PMコンサルのフルスクラッチ・オーダーメイド開発について

PMコンサルを使うか、自社独自のPM体制を作るかは、案件が続くか、社内にノウハウがあるか、必要な支援はどこまでかで選びます。

PMコンサルの役割から、内製化の利点と負担、知見移転、判断の基準の順に見ていきます。全体像はPMコンサルの完全ガイドもご覧ください。

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PMコンサルの役割とPMOコンサルとの違い

PMコンサルの個別案件支援とPMOコンサルの複数案件を横断する管理基盤を左右で比べた図解。
支援対象の範囲が両者を分ける手がかりです。

フルスクラッチ型の内製化を考える前に、PMコンサルがどんなサービスかを押さえておく必要があります。PMコンサルは、単一のシステム開発プロジェクトを支援する外部人材です。

PMコンサルは、客先常駐かリモートで進行管理を代行します。支援内容には、スケジュール管理やタスク管理、リスク管理などのほか、ステークホルダー調整も含まれます。

多くの場合、PMBOKやアジャイル・スクラムのフレームワークなどの標準手法を土台に、個別の事情に合わせて調整します。

これに対し、自社独自の体制構築は、組織構造や意思決定の癖、業務特性に合わせてプロセスを設計する取り組みです。進捗管理やエスカレーションのルールも自社で作ります。

標準的な手法の活用と自社独自の体制構築の違い

どちらを選ぶかは、立ち上げの速さ、自社への適合性、プロジェクトの継続性で比べます。

  • 標準手法の活用:短期間で、一定水準の進行管理を確実に立ち上げやすい方法です。
  • 独自体制の構築:時間をかけて自社に最適化し、他社には真似できない基盤を作る中長期の組織投資です。
  • 段階的な組み合わせ:標準手法で案件を軌道に乗せ、独自の要素を少しずつ取り入れる進め方です。

標準手法は、自社特有の商習慣や意思決定プロセスに合わない場合もあります。一方、独自体制は定着すれば実情に合う基盤になり得ます。ただし、立ち上げには時間と労力が必要です。

一過性の案件か、同種の業務が中長期に繰り返されるかで、適した方法は変わります。また、両者を並行して進める選択肢もあります。

PMOコンサルとの役割の違い

PMOコンサルとの違いは、管理する範囲と体制の主体にあります。

  • PMOコンサル:複数案件を横断する管理基盤を全社レベルで構築・運営します。
  • PMコンサル:個別案件の実行段階を支援し、自社主体のプロセスづくりに伴走します。

PMOコンサルの支援には、全社共通の標準プロセスの策定も含まれます。特定の案件や部門で自社らしいPMの型を試行錯誤する段階なら、PMコンサルと一緒に作る方法が現実的な出発点になります。

ポイント

PMコンサルは単一案件の進行を外部から支え、PMOコンサルは複数案件の管理基盤を担います。案件が一過性か、同種の業務が中長期に続くかで、適した進め方は変わります。

自社独自のPM体制構築(フルスクラッチ型内製化)のメリット・デメリット

フルスクラッチ型の内製化には、はっきりした利点がある一方で、見落としやすい負担やリスクもあります。両方を理解したうえで、主導権の確保と教育・定着のコストを比べて検討します。

メリット:コア業務の主導権保持と組織文化への適合

内製化の最大の利点は、プロジェクトマネジメントの主導権を自社に残せることです。加えて、自社の実情に合った運用も実現できます。

  • 意思決定を社内に残す:ビジョンや「何を作るか」の優先順位を、自社で決められます。
  • 運用を自社に合わせる:報告形式やエスカレーションのルールを、自社の組織文化に沿って調整できる点です。
  • 遂行力を蓄積する:外部依存から離れ、自律的な力を組織に残すことにつながります。

意思決定を外部に任せきると、自社のビジネス目的から外れたシステムになるリスクがあります。

デメリット:教育コストと定着までの期間、属人化リスク

フルスクラッチで体制を構築する場合には、教育の負担、定着までの時間、担当者への依存といったデメリットもあります。

  • 教育コスト:プロセスの理解や現場手順の文書化に手間がかかります。
  • 定着までの期間:独自プロセスを作り、組織へ浸透させる時間が必要です。
  • 属人化:主導担当に知見が集中し、異動や退職で運用が形骸化するおそれがあります。

ある企業では、モデルやプロセスの概念を理解してもらうことと、現場手順を文書にすることの両方に苦労しました。反発を防ぐため、文書作成者が講師となり、延べ1,000人規模の社員に集合教育を行った事例があります。

負担を軽視して進めると、誰も運用できない仕組みだけが残る場合があります。その結果、現場がExcelや個人の経験則に頼る状態へ戻りかねません。こうした事態を避けるには、リスクを見積もったうえで、段階的な導入計画を最初から組み込むことが欠かせません。

内製体制構築にかかる期間・コストの考え方

構築期間や費用には単純な相場がありません。したがって、全社展開を急がず、小さく始める方法が考えられます。

  • 対象を絞る:特定の案件や部門で、スモールスタートする形です。
  • 現場負担を抑える:簡単な仕組みから機能を徐々に広げていく進め方です。
  • 外部人材を試す:最短3週間で協働を始められ、週1回の稼働から依頼できます。

全社的な管理システムを導入した企業では、現場のPMに直接の利点が伝わりにくいという課題がありました。そこで、上位管理者が一覧できる簡単な仕組みから始め、現場の作業負担を増やさず全社に定着させています。

外部PM人材の活用は、内製化の第一歩として小さく試せます。さらに、稼働頻度を抑えた協働は、コストを抑えるうえで現実的な選択肢になります。

フルスクラッチ型が向いているケース・向いていないケース

同種の開発が今後も続き、外部PMコンサルへの依存コストが無視できない規模になる企業には、内製化が向いています。

  • 継続案件がある:独自体制を作り、ノウハウを社内に蓄積しやすい企業です。
  • 単発案件である:今後の開発見込みが薄ければ、都度PMコンサルを頼む方が合理的です。

年に数本の新規事業を立ち上げる企業や、基幹システムを継続改修する組織では、ノウハウ蓄積の投資対効果が高くなります。さらに、長期的なコスト削減につながる場合もあります。

単発の案件が1件だけで、同種の開発が続く見込みが薄い場合には、教育費と定着期間が無駄になりやすくなります。そのため、発生頻度と将来の事業計画を照らし合わせて選ぶ必要があります。

ポイント

判断の目安は、主導権を自社に残す利点と、教育や定着にかかる負担を並べ、自社の体制や業務の継続性と照らし合わせて比べることです。

外部PMからのナレッジ移転とプロセス資産化

実務への伴走から教訓の文書化、案件をまたいだ共有へ進むナレッジ移転の図解。
文書化した手順や事例が次の案件でも使える形になります。

内製化では、外部PMを社内へのナレッジ移転を担う伴走者として位置づけます。外注先として作業を任せる場合とは、役割が異なります。そのうえで、実務での移転方法と、進捗を測る指標を押さえておきます。

伴走型実務によるノウハウ蓄積とプロセス資産の形式知化

知見の移転は、立ち上げ時から自社メンバーが実務に加わる形で進めます。

  • 実務に伴走する:自社メンバーがプロジェクトを通じてノウハウを得ます。
  • 教訓を文書化する:KPTなどの振り返りを、社内Wiki等に残す作業です。
  • 案件をまたいで共有する:手順や事例を、再利用できるプロセス資産として扱います。

社内WikiやナレッジマネジメントシステムにPMコンサルの暗黙知を残します。単発の伴走で終えず、資産を積み上げることで、内製化の価値が高まります。

案件ごとに契約を結び直して担当者が替わると、知見がリセットされ、内製化が進まないことがあります。この問題を避けるには、同じPMコンサルに複数の案件で伴走してもらう方法があります。

担当が交代する際は、文書を介して資産を確実に引き継ぎます。また、ナレッジが積み上がるように、契約設計の段階から仕組みを考えておきます。

内製化の進捗を測る指標

進捗を客観的に把握するには、外部支援の中身と社内の自立度を示す指標を、継続して追います。

  • 教育・引き継ぎの割合:外部PMの稼働時間に占める関連業務の比率です。
  • 社内の意思決定比率:自社メンバーだけで決められる会議やタスクの割合です。
  • 文書化した資産数:手順書やテンプレートの蓄積数です。

指標が増えていれば、ナレッジ移転が進んでいると判断できます。反対に、横ばいが続く場合は、伴走の仕方を見直すサインになります。

「慣れてきた」という感覚に頼らず、数値で進捗を管理すると、外部PMへの依存度を下げる時期を判断しやすくなります。

ポイント

外部PMを伴走者として位置づけ、知見を文書に残して案件をまたいで使えるようにしておくと、担当が替わっても内製化が止まりにくくなります。

内製化のガバナンス設計と外部活用の判断基準

戦略レベル、戦術レベル、実行レベルを上下に配置した意思決定構造の図解。
判断の階層を分けると、役割の境界を整理しやすくなります。

体制を機能させ続けるには、意思決定の構造と外部活用の基準を、内製化と並行して整えておく必要があります。

3階層の意思決定構造とRACIによる役割明確化

意思決定が滞らないように、判断する階層と役割の境界を明確にしておきます。

  • 戦略レベル:方針を決めるのはステアリングコミッティです。
  • 戦術レベル:プロジェクトを管理するのはPMです。
  • 実行レベル:決定事項に沿って進めるのは現場です。

3階層それぞれについて、エスカレーションのルールを標準化します。RACIマトリクスは、役割を整理する枠組みです。実行責任者と説明責任者のほか、相談先と報告先も示します。

役割を明確にしておくと、外部PMが抜けた後も社内で判断しやすくなります。ガバナンス設計も、PMコンサルと一緒に組み立てておきたいものです。

外部活用と内製化の判断基準(ハイブリッドアプローチ)

判断の基本は、コア業務を社内に残し、不足するスキルを外部で補うことです。

  • 自社で担う領域:プロダクトの意思決定や優先順位付けを行います。
  • 外部に頼る場面:未経験領域や、PMと要件定義を担う人材が不足する場合です。
  • 両者を組み合わせる:外部の知見を自社のプロセス資産に取り込みます。

たとえば、経験のない新領域に入るときは、無理に内製だけで進めず、経験豊富なPMコンサルを頼ります。

意思決定は社内で行いながら、外部PMを伴走者として活用する方法がハイブリッドアプローチです。外部から知見を吸収しつつ、フルスクラッチ型の体制を段階的に作っていきます。

全面的な内製化に迷う場合は、まず1件の案件でPMコンサルと伴走し、小さな成功体験を積みます。その手応えをもとに対象を広げると、失敗リスクを抑えながら体制を築けます。

ポイント

内製を広げる範囲は、コア業務を社内に残し、経験のない領域やPMと要件定義を担う人材が足りない領域だけを外部で補う基準で決めます。

まとめ

ここまで、PMコンサル活用と自社独自の体制構築の違い、内製化の利点と負担、知見の移転、外部活用の判断を見てきました。

PMコンサルは個別案件を支援し、PMOコンサルは複数案件を横断する組織基盤を担います。また、オーダーメイド型の内製化には、標準手法の活用とは違う時間と労力が必要です。

意思決定を社内に残し、外部PMとの実務を通じて知見を蓄積します。手順をプロセス資産として文書化すれば、属人化を避けながら自社に合った体制を築けます。

まず特定の案件や部門で伴走し、得たプロセスを段階的に社内標準へ高めます。

全社展開を急がず、教育費と属人化リスクを見積もります。小さな成功を重ねて、自社に合うPMの型を育てることが、内製化への確実な近道です。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。