運用プロセスの標準化や自動化とSOP整備の進め方と事例|システム運用の最適化で品質向上を実現

運用プロセスの標準化や自動化は、現状と課題を整理して標準化する業務を決め、SOP(標準作業手順書)を作るところから始めます。そのあと自動化を検討し、運用体制を整えて定期的に見直します。

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・DX戦略・業務改革の完全ガイド

運用プロセス最適化とSOP整備が求められる背景

運用プロセスの最適化とSOP整備を中心に、属人化、IT環境の複雑化、セキュリティとコンプライアンス、DX推進の基盤整備を周囲に配置した図。
異なる背景が、手順を揃える必要性につながっています。

運用プロセスの最適化とSOP整備が多くの企業で重視されるのは、システム運用の現場に次のような事情が重なっているためです。

属人化によるリスクの増加

運用が特定の担当者に依存していると、その人が不在になったり退職したりしたとき、業務が滞るリスクが高まります。進め方が担当者の頭の中にしかなければ、代わりに対応できる人がいなくなってしまいます。

IT環境の複雑化

クラウド、オンプレミス、SaaSなど多様なシステムが混在すると、運用業務の難しさが増します。そのため、作業の手順を文書で揃えておく必要も高まります。

セキュリティとコンプライアンスの強化

運用ミスは、セキュリティ事故や法規制違反につながるおそれがあります。こうした事態を防ぐには、運用業務の標準化が不可欠になっています。

DX推進の基盤整備

業務のデジタル化を進めるには、運用プロセスの標準化と自動化が求められています。

その取り組みは、DX推進の基盤を整える作業ともいえます。

ポイント

属人化やIT環境の複雑化など、どの背景も運用を手順として揃える必要につながります。自社の運用が特定の人に頼っていないか、まずそこを見直すとよいでしょう。

運用プロセス最適化のメリット

運用プロセス最適化のメリットを、業務品質の向上、作業効率化、コスト削減、リスク低減の4枚のパネルで示した図。
品質からトラブル対応まで、効果を4つの観点で整理しています。

運用プロセスの最適化とSOP整備に取り組むと、企業は次のような効果を得られます。

業務品質の向上

手順が標準化されていれば、担当者が替わっても作業の仕上がりをそろえられます。人によるばらつきが減り、安定した品質を保てます。

作業効率化

無駄な手作業を減らし、自動化できる部分はツールに任せます。そのぶん担当者の時間を、付加価値の高い業務に振り向けられます。

コスト削減

効率化が進むと、運用にかかるコストが下がります。その分のIT予算を、戦略的な領域に回しやすくなります。

リスク低減

手順どおりに作業すれば、ヒューマンエラーを防げます。

トラブルが起きたときも、標準手順に沿って素早く復旧に取りかかれます。

ポイント

効果を見るときは、品質のばらつき、作業の効率、運用コスト、トラブル時の復旧の4つを、導入の前後で比べると判断しやすくなります。

SOP(標準作業手順書)の役割

SOPに記載する運用手順の例として、監視、障害対応、バックアップ、パッチ適用をカードで示した図。
日常の監視からセキュリティパッチまで、手順化する対象を並べています。

運用業務を標準化するには、SOPが欠かせません。

明確な手順書を整えておけば、特定の人に頼っていた業務を誰もが同じ手順で進められ、属人化を解消できます。

SOPの目的

SOPには、次のような目的があります。

  • 作業手順を文書にまとめ、誰が行っても同じ品質で実行できる状態をつくる。
  • 新人教育や引き継ぎを進めやすくする。
  • トラブル時の初動対応を速める。

SOPの内容例

SOPに書き込む手順には、監視、障害対応、バックアップ、パッチ適用などがあります。

  • システム監視の手順を記載する。
  • 障害発生時のエスカレーションフローを明記する。
  • 定期バックアップの実施手順を残す。
  • セキュリティパッチの適用手順を定める。

ポイント

SOPを整えるかどうかは、担当者が替わっても同じ手順で作業できるかで判断しやすくなります。目的と内容例を見比べて、まずは必要な手順から書き出すとよいでしょう。

運用プロセス最適化とSOP整備の進め方

運用プロセスの最適化とSOP整備は、段階を追って進めることが成功の鍵です。一度に完璧を目指すより、整えられる範囲から順に取り組むほうが現実的です。

1. 現状の可視化

まずは運用業務の全体像を洗い出し、どの作業をどの頻度で行っているかを一覧にします。そのうえで、ツールや担当者ごとに、特定の人にしか分からない作業を把握します。

2. 課題の整理

・属人化している業務
・手作業による負荷が高い業務
・手順の曖昧さや非効率なフロー

挙がった課題を並べ、改善の対象を明らかにします。

3. 標準化の方針策定

どの業務から標準化し、SOPを整備するかを決めます。その際は、優先順位をつけて進めることが大切です。

4. SOPの作成

業務の流れを文書にまとめ、初めて読む人でも実行できるよう、具体的な手順を書き込みます。

図解やスクリーンショットを添えると、手順が伝わりやすくなります。

5. 自動化の検討

標準化できた業務のうち、自動化できるものにはツール(ジョブ管理ツール、RPA、監視自動化など)を導入し、効率化を進めます。手順が決まっている業務ほど、ツールに任せやすい状態です。

6. 運用体制の整備

SOPに沿って運用できるよう体制を整え、定期的にレビューします。

見直しで改善点が見つかった場合は、手順書も更新します。

ポイント

標準化する業務は、属人化している業務や手作業の負荷が高い業務から選ぶと判断しやすくなります。一度に全部を整えず、段階を追って対象を広げていくとよいでしょう。

運用プロセス最適化を進める際のポイント

進め方を実際に回すなかで、特に押さえておきたい点があります。

経営層・関係部門の巻き込み

IT部門だけでなく、経営層や利用部門の理解を得ておくことで、全社的な取り組みとして推進できます。

継続的な改善

SOPは、一度作ったら終わりというものではありません。業務やシステムが変わると手順が合わなくなるため、変更に合わせて定期的に更新することが必要です。

属人化排除の意識

「誰がやっても同じ品質」を実現するには、手順を文書にまとめ、関係者で共有し、教育まで徹底することが大切です。

ツールの適切な活用

監視、ログ収集、ジョブ管理などのツールを組み合わせると、標準化と効率化を同時に進められます。

ポイント

経営層や利用部門を巻き込めているか、SOPを定期的に更新しているか、文書化と教育で属人化を防げているかを、進捗を見る際の目安にするとよいでしょう。

運用プロセス最適化・SOP整備の成功事例

運用プロセスの最適化を実際に進めた企業の事例を、3社分紹介します。

事例1:製造業A社

システム監視が担当者に依存し、夜間の対応が属人化していました。そこでSOPを整備し、監視自動化ツールを導入したところ、対応が標準化され、担当者の負荷も軽くなりました。障害の検知から初動対応までの時間も、大幅に短縮されています。

事例2:金融業B社

手作業で行っていたバックアップ業務とリカバリー手順を標準化しました。SOPをもとに定期作業の自動化を進めた結果、運用コストが削減され、担当者の負担も減りました。

事例3:小売業C社

店舗システムの障害対応は、支店ごとにやり方が異なっていました。そこで全社で統一したSOPを整備し、サポートセンターで一元的に管理するようにしたところ、対応の品質が安定し、復旧までの時間も短くなりました。

まとめ

運用プロセスの最適化とSOP整備は、システム運用を安定させ、企業全体の業務品質を高めるための土台になります。

・現状を洗い出し、課題を整理する。
・SOPを整備して業務を標準化する。
・自動化ツールを活用する。
・継続的に改善できる体制を築く。

これらに取り組むことで、システム運用の品質を高め、DX推進や事業成長を支える強固なIT基盤を築けます。

DX戦略や業務改革の全体像については、次の記事をご覧ください。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。