OMSのモダナイゼーションの選定ポイント/選び方/種類

OMSのモダナイゼーションでは、課題の整理、5Rの方向性、TCO、データ移行と並行運用、ベンダーの体制を比べます。

老朽化した機能と残す業務ロジックを先に分けると、方法を絞りやすくなります。データ移行や切り替え方法も、製品選定と同時に検討します。全体像は、下の完全ガイドにまとめています。

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・OMSのモダナイゼーションの完全ガイド

OMSのモダナイゼーション着手前に整理すべき自社課題

OMS刷新前に確認する仕様の不明瞭さ、データの乱れ、改修負担、接続チャネルと取引量を4枚のカードで示した図。
課題を並べると、製品比較の前に調べる対象が見えてきます。

製品を比べる前に、注文データ、在庫引当、チャネル接続の状態を洗い出します。そうすると、対象の課題が定まり、必要な方式とベンダーへの要件を絞り込めます。

仕様のブラックボックス化とマスタデータの乱れ

設計書と実際の処理が食い違う場合は、既存ロジックの調査範囲が広がります。返品や一部出荷などの例外業務については、判断の手順も確かめる必要があります。

判断基準が担当者の経験だけに頼っていると、刷新後の運用に引き継げなくなるおそれがあります。そのため、ヒアリングに加えて、操作ログや業務マニュアルとも照らし合わせます。

改修費用の高騰と接続チャネル数の切り分け

機能を追加するたびに見積もりが膨らむ場合は、拡張性に課題がある可能性があります。あわせて接続チャネル数と取引量を確かめ、切り替えの影響を見積もります。

繁忙期ごとの増強や個別の調整も、改修の負担を測る材料になります。チャネル別の取引量を整理しておけば、移行の順番を考えるときの手がかりにもなります。

ポイント

課題の整理では、仕様が担当者の経験に頼っていないか、改修費用が機能追加のたびに膨らんでいないかを見ます。どちらかに当てはまるなら、製品比較の前に調査範囲を広げます。

5R(リホスト・リプラットフォーム・リファクタリング・リビルド・リプレース)による方向性の絞り込み

OMS刷新で基盤を移す方式、コードを整理する方式、作り直す方法、標準機能へ寄せる形を4枚のパネルで示した図。
残すロジックと変える範囲が、方式選びの分かれ目になります。

5Rは、既存システムをどこまで変えるかで選び分けます。名称だけで決めず、引き継ぐロジックと解消したい課題を突き合わせることが必要です。

  • リホスト・リプラットフォーム:既存の機能と基本構造を残したまま、基盤を移す方式
  • リファクタリング:業務ロジックを残したまま、コードを整理する
  • リビルド・リプレース:作り直すか、標準機能に業務を合わせる

短期間で着手したい場合のリホスト・リプラットフォーム

リホストは、既存機能をほぼ維持したままインフラをクラウドへ移す方法です。リプラットフォームは、基本構造を保ったまま、データベースなどを管理サービスへ移します。

期間の目安は4〜10か月です。数か月で着手できる反面、古いロジックもそのまま引き継ぐ点に注意が必要です。

どちらの方式も、独自ロジックそのものを解消する方法ではありません。そのため、短期策として採用する場合は、次の刷新時期も見込んでおく必要があります。

ロジックの見直しが必要な場合のリファクタリング・リビルド・リプレース

リファクタリングは8〜18か月、リビルドは6か月〜1年が期間の目安です。リビルドは、既存OMSを廃止して作り直す方法です。

リプレースは、標準機能へ寄せる形で進めます。目安は小規模で1〜2か月、中規模で3〜6か月で、期間や費用は残す機能と簡素化する機能によって左右されます。

ポイント

方向性は、短期間で着手したいか、独自ロジックを見直したいかで分けて考えます。独自ロジックの解消まで求めるなら、リビルドやリプレースも同じ土俵で比べます。

SaaS・パッケージ・フルスクラッチの費用感とTCOによる比較

比較では、初期費用に加えて運用中の総額も見る必要があります。そのため、5年間のTCOを同じ前提で並べ、提供形態ごとの違いを確かめます。

SaaS/パッケージ型の5年間の費用目安:約320万〜960万円程度

中規模のリプレースの場合、SaaS・パッケージの初期費用は10万〜50万円が目安です。月額は5万〜15万円で、5年間のTCOは約320万〜960万円です。ただし、保守費用や更新対応の条件は製品ごとに異なるため、個別に確かめる必要があります。

また、クラウド型OMSの月額は、小規模で1万〜5万円、中規模で5万〜15万円、大規模では15万〜30万円以上となる場合があります。

フルスクラッチ型の費用と独自性の対価

フルスクラッチの初期費用は、300万〜1,000万円以上が目安です。年間の保守費用は50万〜200万円で、5年間のTCOは約1,000万〜2,500万円以上となる場合があります。

法改正やAPI変更に伴い、追加の改修が発生することもあります。一方で、複雑な在庫引当や特殊な出荷フローに合わせやすい点は強みです。また、AI駆動開発で期間を短縮できるケースもありますが、効果や費用は個別の条件で異なります。

ポイント

判断は初期費用ではなく、5年間のTCOを同じ前提で並べて行います。SaaS・パッケージは保守や更新の条件も含め、フルスクラッチは独自性と費用の釣り合いで比べます。

データ移行・並行運用の設計の評価

過去データの移行方法として、対象を絞る、分割して取り込む、外部DBを参照する3案を並べた図。
必要な履歴と参照期間が、移行案を選ぶときの軸になります。

OMS刷新では、機能に加えて過去データの扱いと並行運用も評価の対象になります。また、全チャネルを止めずに切り替える方法も、比べる候補に入れます。

過去データの移行方式と自社の運用との適合

移行方法には、対象を絞る方法、分割して取り込む方法、外部DBを参照する方法があります。適切な方式は、必要な履歴と参照期間によって変わります。全データを移す提案を受けた場合は、性能面への影響も確かめておきたいところです。

移行件数や保持期間が決まっていない場合は、選定と同時にデータを洗い出します。特に顧客データは、保管場所と削除条件も整理しておくことが大切です。

段階的カットオーバーへの対応力の評価

低リスクのチャネルから移す段階移行と、1〜3か月の並行稼働を支援できるかを確かめます。あわせて、受注・出荷・請求の照合方法や、旧環境へ戻す条件も比べておきたいところです。

ポイント

移行方式は、必要な履歴と参照期間に合うかで選びます。切り替えは、段階移行や並行稼働を支援できるか、旧環境へ戻す条件を決められるかで比べます。

PoC・移行リハーサルの進め方

実データや例外業務で起きる問題は、PoCと移行リハーサルで本番前に確かめます。作業量や不備も、この段階で把握できます。

PoCで優先して検証する在庫引当ロジックと例外処理

一部キャンセルや分割出荷などの例外は、UATで検証します。あわせて過去注文の移行方法も確かめます。複数チャネルは低リスクのものから試すことで、問題が起きた場合の影響を抑えられます。

不備が製品仕様と自社ルールのどちらに起因するかを記録しておくと、運用で解決できる課題を追加開発と誤認せずに済みます。

ロールバック発動基準の事前合意

受注取込の停止や出荷ラインの停止など、旧環境へ戻す条件を事前に合意しておきます。クラウド型では、無料トライアルをPoCに使える場合もあります。一方で、パッケージや個別開発の場合は、切り替え前に移行リハーサルを複数回行います。

ベンダー・体制選定で確認すべきポイント

提供形態に加えて、移行を担うチームの経験も確かめておきたい点です。解析と切り替えの実績は、計画の具体性を見極める材料になります。

既存ロジックのリバースエンジニアリング実績

設計書が不足するOMSで、必要な処理と過去の経緯による処理を切り分けた経験を尋ねます。解析の根拠を聞くと、見積もりの妥当性を確かめやすくなります。

類似案件で見つかった例外業務や、その対処方法も聞いておきます。そのうえで、自社の課題に結び付けた提案になっているかを確かめます。

並行運用・カットオーバー支援の実績

段階移行や並行稼働の実績があるか、また復帰基準を設計できるかを確かめます。担当者の稼働状況や兼務の有無も、あわせて見ておきます。候補製品はこちらの一覧で比べられます。

ポイント

ベンダーは、提供形態に加えて解析と切り替えの実績で選びます。類似案件の例外業務や並行運用の経験まで確かめると、提案の具体性が見えてきます。

OMSのモダナイゼーション選定前に確認しておきたいポイント

最終判断では、費用や説明のわかりやすさだけでなく、現行業務との適合度も見ます。よくある判断の軸を、次の項目で確かめます。

取引量が少ない場合のモダナイゼーションの価値

必要性は、取引量と現行システムの状態を合わせて判断します。仕様の不明瞭さやデータの乱れが軽ければ、リプレースなどで対応できる場合があります。また、取引量が多くても、標準業務に合わせられるならリビルドは必須ではありません。

フルスクラッチの要否と在庫引当ロジックの複雑さ

独自の在庫配分や特殊な出荷が標準機能に合わない場合は、個別開発が候補になります。一方で、標準業務へ寄せられるなら、SaaSやパッケージも比べる対象になります。

並行稼働期間の過度な短縮

並行稼働が短いと、月末締めなどの業務を十分に確かめられないおそれがあります。1〜3か月を目安にし、複数回の月次処理を経てから移行を判断します。

まとめ

OMS刷新は、自社の課題を洗い出すところから始め、5Rと提供形態を順に絞り込みます。費用の総額に加えて、データ移行と並行運用の実現性も比べる必要があります。

診断から比較、PoCまでの順序の維持

課題診断、5Rの選定、TCO比較、PoCの順に進めると、判断の根拠を保てます。一方で、比較を急ぐと原因を見落とし、追加改修につながるおそれがあります。

複雑なロジックが残る場合の個別開発という選択肢

複雑な在庫引当や基幹連携を標準機能で扱えない場合は、個別開発や併用構成も検討の対象になります。さらに、既存ロジックの調査結果を共有し、要件と移行計画をそろえることが大切です。

riplaは個別開発の立場から、OMSの解析、要件整理、提供形態の比較、移行や並行運用の設計を支援しています。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。