老朽化したWMSの刷新では、パッケージ型かクラウド型かを決めたうえで、端末、移行、連携の条件に合う製品を選ぶ流れになります。
一覧で取り上げるのは主要6製品で、課題に合わせて比べる必要があります。
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パッケージ型とクラウド型WMSの違い

老朽化したWMSの刷新では、まず、パッケージ型とクラウド型のどちらへ移行するかを決める必要があります。その選択によって、ロケーションマスタや現場端末をどこまで引き継ぐかも変わります。
パッケージ型の現場端末との互換性検証と自社側の役割
オンプレミスのパッケージ型は、自社サーバーへ導入する形態です。既存のハンディターミナルやマテハン機器との個別連携を作り込みやすいのが特徴です。
閉域網や自社固有のセキュリティ基準に対応しやすい一方で、サーバーの監視やバックアップ、バージョンアップを自社で担う範囲が広くなります。
旧WMSがWindows CE専用端末で稼働している場合は、新パッケージが対応する端末との互換性検証を、自社の情報システム部門が主導することになります。そのため、ベンダーの支援範囲を事前に確認しておきます。
クラウド型の短期導入と機能更新への追随
クラウド型を選ぶ場合は、導入のしやすさ、端末の更新、データ移行の支援範囲を、製品ごとに確かめます。
- 導入・更新:サーバーを調達せずに使い始められ、機能更新やセキュリティ対応も継続して受けられます。
- 端末:多くの製品はスマートフォンやAndroid端末を前提としています。Windows CE専用端末を使う現場では、端末の更新計画と合わせて検討します。
- データ移行:ロケーションマスタや在庫データを自動で変換できる範囲は製品ごとに異なるため、移行支援の実績を見ておく必要があります。
製品比較で揃える共通の観点

自社のブラウンフィールドな刷新条件に合うかを判断するには、機能の一覧に加えて、移行や端末、連携の条件を並べて見る必要があります。
そこで、候補を同じ条件で比べるため、まずデータ移行支援力と端末対応を確かめます。マテハン連携と外部システム連携についても、同じ条件で見ていきます。
ロケーションマスタの移行対応範囲の比較
移行対応では、旧システムのテキスト形式の棚番を新システムの階層コードへ変換する機能を標準で備えているかを確かめます。あわせて、CSVを取り込む際にどこまで自動でマッピングできるかも見ておきます。
「データ移行に対応」と書かれていても、中身は製品によって違います。ベンダーが移行作業を代行する方式と、自社担当者がツールで変換する方式では、必要な社内工数が大きく異なるためです。
廃番商品や休止ロケーションを除外する基準を設定できるかも、実際の案件に即して確かめます。
端末対応と外部システム連携の確認
端末や連携の要件は、初期費用と現場教育の両方に影響します。そのため、製品ごとの対応範囲を一つずつ確認しておきます。
- 端末:標準のAndroidに対応しているか、専用機が要るかどうか。
- 外部連携:基幹システムやECとのAPI・CSVへの対応。
- 倉庫機能:ロット・シリアル管理とマテハン連携への対応状況。
確認した各機能は、老朽化したWMSが抱えていた課題と照らし合わせて判断します。
評価手順の詳細は、WMSのモダナイゼーションの選定ポイント・選び方・種類にまとめています。
WMSのモダナイゼーションで検討したい主要製品6選
紹介する6製品は、2026年7月時点で現行の公式ページと対象業務を確認できたものです。掲載順はランキングではありません。なお、製品ごとに得意業務や料金体系が異なるため、自社の老朽化状況と刷新条件をそろえて比べます。
比較サイトの情報だけで確認できる製品や、公式ページで現行の稼働を確認できない製品は、水増しを避けるため掲載していません。
ロジザードZERO(ロジザード株式会社)
ロジザードZEROは、シェアが高いとされるクラウドWMSです。ハンディ端末への対応やロケーション管理に加え、物流ロボットとのマテハン連携を備えています。
公式サイトには旧システムからの「リプレイス」事例があるため、老朽化したオンプレミスWMSから乗り換える実績を重視する企業の候補になります。
料金については、公式サイトに具体的な金額が載っていません。そのため、料金プランページか問い合わせで確認が必要です。
クラウドトーマス(株式会社関通)
クラウドトーマスは、東証グロース上場の物流会社「関通」が、自社現場の運用実績をもとに開発したクラウド型WMSです。
比較の際は、現場端末、通信方法、複数倉庫や既存システムとの連携範囲が、自社の条件に合うかを見ます。
- 端末:スマートフォンとリングスキャナ、またはハンディターミナルから選べます。
- 通信:Wi-Fi工事が不要なSIMカード運用に対応します。
- クラウドトーマスPro:複数倉庫を扱えるほか、既存システムとのAPI・CSV連携によるリプレースにも対応します。
料金の具体的な金額は公式サイトに載っていないため、無料の導入相談で確認する形になります。
ロジクラ(株式会社ロジクラ)
入出庫や棚卸の対象規模によって必要な機能や契約形態が変わるため、自社の規模に照らして比べます。
- 製品:スマートフォンで入出庫や棚卸を管理するクラウドWMSです。
- 利用規模:小規模から段階的に拡張したい企業の候補になります。
- Lite:2026年7月時点で、年契約は月額12,800円、月契約は月額14,800円です。
- Premium:同時点で、年契約は月額40,000円、月契約は月額49,000円です。ロケーション管理と複数拠点対応が加わります。
- Enterprise:個別カスタマイズで対応します。
最新の料金と出荷件数の条件は、契約前に公式サイトで確かめてください。
WelThings(株式会社ウェルコムデザイン)
WelThingsはPCとSQL Serverで稼働するオンプレミス型ソフトです。そのため、クラウド契約や通信環境に依存せず運用したい企業の候補になります。
- バーコード・QRコード:標準機能として対応します。
- 端末・ロケーション:ハンディ端末との連携や、保管場所の管理に対応します。
- 個体管理:ロット・シリアル管理に対応します。
2026年7月時点の公式サイトでは、買切り版は初期費用が7万〜7.7万円、1ライセンスは2.5万〜2.75万円です。サブスクリプション版は同じ初期費用に加え、1ライセンス月額1,000〜1,100円または年額5,000〜5,500円です。また、30日間の無償トライアルにも対応しています。
在庫スイートクラウド(株式会社インフュージョン)
在庫スイートクラウドは、棚卸、Lite、Proの3プランから選べるクラウド型です。棚卸プランはラベル発行と棚卸に特化しています。一方、Proは入荷・出荷指示の取込、ピッキング指示、外部連携に対応します。
在庫スイートクラウドは、全プランでハンディ端末とスマートフォンに対応するマルチデバイスオプションを利用できます。
2026年7月時点の公式サイトでは、棚卸は月額2.9万円で、10ユーザーまでの初期費用は15万円です。さらに、Liteは月額3.5万円、Proは月額4.0万円で、両プランの初期費用は30万円です。
アラジンオフィス/アラジンクラウド(株式会社アイル)
アラジンオフィスは、東証プライム上場の株式会社アイルが提供する販売・在庫管理システムです。5,000社以上の導入実績があります。
オンプレミス型の「アラジンオフィス」と、クラウド型の「アラジンクラウド」があります。さらに、ロジザードZEROなどの外部WMSやRFIDシステム、キーエンス製ハンディターミナルとの連携も確かめられます。
販売・在庫管理と現場WMSを一体で刷新したい企業や、業種横断の移行実績139件を重視する企業の候補です。料金は公式サイトに具体額がないため、個別見積もりで確認する形になります。
自社の老朽化状況別に候補を絞る方法
6製品を一度に細部まで比べるより、まず深刻な老朽化の症状を一つ決め、必須要件で候補を減らすほうが効率的です。
端末の陳腐化、独自ロジックのブラックボックス化、基幹連携の欠如では、適する製品タイプが異なります。ただし、症状が複数重なる場合もあります。
発注側は、現場のピッキング担当者と情報システム部門の双方から困りごとを聞き、優先順位をつけて候補を絞ります。
端末の陳腐化とマテハン連携を解消したい場合
Windows CE専用端末のサポート終了が迫り、マテハン連携も強化したい場合があります。そのときは、Android端末を前提とするロジザードZEROやクラウドトーマスなどを優先して比べます。
そのうえで、物流ロボットとの連携実績と既存システムからのリプレース事例を重視して候補を絞ります。
小規模拠点や基幹連携を重視する場合
小規模拠点で段階的に機能を広げたい場合は、プラン別に機能が分かれているロジクラや在庫スイートクラウドが候補になります。
閉域網でのオンプレミス運用が必須であれば、WelThingsを検討します。また、販売管理や基幹システムとWMSを一体で刷新する場合は、アラジンオフィスも候補になります。
料金と契約前の確認事項
公開されている価格だけで安価な製品を選ぶと、データ移行支援や端末の入替え、拠点数の増加などで、想定外の費用が生じる場合があります。
そのため、月額費用だけで比べず、移行支援や端末調達、教育まで含めた総保有コストで判断します。解約時のデータ出力も、同じ基準で確認します。
データ移行支援とスポット費用の有無
クラウド製品では、拠点数、ユーザー数、出荷件数など、課金の単位が製品ごとに異なる場合があります。
見積もりの依頼時には、現在の件数だけでなく、1年後と3年後の想定件数も伝えます。また、初期費用や最低利用期間、従量課金の境界も、同じ条件で比べます。
旧システムからの移行支援が料金に含まれるのか、別途スポット費用が発生するのかも確かめます。公開されていない価格を推測して、比較表に記入してはいけません。
解約時のデータ返却条件と契約書での確認
クラウドサービスではロケーションマスタや在庫データ、稼働履歴を扱います。そのため、権限管理と操作ログ、通信と保存時の保護を確かめます。加えて、障害時の復旧とデータ保管場所も、契約書で見ておきます。
将来、別の製品へ乗り換える際には、どの形式でデータを受け取れるかも確認します。旧WMSから引き継いだデータの品質検証も必要です。
新システムに合わせて自社で決める運用ルールと、製品側の対応機能は、分けて整理しておきます。
デモとPoCによる製品一覧の最終候補への絞り込み

資料で比べて2〜3製品まで絞ったら、実際のロケーションマスタや在庫データを使って、デモまたはPoCを行います。
その際は、担当者に加えて、現場のピッキング担当者や情報システム部門にも参加してもらうと、導入後の行き違いを減らせます。可能であれば、旧ベンダーの担当者にも加わってもらうとよいでしょう。
実データによるマッピング変換と端末操作の確認
旧システムのテキスト形式の棚番を取り込み、新システムの階層コードへどの程度自動で変換できるかを見ます。
また、現場スタッフに候補端末を操作してもらい、ピッキングや棚卸の操作感と通知の分かりやすさを確認します。管理画面が使いやすくても、現場端末の操作性が低ければ、導入後に定着しにくくなります。
導入効果の実測と稟議への活用
PoCの前に、ピッキング1件あたりの作業時間、検索遅延の頻度、手作業によるCSV加工時間を記録しておき、PoC後と比べます。
他社事例の効果は、そのまま当てはめず、自社の件数と人件費から削減見込みを算出します。クラウド型であっても、アカウント管理や問い合わせ対応の工数は残ります。そのため、この工数を差し引いて投資効果を判断します。
WMSのモダナイゼーション製品比較で押さえておきたいポイント
製品一覧から候補を選ぶ際は、機能数やおすすめ順位だけで判断せず、自社の老朽化状況と現場の運用実態を同じ条件で比べます。
選定の際に判断が分かれやすいのは、オンプレミス継続の要否、おすすめ製品の見方、料金の比べ方です。
オンプレミス継続が必須な場合の選択肢
閉域網や自社セキュリティ基準の都合でクラウド移行が難しい場合、WelThingsのようなオンプレミス型パッケージが候補になります。
それでも自社の要件を満たせない場合は、個別開発やハイブリッド構成も比較対象に加えます。
老朽化の症状によるおすすめ製品の違い
全企業に共通する1位はありません。そのため、端末の陳腐化、基幹連携の欠如、拠点規模など、自社の最優先課題に合う製品を選びます。必須要件で2〜3製品に絞り、実データを使ったデモまたはPoCで比較します。
移行費用を含む総保有コストでの料金比較
比較の前に、拠点数、ユーザー数、出荷件数を各社へ同じ条件で提示しておきます。連携条件も揃えて伝え、移行支援費用や端末調達費用も含む総保有コストで比べます。
初期費用と月額費用だけで安いと判断すると、移行時に想定外の追加費用が生じる場合があります。
まとめ
WMS刷新の製品には、クラウド型、オンプレミス型パッケージ、基幹販売管理とWMSを一体で提供する製品などがあります。
紹介した6製品も、端末対応や移行支援の範囲がそれぞれ異なります。マテハン連携や料金体系にも差があるため、同じ質問で比べる必要があります。
老朽化症状の診断から2〜3製品への絞り込み
まず、端末の陳腐化や独自ロジックのブラックボックス化、基幹連携の欠如などから、最優先の課題を決めます。
移行支援と端末対応は、どの製品にも同じ質問をして比べます。マテハン連携と料金体系まで含めて比べれば、広告的な順位に左右されず候補を絞れます。
実データによる最後のPoC確認
PoCでは、資料上の機能数より、実際の動きを優先して確かめます。
- 実データの変換:自社のロケーションマスタや在庫データを取り込み、精度を確かめます。
- 操作担当者:現場スタッフに候補端末を実際に触ってもらいます。
- 現場作業:ピッキングや棚卸の操作感と、通知の分かりやすさ。
- 製品で吸収できない要件:複雑なマテハン連携や特殊な業務ロジックを製品では扱いきれない場合は、フルスクラッチ開発やハイブリッド構成も検討します。
riplaはフルスクラッチ開発の立場から、製品比較で見えてきた移行課題の整理を支援しています。また、既存の基幹システムやマテハン機器との連携を含むシステム構築にも対応しています。
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株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
