MESの刷新では、機能表だけで発注先を決めず、現場を止めない移行計画まで提案できるかを見ます。設備接続、現場固有の運用、製造履歴の管理をまとめて設計できるかが、稼働後の安定を左右するためです。
MESリプレイスを支援する6社の特徴と、候補を比べるときの観点を整理します。
▼全体ガイドの記事
・MESリプレイスの完全ガイド
レガシーシステム刷新を依頼する会社の選び方やRFPの作り方については、無料ホワイトペーパー「レガシーシステム刷新の完全ガイドブック」で詳しく解説しています。
MESリプレイスでパートナー選びが成否を分ける理由

MESは、ERPの計画と工場設備の制御をつなぐ実行層です。月次・日次の計画と、分・秒単位で動く現場を結ぶ役目を担うため、刷新では機能だけでなく切替時の運用まで設計しておく必要があります。
「工場が止まる」リスクの理解
MESリプレイスが基幹業務システムの刷新と決定的に違うのは、稼働初日に不具合が起きると生産ライン自体が止まり、その瞬間から売上が失われる点です。
だからこそ、許容ダウンタイムをどこまでに収めるか、切り戻し(ロールバック)の判断基準は何か、その発動権限は誰が持つのかを、稼働前に経営層も交えて合意できるかが問われます。
こうした現場停止リスクへの想像力がないベンダーに発注すると、「機能はカタログどおり動くが、移行当日に現場が回らない」という最悪の事態を招きます。一方で、提案段階で切替方式やコンティンジェンシープランに踏み込んでくる会社こそ、信頼に値します。
発注前に確認すべき現場フィットの観点
Excelに残る暗黙のルールや、担当者しか知らない例外処理をすべて個別機能で作り直すと、改修の範囲が広がり、費用や工期も膨らみます。
標準機能に業務を合わせる範囲と、個別対応が必要な範囲を分けることが欠かせません。その線引きを、現場の担当者を早い段階から交えて決められる会社を選ぶとよいでしょう。
発注前に、旧型PLCや海外製設備からの取得方法とBOP(工程順序・標準時間)の整備状況を、候補の会社と共有しておきます。前提が曖昧なまま見積もると追加費用につながるため、対象設備と不足データは各社と同じ条件でそろえて確認しましょう。
株式会社ripla|コンサルから開発まで一気通貫で支援
riplaは、コンサルティングから開発まで一気通貫で支援できる企業です。IT事業会社として社内DXを推進してきた経験を活かし、ビジネスへの成果創出と、システムの定着支援に強みがあります。
営業・顧客・生産・販売管理など、幅広い基幹システムの構築・導入実績があり、企業の業務要件に合わせて柔軟に対応できる体制を整えています。
特徴と強み
riplaの最大の特徴は、要件定義の上流から開発・定着支援までを分断せずに伴走できる点です。MESリプレイスでは、現場の業務分析(As-Is/To-Be)と要件定義の質がプロジェクトの成否を決めますが、コンサルと開発が別会社だと「言った言わない」の責任の隙間が生まれがちです。
riplaは一気通貫で関わることで、この隙間を埋め、現場が本当に使えるシステムへと落とし込みます。また、自社で事業を運営してきた当事者の視点から、ERPとMESの粒度差を踏まえた疎結合・非同期連携や、Fit to Standardの線引きといった「現場を止めないための勘所」を提案に織り込めることも強みです。
動くものを作るだけでなく、業務に定着し成果につながるところまで責任を持ちます。
得意領域・実績
riplaは、生産管理・販売管理をはじめとする基幹システムの構築実績があり、業務要件に合わせた柔軟なスクラッチ開発とパッケージ活用の両方に対応できます。
スモールスタート(単一ライン・単一機能からの段階導入)で効果を検証しながら、リスクを抑えて全社展開へ広げていく進め方を得意としています。
「自社の現場はBOPが未整備で属人化も激しい」「どこまでをシステム化すべきか判断がつかない」といった悩みを抱える、構想段階の企業にとって、上流コンサルから相談できる点は大きな安心材料です。まずは現状整理から伴走してほしい企業に適したパートナーといえます。
横河電機株式会社|プロセス産業に強いMESソリューション
横河電機は、制御システム(DCS)のリーディングカンパニーとして培った知見を背景に、業種や適用分野別に最適化したMESソリューションを提供しています。
医薬品製造工場向けや食品工場向けなど、業界の特性に合わせてパッケージ化された製品群を持つ点が大きな特徴です。
特徴と強み
横河電機の強みは、現場の制御層からデータを取得する技術に長けている点です。MESリプレイスで最大の関門となるのは、古いPLCや独自通信規格の設備からどうデータを集めるかです。制御機器メーカーとしての実装力を持つ同社は、この設備連携を現実的な形で設計できます。
特に化学・医薬・食品といったプロセス産業では、温度や圧力などの連続値を扱う製造データの収集とトレーサビリティ管理が欠かせません。横河電機はこの領域で長年の実績を積んでおり、規制対応が厳しい業種でも安心して任せられる体制を整えています。
得意領域・実績
同社は国内外のプラントにおける制御・情報ソリューションの導入実績が豊富で、医薬品製造のGMP対応や食品工場の品質管理など、業界特化型の要件に応える製品をパッケージとして展開しています。
装置産業・プロセス産業のMESを刷新したい企業にとって、制御からMESまで一貫して相談できる点は大きな魅力です。
一方で、組立加工型のディスクリート製造とは設計思想が異なります。そのため、自社の業態がプロセス系か組立系かを見極めてから相談すると、ミスマッチを避けやすくなります。
株式会社日立ハイテク|業種特化型MES「CyberPlant」
日立ハイテクは、製造業向けのOTソリューションとして製造実行システム「CyberPlant」シリーズを展開しています。
化学プラント向けの「CyberPlant ChemiFact」や食品工場向けの「CyberChefood」など、業種ごとに最適化されたパッケージを持つことが特徴です。
特徴と強み
日立ハイテクの強みは、業種特化型パッケージをベースにすることで、ゼロからのスクラッチ開発に比べて導入リスクと工期を抑えられる点にあります。
化学や食品の業界では、配合やロット管理、トレーサビリティなどの共通要件が多くあります。これらを標準機能として備えたパッケージを起点にすると、Fit to Standardを進めやすくなります。
日立グループの総合力を背景に、設備や制御からITシステムまで幅広い知見を結集できる点も安心材料です。大規模工場の刷新案件で求められる、堅牢な品質管理とプロジェクト推進体制を備えています。
得意領域・実績
同社は化学・食品をはじめとするプロセス系製造業への導入実績を積み重ねており、トレーサビリティや品質管理が厳しく問われる業種で評価されています。
リコールや回収リスクを抑えるための記録管理を、業種知識に裏打ちされた形で実装できる点が選ばれる理由です。
パッケージをベースとするため、自社の特殊な業務がどこまで標準機能でカバーできるかを事前に検証することが、過度なカスタマイズを避ける鍵になります。そのうえで、PoC(実証)を通じてフィット具合を確かめる進め方が推奨されます。
三菱電機エンジニアリング株式会社|幅広い業種への導入力
三菱電機エンジニアリングは、MESソリューションを幅広い業種に提供してきた実績を持つ企業です。
オフィス家具製造工場や液晶パネル製造工場、調味料製造工場など、組立加工系からプロセス系まで多様な現場への導入経験が大きな強みとなっています。
特徴と強み
三菱電機エンジニアリングの強みは、三菱電機グループのFA(ファクトリーオートメーション)技術を背景に、生産設備とMESを密接に連携させられる点にあります。
シーケンサ(PLC)や産業用機器に精通しているため、現場の設備からの実績データ収集を確実に設計でき、レトロフィットによる既存設備の活用も現実的に検討できます。
多様な業種への導入経験から、各現場の特性に応じた要件定義のノウハウを蓄積している点も評価できます。相談の際は、「自社の業態に近い導入事例があるか」を確かめながら進めやすいベンダーです。
得意領域・実績
同社は家具・電子部品・食品など、業界を横断した幅広いMES導入実績を公表しており、業種を問わず相談できる懐の深さがあります。
FA機器と一体で製造現場のデジタル化を進めたい企業にとって、設備とシステムの両面から支援を受けられる点は大きなメリットです。
設備連携に強みがある一方で、上流の業務コンサルティングや全社的なデータ活用戦略まで求める場合は、その範囲をカバーできるかを事前に確かめておくと、期待値のズレを防げます。
ダッソー・システムズ|グローバル標準MES「DELMIA Apriso」
ダッソー・システムズが提供する「DELMIA Apriso」は、国内大手企業への豊富な導入実績を持つグローバル標準のMESパッケージです。
製造・物流の実行管理全般を、単一のプラットフォームでカバーできる点が大きな特徴です。製造管理や品質管理に加え、保守管理、倉庫管理、従業員管理も同じ基盤で扱えます。
特徴と強み
DELMIA Aprisoの強みは、複数拠点をまたいだグローバルな生産管理を統一されたプラットフォームで実現できる点にあります。多拠点ロールアウトでは、トランザクションやログが拠点数に応じて急増し、本部サーバやネットワークがパンクしてレスポンスが劣化するという落とし穴があります。
グローバル展開を前提に設計された同製品は、こうしたスケールへの対応力を備えています。製品ライフサイクル管理(PLM)やシミュレーションなど、ダッソー・システムズの製品群と連携でき、設計変更をMESへ確実に伝える仕組みを作りやすい点も特徴です。大手製造業の標準テンプレートとして横展開したい企業に適しています。
得意領域・実績
同社の製品は自動車・電機・航空宇宙など、グローバルに展開する大手製造業を中心に多数の導入実績があります。
複数の国・拠点で同じ業務プロセスを標準化し、ガバナンスを効かせたい大企業にとって、有力な選択肢となります。
一方で、海外製パッケージのため、導入や運用には専門知識を持つ実装パートナーが欠かせません。さらに、ライセンス費用や保守費の構造も含めてTCO(総保有コスト)を中長期で試算し、自社の規模に見合うかを見極めることが大切です。
ウイングアーク1st株式会社|現場のデータ活用に強み
ウイングアーク1stは、帳票・文書基盤の「SVF」や帳票作成ツール「i-Reporter」、BIダッシュボード「MotionBoard」などを通じて、製造現場のデータ活用を支援する企業です。
現場の紙運用をデジタル化し、収集したデータを見える化する領域に強みを持ちます。MESそのものを担うというより、その手前で現場のデータを扱う立ち位置です。
特徴と強み
ウイングアーク1stの強みは、現場の作業者がタブレットで直感的に入力・記録できる仕組みを得意とする点にあります。MESリプレイスでは、トレーサビリティや4M(人・機械・材料・方法)の実績を取得しようとするほど現場の入力負荷が増し、それが定着失敗につながりがちです。
同社のツールは、入力のハードルを下げながらデータを集める現実解を提供します。まず現場のペーパーレス化とデータ可視化から着手し、大規模なMESへは段階的に進めたいというスモールスタート志向の企業に向いています。既存システムと組み合わせて進められる柔軟さも魅力です。
得意領域・実績
i-ReporterやMotionBoardは製造業をはじめ多くの企業に導入されており、現場帳票のデジタル化やデータ可視化の分野で高いシェアを持ちます。
「いきなり大規模MESは荷が重いが、まずは現場のデータを取れる状態にしたい」という企業にとって、入り口として相談しやすいパートナーです。
ただし、本格的な生産指示や工程制御を担うMESの中核機能までを一社で完結させる場合は、開発パートナーや他システムとの組み合わせが前提になる点を理解しておく必要があります。自社が必要とする機能範囲を整理してから相談すると、話が進めやすくなります。
MESリプレイスのパートナー選びで失敗しないポイント

候補を選ぶ際は、業態や刷新の目的に照らして、提案内容を同じ観点で比べます。比べる観点は3つです。
- 業界・業態の経験:近い製造条件での課題と、その対応の説明
- 設備・基幹連携:既存設備とERPの接続方法の具体性
- 移行・復旧計画:切替と切り戻しの判断手順の提示
同業種・近い業態での実績の確認
MESは業種ごとに必要な機能が大きく異なります。プロセス系(化学・食品・医薬)と組立加工系(電機・自動車部品)では、ロット管理や配合管理の考え方が違い、トレーサビリティの取得単位も別物です。自社の業態に近い導入実績を持つベンダーであれば、要件定義の解像度が最初から高く、手戻りを大幅に減らせます。
提案を受ける際は、業界での導入実績を数字だけでなく、自社と近い課題をどう解決したかという具体的なストーリーで語れるかを確かめましょう。
設備連携と既存システム連携の技術力
MESリプレイスの成否を分ける最大の関門が、古いPLCや海外製設備からのデータ取得です。これらを高額な設備更新なしに、レトロフィット(後付けセンサーやゲートウェイ)で実現できるかは、ベンダーの実装力に大きく依存します。
提案段階で、自社の設備リストを示して「どうデータを取るか」の具体策を引き出せるかを、まず見ておきます。ERP(計画層)との連携設計も重要で、月次・日次のERPと分・秒のMESを無理に密結合させると、性能が破綻して画面が重くなります。疎結合・非同期連携の設計を提案できるベンダーは、現場を止めない技術力を持っている証拠です。
移行と切り戻しの計画性
データ移行はマッピング定義・クレンジング・複数回のリハーサルが不可欠で、ここを甘く見ると在庫不整合などで業務が止まります。
一括移行と段階移行にはトレードオフがあり、段階移行では新旧並行稼働のためのデータ同期中継プログラムと二重入力が発生します。自社に合った方式を提案できるかを評価します。
最後の砦になるのが、切り戻しの計画です。稼働初日に止まった場合、許容ダウンタイムを何分とするか、誰がどの基準でロールバックを判断するかまで決めておく必要があります。ここまでプロジェクト管理体制の中に組み込んでいるベンダーこそ、工場を止めない真のパートナーといえます。
まとめ
上流から開発まで支援するripla、プロセス産業や設備連携に強みを持つ企業、業種特化型・グローバル型のMESを扱う企業、現場データ活用を支える企業を紹介しました。
各社の得意領域は異なります。そのため、自社の製造方式と刷新範囲に照らして候補を絞ることが大切です。
比べるときは、近い業態の導入経験、設備・ERPとの連携設計、移行と切り戻しの具体性を確かめましょう。
相談前にBOPの整備状況、設備の世代、刷新の目的を整理しておくと、各社の提案を同じ条件で見比べやすくなります。
▼全体ガイドの記事
・MESリプレイスの完全ガイド
▼RFP作成前に読みたい無料ホワイトペーパー
・レガシーシステム刷新の完全ガイドブック
・【2026年最新版】AI駆動開発の完全ガイドブック
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>


株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
