アジャイル開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方

アジャイル開発に強い6社を、専門フレームワークへの習熟度、顧客との密なコミュニケーション、変化への対応力の3点から比べます。

アジャイル開発はウォーターフォール型と進め方が異なるため、開発会社を誤って選ぶと、仕様変更のたびに追加費用が生じたり、スプリントが形骸化したりして、本来の恩恵を受けられなくなります。

アジャイル開発パートナー選びの重要性

アジャイル開発の成否は、開発会社の選定に大きく左右されます。適切なパートナーを選べば、プロダクトの品質を高めながら、リリース速度を最大限に引き上げられます。一方で、アジャイルの経験が浅い会社に依頼すると、スクラムセレモニーが形だけで行われ、アジャイルの恩恵を実際には受けられないケースも少なくありません。

ここでは、パートナー選定がなぜ成否を分けるのかと、発注前に何を確認すべきかを見ていきます。

適切なパートナー選定が成否を分ける理由

アジャイル開発は、2〜4週間のスプリントを繰り返しながら機能を段階的にリリースしていく手法です。その性質上、開発会社と発注企業のコミュニケーション頻度は、従来のウォーターフォール型よりも格段に高くなります。スプリントレビューやバックログリファインメントなどの定例セレモニーを通じて双方が密に連携しなければ、開発の方向性がずれてしまうリスクがあります。

経済産業省の調査によれば、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進においてアジャイル開発を採用する企業は年々増加しています。2023年には日本企業の約40%が、アジャイル手法を部分的または全面的に採用していると報告されています。こうした背景から、アジャイル開発の実績と経験を持つパートナーを選ぶことは、プロジェクト成功の絶対条件になっています。

アジャイル開発の発注前に最低限確認しておきたいのは、この3点です。

  • フレームワークへの習熟度:スクラムやカンバンなどのアジャイルフレームワークを、どこまで使いこなしているか
  • 過去の開発実績の具体性:過去案件の内容を、どの程度具体的に示せるか
  • 契約形態の柔軟性:開発の進め方に合わせて、契約の形を選べるか

「アジャイルで開発します」とうたっていても、実際には固定要件の仕様書ベースで進めているケースもあります。また、アジャイル開発では準委任契約が適していることが多いため、時間・材料契約(ラボ型契約)や月額固定の開発サービスを提供しているかどうかも確認が必要です。これらの点を事前にヒアリングすることで、パートナー選定の精度が大幅に向上します。

加えて、アジャイル開発では、プロダクトオーナーやスクラムマスターの役割分担を明確にしておく必要があります。これらの役割に精通した人材を抱える開発会社かどうかを事前に確認することが、長期にわたるプロジェクト成功の鍵となります。

認定スクラムマスター(CSM)や認定プロダクトオーナー(CSPO)などの資格保有者が在籍しているかどうかは、実践的なアジャイル開発力を測る一つの指標になります。

[既存ポイントボックス] 株式会社riplaでは、ここで挙げた確認事項への対応内容と実績を簡潔に整理しています。

発注前に確認すべきポイント

発注前に確認すべきポイントは、この2点にまとまります。

  • 要点1:CSMやCSPOなど資格保有者の在籍を、実践的な開発力の目安にする
  • 要点2:過去案件が固定要件の仕様書ベースではないかを、進め方から見極める

ポイント

パートナー選びはアジャイル開発の成否を左右します。経験の浅い会社では形だけのスクラムになりやすいため、習熟度、過去案件の進め方、契約形態を発注前に確かめておくと判断の材料になります。

株式会社ripla|コンサルから開発まで一気通貫で支援

riplaは、コンサルティングから開発まで一気通貫で支援できる企業です。IT事業会社として社内DXを推進してきた経験を活かし、ビジネスへの成果創出とシステムの定着支援に強みがあります。

営業・顧客・生産・販売管理など、幅広い基幹システムの構築・導入実績があり、企業の業務要件に合わせて柔軟に対応できる体制を整えています。

特徴と強み

riplaの最大の強みは、コンサルティングと開発を分断させることなく一体として提供できる点にあります。多くの開発会社は「要件をもらって開発する」という受け身の進め方をとりますが、riplaはビジネス課題の整理から入り、「何を作るべきか」の段階から伴走します。

この上流工程への関与によって、アジャイル開発で本来あるべき「価値ある機能を優先してリリースする」ためのプロダクトバックログの優先順位付けを、事業目標に沿って適切に行えます。また、IT事業会社として自社でDXを実践してきた経験があるため、発注側の立場に立った実用的な提案が得意です。

システムを導入して終わりにせず、現場への定着支援まで踏み込む体制は、アジャイル開発で重視される「継続的な改善」の文化と非常に相性が良いです。riplaの得意分野は、主に3つに分けられます。

  • 基幹システムの構築・導入:営業管理、顧客管理、生産管理、販売管理などの業務フローに合わせ、スプリントで段階的に機能を実装する
  • 現場への定着支援:市販パッケージを導入するだけでは定着しにくいため、現場の声を取り込みながらシステムを育てる
  • コンサルティング的な支援:DX推進における内製化支援や、既存の業務フローを洗い出して改善を提案する

開発だけに偏らず、プロジェクト全体の成果にコミットする姿勢は、アジャイル開発の本質と合っています。

[既存ポイントボックス] 社内DXを推進してきた経験を生かし、ビジネスへの成果創出とシステムの定着支援に強みがあります。

得意領域・実績

riplaの得意領域と実績は、この2点にまとまります。

  • 要点1:上流工程から開発・定着まで、同じ会社が一貫して関わる
  • 要点2:IT事業会社としての社内DXの経験を、発注側の視点での提案に生かす

株式会社永和システムマネジメント|国内アジャイル開発のパイオニア

株式会社永和システムマネジメント(ESM)は、1980年創業の老舗SIerでありながら、国内でいち早くアジャイル開発に取り組んできた先駆的な企業です。

「Agile Studio」というアジャイル専門ブランドを展開し、受託開発に加えて、アジャイルコンサルティングやコーチングサービスも提供しています。

Rubyコミュニティへの貢献でも知られており、Rubyを活用したアジャイル受託開発に10年以上の実績を持ちます。

特徴と強み

永和システムマネジメントの強みは、アジャイル開発に対する深い思想的・実践的なバックグラウンドにあります。同社は、アジャイルソフトウェア開発宣言に代表されるアジャイルの原点に忠実な開発文化を持っています。手法の導入にとどめず、チーム全体の価値観や働き方の変革までを視野に入れたアプローチをとっています。

アジャイル事業部には「Ruby × Agile グループ」と「アジャイルコンサルティンググループ」の2つのグループがあり、開発とコーチングの両軸で顧客を支援できる体制が整っています。

  • Ruby × Agile グループ:Rubyを使ったアジャイル受託開発を担う
  • アジャイルコンサルティンググループ:アジャイルの導入とコーチングを担う

同社はコミュニケーション力と共感力を重視しており、顧客が本当に必要としているものを引き出すため、要件が不明確な状態から一緒に整理していくスタイルをとっています。そのため、新規事業開発や不確実性の高いプロジェクトに適しています。

永和システムマネジメントの実績は、この2つの領域に多く見られます。

  • BtoB・BtoCのサービス開発:介護系求人などの人材紹介サービスや、リフォーム会社と顧客をつなぐマッチングサービス
  • 市場環境が変わりやすい領域:クリエーターと顧客を結びつける動画編集サービスなど、ビジネスモデルの変化が大きい分野でも豊富な実績がある

また、自社組織のアジャイル化を目指す企業向けの支援もあります。現場改善のコーチングや研修プログラムも提供しており、「開発を頼む」だけでなく「アジャイル文化を社内に根付かせたい」という企業にとっても頼れるパートナーです。

Rubyを使った開発が得意で、スタートアップから中堅企業まで幅広い規模のプロジェクトに対応しています。

[既存ポイントボックス] 「Agile Studio」というアジャイル専門ブランドを展開し、受託開発に加えて、アジャイルコンサルティングやコーチングサービスも提供しています。

得意領域・実績

永和システムマネジメントの得意領域と実績は、この2点にまとまります。

  • 要点1:Rubyを使った受託開発に強く、技術の得意分野がはっきりしている
  • 要点2:アジャイルの原点に忠実な開発文化と、思想面の裏づけ

ポイント

アジャイルの思想に忠実な開発文化と、Rubyを使った受託開発の実績があります。開発だけでなくコーチングや研修も頼みたい企業に合います。

TIS株式会社|大規模DXとアジャイルPMOを両立するSIer

TIS株式会社は、TISインテックグループの中核を担う大手SIerです。グループ全体で約2万2,000名の従業員を抱え、金融・流通・製造・公共など多岐にわたる業界への実績を持ちます。

2020年からは「アジャイルDX推進マネジメントサービス」を本格展開しており、大規模なエンタープライズ案件にもアジャイル開発を適用できる体制を整えています。そのため、大規模スケールのアジャイル導入を検討している企業にとって、特に心強いパートナーです。

特徴と強み

TISの大きな特徴は、PMO(プロジェクト管理オフィス)の専門部隊を持つ点にあります。2014年の発足以来、プロジェクト総担当工数は17万人月超に及び、圧倒的な実績を積み上げています。

TISは、大規模アジャイルフレームワークの「SAFe®(Scaled Agile Framework)」においてゴールドパートナーに認定されています。同社は、複数のスクラムチームを統合・調整する大規模アジャイルの実践に強みがあります。

認定スクラムマスター(CSM)をはじめとする有資格者が多数在籍しており、アジャイル開発の習熟度は国内トップクラスといえます。企画構想からシステム開発・保守運用、さらに伴走型の現場支援や研修まで、DX・アジャイル推進の全工程をワンストップで提供できる点も大きな強みです。

  • 専門部門との連携:AI・DevOpsの専門部門やDXコンサルティング部門と連携できるため、単純な受託開発にとどまらない総合的なDX支援が可能
  • アジャイル内製化の支援:「アジャイルDX推進マネジメントサービス」で、アジャイルコーチングや教育研修メニューを充実させ、顧客企業の内製化にも対応

TISが特に強みを発揮するのは、金融・決済領域の大規模システム開発です。クレジット業務基幹システムの大型更改において、年間約2,000人月規模のアプリ保守開発を継続的に行っています。社会インフラを支えるシステム開発にも、圧倒的な実績を有しています。

大企業や官公庁との取引実績も豊富なため、コンプライアンスや情報セキュリティへの対応力も高く評価されています。

[既存ポイントボックス] グループ全体で約2万2,000名の従業員を抱え、金融・流通・製造・公共など多岐にわたる業界で実績を持ちます。

得意領域・実績

TISの得意領域と実績は、この2点にまとまります。

  • 要点1:大規模なエンタープライズ案件にも、アジャイル開発を適用できる体制
  • 要点2:PMO専門部隊と有資格者の多さを、大規模開発の体制面の強みとする

ポイント

大規模なDXやエンタープライズ案件で、アジャイルを複数チームへ広げたい場合に向いています。PMO専門部隊とSAFe®での大規模アジャイルの実践が強みです。

KDDIアジャイル開発センター株式会社|スクラムによる大規模サービス開発の牽引役

KDDIアジャイル開発センター株式会社(KAG)は、2022年5月にKDDIのグループ企業として設立されたアジャイル開発専門会社です。KDDIが長年培ってきた通信・デジタルサービスの開発ノウハウを継承しつつ、アジャイル開発手法に特化したサービスを外部企業にも提供しています。

設立から短期間にもかかわらず、国内屈指のアジャイル開発力を誇る企業として、高い注目を集めています。

特徴と強み

KDDIアジャイル開発センターの最大の特徴は、スクラムの実践規模と組織的な成熟度にあります。パートナーを含めると、約400人規模の開発組織になります。

40チーム以上のスクラムチームが稼働しており、Scrum Inc.が提唱する「Scrum@Scale」フレームワークを導入して、組織全体のスプリントを統合的に管理しています。複数チームが連携する大規模スクラムを日常的に実践しています。そのため、大規模なシステム開発でも、アジャイルの恩恵を受けられる体制が整っています。

また、サービス/プロダクトの市場リサーチや価値探索の段階から関与し、開発フェーズまでを一貫して担当するスタイルをとっています。「何を作るか」から「どう作るか」まで、全工程でサポートを提供しています。

  • 生成AI・LLMの活用:プロダクトオーナーを支援するサービスに取り組み、最先端技術の活用でも業界をリードしている
  • 大規模スクラムの実践:代表的な実績の「auでんき」スマートフォンアプリで、大規模開発を行う

「auでんき」スマートフォンアプリは、約300万件の契約者向けアプリを複数スクラムチームで大規模開発し、月間130万人以上のユーザーに利用される人気アプリへと育てた事例です。

この事例は、大規模スクラムの実践例として業界内でも高く評価されています。通信・エネルギー・フィンテックといったKDDIが展開するデジタルサービス領域でのノウハウが豊富で、大量ユーザーを抱えるコンシューマー向けサービス開発で特に強みを発揮します。

BtoBのSaaSプロダクト開発にも対応でき、スタートアップから大企業まで、幅広い規模の案件を柔軟に手がけています。

[既存ポイントボックス] KDDIが長年培ってきた通信・デジタルサービスの開発ノウハウを継承し、アジャイル開発手法に特化したサービスを外部企業にも提供しています。

得意領域・実績

KDDIアジャイル開発センターの得意領域と実績は、この2点にまとまります。

  • 要点1:2022年設立の専門会社ながら、国内屈指のアジャイル開発力を持つ
  • 要点2:約400人規模の開発組織と、40チーム以上のスクラムチームの稼働

ポイント

40チーム以上のスクラムを統合的に管理する大規模開発に強みがあります。大量ユーザーを抱えるコンシューマー向けサービスを任せたい場合に適しています。

株式会社Sun Asterisk|新規事業とDXを伴走するグローバル開発パートナー

株式会社Sun Asterisk(サン・アスタリスク)は、デジタル新規事業開発・DX・ソフトウェア開発を専門とする「デジタルクリエイティブスタジオ」です。ベトナムを中心に約1,000名の開発者を擁するグローバル開発体制を持っています。

10年以上の事業を通じて、500社以上のクライアントパートナーと850以上のプロダクトを生み出してきました。また、新規事業開発とDX推進の支援実績は1,000件超を誇り、日本国内でも有数の実績を持つアジャイル開発ベンダーです。

特徴と強み

Sun Asteriskの強みは、ビジネスデザイン・UI/UXデザイン・エンジニアリングを一体で提供する「BTC協業体制」にあります。多くの開発会社がエンジニアリングに特化するなか、同社は事業戦略の設計から始まり、ユーザー体験のデザインを経て、開発・リリース・改善まで一気通貫で担当できる体制を持っています。

  • MVPから本格開発への移行:自社開発のDevOpsツールを活用しながら、スムーズに行える
  • 仕様の柔軟な更新:市場の変化に合わせて仕様を更新できる「アジャイルラボ型開発」を採用し、「探索しながら最適な答えを見つけていく」開発スタイルに適している
  • ベトナムのIT人材の活用:高度なIT人材を活用し、費用面でも効果の高いアジャイル開発を提供する

Sun Asteriskが特に強みを発揮するのは、大企業の新規事業開発やDX推進プロジェクトです。スタートアップ支援の知見を大企業のコーポレートベンチャー案件に応用する形で、アイデア段階からプロダクト化まで迅速に実現する実績を多数積み上げています。

モバイルアプリ、Webサービス、SaaSプロダクトなど、幅広い種類のソフトウェア開発に対応しています。850以上の開発実績は、そのバリエーションの豊富さを物語っています。

日本国内のビジネス文化と海外の開発リソースを橋渡しする体制を長年構築してきたため、オフショア開発特有のコミュニケーション課題を最小化した質の高い開発提供が可能です。DXに取り組む中堅・大企業が、社内リソースの不足を補いながら新規事業を立ち上げる際の心強いパートナーです。

得意領域・実績

Sun Asteriskの得意領域と実績は、この2点にまとまります。

  • 要点1:ベトナムの約1,000名の開発者による、グローバル開発体制
  • 要点2:事業戦略からUI/UX、開発までをBTC協業体制で一体提供

アクセンチュア株式会社|グローバル実績を誇るDXとアジャイルのリーダー

アクセンチュア株式会社は、世界120カ国以上で事業を展開するグローバルコンサルティング・テクノロジーサービス企業です。日本法人でも数千名規模の組織を持ち、コンサルティング・テクノロジー・アウトソーシングを三位一体で提供しています。

大規模なデジタル変革から4カ月という短期間でのアプリ開発まで、プロジェクトの規模や業種を問わず、アジャイル開発の実績を幅広く持ちます。

特徴と強み

アクセンチュアの強みは、コンサルティングとテクノロジーを融合した総合的なDX支援力にあります。経営戦略の立案から始まり、業務プロセスの再設計、システム開発・実装、リリース後の運用改善まで、全フェーズを一貫して担当できる体制を持っています。

アジャイル開発においては、スプリントごとの成果をビジネス目標に照らし合わせて評価する、プロダクト戦略の観点が重要です。そうした観点を持つチームが開発を推進するため、技術的な完成度だけでなくビジネス価値の創出を重視した開発が実現します。

日本での代表的なアジャイル開発の実績は、この3件です。

  • 東洋大学公式スマートフォンアプリ:チームビルディングからアジャイル開発の推進まで一貫して担当し、4カ月という短期間でリリース
  • 大規模アジャイルへのスケーリング:日本初のデジタルバンク「みんなの銀行」の開発で、当初10名程度の小規模スクラムチームから、250名以上の規模へ拡大
  • デザインシステムの開発:明治安田生命保険向けに開発した「Cuna」が2024年度グッドデザイン賞を受賞。AIを組み合わせた開発効率化にも積極的に取り組んでいる

また、グローバルなベストプラクティスを日本市場に応用できるため、国際競争力を高めたいと考えるグローバル企業や外資系企業とのプロジェクトにも対応しています。Agile@Scaleの実践ノウハウも豊富で、複数のアジャイルチームを組織全体で統合する大規模アジャイルトランスフォーメーションにも強みを発揮します。

得意領域・実績

アクセンチュアの得意領域と実績は、この2点にまとまります。

  • 要点1:金融・保険・流通・製造・公共の業界など、幅広い分野での実績
  • 要点2:デザインシステム「Cuna」による、デザイン工数34%削減という成果

アジャイル開発パートナー選びのポイント

6社の特徴を踏まえ、自社プロジェクトに合うパートナーを選ぶには、いくつかの観点から開発会社を評価することが大切です。「アジャイル開発ができる」とうたっているだけでなく、本当にアジャイルの価値を体現している会社かどうかを見極める基準を、ここで解説します。

実績と経験の確認方法

開発会社の実績を確認する際は、「アジャイル開発の案件数」だけでなく、「継続的なリリースとフィードバックを組み込んだ開発が実際に行われていたか」を確認することが大切です。具体的には、スプリントの期間設定・スプリントレビューの実施方法・バックログの管理ツール・リリース頻度といった開発プロセスを、担当者に尋ねてみましょう。

また、参考事例として提示される過去案件が、自社の業種・規模・技術領域と近いものであるほど、同様の成果が期待できます。担当エンジニアだけでなく、プロジェクトマネージャーやスクラムマスターの経験年数・資格も確認しておくと、体制の全体像が見えてきます。さらに、口コミサイトや外部評価機関のレビューも、実際の開発体験を把握するうえで参考になります。

発注企業側がリアルタイムで進捗を確認できる体制があるかどうかも、確認しておきたい事項です。

アジャイル開発における技術力は、スピードと品質を両立するための基盤となります。たとえば、CI/CD(継続的インテグレーション・継続的デリバリー)パイプラインの構築・運用経験が、その基盤を示す例になります。

  • テスト自動化の実装能力:アジャイル開発の実践力を測る指標の一つ
  • クラウドネイティブな開発環境の整備力:同じく、実践力を測る指標の一つ

スプリントを短いサイクルで繰り返すためには、これらが欠かせません。コードの品質を保ちながら迅速にリリースできる技術基盤が不可欠です。これらの能力が不十分な会社では、スプリントのたびに品質問題が発生し、アジャイルの速度感が失われます。

加えて、プロダクトの性質に合わせた技術スタックの選定能力も、あわせて見ておきたい点です。モバイルアプリ、Webサービス、基幹系システムなど、対象とするプロダクトの種類によって求められる技術領域は異なります。そのため、自社のプロジェクトと親和性の高い技術スタックを持つ会社を選ぶことが、成功への近道です。

チームの役割分担も、確認しておきたい点です。

  • スクラムマスター:チームがアジャイルの原則に基づいて機能するよう守る
  • プロダクトオーナー:バックログの優先順位付けを通じて、ビジネス価値の最大化に責任を持つ

この2つの役割が兼任になっていたり、実質的に機能していなかったりする場合は、アジャイル開発の本来の効果を発揮することが難しくなります。さらに、JiraやNotionなどのコミュニケーションツールを使い、バックログを一覧にして共有しているかどうかも確認の材料になります。

スプリントレビューに顧客がどう参加する設計になっているかも、発注前の打ち合わせで確認しておきましょう。

技術力と専門性の評価

プロジェクト管理体制の確認

プロジェクト管理体制で確かめたいのは、この2点です。

  • 要点1:スクラムマスターとプロダクトオーナーの役割が、兼任なく明確かどうか
  • 要点2:発注側が進捗を見られ、フィードバックを次のスプリントに反映できるか

ポイント

実績は案件数ではなく、継続的なリリースとフィードバックが実際に行われていたかで見ます。役割分担と技術基盤も、あわせて確かめる材料になります。

まとめ

ここまで、アジャイル開発に強みを持つ開発会社・ベンダー6社を紹介しました。各社はそれぞれ異なる特徴と強みを持っており、自社のプロジェクト規模・業種・目的によって最適なパートナーが異なります。

コンサルティングから開発まで一気通貫で対応できる株式会社riplaは、業務課題の整理から伴走支援まで求める企業に適しています。国内アジャイル開発の先駆者である永和システムマネジメントは、アジャイルの思想に忠実な開発文化を重視するプロジェクトに適しています。

大規模なエンタープライズ案件や、SAFe®を活用したスケールドアジャイルが必要な場合には、TIS株式会社が候補になります。KDDIアジャイル開発センターは、コンシューマー向けの大規模サービス開発で圧倒的な実績を持っています。

Sun Asteriskは、新規事業開発やDXを全工程で伴走させたい場合に強みを発揮します。アクセンチュアは、グローバル規模のDXトランスフォーメーションや、金融・大企業向けの大規模アジャイルに実績があります。

いずれの会社に問い合わせる際も、スプリントサイクル、役割分担、バックログ管理を事前に確認しておくと、後々の認識の食い違いを防ぐことができます。

アジャイル開発の本質は、変化に対応しながらビジネス価値を継続的に届けることにあります。そのため、その本質を理解し、自社と共に走り続けてくれるパートナーを選ぶことが、プロジェクト成功の最も重要な一歩です。

まずは複数社に問い合わせて、担当者との相性や提案の具体性を比較検討されることをおすすめします。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。