースの変換など、既製の製品・サービスの標準機能で吸収しきれない要件が出てくる場合があります。そうした場合は、フルスクラッチでの変換スクリプト開発や、製品とオーダーメイド開発を組み合わせるハイブリッド構成も比べてください。

移行後の運用コストまで含めた料金の比較

初期の移行費用だけでなく、移行後のライセンス費用や保守費用、運用定着化の段階でかかる教育コストまで含めて比べます。そのうえで、同じ対象規模とデータ量を各社へ提示し、総保有コストで判断することが大切です。

まとめ

レガシーシステム移行の製品・サービスは、単一の正解を探すより、自社の課題を見極めて比べるほうが現実的です。

自社の課題は、仕様解明、大規模なコード資産の移植、AI活用による効率化のいずれかに当てはまります。また、今回紹介した7つの製品・サービスには、それぞれ異なる強みがあります。

課題の診断から2〜3候補への絞り込み

仕様のブラックボックス化、大規模なコード資産の移植、AIによる検証の効率化のどれが最優先かを決めます。そのうえで、対応範囲や実績、料金などを同じ質問で比べれば、広告的な訴求に左右されず候補を絞り込めます。

実データによるPoCでの最終確認

資料に載った機能数より、自社の対象システムとデータで一連の移行作業を通して処理できるかが大切です。旧システムの仕様を知る関係者も交えて例外処理まで試し、リスクと運用工数を測ったうえで決めてください。

既製の製品・サービスで対応しきれない場合に備えて、代わりの進め方も整理しておくと安心です。

  • フルスクラッチ開発・ハイブリッド構成:独自のデータ変換要件や特殊な連携を既製の製品・サービスが吸収できない場合の検討対象になります
  • riplaの支援:フルスクラッチ開発の立場から、比較で見えた不足機能の整理や、自社システムに合わせた移行支援・システム構築を行います

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。