TMSリプレイスの候補製品は、パッケージ型とクラウド型の違い、製品を比べるための共通の軸、主要な4製品の特徴に分けて見ると選びやすくなります。
課題別の絞り込み方や、料金・契約で確認すべき点もあわせて扱います。TMSリプレイス全体の流れは、下のリンク先にある完全ガイドにまとめています。
▼全体ガイドの記事
・TMSリプレイスの完全ガイド
レガシーシステム刷新の種類・工程・費用・会社選定までの全体像については、無料ホワイトペーパー「レガシーシステム刷新の完全ガイドブック」で詳しく解説しています。
パッケージ型とクラウド型TMSの違い
パッケージ型は、自社サーバーへの導入や個別構築を含めて広い意味で使われる言葉です。
クラウド型は、ベンダーが運用するサービスをインターネット経由で利用する方式を指します。
現在、具体的な製品として比較しやすいTMSはクラウド型が中心です。
本記事も、公式ページで現行の提供を確認できたクラウド型サービスを対象にしています。
パッケージ型の自社運用と個別要件への対応力
従来型のTMSパッケージは、ソフトウェアを買い切って自社サーバーやオンプレミス環境に導入する形態を指すのが一般的です。
- 対応しやすい領域:自社固有の配車ロジック、閉域網、複雑な基幹連携に対応しやすい可能性
- 自社側に残る運用:サーバーの監視、バックアップ、法改正対応を担う範囲が大きくなる
- バージョンアップ:自社での実施が必要
パッケージ型では、導入時の自由度だけでなく、改修を続けられる体制と費用まで確認する必要があります。
クラウド型の短期導入と法改正への追随
クラウド型は、サーバーを調達しなくても利用を始めやすい方式です。
- 法改正への対応:改正改善基準告示のような労働時間管理のルール変更を、ベンダーの更新で受けやすい
- ワークフローへの落とし込み:契約している輸送形態や例外処理を業務フローに組み込む(組み込まなければ、配車業務は自動的には最適化されません)
- 権限・アカウント管理:複数の拠点や協力会社をまたいで利用する場合に、事前に整理しておけば稼働後の混乱を防げる
製品を比較するときの共通軸

自社の輸送形態に合うかを見極めるには、製品紹介ページの機能一覧に加えて、候補を同じ条件で比べる必要があります。そこで、対応業務の範囲と連携のしやすさを、どの製品にも同じ形で問える質問に置き換えます。現場での使いやすさや料金体系も、同じ要領で確認します。
また、営業担当者の説明は鵜呑みにせず、デモや資料で確認できたことと、契約後にしか分からないことを分けて記録します。こうした記録を残しておくと、比較検討の後半で判断がぶれにくくなります。
動態管理・配車計画・連携範囲の比較条件
まず、車両動態の可視化と配車計画の自動作成について、どこまでが標準機能で、どこからが追加開発になるかを確認します。
実績集計や他システム連携も、同じ見方で確かめます。
「動態管理に対応」と書かれていても、位置情報を数秒間隔で取得する製品と、日次のログとして確認する製品では、現場での使い方が大きく異なります。そのため、自社で扱う車両台数や輸送形態に近い案件を実際に通して確かめると、判断の材料がそろいます。
乗務員側の操作性とサポート体制の確認
発注企業側の管理画面が見やすくても、乗務員がスマートフォンでアルコールチェックや日報入力をしにくければ、問い合わせが増えて現場に定着しません。
車載デバイスの取り付け方法、休日を問わない障害対応窓口、データのエクスポート形式も、あわせて比べます。詳しい評価軸の考え方は、TMSリプレイスの選定ポイント・選び方・種類で解説しています。
TMSリプレイスの主要クラウド製品4選
2026年7月時点で、現行の公式ページと提供状況を確認できた4製品を紹介します。掲載順は、優劣を示すランキングではありません。
製品ごとに得意な業務や料金体系が違うため、自社の課題と輸送形態をそろえて比べることが欠かせません。
Cariot(キャリオット)
Cariotは、運転日報とアルコールチェックの管理を効率化するクラウド型TMSの候補です。
- 運転日報:自動作成・収集・集計
- アルコールチェック:スマートフォンでの実施
- 車両・ドライバー情報:デジタルでの一元管理
- Copilot機能:日本語の指示に応じたAIによる結果の表示
既存TMSの操作が複雑で、現場が使いこなせていない企業は、シンプルな操作性も比較の観点に加えるとよいでしょう。
2026年7月時点の公式サイトには、導入費用0円、契約台数とアカウントに応じた月額費用、最低5台からの契約という条件が掲載されています。具体的な単価は非公開のため、見積もり時に確かめる必要があります。
SmartDrive Fleet
SmartDrive Fleetは、東証グロース市場に上場する株式会社スマートドライブが提供する候補です。
- 走行データの自動収集:シガーソケット装着デバイスやドライブレコーダーでの取得
- 運転診断:収集した走行データをもとに行います
- 運転日報・月報:自動生成
- 車両予約・運行工程管理:ジオフェンス機能も備えています
複数拠点の車両運用データを一元管理し、事故防止や燃費改善にもつなげたい企業に合う製品です。
料金は、2026年7月時点で公式サイトに具体的な金額が公開されていません。見積もりは問い合わせフォームからの対応となるため、その点を押さえておく必要があります。
MOVO Fleet
MOVO Fleetは、株式会社Hacobuが提供する動態管理サービスです。
- リアルタイム位置取得:5秒間隔での取得
- 到着・停車の自動検知:走行ルートやCO2排出量の分析もできます
- 複数社車両の一元管理:元請・下請を含めた管理
- 改善基準告示アラート:告示に即さない運行の通知
複数の協力会社の車両を横断して管理したい企業や、荷主への配送状況の共有まで見据える企業に適した候補です。
2026年7月時点の公式サイトには、月額1,980円/台からの料金が掲載されています。ただし、デバイス構成やオプション、初期設定費用によって金額は変わるため、自社の車両台数を示して見積もりを確認してください。
Loogia
Loogiaは、OPTIMIND Inc.が提供する候補で、次の3プロダクトで構成されています。
- 自動配車計画作成
- 動態管理
- 物流網最適化シミュレーション
膨大な走行実績データをもとに、配送ルートを自動で組み立てる機能が強みです。配車担当者が経験と勘に頼って計画を作成している企業や、拠点網全体の最適化まで見据える企業に向いています。
公式サイトには具体的な料金の公開がなく、資料請求か問い合わせによる個別見積もりが必要です。なお、日本郵便や敷島製パンなど複数の導入事例が公開されているため、比較検討の参考になります。
自社の課題別に候補を絞る方法
4製品を一斉に細部まで比べるより、最も大きな課題を一つ決め、必須要件で候補を減らすほうが効率的です。とくに、動態の可視化、配車計画の自動化、複数社車両の一元管理では、適した製品タイプが異なります。
複数の課題を同時に抱えている場合は、自社の損失やリスクが最も大きい業務から着手します。そのうえで、対象範囲を段階的に広げていきます。
車両動態の可視化と現場の日報業務を優先したい場合
運転日報の作成やアルコールチェックの管理に手間がかかっている場合は、CariotやSmartDrive Fleetを候補にします。また、乗務員側のスマートフォン操作は、実際のデモで確認します。
複数の協力会社の車両を横断して把握したい場合や、荷主への状況共有まで含めたい場合は、MOVO Fleetを候補に加えます。あわせて、改善基準告示への追随状況も確認します。
配車計画の自動化と拠点網最適化を優先したい場合
配車担当者の経験と勘に頼った計画作成から脱却したい場合は、Loogiaのような自動配車計画に強い製品を優先候補にします。
既存TMSが動態管理中心で配車計画の自動化機能を持たない場合、周辺機能をAPI連携でつなぐハイブリッド構成も選択肢になります。
自社の判断基準を整理する方法は、TMSリプレイスの選定ポイント・選び方・種類で解説していますので、あわせてご確認ください。
料金と契約条件の確認項目

公開価格だけで安価な製品を選ぶと、車両台数の増加や連携追加、サポートで想定外の費用が生じることがあります。そのため、料金表に載る月額費用だけでなく、初期設定や車載デバイス、教育を含む総保有コストで判断します。将来の解約やデータ移行も、同じ総保有コストの中で見ておきます。
課金単位の確認
クラウド型TMSの料金は、車両台数課金、ID課金、デバイスのレンタルか買い取りかなど、課金単位が製品によって異なります。
現在の車両台数に加えて、1年後・3年後の想定台数も各社に伝えます。同じ台数でも、どの費用まで含まれるかで総額は変わるため、見積もりでは費用の内訳をそろえて比べます。
- 初期費用:契約時にかかる費用
- 最低契約台数:契約に必要な最小の台数
- 車載デバイスの費用:デバイスの購入またはレンタルにかかる費用
- 外部サービスの利用料:地図APIなど外部連携にかかる費用
料金が非公開または要問い合わせの製品は珍しくないため、確認できていない具体額を推測で比較表に入れないようにします。
データ返却・法対応・解約条件の契約書確認
クラウドサービスでは、車両位置情報や走行データ、乗務員の労働時間に関する情報を扱います。そのため、契約書では次の点を押さえておきます。
- 権限管理
- データの保存期間
- 障害時の復旧体制
- 解約時のデータ受け取り形式
改善基準告示のような法対応は、ベンダーがどう更新するかと、自社の運用ルールにどう落とし込むかを分けて整理する必要があります。
乗り換え前の既存TMSやスプレッドシートに残る過去の実績データは、どこまで引き継げるかも確かめます。契約前に項目単位で確認しておけば、稼働直後の集計作業が滞りにくくなります。
デモとPoCによる製品の最終候補への絞り込み

資料比較で2〜3製品まで絞ったら、実際の車両と輸送形態を使ってデモまたはPoCを行います。情報システム部門だけでなく、配車担当者や乗務員にも加わってもらうと、導入後の行き違いを減らせます。
一部車両でのパイロット運用
全車両を一度に切り替えず、数台から数十台の一部車両でパイロット運用します。その際は、車載デバイスの取り付けから日報の自動集計、月末の実績確認までを一通り試します。
正常な運用だけでなく、通信が不安定なエリアでの位置情報の取得状況や、乗務員からの問い合わせ内容も記録します。その記録は、全社展開の前に運用マニュアルに反映します。
パイロット期間中は、既存TMSと新システムを並行稼働させます。そのうえで、両者の実績データにずれがないかを月次の締め処理で突き合わせておくと、本格移行後のトラブルを未然に防げます。
導入前後の実測値による投資判断
パイロット運用の前に、配車計画の作成時間、日報集計にかかる時間、車両の稼働状況の把握にかかる手間を記録し、導入後と比較します。
削減見込みは、自社の車両台数と人件費から算出します。公開されている導入事例の効果は、その数字の参考に留めます。
クラウド型でもアカウント管理や車載デバイスの保守、乗務員からの問い合わせ対応は自社に残るため、その運用工数も差し引いて判断します。
TMSリプレイス製品比較で押さえておきたいポイント
製品一覧から候補を選ぶ際は、おすすめ順位や知名度だけでなく、自社の輸送形態と利用規模を同じ条件で比べる必要があります。選定時に判断が分かれやすい点を、順に取り上げます。
オンプレミスが必須の場合の個別開発との比較
具体的な機能や料金を確認しやすいTMSは、現在クラウド型が中心です。一方で、自社ネットワーク内での運用が必須など、オンプレミスでの構築が求められる場合は、業務要件の整理から始めます。
個別開発と、クラウドサービスと基幹システムを組み合わせるハイブリッド構成も、比較の対象に入れます。
最優先課題によって変わるおすすめ製品
日報業務の効率化、複数社車両の一元管理、配車計画の自動化など、最優先課題によって合う製品が変わるため、全企業に共通する1位は決められません。まず、必須要件で2〜3製品に絞り、同じ車両と輸送形態でのデモかPoCで比べてください。
料金が非公開の製品の見積もり条件のそろえ方
紹介した4製品のうち、具体的な月額料金を公式サイトで確認できたのはMOVO Fleetだけです。ほかの製品は、個別見積もりが必要です。
各社に同じ車両台数、利用機能、契約期間を示して見積もりを依頼します。3年程度の総保有コストで比べると、公開情報の有無に左右されず判断できます。
見積もりを依頼する際に、自社の課題や現行TMSの不満点を具体的に伝えておくと、営業担当者の提案も比べやすくなります。
まとめ
TMSリプレイスの製品比較では、オンプレミスの具体的な製品を無理に探すより、継続的に更新されるクラウド型を比べるほうが現実的です。自社の課題と輸送形態に合わせて、比べる製品を選びます。
今回紹介したCariot、SmartDrive Fleet、MOVO Fleet、Loogiaには、それぞれ異なる強みがあります。日報やアルコールチェック中心、複数社車両の一元管理、配車計画の自動化など、得意領域が分かれています。
判断の軸は、資料上の機能数より、自社の配車業務を一気通貫で処理できるかです。乗務員を含む関係者で例外処理まで試し、削減時間と残る運用工数を測ったうえで決めます。
既製クラウド製品で独自の配車アルゴリズムや基幹システム連携を吸収しきれない場合は、個別開発やハイブリッド構成も検討対象になります。
riplaは、フルスクラッチ開発の立場から、TMSリプレイスの製品比較で明らかになった不足機能の整理や、自社業務に合わせたシステム構築を支援しています。
▼全体ガイドの記事
・TMSリプレイスの完全ガイド
▼開発を相談する前に読みたい無料ホワイトペーパー
・レガシーシステム刷新の完全ガイドブック
・【2026年最新版】AI駆動開発の完全ガイドブック
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>


株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
