システム移行のパッケージ/クラウド製品一覧

システム移行を支援するツールは、自社サーバーに導入するパッケージ型と、ベンダーの環境をインターネット経由で使うクラウド型に分かれます。移行の期間や運用体制で、向く形は変わります。

紹介するのは主要6製品です。各テーマの詳しい内容は、関連記事もご覧ください。

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パッケージ型とクラウド型の違い

パッケージ型は、ライセンスを自社サーバーに導入して使う形態を広く指します。

クラウド型は、ベンダーが運用する環境をインターネット経由で利用する形態です。

現在、具体的な移行支援ツールとして比較しやすいのは、クラウド型やサブスクリプション型が中心です。そのため今回は、現行の公式情報を確認できた製品を対象にしています。

パッケージ型の論点は自社運用と個別要件への対応

従来型のパッケージライセンスは、ソフトウェアを買い切って自社サーバーに導入する形が一般的です。そのため、サーバーの用意や導入後の運用を社内でどこまで担うかを、先に決めておく必要があります。

  • 自社固有のセキュリティ基準や閉域網、複雑な既存システムとの連携:対応しやすい可能性があります。
  • サーバーの調達や監視、バージョンアップ:自社側で担う範囲が大きくなります。

移行プロジェクトは一時的な利用であることも多いため、買い切りライセンスの費用は、プロジェクトの期間と再利用の見込みに照らして判断します。

クラウド型の短期導入と従量課金による柔軟性

クラウド型は、サーバーを調達しなくても利用を始めやすく、移行プロジェクトの期間だけ契約するという柔軟な使い方をしやすい点が特徴です。

  • データベース移行特化サービスの課金:処理時間やデータ量に応じた従量課金を採用するものもあります。
  • 移行後の利用停止:移行が完了すれば利用を止めやすい点も、利点として挙げられます。

従量課金は使い方によって費用が変わるため、事前に処理量の見込みを立てておく必要があります。

ポイント

社内で運用の手間を担えるか、移行が一時的な利用で済むかを先に決めると、パッケージ型とクラウド型のどちらが合うかを絞り込みやすくなります。

製品を比較するときの共通軸

移行支援製品を比べる5つの観点をカードで示した図解。
観点をそろえると、候補ごとの違いを見渡しやすくなります。

製品紹介ページの機能一覧を見ても、自社の移行対象に適合するかは判断しきれません。そこで、候補を同じ条件で比べられるように、製品ごとの情報を共通の質問に置き換えます。質問は、対応データベース・連携先、リアルタイム同期の可否、操作性、セキュリティ、料金体系の5観点です。特に対応範囲と同期の可否は、移行の進め方そのものに関わるため、最初に確かめたい項目です。

対応データベース・連携先とリアルタイム同期の可否

まず、移行元と移行先のデータベースやアプリケーションに、製品が対応しているかを確かめます。

「データベース移行に対応」という説明でも、対応の中身は製品によって異なります。同種のデータベース間の移行に限られる製品がある一方で、異なる種類のデータベース間でも変換して移行できる製品もあります。

ダウンタイムを短くしたい場合は、CDC技術によるリアルタイムの差分同期に対応しているかどうかも、確認しておきたい点です。

操作性・セキュリティ・料金体系の確認

ノーコードでフローを設計できる製品は、プログラミングの専門知識がなくても運用しやすい一方、複雑なコード変換ロジックへの対応力は製品によって差があります。そのため、操作性だけで決めず、次の観点もあわせて比べます。

  • セキュリティ:通信と保存時の暗号化、閉域網接続を比べます。加えて、操作ログや契約終了後のデータ削除条件も確かめます。
  • 料金体系:固定額のサブスクリプションか従量課金かによって、移行プロジェクトの予算を組みやすいかどうかが変わります。

自社の利用期間と処理量の見込みも合わせて確かめておくと、比べる材料がそろいます。詳しい評価の手順は、システム移行の選定ポイント・選び方・種類で整理しています。

ポイント

候補を比べる前に、移行元と移行先の組み合わせで必ず確かめる項目を決めておくと、判断の目安がぶれにくくなり、比較の手間も減らせます。

システム移行を支援する主要クラウド・SaaS製品6選

2026年7月時点で、現行の公式ページと料金体系を確認できた6製品を紹介します。なお、掲載順は優劣を示すものではありません。

製品ごとに得意な移行対象や料金体系は異なるため、自社の課題と条件を合わせて比べる必要があります。

AWS Database Migration Service(AWS DMS)

AWS Database Migration Serviceは、オンプレミスやレガシーのデータベースを、AWS上の環境へ移行したい企業に向く候補です。AI支援によるスキーマ変換機能を備えており、同種のデータベース間だけでなく、異なる種類のデータベース間の移行にも対応します。

料金は利用量に応じて支払う従量課金で、方式によって金額の決まり方が異なります。オンデマンド課金とサーバーレス課金の2つがあり、それぞれ次のように決まります。

  • オンデマンド課金:レプリケーションインスタンスの稼働時間とストレージ使用量で、金額が決まります。
  • サーバーレス課金:DCU(DMSキャパシティユニット)を単位とした従量課金です。

処理量が読みにくいプロジェクトでは、見込みの処理時間とデータ量を先に試算し、概算費用を確かめておく必要があります。

Google Cloud Database Migration Service

Google Cloud Database Migration Serviceは、Cloud SQLやAlloyDBなどへの移行に対応する候補です。料金は、同種のデータベース間か、異なる種類のデータベース間かによって分かれています(2026年7月時点の公式サイトによる)。

  • 同種データベース間の移行:ネイティブ移行は無料で利用できます。
  • 異なる種類のデータベース間の移行:CDCまたはバックフィル方式のデータ量に応じた課金で、バックフィルは月間500GiBまで無料枠があります。

Google Cloudへの移行を軸にプロジェクトを進める企業では、ほかのGoogle Cloudサービスとの連携のしやすさも、あわせて確かめておくとよいでしょう。

HULFT Square

HULFT Squareは、レガシーシステムとクラウド、SaaSをまたぐデータ連携を、国産のiPaaSでノーコードに実現したい企業向けの候補です。2026年7月時点の公式サイトには、次の4段階の料金(いずれも税別)が掲載されています。

  • Starterプラン:240,000円/月〜
  • Standardプラン:520,000円/月〜
  • Enterpriseプラン:1,200,000円/月〜
  • Premiumプラン:5,000,000円/月〜

150以上の連携先に対応しており、既存の基幹システムとSaaSを組み合わせる複雑な移行では、比較検討する価値があります。料金や連携先の数は変わることがあるため、契約前に最新の公式情報を確かめてください。

DataSpider Servista

DataSpider Servistaは、国内シェアの高いデータ連携ミドルウェアです。GUI操作でノーコードのフローを設計でき、50種以上の連携アダプタを備えている点が特徴です。

データベースの変更検知をきっかけにした連携にも、大量データのバッチ処理とリアルタイム処理の両方にも対応しています。そのため、既存の基幹システムを含む複雑な移行プロジェクトの候補に入ります。

公式ページには具体的な料金が載っていないため、要件を伝えたうえで、個別に見積もりを取る形になります。

ASTERIA Warp

ASTERIA Warpは、国内シェアの高いEAI/ESB型のデータ連携ツールです。サブスクリプション形式と買い切りに近い標準ライセンス、iPaaS形式のクラウド版まで、幅広い提供形態を持つ点が特徴です。

2026年7月時点の公式サイトには、次の料金(サブスクリプションとiPaaS版)が掲載されています。

  • Coreエディション:30,000円/月〜
  • Standardエディション:200,000円/月〜(年契約)
  • ASTERIA Warp Cloud Core+(iPaaS版):160,000円/月〜

自社の運用体制やセキュリティ要件に合わせて、オンプレミス寄りとクラウド寄りのどちらの構成にするかを選べる点が、評価の材料になります。

trocco

troccoは、広告・SaaS・CRMなど100種類以上のコネクタを備えたデータ統合SaaSです。ETL機能とテンプレートETLを使って、データの転送と変換を進められる点が特徴です。

2026年7月時点の公式サイトには、次の料金プランが掲載されています。

  • Freeプラン:無料
  • Starterプラン:7.5万円/月〜
  • Essentialプラン:15万円/月〜
  • Advancedプラン:30万円/月〜
  • Professionalプラン:個別見積もり

分析基盤の構築とあわせてデータ移行を進めたい企業では、移行後のデータ活用まで見据えて選びやすい製品です。

自社の課題別に候補を絞る方法

6製品を最初から細部まで比べるのは手間がかかるため、まず最も大きな課題を一つ決め、そのうえで必須要件によって候補を減らすのが効率的です。

データベース単位の移行と、レガシーシステムやSaaSを含む幅広い連携では、適した製品タイプが異なります。

データベース単位の移行を最短距離で進めたい場合

クラウド上のデータベースへの切り替えが主な目的で、利用中または利用予定のクラウド基盤が決まっている場合があります。その場合は、クラウドベンダーが提供する移行専用サービスから検討します。

  • AWS Database Migration Serviceは、クラウド上のDB移行に対応する候補です。
  • Google Cloud Database Migration Serviceも、同様に候補です。

同種のデータベース間の移行であれば、費用を抑えやすい場合があります。その際は、自社の移行元と移行先の組み合わせを整理してから、概算費用を確かめます。

レガシーシステムやSaaSを含む幅広い連携を整理したい場合

移行対象がデータベースだけでなく、既存の基幹システムや複数のSaaSにまたがる場合は、次のような汎用的なデータ連携ツールを候補にします。

  • HULFT Square
  • DataSpider Servista
  • ASTERIA Warp

ノーコードでの開発しやすさ、対応する連携先の数、閉域網接続の可否を比べます。また、移行が終わったあともデータ連携基盤として使い続ける予定があるかどうかも、判断材料になります。

分析基盤の構築まで見据える場合は、troccoのようなETL・データ統合SaaSも比較対象になります。

ポイント

移行対象がデータベースだけか、既存の基幹システムやSaaSまで広がるかで、検討する製品タイプが分かれます。最も大きな課題を一つに決めておくと、比較の対象を減らせます。

料金・契約前の確認事項

業務データの周囲に、権限管理や暗号化など4つの契約確認項目を配置した図解。
データの保護と契約終了時の扱いを一緒に確認できます。

公開されている価格だけで安い製品を選ぶと、データ量の増加や連携先の追加によって、想定外の費用が生じることがあります。

製品を選ぶときは、料金表に載る月額費用だけでなく、移行に必要な期間やデータ量、将来の継続利用まで含めて、総費用で判断します。

課金の単位と方式

クラウド型の移行支援製品では、月額固定のサブスクリプション、処理時間やデータ量に応じた従量課金、連携先の数など、課金の単位が製品によって異なります。

移行が一時的な利用なのか、移行後もデータ連携基盤として継続して使うのかによって、適した課金方式は変わります。

料金が非公開または要問い合わせの製品も珍しくないため、確認できない具体額は、比較表に推測で書き込まないようにします。

データ保持・セキュリティ・解約条件の確認

移行支援製品では、業務データを一時的に保管したり、外部システムとの接続情報を扱ったりします。

そのため、契約書で権限管理と操作ログ、暗号化の方式を確かめます。加えて、委託先とデータの保管場所も確認し、移行完了後や解約時にどの形式でデータやログを受け取れるかを押さえます。

移行専用に契約する場合でも、プロジェクトが延長したときの追加費用や、契約終了後のデータ削除条件は、事前に明確にしておく必要があります。

ポイント

見積もりを、月額費用だけでなく、移行期間の延長や解約後のデータ扱いまで広げておくと、後から費用が増える場面を減らせます。

デモとPoCによる製品の最終候補への絞り込み

サンプル移行の処理を抽出、変換、ロードの順に示した図解。
3段階を通して、移行時の挙動を確認できます。

資料での比較で2〜3製品まで絞ったら、実際の本番データの一部を使って、デモまたはPoCを行います。

情報システム部門だけでなく、業務部門やデータの利用者にも結果を見てもらうと、移行後の運用で行き違いが起きにくくなります。

自社の本番データの一部を使ったサンプル移行

金額のゼロやマイナス値、複雑なコード変換のパターンなど、境界値や例外のケースを含む数百から数千件のサンプルデータを使います。抽出、変換、ロードまでを一通り実行します。

件数照合とサンプル照合を実際に行い、必須項目の欠損やデータ型の不一致がどの程度起きるかを記録しておくと、本番移行時のリスクを事前に把握できます。

移行時間とエラー件数の実測と稟議での活用

PoCの前に想定していた作業時間と、実際にかかった抽出、変換、ロードの時間を比べ、本番移行に必要な余裕(バッファ)を見積もります。

従量課金の製品では、PoCで使った処理時間やデータ量をもとに、本番移行時の概算費用を試算します。固定額の製品と同じ条件で比べられるようにしておくと、稟議を通しやすくなります。

ポイント

判断の決め手は、資料上の機能数より、検証の条件を実際の業務にどれだけ近づけられるかです。業務部門にも結果を見てもらい、行き違いを減らしておくことが大切です。

システム移行の製品比較で押さえておきたいポイント

製品一覧から候補を選ぶ際は、買い切り型の有無やおすすめ順位だけでなく、自社のデータの特性と移行後の利用期間を同じ条件で比べる必要があります。選定で迷いやすい点は、下の見出しごとに分けて説明します。

買い切り型が必要な場合の選択肢

ASTERIA Warpのように、サブスクリプションに近い形態と、買い切りに近い標準ライセンスの両方を用意している製品もあります。

買い切りを重視するなら、料金だけでなく、法改正やOS更新への追随を自社でどこまで担うかも確かめておく必要があります。

おすすめの製品の決め方

全企業に共通する1位の製品はないため、クラウドデータベースへの移行を最短距離で進めたいのか、レガシーシステムやSaaSを含む幅広い連携を整理したいのかを見極めます。

まず必須要件で2〜3製品に絞り、同じサンプルデータでのPoCで比べます。

料金の比較方法

固定額のサブスクリプションと従量課金は単純に比べられないため、移行プロジェクトの想定期間とデータ量を各社に示し、その条件での概算費用を見積もってもらいます。初期費用や月額費用だけでなく、サポート費用や解約時のデータ出力にかかる費用も含めて比べてください。

まとめ

システム移行の支援ツールでは、買い切り型の具体的な製品を無理に探すより、継続的に更新されるクラウド型・サブスクリプション型の製品を比べるほうが現実的です。自社の移行対象と課題に照らして選ぶことが、選定の前提になります。

実際、今回紹介した6製品にも、データベース単位の移行に強いものと、レガシーシステムやSaaSを含む幅広い連携に強いものがあり、特徴は異なります。

課題診断から2〜3製品への絞り込み

まず、データベース単位の移行か、レガシーシステムやSaaSを含む幅広い連携かという、最優先の課題を決めます。

次に、対応データベース・連携先、リアルタイム同期の可否、操作性、セキュリティ、料金体系を、各製品に同じ質問で確かめます。同じ質問で比べれば、広告的な知名度に左右されず、候補を絞れます。

サンプルデータによるPoCでの確認

資料上の機能数より、検証の条件を実際の業務にどれだけ近づけられるかが決め手になります。

  • コード変換の精度と処理時間:本番データに近いサンプルで、正しく変換されるかと、処理に要する時間を確かめます。
  • 既製製品で対応できない場合:複雑な変換ロジックや独自の検証作業を吸収しきれないときは、個別開発のスクリプトやハイブリッド構成も候補に入ります。

riplaは、フルスクラッチ開発の立場から、製品比較で足りない機能を洗い出す作業や、自社のデータと業務要件に合わせた移行スクリプトの構築を支援しています。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。