MES改修のパッケージ/クラウド製品一覧

MES改修の進め方は、既存製品のモジュール追加やレトロフィット連携を使う方法と、フルスクラッチで個別に開発する方法に大きく分かれます。

既存MESの形式によって使える手段が変わるため、製品を比べる前にその違いを押さえておくと、候補を絞りやすくなります。

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オンプレミス型とクラウド・ハイブリッド型のMES製品の違い

改修時に選べる手段は、既存のMESがオンプレミス型かクラウド型かによって変わります。自社の既存MESと同系統の製品であれば、モジュール追加や設定変更で対応できます。異なる系統の製品であれば、既存基盤とは別に周辺機能を追加する形になります。

フルスクラッチによる個別開発と既存製品の機能を使った改修は、対象範囲ごとに組み合わせて使い分けることも珍しくありません。

オンプレミス型の自社運用と個別要件対応

従来型のオンプレミスMESは、自社サーバーで運用するため、独自の改修や既存基幹システムとの連携に対応しやすい方式です。ただし、サーバーの監視やバックアップ、バージョンアップも自社側で担うことになります。

改修の手段を選ぶ前に、次の2点を確認しておく必要があります。

  • 保守サポート期間内か:ベンダーの保守契約が現在も有効か
  • 技術者・ドキュメントの有無:改修担当できる人材や資料が社内外に残っているか

とくに、稼働から年数がたったオンプレミスMESでは、導入時の担当ベンダーが今も改修を続けているかを最初に見ておく必要があります。

ベンダーのサポートが終了していると、既存環境への追加改修は難しくなります。そのため、周辺機能を新たに導入するか、フルスクラッチでリビルドするかを検討することになります。

クラウド・ハイブリッド型の段階的な機能追加

クラウド型・ハイブリッド型のMES製品には、モジュール単位で機能を組み合わせられる設計のものが多くあります。

  • 段階的な機能追加:既存の仕組みを残したまま、特定の機能だけを追加しやすい
  • ハイブリッド構成:オンプレミスのアプリケーションとクラウドのデータ・可視化サービスを組み合わせ、既存設備との接続部分は現行のまま維持できる

たとえば、ハイブリッド構成であれば、新しい実績入力や可視化の機能だけをクラウド側に追加する改修も検討できます。

ポイント

既存MESがオンプレミス型かクラウド型かで、改修手段が変わります。オンプレミスでは保守と改修できる人材の有無、クラウド型では段階的な機能追加のしやすさを、判断の目安にするとよいでしょう。

MES改修の視点で製品を比較するときの共通軸

MES製品の比較で確認する改修対象への適合度、料金体系、セキュリティ、移行性を並べた図。
4つの観点をそろえると、製品ごとの確認漏れを防ぎやすくなります。

自社が想定する改修範囲に合うかは、製品紹介ページの機能一覧を見ただけでは判断しにくいものです。そこで、改修対象への適合度、料金体系、セキュリティ、移行性の4点を、どの製品にも同じ質問で当てはめて比べます。

営業資料に並ぶ機能名は、そのまま受け取らず、一つずつ裏づけを取りながら比べます。自社が改修したい実績入力画面や設備連携が、標準機能で対応できるのか、追加開発が必要なのかは、デモや技術担当者への質問といった一次情報で見極めます。営業説明が分かりやすくても、実際の改修にどこまで応えられるかは別の問題です。

改修対象への適合度とレトロフィット対応

実績入力画面の改修が中心なのか、老朽設備との後付け連携(レトロフィット)が中心なのかで、適した製品は変わります。改修の難易度は、次の3点で見極められます。

  • ノーコード対応:現場アプリを追加できるか
  • 既存設備向けコネクタ:事前構築済みの接続機能が用意されているか
  • モジュール構成:機能を単位ごとに組み合わせられるか

料金体系・セキュリティ・移行性

今回紹介する製品は、いずれも料金を公開しておらず、個別見積もりかサブスクリプション型の従量課金を案内しています。そのため、対象設備数と利用範囲を示して、見積もりを取る必要があります。

加えて、権限管理と操作ログ、既存MESからのデータ移行と段階的な機能追加のしやすさも、改修の手段を選ぶうえで欠かせません。詳しい評価の進め方は、MES改修の選び方と選定ポイントで整理しています。

ポイント

営業資料の機能名だけで判断せず、自社の改修箇所が標準機能で動くか、追加開発が要るかを見極め、料金と移行性も同じ基準で比べると候補を外しにくくなります。

MES改修の実現手段として比較できる主要6製品

2026年7月時点で現行の公式ページを確認できた6製品を紹介します。掲載順は、優劣を示すランキングではありません。

いずれも汎用的なMES・製造実行プラットフォームです。フルスクラッチによる個別改修と比べる候補として、また改修プロジェクトの参考として見ることを想定しています。

mcframe(ビジネスエンジニアリング株式会社)

mcframeは、オンプレミス型「mcframe 7」に製造実行機能「mcframe 7 LiteMES」を備えます。クラウド型は「mcframe X」で、カスタマイズ可能なものづくりクラウドERPとして位置づけられています。

  • IoT連携:「mcframe IoTシリーズ」で特定設備との連携を追加できる
  • PLM連携:PLMと連携するソリューションも別途用意されている

既存のmcframe環境を残したまま、これらの機能だけを段階的に追加する改修と相性のよい製品です。料金は公開されておらず、資料請求や問い合わせフォームから確かめる必要があります。

Tulip(Tulip Interfaces, Inc.)

Tulipは、ノーコードで現場アプリを構築できる「Frontline Operations Platform」です。CNC機器やレガシー設備からERP・WMSまでをつなぐ事前構築済みコネクタを多数備えています。

  • レトロフィット対応:老朽化した既存設備との後付け連携に向く製品として案内されている
  • ノーコード編集:実績入力画面のような現場アプリを個別に修正でき、MES改修が想定する小規模なニーズと合致する

料金は、公式サイトの/plans/ページで案内されているだけで、具体的な金額は公開されていません。

AVEVA MES(AVEVA Group plc)

AVEVA MESは、「Composable and modular deployment」と案内されるモジュール構成のMESです。オンプレミス・クラウド・ハイブリッドの3方式に対応しています。公式サイトでは、段階的に価値を生み出しながら規模を拡大できるという考え方が掲げられています。

  • 英語表記:「Shorten time-to-value and scale MES solutions incrementally」と案内されています
  • 改修との親和性:全面刷新ではなく、機能単位の追加・拡張を前提とした改修に向いています

料金は、クレジット制サブスクリプション「AVEVA Flex」が案内されているだけで、具体的な金額は公開されていません。

Critical Manufacturing MES(Critical Manufacturing S.A.)

Critical Manufacturing MESは、「MES Migration」の専用メニュー項目を公式サイトに設けています。既存MESからの移行を製品として明示的に扱っている点が特徴です。

  • クラウド対応:ホスト型インフラも提供し、既存MESの一部機能だけを段階的に移行する改修構成にも対応できる
  • 導入業種:半導体・電子機器・医療機器・産業機器など高いトレーサビリティが求められる業種で導入例がある

料金は公開されておらず、案内されているのはデモ予約だけです。

FactoryTalk(Rockwell Automation, Inc.)

FactoryTalkは、「FactoryTalk OperationSuite」などMES関連機能を含む製品ファミリーです。公式サイトには、クラウド製造ソフトウェアのセクションも独立して設けられています。

  • 制御盤・PLCとの親和性:Rockwell Automation製をすでに使用していれば、周辺機能を追加しやすい可能性があります
  • 個別製品の確認:製品ファミリー全体の位置づけは分かっても、サブ製品の詳細は案件ごとに別途調べる必要があります

料金は公開されておらず、ソフトウェア購入ページか、営業担当者への相談が案内されています。

Opcenter Execution(Siemens AG)

Opcenter Executionは、業種別エディションを提供するSiemensのMES製品です。

  • Discrete
  • Process
  • Electronics
  • Medical Device and Diagnostics
  • Pharma・Semiconductor

業種特化型のエディションに分かれているため、自社の業種に合うエディションがすでに稼働していることもあります。その場合は、そのエディションへの機能追加や設定変更という形で、MES改修を検討できる可能性があります。

料金は公開されておらず、案内されているのは問い合わせ窓口だけです。

自社の改修課題別に候補を絞る方法

改修課題を実績入力画面の改修と設備・PLC連携の追加に分け、それぞれノーコード型と周辺連携モジュールを候補に示す図。
最優先の課題を定めると、検討する製品タイプを絞り込めます。

6製品を細部まで一度に比べるより、最も大きな改修課題を一つ決めるほうが効率的です。そのうえで、その課題に強い製品タイプから順に検討を進めます。

実績入力画面の改修と、設備・PLC連携の追加では、適した製品タイプが異なります。既製品の機能で対応しきれない部分は、無理に合わせるのではなく、フルスクラッチによる個別開発で補う考え方も持っておくとよいでしょう。そうすると、候補を絞りすぎずに検討を進められます。

実績入力画面の改修を重視する場合

現場作業者向けの入力画面をノーコードで手早く追加・修正したい場合は、Tulipのような現場アプリ構築プラットフォームが候補になります。

すでに稼働中のMESがmcframeやAVEVA MESであれば、まず、それぞれの標準機能の範囲で画面を追加できないかを確かめます。そのうえで、対応できない部分だけを周辺ツールで補う構成も検討できます。

設備・PLC連携の追加を重視する場合

特定設備との連携追加が中心であれば、対象設備の通信仕様と各製品の対応範囲を照合しながら候補を絞り込みます。

  • mcframe:IoTシリーズなど周辺連携モジュールが利用できます
  • Critical Manufacturing MES:業種特有の設備との連携実績を確かめる候補になります
  • Opcenter Execution:業種特化型のエディションを提供しています
  • FactoryTalk:同系列の制御盤(Rockwell Automation製)と親和性が高い製品です

Critical Manufacturing MESは、半導体・電子機器・医療機器・産業機器など、高いトレーサビリティが求められる業種で導入例があります。

いずれの場合も、対象を1〜2設備に絞ったデモかPoCで、実現性を確かめることが欠かせません。

ポイント

最も大きな課題が画面の入力か、設備・PLC連携かを先に決めておくと、見るべき製品タイプが定まり、検討が散らばりにくくなります。

料金・契約前に確認すべきこと

課金の基準を中央に置き、ユーザー数、対象設備数、利用モジュール数、データ量を周囲に配置した図。
製品ごとに異なる課金単位を、同じ利用条件で確かめます。

今回紹介した6製品は、いずれも料金を公開しておらず、個別見積もりが前提になります。

公開価格がない分、比較の質は自社が提示する条件の具体性で決まります。そのため、対象範囲をはっきりさせてから見積もりを依頼する必要があります。

課金の対象と単位

クラウド・サブスクリプション型の製品は、ユーザー数、対象設備数、利用モジュール数、データ量など、課金の基準が製品によって異なります。

改修で追加したい機能と接続したい設備数を具体的に示し、同じ条件で見積もりを依頼することが比較の前提です。

  • 初期費用:導入時にかかる費用
  • 月額・年額費用:契約期間中の継続費用
  • 追加設備の費用:稼働後に設備を増やす場合の費用
  • サポート費用:改修後の保守・問い合わせ対応にかかる費用

改修・保守体制と解約時のデータ扱い

製品を使った改修は、導入して終わりではありません。設定変更や機能追加を続けて依頼できる体制があるかも、同じくらい大切です。

ベンダー自身が改修を支援するのか、認定パートナー経由になるのかは、契約前に確かめておきます。

あわせて、データの管理と扱いについて次の点も確かめます。

  • 権限管理:操作できる範囲を設定できるか
  • 操作ログ:誰がいつ何を変更したか記録されるか
  • データのエクスポート形式:既存データを取り出せる形式
  • 契約終了時のデータ返却・削除条件:解約時にデータがどう扱われるか

契約前にこれらを確かめておくと、将来の乗り換えや内製化の選択肢を残せます。認定パートナー経由で改修に対応する製品では、パートナーの数や地域、対応言語によって、依頼できる範囲が変わることがあります。

そのため、自社の工場の所在地や稼働時間帯をカバーできるパートナーを確保できるかも、あわせて確かめておきます。そうしておくと、改修後の問い合わせで困る事態を避けやすくなります。

ポイント

課金の単位は製品ごとに違うため、見積もりの条件がそろい、改修・保守体制とデータの扱いも含めて比べられた段階で契約に進むのが目安です。

デモとPoCによる最終候補の絞り込み

資料比較で2〜3製品まで絞ったら、実際の改修対象を使ってデモまたはPoCを行います。システム部門だけでなく、現場作業者や設備担当者にも参加してもらうと、導入後の行き違いを減らせます。

1設備・1工程を対象にしたPoC

対象を実在する1設備・1工程に絞り、実績入力から検査結果の記録まで、実際の改修範囲に近い流れをPoCで確かめます。

正常な操作だけでなく、通信断や再入力といった例外時の動きも試しておきます。そうすると、本番導入後のトラブルを事前に洗い出しやすくなります。

導入効果の実測と稟議での活用

PoCの前に、対象工程の入力にかかる時間、手作業での転記件数、記録漏れの頻度を記録しておきます。そのうえで、PoC後の数値と比較します。

公開されている他社事例の効果は、そのまま自社に当てはめず、自社の作業時間と人件費をもとに削減見込みを算出します。その数値があれば、稟議や投資判断の材料として説得力が増します。

ポイント

候補が2〜3製品に絞れたら、1設備・1工程の実案件で例外時の動きまで試し、導入効果を実測した数値をそろえて判断するとよいでしょう。

MES改修の製品比較で押さえておきたいポイント

製品一覧から候補を選ぶ際は、既存製品を使った改修とフルスクラッチによる個別改修のどちらが適しているかも含めて判断する必要があります。選定時に判断が分かれやすい点を、質問ごとに整理します。

既存MESと異なるベンダー製品での改修利用

製品によっては、既存MESとは別ベンダーのプラットフォームを、実績入力画面や特定設備連携の追加機能として並行導入できる場合があります。

ただし、既存MESとのデータ連携方法を設計し直す必要があるため、単独で導入する場合より確認事項は増えます。まずは既存MESの標準機能で対応できないかを確かめ、そのうえで検討するとよいでしょう。

おすすめ製品の決め方

どの会社にも共通する1位の製品はなく、実績入力画面の改修が中心か、特定設備・PLC連携の追加が中心かによって、適した製品は変わります。

まずは既存MESとの相性と改修対象への適合度で2〜3製品に絞ります。そのうえで、同じシナリオのデモまたはPoCで比べるとよいでしょう。

料金の比較方法

公開価格がない製品が中心のため、発注側は対象設備数、利用範囲、サポート内容を同じ条件で各社に示します。そのうえで、初期費用と継続費用を合わせた総額で比べます。

単発の改修費用だけでなく、追加設備を増やす場合の費用や、契約終了時のデータ移行費用まで含めて見ておきます。そうすると、長期的なコストの見通しを立てやすくなります。

まとめ

改修の進め方は、既存製品の機能を使う方法とフルスクラッチで個別に開発する方法の二つに分かれ、両者を組み合わせることもできます。

今回紹介した6製品にも、実績入力画面の追加に強いものと、設備連携やレガシー機器との後付け連携に強いものがあります。また、既存MESからの部分移行を扱うものもあり、特徴はそれぞれ異なります。

課題診断から2〜3製品への絞り込み

まずは、実績入力画面の改修か、設備・PLC連携の追加かという最優先の課題を決めます。さらに、既存MESとの相性、料金体系、改修・保守体制を同じ質問で比べれば、知名度だけに左右されず候補を絞れます。

実案件のPoCでの確認

確かめたいのは、資料上の機能一覧ではなく、自社の実績入力から特定設備との連携までを実際に処理できるかです。

  • PoCの実施:現場担当者を含む関係者でPoCを行い、削減できる工数と残る運用負荷を測る
  • 既存製品で対応できない場合:独自の実績入力ロジックや基幹システムとの深い連携を吸収できないときは、フルスクラッチによる個別改修も選択肢になる

riplaはフルスクラッチ開発の立場から、製品比較で明らかになった不足機能の整理や、既存MESとの連携を含む改修の構築を支援しています。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。