SMILE V導入のフルスクラッチ・オーダーメイド開発について

フルスクラッチ開発は、独自のビジネスモデルや特殊な業務プロセスが競争力の源泉で、高額な投資の回収が見込める場合に限って検討します。それ以外は、SMILE Vの標準機能と業種別テンプレートを土台に比較するのが現実的です。

SMILE Vは、大塚商会の100%子会社である株式会社OSKが開発し、大塚商会が販売・サポートを担う国産ERPです。

ノークリサーチの2023年調査では、国内中堅・中小企業向けERP市場でシェア37.0%・1位とされています。自社の商習慣が本当にフルスクラッチでなければ実現できないのか、SMILE Vの標準機能や業種別テンプレートで対応できるのかを見極めることが、投資対効果の高い判断につながります。

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フルスクラッチ・オーダーメイド開発とパッケージ導入の違い

フルスクラッチ開発の自由度、初期負担、継続負担と、パッケージ導入の標準機能・業種別テンプレートを示した図。
自由度の裏側に、導入時と運用時の負担があります。

フルスクラッチ開発は、既存のパッケージソフトを使わず、自社の業務要件に合わせてシステムをゼロから設計・構築する開発方式です。

標準機能という制約がない分、自社の受発注フローや帳票フォーマットに完全に適合したシステムを作り上げられます。その反面、要件定義から設計・開発・テストまでの全工程を自社の要件に合わせて一から積み上げるため、費用・期間ともに大きな投資が必要になります。

一方、SMILE Vのようなパッケージ導入は、あらかじめ用意された会計・販売・人事給与の各機能と業種別テンプレートを土台にします。そのため、開発期間と費用を抑えながらシステムを構築できます。

両者の根本的な違いは、「ゼロから作る」か「土台の上に必要な差分だけを作る」かという点にあります。SMILE Vの場合、この差分の部分でも、業種別テンプレートが自社の業種に近い業務フローをあらかじめ用意しているケースが多くあります。そのため、パッケージでありながら、比較的少ないカスタマイズで自社の要件に近づけやすいという特性があります。

フルスクラッチ開発の定義と負担

フルスクラッチは、自由度と引き換えに、初期と継続の負担が大きくなる方式です。

  • 自由度:特殊な受発注フローや、周辺システムとの複雑な連携まで盛り込めます。
  • 初期負担:要件定義から設計、開発、テストまでを、自社の要件に合わせて進めることになります。
  • 継続負担:保守、セキュリティ対応、法改正対応を、自社か委託先が担います。

フルスクラッチ開発(オーダーメイド開発)は、既製のパッケージソフトやSaaSを使わず、画面設計、データベース設計、業務ロジックの実装まで、すべてを独自に行う方式です。カスタマイズ性は極めて高く、標準機能では対応できない特殊な受発注フローや、既存の周辺システムとの複雑な連携も、理論上はすべて実現できます。

その一方で、自由度の高さは、要件定義の精度がそのままシステムの品質を左右する難しさにもつながります。パッケージ導入には標準機能・業種別テンプレートというたたき台がありますが、フルスクラッチにはその土台がありません。そのため、要件定義で見落としがあると、本番稼働後にそのままシステムの欠陥として表面化します。

また、開発を担当するベンダーやエンジニアが、自社の業種特有の商習慣を深く理解しているとは限りません。そのため、要件定義と設計のすり合わせに多くの工数がかかり、これもフルスクラッチ特有の負担といえます。

さらに、会計・人事給与のように法改正への対応が続く領域では、自社で開発した仕組みを法改正のたびに自社の責任で改修し続ける必要があります。見落とされがちな負担です。

SMILE Vのようなパッケージ導入との本質的な違い

SMILE Vのようなパッケージ導入とフルスクラッチ開発の本質的な違いは、「標準機能・業種別テンプレートという土台の有無」と「保守・バージョンアップの責任分担」の2点にあります。フルスクラッチで開発したシステムは、保守・機能追加・セキュリティ・法改正対応のすべてを、自社か委託先が継続して担います。業務ロジックの見直しや新しい制度への対応も、その都度追加開発として費用がかかります。

一方、SMILE Vのようなパッケージは、コア機能の保守・セキュリティパッチ・法改正対応を、開発元のOSKと販売元の大塚商会が継続して提供します。そのため、自社が負う保守責任は、個別にカスタマイズした差分部分に限られます。しかも、差分部分でも業種別テンプレートのノウハウを活用できることが多く、保守・バージョンアップの負担を抑えやすい傾向があります。

つまり、SMILE Vのような業種別テンプレートを豊富に持つパッケージは、両者の中間、あるいは「パッケージの標準機能・テンプレートを土台にしたセミオーダーメイド」に位置する、現実的な選択肢だといえます。

ポイント

自社の業務が標準機能や業種別テンプレートの範囲に収まるかを先に確かめると、フルスクラッチとパッケージのどちらが合うかを判断できます。

費用・期間・カスタマイズ性の比較

基幹システムの構築方式には、大きくクラウド型(SaaS)、パッケージ導入(SMILE Vのような業種別テンプレート対応型を含む)、フルスクラッチ開発の3つの選択肢があります。それぞれ、費用・期間・カスタマイズ性・ランニングコストの構造が大きく異なります。

この3つを正しく比較したうえで自社に合った選択肢を選ぶことが、投資対効果を最大化する第一歩です。

3つの選択肢(クラウドSaaS・パッケージ・フルスクラッチ)の比較

汎用的なクラウド型(SaaS)は、初期費用が無料〜数十万円程度と低く抑えられ、導入期間も数週間〜2ヶ月程度と短く立ち上がります。ただし、カスタマイズ性は標準機能の範囲に限られる傾向があり、月額数万円〜数十万円程度のランニングコストが継続して発生します。

パッケージ導入(SMILE Vを含む)は、中堅・中小企業向けで初期費用が数百万〜3,000万円程度、大規模導入では3,000万円以上になります。導入期間は数ヶ月〜1年程度で、業種別テンプレートを活用することで、カスタマイズ性も比較的高い水準を確保できます。ランニングコストは、年間保守費用(導入費用の15〜20%程度)に収まる傾向があります。

フルスクラッチ開発は、初期費用が1,000万円〜数億円規模、導入期間が6ヶ月〜数年以上かかります。カスタマイズ性は極めて高い一方、保守・改修費が継続して膨らみ続けるという特徴があります。SMILE Vは「パッケージ導入」に分類されますが、クラウド版のSMILE V Airとオンプレミス版のSMILE V 2nd Editionの2つの提供形態があり、企業の規模やIT投資方針に応じて選べます。

中長期のランニングコストで見た場合の違い

初期費用・導入期間だけでなく、中長期のランニングコストで比べると、3つの選択肢の違いはより明確になります。フルスクラッチ開発は、初期投資こそ大きいものの、その後の保守・機能追加・法改正対応も追加開発として費用が発生し続けます。そのため、5年・10年という長期で見ると、累積コストが際限なく膨らむリスクがあります。

特に会計・人事給与領域では、社会保険料率の改定や税制改正が毎年のように発生します。フルスクラッチで作り込んだシステムには、その都度の改修費用が継続してのしかかります。一方、汎用的なクラウド型(SaaS)は、初期費用こそ抑えられますが、月額利用料が継続して発生するため、長期利用では累積コストがパッケージ買い切り型を上回ることがあります。

SMILE Vの場合、業種別テンプレートによる標準機能フィット率の高さで、カスタマイズ費用の膨張を小さくできます。さらに、法改正対応を開発元のOSKと大塚商会が継続して提供する体制があるため、フルスクラッチのように制度改正のたびに保守・改修費が膨らむリスクを抑えられます。中長期のコスト比較では、この点が強みになります。

ポイント

初期費用や導入期間だけでなく、5年・10年の累積コストで比べることが大切です。保守・改修費の膨らみ方の差が、方式選びの分かれ目になります。

SMILE Vが選ばれる理由

SMILE Vを中央に置き、業種別テンプレート、標準機能フィット率、販売網、導入実績を周囲に示した図。
業務への適合と導入後の支援が、選定理由を形づくります。

フルスクラッチ開発を検討していた企業がSMILE Vのようなパッケージに切り替えるケースや、最初からSMILE Vを選ぶケースには、共通する理由があります。とりわけ、「業種別テンプレートによる標準機能フィット率の高さ」と「大塚商会の全国規模の販売網・導入実績の厚みによる安心感」の2点が、選定の決め手になることが多く見られます。

業種別テンプレートによる標準機能フィット率の高さ

フルスクラッチ開発が選ばれる最大の理由は「自社独自の業務ルールに完全に適合させたい」という要求ですが、SMILE Vはその多くを、パッケージの枠組みの中で満たす仕組みを持っています。会計・販売・人事給与という汎用的な基幹業務機能に加えて、生産管理・建設業・運輸業・アパレル業・食品業など17業種以上の業種別テンプレートを用意しています。

自社の業種に近いテンプレートがあれば、ゼロから機能要件を洗い出すより効率的に導入を進められる可能性があります。ノークリサーチの調査では、国内中堅・中小企業向けERP市場でシェア1位(37.0%)という結果が示されています。幅広い業種・規模の企業への導入実績が蓄積されており、その蓄積が業種別テンプレートという形で標準機能に反映されています。

「自社独自」と思っていた業務ルールが、実は同業他社でも共通する課題で、既にテンプレートとして解決策が用意されているケースは少なくありません。そのため、「自社だけの特殊事情」が標準機能で対応できると分かれば、フルスクラッチに頼らずとも、業務要件の多くを満たせます。

大塚商会の全国規模の販売網・導入実績の厚みによる安心感

もう一つの選ばれる理由は、日本最大級のITベンダーである大塚商会が持つ、全国規模の販売網・サポート体制と圧倒的な導入実績です。大塚商会は北は札幌から南は福岡まで全国に拠点を展開し、従業員数は連結子会社を含め1万人規模という、日本を代表するシステムインテグレーターです。

開発を専業のOSKが担い、販売・サポートを大塚商会の巨大な営業・サポート網が支える、二人三脚の体制です。この体制は、地方に拠点を持つ企業や複数拠点を展開する企業にとって、フルスクラッチ開発を個別のベンダーに依頼するより、長期的な事業継続性とサポート体制の面で安心につながります。

フルスクラッチでは、担当ベンダーやエンジニアが将来も事業を続けるとは限らず、退職や廃業で保守が困難になる「塩漬けシステム」化のリスクが常に伴います。一方、SMILE Vは全国規模の販売・サポート体制を持つ大手ベンダーが長く提供し続けている製品です。社内に情報システム専任者が少ない中堅・中小企業にとって、この点は「自社だけで抱え込むリスク」を避ける手がかりです。

ポイント

社内に情報システムの専任者が少ない場合は、ベンダーの販売・サポート網の厚みを重く見て比べることが、判断の目安になります。

フルスクラッチが正当化される条件とミスマッチ事例

フルスクラッチ開発の判断要素として、独自のビジネスモデル、特殊な業務プロセス、競争力の源泉、投資回収の見込みを並べた図。
業務の独自性と投資回収を合わせて検討します。

多くの企業にはSMILE Vのようなパッケージが合いますが、フルスクラッチ開発が正当化されるケースも確かに存在します。

フルスクラッチが正当化される条件

フルスクラッチ開発が正当化されるのは、既存パッケージでは吸収しきれない独自のビジネスモデルや特殊な業務プロセスが、自社の競争力の源泉になっている場合です。しかも、高額な投資に見合う投資回収が見込めることが前提になります。

具体的には、業界内でも極めて特殊な受発注フローや価格決定ロジックを採用していて、SMILE Vの標準機能・業種別テンプレートでも対応できる余地がほとんどない場合が該当します。また、独自開発の周辺システムと密接に連携する必要があり、その連携仕様が一般的なパッケージのAPIでは実現できない場合も含まれます。

あるいは、業務プロセスそのものが自社の差別化要因で、模倣されにくい独自システムを持つ必要がある場合などが該当します。逆に言えば、これらの条件に当てはまらない大多数の企業にとっては、フルスクラッチ開発は費用対効果の面で正当化しにくいといえます。SMILE Vのような業種別テンプレートを豊富に持つパッケージ導入を選ぶのが自然です。

典型的なミスマッチ事例

思い込みや見かけの安さに引きずられると、方式の選定を誤りやすくなります。その失敗は、自社向けの作り込みすぎ、月額費用の見誤り、業務範囲を広げたときの二重投資という場面で起きています。

  • 過剰投資:「自社の商習慣は特殊だから」という思い込みだけで、フルスクラッチ開発に踏み切った。
  • クラウド型(SaaS)のコスト:「月額費用が安いから」だけで汎用クラウド会計・販売SaaSを選んだ。
  • 業務範囲の拡大:販売単体の要件に最適化したフルスクラッチシステムを、会計・人事給与へ広げようとした。

過剰投資のケースは、実際にはSMILE Vの標準機能・業種別テンプレートで大部分をカバーできる、標準的な業務プロセスでした。この場合、初期費用1,000万円〜数億円の投資が、実は不要だったことになります。

クラウド型の例では、5年・10年の累積コストや、標準機能で対応しきれない部分をExcelで二重管理し続けるコストまで含めて試算します。すると、SMILE Vのようなパッケージを選んでいた方が総合的に合理的だったという結果になります。

こうなると、既存システムとの連携を一から設計し直す必要が生じ、結局は二重投資になってしまいます。

ミスマッチを避けるには、契約前のフィット&ギャップ分析で、自社の要件に合う方式を客観的に見極めることが不可欠です。ミスマッチの多くは、意思決定の初期段階で複数の選択肢を比べず、特定の方式を思い込みで決め打ちしたことが根本原因になっています。

フルスクラッチかパッケージかを議論する前に、まず自社の業務要件を洗い出し、標準機能・業種別テンプレートでどこまでカバーできるかを大塚商会に相談してから判断します。

ポイント

判断に迷うときは、パッケージで対応できない業務要件がどこまであるかを洗い出し、その部分の投資回収が見込めるかで決めるのが目安です。

まとめ

フルスクラッチ・オーダーメイド開発とパッケージ導入の違い、費用・期間・カスタマイズ性の比較、SMILE Vが選ばれる理由、フルスクラッチが正当化される条件とミスマッチ事例を見てきました。

フルスクラッチ開発は、初期費用1,000万円〜数億円、期間6ヶ月〜数年以上を要します。カスタマイズ性は極めて高い反面、保守・改修費が継続して膨らむという特徴があります。

これに対しSMILE Vは、業種別テンプレートによる標準機能フィット率の高さと、大塚商会の全国規模の販売網・導入実績の厚みによる安心感を両立させています。その結果、「パッケージ的な保守性・コスト効率」と「幅広い業種への適合力」を兼ね備えた選択肢になっています。

フルスクラッチが正当化されるのは、既存パッケージでは吸収しきれない独自のビジネスモデルや特殊な業務プロセスが競争力の源泉で、高額な投資の回収が見込める場合に限られます。それ以外の大多数の企業は、パッケージ導入を選ぶのが自然です。

開発方式を検討する際は、自社の業務要件が本当にフルスクラッチでなければ実現できないのかを見極めることが大切です。そのうえで、全国どこでも頼れる手厚いサポート網を持つ大塚商会に話を聞いてみることをお勧めします。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。