レガシーシステム更改のパッケージ/クラウド製品一覧

レガシーシステム更改の製品は、自社環境で運用する形態とクラウド基盤で移行・変換する形態に大別でき、対象資産、移行先、必要な支援範囲によって適した候補が変わります。製品の違いと比べるときの共通の観点を見たあと、主要7製品・サービスを紹介し、課題別の絞り込み、料金・契約、デモ・PoCの順に進みます。各テーマの詳細は、関連記事で確認できます。

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パッケージ型とクラウド型レガシーシステム更改製品の違い

自社運用の改修自由度と長期保守、クラウド型のAI変換支援と機能更新を左右に比べた図解
移行後の改修を誰が担うかも、選択肢を分ける視点です。

レガシーシステム更改製品は、自社環境で運用する形態と、クラウド基盤で移行・変換する形態に大別できます。今回紹介するのは、クラウドベンダーのサービス、国内SIerの支援、開発環境製品です。これらには、クラウドで移行する形態のほか、自社環境で運用する開発環境製品も含まれます。

自社運用と改修の自由度が論点になる選択肢

富士通のNetCOBOLは、既存COBOL資産を自社の開発環境で使い、クラウドやモバイルにも対応する選択肢です。

既存の言語や資産を生かせます。ただし、移行後の環境整備や改修は、自社またはパートナーが担う範囲が大きくなります。自社で長期保守する方針なら、開発環境への投資も候補になります。

クラウド型の特徴:AIによる変換支援と継続的な機能更新

AWS、Microsoft Azure、Google Cloudのサービスは、コード解析やAI変換から、移行後の稼働基盤までを各社のクラウド環境で提供します。機能更新は受けられる一方で、対象システムが対応範囲に入るかは個別確認が必要です。

国内SIerは、クラウド活用に加えて、現状を洗い出す作業や移行計画も支援します。

ポイント

自社で運用して改修の自由度を保つか、クラウドの機能更新を受けるかで、候補の性質は大きく変わります。移行後の改修を誰が担うかを基準に考えると、比べやすくなります。

製品・サービスを比べるときの共通の観点

製品候補を比べる際の対応範囲、近い条件の移行実績、移行後サポートの3項目を並べた図解
同じ質問を各候補に投げると、条件をそろえやすくなります。

自社のメインフレームやCOBOL資産に対応するかは、候補に直接尋ねて確かめます。紹介ページの情報だけでは判断しきれないため、各候補に同じ質問を投げ、比較条件をそろえます。

対応言語・プラットフォームのカバー範囲

まず、自社のハードウェア、OS、開発言語のバージョンについて、製品・サービスの対応範囲を確認します。

  • ハードウェア:メインフレームの機種
  • OS:VOS3、MSP、MVSなど
  • 開発言語:COBOL、PL/Iなどのバージョン

「COBOL対応」という表記からは、方言への対応や自動変換の範囲、手作業で修正する箇所が読み取れません。

移行実績と移行後の保守体制

機種・言語バージョン・データ量が近い移行実績も尋ねます。移行実績に加えて、移行完了後の保守・サポート体制も比べます。クラウドサービスは機能更新が期待できる一方で、独自の変換結果への個別支援は契約によって異なります。

国内SIerは、移行後の運用保守まで契約できる場合が多いです。ただし、規模やコード量に上限がある場合もあります。

上限が自社の規模に合うかを確認してください。評価手順はレガシーシステム更改の選定ポイント・選び方・種類で整理しています。

ポイント

対応言語や機種、OSのバージョンは、候補に直接尋ねて確かめる必要があります。移行実績は、機種・言語バージョン・データ量が近いものを基準に見ると、比べやすくなります。

レガシーシステム更改の主要製品・サービス7選

2026年7月時点で公式ページに現行掲載されていることを確認できた7製品・サービスを紹介します。なお、掲載順はランキングではありません。

Azure Migrate自体は無料で、ほかの製品・サービスの料金は個別見積もりまたは非公開です。そのため、ここでは確認できた対応内容にとどめ、金額は記載していません。

導入を検討する際は、最新の料金と提供条件を公式窓口で確かめてください。

AWS Transform

AWS Transformは、エージェンティックAIで複数のレガシー資産のモダナイゼーションを支援します。対象環境には次のものがあります。

  • メインフレーム
  • Windows
  • VMware環境

2026年7月時点の公式サイトでは、アプリ解析、コード変換、AWS環境への移行を一貫支援すると案内されています。

従来の「AWS Mainframe Modernization」のマネージドランタイム環境エクスペリエンスは終了しました。新規顧客への提供も2025年11月7日に終わり、現在はAWS Transformが後継として案内されています。

旧サービス名を見かけた場合は、この変更を踏まえて、最新の提供内容を公式サイトで確認してください。

Microsoft Azure Migrate

Azure Migrateは、オンプレミスのサーバー、データベース、Webアプリを発見できるサービスです。移行適性評価やコスト試算、移行までを一つのポータルで進められます。

2026年7月時点の公式資料では、Azure Migrate自体は無料です。また、CAPEXからOPEXへの変化を含むコスト構造を比べるビジネスケース機能もあります。

ただし、一部のパートナー製移行ツールには別途費用が発生する可能性があります。利用する移行経路とツールを確認したうえで、見積もりを取ります。

Google Cloud メインフレームモダナイゼーション

Google Cloudのソリューション群は、AIを使った大規模なレガシーアプリケーションの評価・逆エンジニアリング、コード変換、再設計を支援します。大規模な基幹システムを段階的にクラウド移行したい企業や、アプリ構造を可視化したい企業の候補になります。

ただし、実際の対応範囲と見積もりは、個別相談で確認する必要があります。

富士通 NetCOBOL

富士通のNetCOBOLは、既存COBOL資産を活用する製品です。

  • 開発・運用環境:クラウドやモバイルを含む幅広い環境に対応します。
  • 移行後の活用:COBOL資産を保守・拡張するため、開発基盤を刷新する選択肢です。

公式サイトに2026年時点の著作権表示があり、現行製品として提供が続いていることを確認できます。ライセンス体系は個別に確認してください。

日立製作所 マイグレーションサービス

日立製作所はVOS3、MSP、MVSなどのメインフレームからオープンプラットフォームへの移行を支援します。

支援は4ステップで、移行性分析から始まり、移行方式設計とパイロット移行を経て、資産移行へ進みます。公式サイトにはCOBOL85からCOBOL2002への変換実績も掲載されています。

段階的な手順が示されているため、大規模な基幹システムを慎重に移行したい企業に向いています。

NTTデータCCS モダナイゼーション支援サービス

NTTデータCCSは、長年のシステム開発経験に基づく「業務・システム可視化プロセス」を活用します。

  • 仕様書がない場合:プログラムのリバース解析で業務を把握できると、公式サイトに掲載されています。
  • 移行の進め方:一度に置き換えず、業務継続性を保ちながら段階移行を支援します。

ブラックボックス化したメインフレームの業務を洗い出すことに不安がある企業の候補になります。

TIS Xenlon~神龍 モダナイゼーションサービス

TISのXenlon~神龍は、モダナイゼーションを担うサービスです。公式サイトではページ更新日が2026年6月25日と明記されており、直近まで更新が続く現行サービスと確認できます。

  • 変換方法:COBOLやPL/Iのプログラムを独自ツールでJavaへ自動変換します。
  • 提供範囲:アセスメントから移行、システム拡張・DX計画立案、DX導入まで一貫して提供します。
  • Open COBOL向け:低価格・短納期のオプションがあります。

短納期・低コストでの変換を重視する企業は、この製品も比較の候補にできます。

自社の課題別に候補を絞る方法

変換精度、COBOL資産の継続活用、クラウド移行、現行業務の把握の4課題を示す図解
優先する課題を先に決めると、比較対象を絞り込めます。

7製品を一度に細部まで比べるより、課題と必須要件から絞るほうが効率的です。クラウド移行を選ぶか、国内ベンダーの伴走支援を選ぶかで、候補が変わります。

メインフレーム・COBOL資産の移行そのものが課題の場合

変換精度が懸念なら、日立製作所やTISのように変換実績と移行手順が示された選択肢を優先します。一方で、COBOL資産を自社で継続活用する方針なら、開発環境を刷新する富士通のNetCOBOLも候補になります。

クラウド移行や業務可視化を重視する場合

クラウド移行を前提とするなら、AWS Transform、Azure Migrate、Google Cloudのサービスを候補にします。そのうえで、利用中のクラウドとの親和性や、ガバナンス体制との整合性を確認します。

現行業務の把握に不安がある場合は、NTTデータCCSのように可視化プロセスを示すサービスが候補になります。業務を先に可視化しておくと、後工程の手戻りを減らしやすくなります。

ポイント

変換精度が懸念なら変換実績と移行手順が示された候補を、クラウド移行を前提とするならクラウドのサービスを、現行業務の把握に不安があるなら可視化プロセスを示すサービスを先に見ます。

料金・契約前に確認すべきこと

Azure Migrate本体を除き、紹介した製品・サービスの公式サイトには、具体的な料金が載っていません。公開情報だけで候補を選ぶと、見積もりの段階で想定外の費用が分かる場合があります。

見積もりが変わる基準

見積もりを依頼する際は、資産規模と移行後の利用規模を伝えて、各社の条件をそろえます。料金を左右する要素は、提供形態によって異なります。

  • クラウドサービス:解析コード量、移行データ量、稼働後の利用料
  • 国内SIer:対象プログラムのステップ数、変換難易度、保守契約

移行後のサポート体制と契約条件

コードや新環境に不具合が出た場合、どこまで対応してもらえるか、その期間と追加費用の有無を契約前に確認します。

権限管理やログ、障害復旧などを、自社のセキュリティ基準と照らし合わせます。委託先やデータ保管場所についても、同じ基準で確かめます。契約期間中にサービス終了や事業移管が生じた場合の対応方針も、契約条項に含められるかを見ておきます。

ポイント

見積もりは資産規模と移行後の利用規模をそろえて依頼すると、比べやすくなります。契約では、不具合対応の範囲と期間、追加費用の有無を契約前に押さえておくことが大切です。

デモ・PoCによる製品一覧の最終候補への絞り込み

資料などで2〜3候補に絞り込んだあとは、実コードとデータを使ったデモまたはPoCで判断します。情報システム部門に加えて対象業務の有識者も参加すると、変換結果と業務ロジックが一致しているかを確認しやすくなります。

自社の実データ・実バッチによる検証

試すのは、汎用的なサンプルコードよりも、自社のコア業務ロジックを含むプログラムです。実際に近いデータ量・データ形式を使い、変換と移行を検証します。さらに、夜間バッチが規定時間内に終わるかを確かめ、変換後のコードを元の仕様と突き合わせます。こうした実データでの検証により、デモでは見えない工数や制約も明らかになります。

移行効果とリスクの実測と稟議への活用

PoCの前に、想定移行期間、手作業で修正する箇所数、移行後の運用コストを記録しておき、実測値と比べます。

経営層への説明には、自社のコード規模や体制で得た数値を使います。他社事例をそのまま当てはめるより、この数値のほうが説得力を持ちます。自社の数値があれば、更改を先送りせずに判断する後押しになります。

ポイント

最終判断は、自社の実データと実バッチで精度や工数、運用負荷を実測してから行うのが基本です。PoC前の想定値と比べた実測値は、稟議の説明にも使えます。

レガシーシステム更改の製品選びで確認しておきたいポイント

掲載順や知名度よりも、自社の対象システムと利用条件を同じ基準で比べます。そのうえで、選定時に判断が分かれやすい点を確認します。

クラウド移行を伴わない選択肢

規制や閉域網の事情で全面的なクラウド移行が難しい場合、NetCOBOLで開発環境を刷新する方法があります。

国内SIerによる言語変換や基盤更改を組み合わせて、オンプレミス環境を維持する方法も候補になります。まずは自社の制約を整理してから絞り込みます。

おすすめの製品が変わる条件

おすすめの製品は、対象の言語・機種、移行後のクラウド利用か自社運用か、必要な国内ベンダーの支援範囲によって変わります。全企業に共通する1位の製品はありません。

まずは必須要件で2〜3候補に絞り、同じシナリオのデモまたはPoCで比べます。

料金が非公開の製品の比較方法

Azure Migrate本体を除き、紹介製品・サービスの公式サイトには、具体的な料金が載っていません。そのため、同じ対象システム、データ量、移行後の運用条件を各社に提示します。

見積もりの前提をそろえたうえで、作業を解析と変換、移行作業、移行後の保守に分けて提示してもらうと、総額だけでは見えない差が分かります。

まとめ

更改製品は、クラウドベンダーのAI活用サービスと、国内ベンダーの言語変換・移行支援に大別できます。7製品にも、対応言語や移行先、伴走支援の違いがあります。そのため、自社の資産と方針に合わせた比較が欠かせません。

課題の明確化と2〜3候補への絞り込み

まず、変換精度とクラウドとの親和性のどちらを優先するかを決めます。業務可視化と国内ベンダーの支援も含めて、優先課題を整理します。課題が変われば、比べる候補も変わります。そのうえで、対応環境や移行実績、保守体制を同じ質問で比べ、見積もり条件もそろえます。

自社の実データを使ったPoCでの確認

自社のコア業務ロジックを含む実データで変換・移行を試し、精度、工数、運用負荷を確認して最終判断します。

既製のクラウドサービスや変換ツールでは、独自ロジックや基幹連携を吸収しきれない場合があります。そこで、riplaはフルスクラッチ開発の立場から、不足機能や既存システム連携を含む更改を支援しています。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。