オペレーションコンサルのフルスクラッチ・オーダーメイド開発について

オペレーションコンサルのフルオーダーメイド型は、汎用フレームワークをそのまま当てはめず、自社の現場特性と組織文化に根ざした改善プログラムを設計する進め方です。

現場で回っている業務を前提に、業務フロー、人員配置・シフト、KPI、継続改善を整えます。全体像は、下の完全ガイドでご覧いただけます。

▼全体ガイドの記事
・オペレーションコンサルの完全ガイド

パッケージ活用型とフルオーダーメイド型の違い

パッケージ活用型とフルオーダーメイド型の違い

オペレーションコンサルの進め方を選ぶとき、最初に考えたいのは、汎用的な改善フレームワークをどこまで使うかという点です。

BPRには「パッケージ活用型(Fit to Standard)」と「フルスクラッチ型(Fit to Business)」という対比があり、オペレーションコンサルにも同じ考え方があてはまります。

BPRのフルスクラッチが独自のシステムを構築するのに対し、オペレーションコンサルのフルオーダーメイドは、人・組織・運用ルールの設計を自社専用に作り込む点で対象が異なります。

  • パッケージ活用型:汎用的な改善フレームワークを現場へ適用する
  • フルオーダーメイド型:自社専用の改善プログラムを設計する
  • 比べる観点:改善手法をどこまで自社向けに作り込むか

パッケージ活用型(汎用フレームワークの適用)

パッケージ活用型は、トヨタ生産方式(TPS)、シックス・シグマ、リーン生産方式、5S活動といった、業界を問わず広く実績のある汎用的な改善フレームワークを、自社の現場に当てはめるアプローチです。

すでに体系化された手法や指標(OEE=設備総合効率など)があるため、導入までのスピードが速くなります。また、コンサルタント側にもノウハウが豊富にあり、比較的低コストで一定水準の改善効果を得やすいという利点があります。

フレームワークが前提とする業種・業態と自社の実態がずれていると、専門用語や指標が現場に馴染まず、「言われた通りにやっているつもりだが、なぜか定着しない」という状態に陥りやすくなります。

フルオーダーメイド型(自社専用の完全カスタム設計)

フルオーダーメイド型は、まず自社の歴史や従業員の年齢層、スキルレベル、組織文化(職人肌、家族的経営など)を深く理解します。そのうえで、KPIの粒度やシフトの組み方、会議の進め方を、自社専用にゼロから設計するアプローチです。

OEEなどの専門用語は、そのまま使わずに現場の言葉へ翻訳し直すところから始めます。たとえば「本番稼働スコア」のように、従業員が理解しやすい独自の名称に置き換えます。

既存のテンプレートに頼らない分、設計に時間とコストがかかります。その一方で、現場の反発を最小限に抑え、コンサルタントが抜けた後も改善活動が根付きやすいという特有の強みがあります。

ポイント

汎用フレームワークをそのまま当てはめるか、自社専用に設計するかは、改善手法をどこまで自社向けに作り込むかで決まります。現場の強みに関わる業務ほど、後者が合います。

フルオーダーメイド型が向いているケース

フルオーダーメイド型が向いているケース

フルオーダーメイド型のオペレーションコンサルは、すべての企業に必要というわけではありません。どちらの進め方が自社に合うかは現場の状況で変わるため、判断の軸を2つの場面から見ていきます。

独自の強み(コアコンピタンス)となる現場運用

競争優位の源泉となっている現場運用には、たとえば独自の接客スタイルで高いリピート率を実現している店舗運営、職人の熟練技術に支えられた製造現場、地域の商習慣に密着した物流ルート運用があります。こうした現場に汎用フレームワークを過度に標準化して当てはめると、かえって強みそのものを削ぎ落とすおそれがあります。

そのため、差別化の源泉となっている業務には、汎用手法を当てはめるのではなく、現場の強みを守りながら非効率な部分だけを取り除く繊細な設計が求められます。こうした設計に向いているのが、フルオーダーメイド型です。

逆に、経理・総務・一般的な受発注業務など、差別化しても利益を生まないノンコア業務は、パッケージ活用型で十分な効果が得られることが多く、フルオーダーメイド型を選ぶ必要性は低くなります。

汎用フレームワークの導入が定着しなかった経験がある企業

過去に一般的な改善フレームワークやパッケージ的な業務改善手法を導入したものの、「うちの現場は特殊だから」という反発に遭い、定着しなかった企業にも、フルオーダーメイド型が向いています。

定着しなかった背景には、指標の粒度や専門用語が現場の実感と乖離していたことが挙げられます。また、組織文化とフレームワークの価値観(トップダウンでの標準化を重視するか、現場の裁量を尊重するか)が噛み合っていなかったことも、要因として多く見られます。

こうした失敗を繰り返さないためには、テンプレートを当てはめるのではなく、まず自社の組織文化を深く理解して改善プログラムを再設計することが有効です。その点で、フルオーダーメイド型は有力な選択肢になります。

ポイント

競争優位の源泉となる現場運用があるか、過去に汎用フレームワークが定着しなかったかで、フルオーダーメイド型が合うかを判断します。

メリット・デメリット

メリット・デメリット

フルオーダーメイド型には、パッケージ活用型にはない独自の利点があります。その一方で、無視できない負担も伴います。導入を判断する前に、両面を理解しておくことが重要です。

メリット:現場の反発の最小化と高い定着率

最大のメリットは、「他社の成功事例」を上から押し付けられないことです。そのため、「うちの現場は特殊だから無理だ」という現場特有の抵抗感が和らぎ、納得感を持って改善に取り組んでもらいやすくなります。

汎用フレームワークによる極端な標準化は、時に「臨機応変な顧客対応力」のような独自の強み(暗黙知)まで削ぎ落とすおそれがあります。フルオーダーメイド型では、守るべき属人性と排除すべきムダを精緻に切り分けられます。

フルオーダーメイド型は、現場の文化に溶け込んだ仕組みを作るため、コンサルタントが抜けた後も改善活動がリバウンドしにくく、持続可能性(サステナビリティ)が高いという長期的な利点もあります。

デメリット:設計期間とコストの増大、変革スピードの低下

既存のテンプレートを使えないぶん、現場の観察や組織文化の分析(デプスインタビューやシャドーイングによるエスノグラフィー的アプローチ)に膨大な時間がかかります。その結果、コンサルティング費用も高額になります。

また、現場の特性に寄り添いながら少しずつ設計を積み上げるため、パッケージ活用型に比べて「変革のスピード」が遅くなる傾向があります。短期間で劇的なコスト削減効果(V字回復)を出す目的には向いていません。

予算や時間軸に強い制約がある場合は、まずコア業務のみフルオーダーメイド型で着手し、ノンコア業務はパッケージ活用型を併用するハイブリッドなアプローチも検討に値します。

ポイント

導入の前に、設計期間とコストの増大を受け入れられるか、変革をどの速さで進めたいかを、予算や時間軸と照らして判断します。

進め方のステップと費用感

進め方のステップと費用感

フルオーダーメイド型は、標準的なモデルとして4つのステップで進みます。まず現場特性・組織文化のディープアセスメントを行い、次に自社専用の改善プロトコルを設計します。そのうえで、パイロット導入と自己進化を経て、全社展開と人事評価制度への組み込みに進みます。

現場特性・組織文化のディープアセスメント(1〜2ヶ月)

作業時間の計測のほか、従業員へのデプスインタビューやシャドーイングを通じて、現場の力関係(誰が本当のキーマンか)、評価への不満、コミュニケーションの癖といったソフト面(定性情報)を徹底的に洗い出します。

この工程の出来が、後続の改善プロトコル設計の精度を大きく左右します。そのため、時間がかかっても省けない工程です。

自社専用の「改善の型(プロトコル)」設計(2〜3ヶ月)

自社の従業員が理解しやすい独自のKPI体系を作ります。一般的な専門用語はそのまま使わず、自社の言葉に翻訳し直しながら設計していきます。そのうえで、従業員の生活スタイルに合わせたシフトの組み方や、日々のミーティングの進め方(アジェンダや発言ルール)も設計します。

パイロット導入と「ルールの自己進化」(3〜4ヶ月)

設計したプログラムを、特定のモデル現場に導入します。「決めた通りにやらせる」ことよりも、現場のフィードバックを受けて、プログラム自体を自社に合うよう微調整していくことを重視します。

この自己進化の過程を経ることで、机上の設計では気づけなかった細部の使い勝手が磨かれます。

全社展開と人事評価制度への組み込み(数ヶ月〜)

パイロットが完了したら、現場で磨かれた独自プログラムを全社に展開します。

展開では、パイロット拠点で得たノウハウをマニュアルとして配るだけでなく、拠点ごとの責任者に丁寧な説明会や実地研修を行います。なぜこのプログラムが自社に適しているのかという背景まで伝えることが、定着の鍵になります。

人事評価制度やインセンティブ設計の改定まで踏み込み、この独自プログラムに従って改善活動を行える人材が高く評価されるようにします。改善活動を「やらされ仕事」にせず、正当に評価される取り組みとして位置づけることが、独自プログラムを一過性の施策で終わらせず、組織文化として根付かせる最後の仕上げになります。

費用感:設計〜パイロット検証で総額2,000万〜4,000万円規模

フルオーダーメイド型は、組織開発やチェンジマネジメントの専門家を含むコンサルタントが深く長期間入り込みます。そのため、パッケージ化された改善手法の導入に比べて高額になります。

プログラム設計〜パイロット検証フェーズ(半年程度を想定)では、総額2,000万〜4,000万円規模が目安です。その間のチーム稼働は、月額300万〜600万円程度です。

全社展開・定着化フェーズでは、展開する拠点数に応じて、さらに数千万円規模の追加投資が必要になることが一般的です。高額に見える投資ですが、自社の強みを守りながら定着率の高い改善活動を実現できることを踏まえると、対象をコア業務に絞り込んだうえで投資対効果を見極めることが重要です。

ポイント

進め方は現場の把握から全社展開まで段階を踏み、費用は総額の目安だけで比べず、投資対効果を見極めて判断します。特に、対象をコア業務に絞れるかが判断の分かれ目です。

まとめ

オペレーションコンサルのフルオーダーメイド開発まとめ

ここまで、パッケージ活用型との違い、フルオーダーメイド型が向いているケース、メリット・デメリット、進め方と費用感を順に見てきました。

オペレーションコンサルのフルオーダーメイドは、トヨタ生産方式やシックス・シグマのような汎用的な改善フレームワークを当てはめず、自社の現場特性と組織文化に根ざした改善プログラムを設計する進め方です。BPRのように独自システムを構築するものとは、対象が異なります。

競争優位の源泉となっている現場運用や、過去に汎用フレームワークが定着しなかった企業にはフルオーダーメイド型が向いています。一方で、設計期間とコストの増大、変革スピードの低下というデメリットも踏まえて判断する必要があります。

進め方は、現場特性のディープアセスメントから改善プロトコルの設計、パイロット導入、全社展開までの4ステップです。費用は、設計からパイロット検証までで総額2,000万〜4,000万円規模が目安です。

まずは、自社の現場運用のどこがコアコンピタンスで、どこがノンコア業務なのかを見極めます。そのうえで、使い分けるか、組み合わせるハイブリッドな進め方にするかを、複数のコンサルティングパートナーに相談してみることをお勧めします。

▼全体ガイドの記事
・オペレーションコンサルの完全ガイド

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>

執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。