MESのリアーキテクチャでおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方

MESのリアーキテクチャは、製造現場と周辺システムの両方を理解する会社へ依頼することが重要です。比べる観点は、実績、技術力、プロジェクト管理体制の3つです。

カスタマイズの蓄積や属人化が進むと、単なるバージョンアップでは対応しきれない場合があります。ERPとの粒度差、古い設備との連携、多拠点展開への備えも欠かせません。

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MESのリアーキテクチャでパートナー選びが成否を分ける理由

MESリアーキテクチャで考慮する処理粒度差、設備接続、多拠点展開、切り戻し計画を示す図
設備から移行計画まで、検討範囲は工場全体に及びます。

MESの刷新では、生産設備と基幹システムの間を流れるデータを扱いながら、工場の稼働を保つ必要があります。一般的な業務システムとは異なるこの制約があるため、パートナー選びが成否を大きく左右します。

リアーキテクチャ特有の難所と、パートナーの実力差

ERPは日次・月次、MESは分・秒単位で動くため、両者の処理粒度には差があります。無理なリアルタイム連携は処理の滞留を招くため、疎結合・非同期でデータを受け渡す設計が求められます。

古いPLCや海外製設備との接続も課題です。後付けセンサーやゲートウェイを使うレトロフィットIoTなら、設備全体を更新せずにデータを収集できます。

  • 設備接続:既存設備の通信方式に応じた収集方法
  • 拠点展開:ログや処理量の増加を見越した、回線・サーバー・データバッファの設計

発注前に確認すべきポイント

発注側は、実績を自社と近い業種・規模の事例で確かめる必要があります。プロセス系と組立加工系では、工程管理やトレーサビリティの要件が異なるためです。

現場の例外処理をすべて個別に開発すると、カスタマイズが膨らみます。そこで、標準機能に合わせる範囲を開発会社が提案できるかも見極めておきたいところです。

移行計画では、データのマッピングとクレンジング、複数回のリハーサルが組み込まれているかを見ます。一括移行と段階移行の違いや、許容停止時間と判断者を定めた切り戻し計画も、比較の材料になります。

ポイント

ERPとの粒度差や古い設備との接続、移行の進め方を見て、工場を止めずに作り替えられる会社かどうかを判断の目安にします。

株式会社ripla|コンサルから開発まで一気通貫で支援

riplaは、コンサルティングから開発まで一貫して支援します。社内DXの経験を生かし、営業・顧客・生産・販売管理などの基幹システムを構築・導入してきました。

特徴と強み

riplaは、要件定義の前に「何を作り替えるか」を整理する段階から伴走できます。そのうえで、事業成果を踏まえて標準機能と個別対応の境界を考え、現場のキーマンと進め方を調整します。

ERPやPLMとの連携では、システム間の処理粒度を踏まえた疎結合・非同期方式を提案できます。また、AIを活用した開発や、特定パッケージに限らない刷新方式の検討も支援の範囲です。

得意領域・実績

生産管理や販売管理などの基幹システムに携わった経験を生かし、業務DXの整理から開発までを一社で支援します。コンサルティングと開発の担当が分かれることで起きる認識差を抑えやすいのが、この体制の利点です。

既存システムの刷新範囲を決めきれない企業や、導入後の現場定着に課題を感じている企業に適しています。小さく始めて効果を確かめ、段階的に対象を広げたい場合の相談先にもなります。

横河電機株式会社|プロセス産業に強い制御×MESの老舗

横河電機は計測・制御を手がけ、DCS(分散制御システム)も提供しています。「YOKOGAWA-MESソリューション」は、製造装置のデータを見えるかたちにして共有し、原料の入庫から出荷までを支援します。

特徴と強み

横河電機の強みは、制御層とMESをまとめて設計できる点です。制御技術を生かし、古い設備や計装機器からのデータ取得を、ハードウェアとソフトウェアの両面から検討できます。

石油・石油化学や化学、食品、医薬品などに対応しています。さらに、半導体・電機電子、組立加工、物流にも対応しています。連続稼働が求められる工場では、制御からMESまでを一貫して検討できる体制が役立ちます。

得意領域・実績

三井化学では、国内全5工場へ共通MES基盤を展開し、操業現場業務の効率化につなげています。複数の拠点へ基盤を広げた経験は、多拠点展開を検討するときの参考になります。

化学プラントや製薬工場など、トレーサビリティと安定操業を重視する現場に適しています。設備と制御を含めてMESを刷新したい中堅・大企業は、投資規模も踏まえながら検討できます。

株式会社日立ハイテク|化学プラント特化のCyberPlant

CyberPlantが原料受入から製造実績管理までをつなぐ化学プラント業務の流れ図
受け入れた原料の管理から製造実績までを一続きで捉えます。

日立ハイテクのMESソリューション「CyberPlant」は、化学プラントに特化して開発された点が大きな特徴です。原料受入から在庫管理、計量作業、投入作業、製造実績管理までを一気通貫で統合管理し、自動化の難しいプロセスでも作業の標準化を実現します。また、基幹情報システムと制御層の中間に位置し、両者を結びつける役割を果たす設計になっています。

特徴と強み

CyberPlantの強みは、経験や勘に頼っていた作業を見えるようにし、データとして蓄積できる点にあります。ラベルや二次元コードの読み取りで作業ミスを防げるほか、計量時の目標値と現状値の管理や、作業実績の自動収集にも対応しています。

二次元コードやRFIDとの連携にも対応しており、トレーサビリティ強化を狙うリアーキテクチャと相性の良いソリューションです。また、既存システムとの連携性や拡張性にも優れています。基幹層と制御層の橋渡し役として設計されているため、ERPとの粒度差を吸収しながら段階的に機能を拡張できます。

レガシーなプラント設備を抱えつつ、まずはトレーサビリティと実績管理から着実に作り替えたい企業に適しています。

得意領域・実績

日立ハイテクは、化学・素材系のプラントを中心に導入実績を重ねています。食品向けの「Cyber-Chefood」や、バッチ統合生産システム「HIBIS」なども揃えています。さらに、日立グループとしての技術基盤と保守体制を背景に、長期的な運用を見据えた安定したサポートを期待できます。

特に、計量や投入といったバッチ系の工程を多く抱える化学・食品メーカーに向いています。プラント特有の安全性と作業標準化を両立させたい現場にも適しており、汎用的な生産管理パッケージより踏み込んだ機能を備えています。業種特化型のMESで確実に成果を出したい企業にとって、有力な選択肢となるでしょう。

東レエンジニアリングDソリューションズ株式会社|現場目線のセミパッケージTONOPS

東レエンジニアリングDソリューションズが提供する生産管理システム「TONOPS」は、セミパッケージ方式を採用したMESソリューションです。スピーディに導入できるパッケージのメリットと、生産工程や目的に合わせてカスタマイズできるメリットを両立している点が特徴です。

プラント設備やオートメーションに熟達したエンジニアリング企業が、現場の声を取り入れて開発したシステムである点も、信頼につながります。

特徴と強み

TONOPSのセミパッケージ方式は、フルスクラッチと過度なパッケージ適合の中間を狙えます。標準機能で賄える部分はパッケージを活かし、自社固有の工程だけをカスタマイズする考え方です。そのため、Fit to Standardを現実的に実践でき、コスト肥大を抑えやすくなります。

現場の管理者や作業者の目線に立った使いやすい仕様も大きな強みです。MESは現場に使われて初めて価値を生むため、操作性の高さは定着率に直結します。

実際に生産ラインを構築・運用してきたエンジニアリング企業です。現場感覚に根ざしたUI設計により、IT部門主導で陥りがちな「使われないシステム」のリスクを下げられます。

得意領域・実績

TONOPSは、医薬品・食品・液晶・半導体・自動車部品など幅広い業種への導入実績を基盤に開発されました。製造業を中心に、物流や印刷などの業界にも対応しています。複数業種の知見が標準機能に蓄積されているため、自社の業界に近い導入事例を参考にしながら要件を固めやすい点がメリットです。

フルスクラッチほどの自由度は不要だが、汎用パッケージでは現場に合わないという中堅製造業に特に適しています。導入スピードとカスタマイズ性のバランスを重視し、現実的なコストと工期でMESを作り替えたい企業にとって、検討する価値の高いソリューションです。まずは標準機能で素早く立ち上げ、必要に応じて拡張していきたいケースにも向いています。

ポイント

フルスクラッチほどの自由度は不要でも、汎用パッケージでは現場に合わない場合は、TONOPSのようなセミパッケージが候補になります。

SCSK株式会社|ERP連携に強い大手システムインテグレーター

SCSKは、ERPとMESを統合した生産管理ソリューションを提供する大手システムインテグレーターです。品質計画立案から品質情報の蓄積、影響解析、対策立案まで、受注から出荷までを一気通貫で管理できる細やかな品質管理が強みです。

同社は、自社開発のERP「PROACTIVE」と製造業向け業務テンプレート「atWill」シリーズを中心に、ワンストップで支援できる体制を持っています。

特徴と強み

SCSKの強みは、ERPとMESを連携させた全体最適の設計ができる点です。MESリアーキテクチャでよく問題になる計画層と実行層の粒度差を、自社ERPとの組み合わせで整合させやすく、データ連携の手戻りを抑えられます。

ロット単位で品目をトレースでき、購入・製造・検査の実績と紐づければ、クレームを起点とした影響調査にも活用できます。さらに、標準原価・実際原価・予算原価による詳細な原価管理にも対応しており、経営層が投資効果を確認できる点も特徴です。

直接費の直課や部門別・勘定科目別の間接費配賦により、実態に即した原価を算出できるため、投資対効果を把握しやすくなります。MES特有のROIを稟議で説明する際、コスト面の根拠を示せることは大きな武器になります。

得意領域・実績

SCSKはローコード開発基盤を備えており、ファイル取込・出力やグラフ出力といった業務機能の追加、独自業務機能の作成にも対応しています。大手SIerとしての豊富なプロジェクト管理経験とリソースを背景に、多拠点・大規模なリアーキテクチャでも安定した推進力を発揮します。

特定の業務領域だけの部分導入や、事業状況に合わせた段階的導入にも柔軟に応えられます。そのため、いきなり全社一括ではなく、スモールスタートで進めたい企業にも適しています。

ERPの刷新とMESの作り替えを同時に検討している企業や、品質管理・原価管理を高度化したい中堅・大企業にとって、統合的に任せられるパートナーです。基幹システム全体を見据えた構想から相談したい場合に向いています。

ポイント

ERPの刷新とMESの作り替えを同時に検討しているなら、ERP連携や原価管理まで一社で任せられるかを、判断の目安にします。

テクノシステム株式会社|中堅・中小製造業に強い実績班長

テクノシステムが提供する「実績班長」は、製造現場で発生するあらゆるデータをリアルタイムに収集・分析するMESパッケージです。紙やExcelで管理していた日報・作業実績・設備稼動データをデジタル化し、現場の状況を即座に見えるようにすることで、改善活動のスピードを加速させます。

コストパフォーマンスの良さを特徴とし、中堅・中小製造業からの支持を集めています。

特徴と強み

実績班長の強みは、機能ごとのライセンス形式を採用している点にあります。最初から全機能を導入する必要はなく、まず必要な機能だけでスモールスタートし、後から工程進捗管理や設備稼動管理などを追加導入できます。

機能ごとに段階的に導入する進め方は、いきなり大規模なリアーキテクチャに踏み切れない中堅・中小企業にとって、初期投資を抑えながら段階的に作り替えていける現実的なアプローチです。

タブレットやPCでの入力に加え、設備やセンサーからデータを自動取得できる点も特徴です。現場の入力負荷を減らしながら、工程進捗・作業進捗・不良要因をリアルタイムに把握できるため、属人化やExcel運用から脱却したい現場に適しています。レガシー設備からのデータ収集を含め、まずは実績を見えるようにする段階から着手したい場合に有効です。

得意領域・実績

実績班長は、製造現場の合理化とコストダウンを同時に実現できる点が評価され、組立加工系を中心に幅広い中堅・中小製造業で導入されています。大手SIerに依頼するほどの予算は確保しづらい現場にとっても、紙やExcelの限界を感じているなら導入のハードルが低い点が大きな魅力です。

限られた予算で確実に効果を出したい、まずは一部の工程から実績収集を始めて成功体験を積みたいという企業に向いています。MESのリアーキテクチャを大上段に構えず、現場の状況が見えるところから着手できます。段階的に範囲を広げたい中堅・中小製造業にとって、現実的な第一歩となるパッケージです。

ポイント

大手SIerに依頼するほどの予算は確保しづらくても、紙やExcelの限界を感じているなら、まず一部の工程から始められるかを判断の目安にします。

MESリアーキテクチャのパートナー選びで失敗しないためのポイント

MESリアーキテクチャのパートナー選定で確認する実績、技術力、プロジェクト管理体制のチェックリスト
3観点をそろえて複数のベンダーを比べられます。

6社それぞれに強みと適性があり、どの会社が最適かは自社の業種・規模・予算によって変わります。複数のベンダーを比べる際は、実績、技術力、プロジェクト管理体制の3点から見ていきます。

費用相場の目安は、小規模なら数百万〜1,500万円、中規模なら1,500万〜5,000万円です。大規模では数千万〜数億円が一般的です。大きな投資を無駄にしないためにも、選定基準を明確に持つことが欠かせません。

実績と経験の確認方法

まず確認すべきは、自社と同じ業種・同程度の規模での導入実績です。プロセス産業と組立加工業ではトレーサビリティの粒度や工程管理の考え方が異なるため、業種が近い事例を持つかどうかが要件定義のスムーズさに直結します。

発注側は、可能であれば「導入しました」で終わらせず、稼働後にどのような効果が出たか、移行時にどんなトラブルをどう乗り越えたかまで聞き取りましょう。

特に多拠点展開の実績は、見落とせない材料です。1工場でうまくいっても、全社展開でトランザクションが急増してパフォーマンスが破綻する失敗は珍しくありません。複数拠点へのロールアウト経験があり、インフラのサイジングや工場側のデータバッファ設計まで語れる会社であれば、将来の横展開も任せられる相手だといえます。

技術力と専門性の評価

技術力の評価では、レガシー設備からのデータ取得方法を具体的に提案できるかを確認します。古いPLCや海外製設備をまるごと入れ替えると、莫大な費用がかかります。一方、後付けセンサーやゲートウェイによるレトロフィットIoTなら、コストを抑えられます。

設備改修を前提とした見積もりしか出せない会社か、現実的な代替案を持つ会社かで、総費用が大きく変わります。あわせて、ERPやPLMとの連携設計の考え方も確認しましょう。計画層と実行層を無理に密結合させると性能が破綻するため、疎結合・非同期連携を前提に設計できるかが専門性の見極めどころです。

さらに、コンポーザブルMES(cMES)やAI駆動開発といった新しい選択肢も確認します。スクラッチの工期やコストを圧縮する提案力は、技術トレンドへの感度を測る材料です。

プロジェクト管理体制の確認

MESは止まれば工場が止まるため、移行時のプロジェクト管理体制を、最も重く見るべき点です。データ移行のマッピング・クレンジング・複数回のリハーサルを計画に組み込んでいるか、一括移行と段階移行のトレードオフを説明できるかを必ず確認しましょう。

段階移行は安全な反面、新旧並行稼働中のデータ同期中継プログラムの追加開発や二重入力の手間が発生します。その負担まで見積もりに織り込んでいる会社は、信頼できます。あわせて、現場キーマンを巻き込み、Fit to Standardの線引きで過度なカスタマイズを防ぐ進め方ができるかも見ておきましょう。

さらに、稼働初日に問題が起きた際の切り戻し(ロールバック)計画を、許容ダウンタイム・判断基準・発動権限者まで定義できるかが決め手になります。技術力だけでなく、現場の反発を抑えて定着まで導くマネジメント力を備えた会社こそ、MESリアーキテクチャを任せるべきパートナーです。

ポイント

実績、技術力、プロジェクト管理体制の3点について、移行時のトラブルや切り戻しまで具体的に答えられる会社かを判断の目安にします。

まとめ

MESのリアーキテクチャでおすすめの開発会社・ベンダー6社を紹介しました。6社にはそれぞれ明確な強みと適性があり、コンサルから開発まで伴走する株式会社riplaや、制御とMESを統合できる横河電機など、得意領域は異なります。

MESは「止まれば工場が止まる」システムです。そのため、ERPとの粒度差やレガシー設備とのデータ連携、多拠点展開、切り戻し計画への対応が成否を分けます。

実績、技術力、プロジェクト管理体制の3つの観点で複数社を比べ、自社の業種・規模・予算に合うパートナーを選ぶことが、失敗しないリアーキテクチャの第一歩です。まずは気になる会社に相談し、レトロフィットIoTや移行・切り戻しの具体的な提案を引き出すところから始めてください。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。