TMSのモダナイゼーションの候補は、提供形態、得意業務、料金・契約条件に分けて見ると、自社の刷新目的に合う製品を絞り込めます。紹介する主要7製品は、いずれもクラウド型です。各テーマの詳細は、関連記事にまとめています。
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パッケージ型とクラウド型TMSモダナイゼーションの違い
老朽化したTMSの刷新先は、自社サーバーに導入する従来型パッケージと、ベンダーが運用するクラウド型に大別できます。
クラウド型はインターネット経由で利用する形態で、現行製品として比べやすいのもクラウド型が中心です。そのため、本記事もクラウド型を対象にしています。
パッケージ型の論点:自社独自ロジックの引き継ぎと運用体制
独自の運賃計算ロジックや傭車先ごとの個別運用は、パッケージ型やオンプレミス構築で細部まで作り込めます。ただし、作り込んだ仕組みは刷新後も維持し続ける体制が必要になり、その負担は保守と改修、運用体制、ノウハウ継承の3点に表れます。
- 保守と改修:サーバー保守、監視、法改正対応を自社で担う必要があります。
- 運用体制:刷新後も改修を担う人員と費用を維持できるかが焦点です。
- ノウハウ継承:担当者の異動や退職で、改修の知識が途切れるリスクがあります。
既存TMSの多くはこの形態のため、同じ形態での刷新も選択肢に挙がります。
クラウド型の強み:短期導入と法改正への継続的な追随
クラウド型TMSは、サーバーを調達しなくても利用を始められます。
また、ベンダー側の一斉アップデートで、法改正対応や機能追加を受けられます。たとえば、2024年問題に伴う荷待ち時間の記録義務化のような対応も、ベンダー側の更新に乗る形で進められます。
一方で、独自の運賃計算ロジックや傭車先連携を標準機能に合わせられる範囲は、製品ごとに異なります。このため、導入前の確認が欠かせません。
製品比較の共通の観点

既存TMSの何を引き継ぎ、何を刷新するかは、機能の名前を並べた一覧より、業務ごとの対応範囲を見て判断します。そこで、各候補に同じ条件を示し、次の観点で比べます。
配車計画から運賃計算までのカバー範囲の比較
業務の範囲と配車の方式は、製品によって対応に差が出やすい部分です。そのため、標準機能として扱える業務と、配車管理の具体的な方式を、製品ごとにそろえて確認します。確認の観点は、対象業務、計画方式、個別条件の3点です。
- 対象業務:受発注や配車計画の自動生成から、動態管理・運行実績管理、運賃計算・支払請求までの標準対応。
- 計画方式:手動計画と、自動で最適ルートを算出する方式の違い。
- 個別条件:自社の運賃ルールや傭車先の条件を、実案件で試せるか。
同じ配車管理でも、方式によって刷新後に期待できる効果は変わります。
データ移行支援と会計・WMS・EDI連携の範囲
移行支援と外部連携は、切替後のデータ障害を避けるために見ておく項目です。
- 移行データ:運賃マスタや輸送実績データについて、移行支援の内容。
- 連携先:会計システム、WMS、傭車先との連携実績。
- 連携方式:APIかCSVか、対象データや同期タイミング、エラー時の扱い。
詳しい評価の進め方は、TMSのモダナイゼーションの選定ポイント・選び方・種類にまとめています。
TMSのモダナイゼーションで検討したい主要クラウド製品7選
2026年7月時点で、現行の公式ページと対象業務を確認できた7製品を取り上げます。なお、掲載順は優劣を示すものではありません。また、老朽化した自社TMSのどこを刷新するかによって、適した製品は変わります。
MOVO(Hacobu):配車受発注と動態管理を組み合わせられる候補
Hacobu社のMOVOは、刷新したい輸配送工程に応じて、複数のサービスを組み合わせられます。
- MOVO Vista:配車の受発注・管理。
- MOVO Fleet:車両の動態管理。
- MOVO Berth:トラック予約の受付。
たとえば、自社独自の配車システムから業務プロセスごとに段階的に移行したい企業が候補になります。料金は個別見積もりで、公式サイトに具体額は掲載されていません。
Loogia(オプティマインド):配車計画そのものの自動化を担う候補
オプティマインド社のLoogiaは、配車計画の自動作成に加え、動態管理や物流網最適化のコンサルティングを扱います。特に、配車担当者の経験や勘に依存した計画立案を見直したい企業に向いています。
料金は公式サイトに明記されていないため、資料請求や問い合わせで確認する必要があります。
輸配送管理システム(TMS)シリーズ(ロジスティードソリューションズ):運賃計算まで一気通貫で扱う候補
ロジスティードソリューションズの輸配送管理システム(TMS)シリーズは、配送計画、動態・運行実績管理、運賃計算・支払請求を製品群でカバーします。
物流事業者の運用知見を踏まえて設計されています。このため、基幹システムと運賃計算ロジックを刷新したい企業が候補になります。料金は公式サイトに記載がないため、個別の問い合わせが必要です。
ハコベル配車管理:受発注の電子化に強みがある候補
ハコベル配車管理は、運送申込書・運送引受書のやり取りを電子化し、配車依頼やドライバーアプリ連携を扱います。さらに、請求・支払管理や運行データの可視化にも対応します。紙やFAX、電話でのやり取りが多く残る企業が候補になります。
料金は月額の個別見積もりで、公式サイトに具体額は掲載されていません。
LYNA自動配車クラウード:配車計画の自動生成とAPI連携が強みの候補
ライナロジクスが提供するLYNA自動配車クラウードは、日々の配車計画を自動で作成し、最適な車両台数と配送ルートを算出します。受発注管理や動態管理、ドライバーの配送完了報告も扱えます。WebAPIで既存システムと連携できる点も特徴です。
基幹システムを維持したまま、配車計画だけを刷新したい企業が候補になります。一方、料金は非公開のため、個別見積もりが必要です。
一番星クラウド配車:料金体系を公式サイトで確認できる候補
システムギアの一番星クラウド配車は、ドラッグ&ドロップ操作や乗務員・運行基準を切り替えられる配車画面が特徴です。実運送体制管理簿にも対応します。
2026年7月時点の公式サイトには、初期費用30,000円からと掲載されています。基本ライセンスは月額12,000円で、追加ライセンスは1つあたり月額4,000円です。ただし、適用条件や最新の価格は、見積もり時に確認してください。
BRIDGES@ny:クラウド型で物流の見える化・最適化を担う候補
ブリッジスエニーのBRIDGES@nyは、クラウド型の配送管理システムとして、物流の見える化・最適化や配車・輸配送管理機能を提供します。
料金は公式サイトに記載がありません。そのため、対応範囲と自社の運賃計算ロジックとの適合度は、個別に確認する必要があります。
自社の課題別に候補を絞る方法
7製品を一度に細かく比べるより、既存TMSで最も課題の大きい領域を先に決め、その領域に強い製品から検討する方が進めやすくなります。
受発注・請求まわりの電子化を優先したい場合
紙やFAX、電話でのやり取りが多く残っていて、まず受発注と請求の電子化を優先したい場合は、次の製品が候補になります。
- ハコベル配車管理:受発注まわりからの刷新。
- 輸配送管理システム(TMS)シリーズ:運賃計算から支払請求までの範囲。
運賃計算や支払請求を一気通貫で扱えるかは、実在する運賃ルールに当てはめて試す必要があります。
配車計画そのものの精度・自動化を優先したい場合
経験や勘に頼った計画立案を見直したい場合は、配車計画を支援する次の製品が候補になります。
- Loogia:配車計画の自動作成。
- LYNA自動配車クラウード:計画の自動生成とAPI連携への対応。
- 一番星クラウド配車:配車計画の作成支援。
自社の道路事情や納品先の制約条件を、どこまで計画に反映できるかは、デモで確かめます。
動態管理や複数拠点の運用基盤を優先したい場合
複数拠点の車両管理や拠点横断の運用基盤が課題なら、次の候補を比べます。
- MOVO:輸配送工程に応じて、複数のサービスを組み合わせられる。
- BRIDGES@ny:物流の見える化・最適化。
会計システムやWMSとの連携範囲、拠点ごとの権限管理の柔軟性を、あわせて確かめます。
料金・契約前の確認事項
公式サイトに具体的な料金を掲載しているのは、紹介した7製品のうち一番星クラウド配車だけです。ほかの製品は、個別見積もりが基本です。公開されている金額だけで比べると、車両台数や連携範囲が増えたときに想定外の費用が生じることがあります。
課金の対象と単位
製品間の費用を公平に比べるため、見積もりの際に各社へ伝える条件をそろえておきます。また、料金を公開していない製品については、確認できていない具体額を比較表に載せないでください。
- 課金単位:製品ごとに異なり、車両台数やライセンス数、拠点数、配車件数などが対象になります。
- 料金方式:基本・追加ライセンス型のほか、個別見積もりが基本の製品もあります。
- 見積もり条件:現在と1年後・3年後の規模を伝え、初期費用や最低利用期間、移行支援、API費用を同じ条件で比べます。
契約書で見るデータ保持・法改正対応・解約条件
クラウド型TMSでは、運賃マスタや輸送実績データ、傭車先の取引情報を扱います。そのため、預け先の管理と契約上の取り決めを、導入前に確かめる必要があります。
- 情報管理:権限管理、操作ログ、データ保管場所の扱い。
- 契約条件:法改正への対応方針と、解約時に受け取れるデータ形式。
老朽化した既存TMSからの移行では、旧システムのベンダーから受け取れるデータの範囲と形式を、新システムのベンダーとも突き合わせて確かめます。
デモ・PoCで最終候補を絞る進め方

資料で比べて2〜3製品に絞ったら、実際の運賃計算ルールとデータを使って、デモまたはPoCを行います。配車担当者や経理、情報システムに加えて、可能であれば傭車先の担当者も参加すると、導入後の行き違いを減らせます。
1案件を最初から最後まで通す検証
実在に近い1案件を使い、受注から配車計画、実績記録、運賃計算までを、基幹システム連携と合わせて試します。
- 並行稼働やシミュレーション中に、新旧の配車計画と運賃計算の結果が完全に一致するかを確認します。
- 模擬環境で本番当日と同じ手順を踏み、実データの移行、現場操作、システム間連携までを、トラブルなく完遂できるかを見ます。
この2点を合格基準にすると、デモでは見えにくい運用負荷も見極められます。
導入効果の実測と稟議への活用
PoCの前に、法改正対応の保守費用、障害時の停止時間、配車計画にかける時間を記録しておき、実施後の数値と比べます。そのうえで、公開事例の削減効果は参考にとどめ、自社の件数や人件費から削減見込みを算出します。
TMS製品を比較するときに確認しておきたいポイント

製品一覧から選ぶ際は、機能や価格に加えて、老朽化したTMSからの移行に関わる条件も見ておきます。
比較条件としての傭車先・取引先との連携テスト
自社の要件に加えて、EDIやデータ形式で連携する傭車先・取引先とのテストを、どこまで実施してもらえるかを確かめます。
- 実データ検証:傭車先・取引先のEDIや実フォーマットを使った検証の可否。
- 障害対応:切替時の連携不具合に対応する窓口。
- サポート時間:休日を含む支援体制の有無。
「連携できます」との説明を受けたら、実在する取引先の形式で検証を依頼します。
料金非公開の製品での前提条件をそろえた見積もり
車両台数や拠点数、連携範囲を各社に同じ条件で示し、費用を比べます。初期費用と月額費用に加えて、データ移行支援や法改正対応の追加費用も、見積もりで確かめます。
サービスの継続性と更新頻度
公式サイトの更新頻度やニュース、導入事例は、サービスが現在も積極的に開発・提供されているかを見極める手がかりです。契約前には、法改正対応やアップデートを継続できる体制があるかを確かめます。
提供元企業の事業継続性や、サービス終了時の移行支援方針も、あわせて見ておくと安心です。
まとめ
既存TMSの課題に応じて、得意領域と料金体系が異なる7製品から候補を絞ります。そのため、まずは配車受発注、計画自動化、動態管理など、刷新したい業務を決めておくことが大切です。
課題診断から2〜3製品への絞り込み
受発注・請求、配車計画、動態管理・複数拠点運用のなかから、最も切迫している課題を決めます。
データ移行、外部連携、料金体系を同じ質問で比べれば、機能一覧の印象に左右されず、候補を絞り込めます。
実データを使ったPoCによる最終確認
見るべきは、自社の運賃計算ルールと傭車先連携を一気通貫で処理できるかです。資料上の機能数よりも、この点が判断の決め手になります。
- 構成の検討:独自ロジックや基幹連携、複雑なEDIを扱えない場合は、個別開発やハイブリッド構成も候補になります。
- 構築支援:riplaは、フルスクラッチ開発の立場から、不足機能の整理や既存システム連携を含む構築を支援します。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
