BtoB通販/ECサイト開発の発注/外注/依頼/委託方法について

BtoB通販・ECサイトの開発を外注する流れは、要件定義・RFP(提案依頼書)の作成、見積もりの取得とベンダー選定、契約締結とプロジェクト管理の3段階です。

BtoBのEC開発は取引先別の価格や掛け売りなど固有の要件が多いため、各段階で要件を的確に伝えることが欠かせません。

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BtoB通販/ECサイト開発における外注の全体像

BtoB-ECサイトの周囲に、業務フロー、基幹システム連携、取引先別の価格、ロット管理、与信管理を示した図解。
業務要件をそろえると、外注先との認識を合わせやすくなります。

経済産業省の「電子商取引に関する市場調査」によると、2024年のBtoB-EC市場規模は約465兆円に達し、EC化率も年々上昇を続けています。

製造業や卸売業を中心に、FAXや電話による受発注をオンラインに移す動きが加速しており、こうした流れを受けてBtoB通販サイトの開発需要はここ数年で急増しました。

BtoBのEC開発はBtoCとは異なる業務要件が多く、社内だけで対応するにはハードルが高いのが実情です。

外部に委託する場合は、業務フローや既存の基幹システムとの連携など、BtoB特有の複雑な要件を的確に伝える必要があります。取引先別の価格やロット管理、与信管理も、委託先と共有しておくべき事項です。

外注を検討するなら、まず外注という選択肢そのものの特性を知っておく必要があります。外注には、コスト削減や専門性の活用といったメリットがある一方、コミュニケーションコストの発生やノウハウの社内蓄積が難しいといったデメリットもあります。

内製と外注を組み合わせるハイブリッド型の進め方も広まっています。

外注のメリットとデメリット

BtoB通販・ECサイト開発を外注する最大のメリットは、専門的な知見とリソースを即座に活用できる点にあります。自社でゼロからチームを組む場合、BtoB-EC経験のあるバックエンドエンジニアの採用には3か月以上かかるのが一般的で、年収相場も600万〜1,000万円と高額です。

  • 開発の難易度:BtoB向けのECサイトは、BtoCと比べて技術的な複雑性が格段に高くなります。
  • 個別の取引ルール:掛け率や与信枠、ロット単位の発注などの条件が多岐にわたり、基幹システム(ERP・販売管理システム)とのデータ連携も必要です。
  • 開発体制:こうした要件を適切に設計・実装するには、BtoB-EC開発の実績を持つエンジニアチームが欠かせません。
  • 人材の確保:社内で経験者を採用する時間と費用を、外注によって大幅に抑えられます。

開発スピードの面でも、外注は有利です。EC構築に実績のある開発会社は、過去のプロジェクトで培ったテンプレートやコンポーネントライブラリ、ベストプラクティスを持っています。

たとえば、商品マスタや受注管理、在庫連携などの共通モジュールを土台に開発すれば、フルスクラッチに比べて開発期間を30〜40%短縮できるケースが多く見られます。さらに、EC構築プラットフォーム(EC-CUBE、Shopify Plus、ecbeingなど)を活用した開発ノウハウを持つ会社であれば、プラットフォーム固有の設定やカスタマイズも効率的に進められます。

外注には、次のようなデメリットもあります。

  • コミュニケーションコスト:社内なら口頭で済む仕様確認も、外注先とはドキュメントで共有する必要があり、認識の齟齬が生じやすくなります。
  • 業界固有の商慣行:特にBtoB-ECでは、月末締め翌月末払い、掛け率の季節変動、特定取引先向けの特別価格などを正確に伝えるのに、相当な労力が要ります。
  • 開発後の知見:開発が終わった後のノウハウが社内に残りにくいという課題があります。
  • 契約上の権利:ソースコードの著作権が外注先に帰属する契約だと、将来ベンダーを変える際に大きな障壁になります。
  • 依存による費用増:外注先への依存度が高まると保守費用の交渉力が下がり、ランニングコストが年々増えるケースも少なくありません。

内製と外注の使い分け

BtoB通販・ECサイト開発で内製と外注のどちらを選ぶかは、プロジェクトの性質と自社の体制によって大きく変わります。

  • 事業の根幹:ECサイトが自社の事業戦略の中核を担うケースは、内製が向いています。
  • 自社の強み:販売代理店向けの受発注基盤が競争優位なら、社内チームで担うほうが合います。
  • 業界知識が要る商材:化学品の安全データシート管理や医療機器の薬事対応などは、社内チームが主導するほうが品質面で優位です。

販売代理店向けの受発注基盤が競争優位なら、顧客の声を即座に反映し、週次・月次で機能改善を続ける必要があります。そのため、中長期では社内チームのほうがコスト効率が高くなります。

外注が適しているのは、社内にEC開発の経験者がいない場合、あるいは開発のスピードが最優先される場合です。

  1. 取引先から「半年以内にオンライン発注の仕組みを整えてほしい」と要望された場合、チームの立ち上げから始めていては間に合いません。
  2. また、EC構築の初期開発は外注し、リリース後の運用改善から内製に切り替えるハイブリッド型も有効です。
  3. 外注先から技術移管(ドキュメント整備、コードレビュー同席、運用マニュアル作成)を計画的に受けると、自社チームの能力を段階的に高められます。
  4. 実際の事例では、外注費用約1,500万円と移管コスト約300万円で、リリース後6か月以内に完全移管し、長期的な内製体制を実現しています。

ポイント

社内に経験者がいない場合や開発を急ぐ場合は外注が向き、事業の中核として機能改善を続けるなら内製が向きます。両方を組み合わせるハイブリッド型も選択肢になります。

発注・外注の進め方

BtoB-EC外注の進め方を、要件定義・RFP作成、見積取得・ベンダー選定、契約・プロジェクト管理の順に示した図解。
前段階で整理した内容が、次の判断材料になります。

BtoB通販・ECサイト開発の外注を成功させるには、発注の各ステップを丁寧に進めることが欠かせません。大きく分けると、「要件定義・RFP作成」「見積取得・ベンダー選定」「契約・プロジェクト管理」の3段階があります。

要件定義・RFP作成

外注の第一歩は、自社がECサイトに求める要件を文書にすることです。BtoB-ECの要件定義では、BtoCにはない固有の業務要件を漏れなく洗い出すことが特に重要になります。

日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の調査によると、システム開発プロジェクトの失敗原因の約40%は、要件定義の不備に起因しているとされています。そのため、この段階に十分な時間を投じることが、プロジェクト成功の鍵を握ります。

BtoB特有の取引条件は、要件定義の段階で次のように押さえておきます。

  • 価格体系:取引先ランクや取引量で掛け率が変わるのが一般的で、A社は定価の70%、B社は65%、C社は60%のように、個社別の価格テーブルが必要です。
  • 発注単位とロット管理:最低発注数量、ケース・パレット単位の発注制限、入り数の管理を明確にしておかないと、実運用でトラブルが起きます。
  • 決済と請求:BtoBでは即時決済ではなく月末締め翌月末払いの掛け売りが主流で、与信枠の管理や請求書発行、入金消込の仕組みが要ります。

整理した要件は、RFP(提案依頼書)として文書にまとめます。機能は必須と将来追加したいものに分けて書くと、開発会社が見積もりの前提をそろえやすくなります。

RFPには、現行の業務フロー(受発注・在庫管理・請求処理の流れ)と、対象ユーザー(取引先の業種・規模・ITリテラシーのレベル)、既存システムとの連携要件(ERP、WMS、会計ソフトとのデータ連携方式)も含めます。

  1. RFPには、背景と目的、機能・非機能要件、希望スケジュールと予算を書き込みます。
  2. RFPの作成には通常3〜6週間を見込み、この時間が後工程での手戻りを大幅に減らします。

見積取得・ベンダー選定

RFPが完成したら、複数の開発会社に送付して提案と見積もりを依頼します。発注先の選定を誤ると、数百万円から数千万円規模の投資が無駄になるおそれもあります。

BtoB-ECサイトの開発を依頼できる外注先は、大きく4つのタイプに分かれます。

  • EC専門の受託開発:ecbeingやEC-CUBEなどを使ったBtoB向けEC構築の実績が豊富で、費用は500万〜3,000万円程度が相場です。
  • 総合SIer(システムインテグレーター):基幹システムとの大規模連携に強く、費用は1,000万円以上になることが一般的です。
  • SaaS型の導入・カスタマイズ会社:Shopify Plusや楽楽B2Bなどを使い、初期費用は100万〜500万円程度と抑えめですが、自由度に制約があります。
  • フリーランス・少人数チーム:月額50万〜120万円程度の費用感でスモールスタートできますが、大規模開発には不向きです。

見積もりを取得する際は、3〜5社に声をかけるのが適切です。2社では比較材料が不足し、6社以上では評価の工数が膨大になります。また、候補は、業界団体やIT展示会での情報収集、マッチングサービス(発注ナビ、リカイゼン、比較ビズなど)、同業他社の紹介で探せます。

見積もりが揃ったら、金額の比較だけでなく、内訳の詳細を精査します。極端に安い見積もりは、テスト工数やドキュメント作成が省かれている可能性があり、品質リスクを抱えています。一方、高額な見積もりには、不要なバッファや自社に不要な機能が含まれることもあります。そのため、1行ずつ工数の根拠を確認することが大切です。

ベンダー選定の評価基準として最も重視すべきは、BtoB-EC領域での開発実績です。BtoCの構築経験が豊富でも、取引先別価格や掛け売り、基幹連携の経験がなければ、想定外の工数増加を招くおそれがあります。

次に見るのは、提案内容の具体性です。一般的な説明に終始する提案より、自社の業務課題に具体的な解決策を示す会社のほうが、プロジェクトを遂行する力が高いと判断できます。さらに、保守運用の体制や、PMの経験年数と担当人数、使用予定の技術スタックと既存システムとの相性も見極めどころです。

契約・プロジェクト管理

発注先が決定したら、契約締結に進みます。

  1. 契約形態:BtoB-ECサイト開発では「請負契約」と「準委任契約」の2種類があります。
  2. 請負契約:あらかじめ定めた成果物(ECサイト一式)の完成・納品を約束する形態で、要件が明確に固まっている場合に適しています。
  3. 請負契約の注意点:予算の上限が明確になるメリットがある一方、途中の仕様変更に追加費用がかかりやすいデメリットもあります。
  4. 準委任契約:エンジニアの稼働時間に対して報酬を払う形態で、アジャイル開発のように要件を変えながら進む案件に向いています。
  5. 二段階契約:要件定義を準委任契約、実装を請負契約とする二段階の形で、採用する企業が近年増えています。

契約書で特に注意すべき条項は、知的財産権の帰属です。ソースコードや設計書、データベース設計の著作権が発注者と受注者のどちらに帰属するかを明確にしておかないと、将来のベンダー変更や機能追加の障壁になります。

BtoB-ECサイトでは、取引先データや受発注履歴など機密性の高い情報を扱うため、秘密保持条項の範囲と罰則規定も厳格に定めておく必要があります。

契約書には、瑕疵担保(契約不適合責任)の期間や中途解約の条件、損害賠償の上限額を明記し、検収の基準と期間も盛り込みます。

契約締結後のプロジェクト管理は、キックオフミーティングの実施が出発点となります。

キックオフでは、全体スケジュールを立て、要件定義完了、基本設計完了、詳細設計完了、開発完了、テスト完了、リリースのマイルストーンを設定します。そのうえで、週次定例の曜日や時間、日常的なやり取りに使うツール、緊急時のエスカレーションフローを合意します。また、BtoB-ECサイト開発では、業務側の担当者(営業部門、物流部門、経理部門など)の巻き込みも欠かせません。

業務要件の確認やテスト段階のフィードバックには各部門の協力が必要なため、キックオフの段階で窓口担当者を決めておくことを推奨します。加えて、開発中は2〜4週間ごとのスプリントレビューで成果物を確認し、早めに軌道修正できる体制が、納期遅延や品質問題を防ぐ有効な手段です。

ポイント

要件定義で取引先別の価格やロット、決済条件まで整理できているかが、見積もりの食い違いと契約後の手戻りを左右します。曖昧なままでは、追加費用が発生しやすくなります。

費用相場とコストの内訳

BtoB-ECの構築手法3種類と初期費用の目安を、SaaS型、パッケージ型、フルスクラッチで並べた図解。
構築手法によって、初期費用の幅が異なります。

BtoB通販・ECサイト開発の費用は、開発手法や規模によって大きく異なります。予算を立てる際は、初期開発費用だけでなく、リリース後のランニングコストも含めたトータルで考えることが欠かせません。

開発費用の目安

BtoB-ECサイトの開発費用は、構築手法によって3つの価格帯に大別されます。最もコストを抑えられるのが、SaaS型プラットフォームの活用です。

Shopify PlusやBカート、楽楽B2Bなどのクラウドサービスをベースに、自社の業務に合わせてカスタマイズするパターンで、初期費用は100万〜500万円程度です。テンプレートが充実しているため、開発期間も1〜3か月と短く、スモールスタートに適しています。ただし、取引先別価格管理や基幹システム連携などのカスタマイズが増えると、費用は300万〜800万円程度まで膨らむことがあります。

中間の価格帯に位置するのが、パッケージ型プラットフォームを活用した開発です。

EC-CUBEやecbeingなどのBtoB対応パッケージをベースに、開発会社が自社要件に合わせてカスタマイズします。費用は500万〜3,000万円が相場で、開発期間は3〜8か月程度です。

標準機能(商品管理、受注管理、顧客管理など)を土台にできるため、フルスクラッチより開発効率が高く、BtoB固有の要件にもある程度対応できます。特に、ecbeingなら取引先別価格設定や承認ワークフロー、請求書発行などが標準で入っているため、カスタマイズの範囲を抑えられます。

最も費用がかかるのが、フルスクラッチ開発です。

  • 特徴:プラットフォームを使わず、すべてをゼロから構築するため、自社の業務フローに完全に合うシステムを実現できます。
  • 金額と期間:2,000万〜1億円以上、開発期間は6か月〜1年半が一般的です。
  • 向いている場面:基幹システムとの高度な連携や独自の価格計算、大量の取引先データを扱う拡張性が求められるケースです。
  • 主な導入先:大手製造業や大規模卸売業の全社受発注システムに多く見られます。

その費用は、要件定義・設計が20〜30%、実装が40〜50%、テストが15〜20%、プロジェクト管理が5〜10%程度の配分です。

ランニングコストと保守費用

BtoB-ECサイトは、リリース後も継続的な運用と保守が欠かせません。ランニングコストの内訳は、大きく分けてインフラ費用、保守・運用費用、ライセンス費用の3つに分類されます。

インフラ費用は、クラウドサーバー(AWS、Azure、GCPなど)の利用料が中心で、月額5万〜30万円程度が一般的です。取引先数や商品数、トラフィック量で大きく変わるうえ、繁忙期(月末や決算期)にはアクセスが集中します。そのため、オートスケーリングの仕組みを導入しておくと安心です。

保守・運用費用は、システムの安定稼働を維持するための費用で、月額10万〜50万円が相場です。

  • 含まれる作業:セキュリティパッチの適用、サーバー監視、障害対応、軽微な機能改善、問い合わせ対応などです。
  • 保守費用の見込み方:初期開発費用の15〜20%を年間費用として見込むのが一般的です。
  • 試算例:初期開発に1,500万円を投じた場合、年間の保守費用は225万〜300万円(月額約19万〜25万円)が適正な水準です。
  • SaaS型の場合:月額利用料は別途かかるものの、保守の手間は大幅に減ります。

SaaS型の月額利用料は、たとえばShopify Plusで月額約2,000ドル、Bカートで月額約10万〜30万円です。

見落としがちなのが、法改正やセキュリティ要件の変更への対応費用です。電子帳簿保存法の改正やインボイス制度への対応、個人情報保護法の改正など、BtoB取引に関わる法規制は頻繁に更新されます。

こうした法改正対応には、その都度50万〜200万円程度の改修費用がかかることがあります。そのため、年間予算の中に予備費として100万〜300万円程度を確保しておくことを推奨します。

取引先の増加に伴うシステム拡張や新機能の追加開発費用も、年間200万〜500万円程度を見込んでおくと、急な要望にも柔軟に対応できます。

ポイント

構築手法は、基幹連携などの要件の重さと予算で選び、リリース後の保守費用(初期開発の15〜20%が目安)も含めて予算を組みます。

見積もりを取る際のポイント

見積もりの精度は、発注者側の準備の質によって大きく左右されます。

要件明確化と仕様書の準備

見積もりの精度を高める最も効果的な方法は、発注者自身が要件を可能な限り具体化しておくことです。

「BtoB向けのECサイトを作りたい」という抽象的な依頼と、「取引先200社に対して約5,000SKUの商品を販売する受発注サイトを構築したい。取引先ランク別に3段階の価格テーブルを設定し、既存のSAP ERPとAPIで在庫・受注データをリアルタイム連携する」という具体的な依頼では、見積もりの精度がまったく異なります。

前者の場合、開発会社は不確実性を考慮して大きなバッファを積むため、見積もりが実際の必要額の1.5〜2倍に膨らむことも珍しくありません。

仕様書の準備では、機能一覧表を作るのが有効です。BtoB-ECで必要になる機能には、会員登録・取引先認証、取引先別価格・掛け率管理、カート・発注(ロット管理含む)、承認ワークフロー、受注・出荷管理、在庫連携などがあります。

  • 必要な機能の一覧:ECサイトに必要な機能を網羅してリストアップし、「必須」「あると望ましい」「将来対応」の3段階で優先度を付けます。
  • ほかに挙がる機能:請求書発行・掛け売り管理、入金消込、マイページ(発注履歴・再発注)、通知機能(メール・Slack連携)などです。
  • 機能ごとの仕様:具体的な仕様を書いておけば、開発会社は正確な工数を見積もれます。

また、非機能要件を明示すると、見積もりの精度が上がります。たとえば、同時アクセス数(通常時50ユーザー、繁忙期200ユーザーなど)やページ表示の基準(3秒以内など)、稼働率(99.9%など)を書いておくと、インフラ設計やテスト工数を正確に見積もれます。

バックアップの方針(日次バックアップ、3世代保持など)やセキュリティ要件(SSL/TLS対応、WAF導入など)も同様に明記すると、後から「追加費用が必要」と言われるリスクを大幅に減らせます。

複数社比較と発注先の選び方

複数社から見積もりを取ったら、比較評価の枠組みを使って体系的に評価することが大切です。評価項目は、費用(初期費用とランニングコストの合計)、技術力(BtoB-EC開発の実績、類似案件の経験)、提案力(自社課題への理解、具体的な解決策)の3つです。

残りの3項目は、開発体制(PMの経験年数、チーム構成)、保守運用体制(対応時間帯、障害時の対応SLA)、コミュニケーション品質(ヒアリングの丁寧さ、ドキュメントの質)です。各項目は5段階で採点し、自社が重視する項目に重みを付けて総合評価します。

費用面の比較では、見積書の工数内訳を横並びで確認することが欠かせません。たとえば、A社が要件定義に40人日、B社が20人日を計上している場合、B社は要件定義の工数を過小に見積もっている可能性があり、後から追加費用が発生するリスクがあります。

逆に、テスト工程の工数が極端に少ない会社は、品質に問題が出るおそれがあります。見積もりの総額だけでなく、各工程の工数配分が妥当かどうかを検証することが、後のトラブル防止につながります。

発注先を最終決定する際は、見積もり評価に加えて、実際のプロジェクトを担当するチームとの面談の実施を強く推奨します。

  • 面談での確認:営業担当者のプレゼンだけでなく、PMやリードエンジニアと直接話すことで、チームの技術力やコミュニケーション力を肌感覚で確かめられます。
  • 過去の実績:企業名を伏せてもよいので、概要や課題、解決策、成果を具体的に聞くと、実力を推し量れます。
  • 過去の制作物:可能であれば、過去に構築したBtoB-ECサイトのデモ画面を見せてもらうことも、有効な判断材料になります。

注意すべきリスクと対策

BtoB通販・ECサイト開発の外注には、いくつかの典型的なリスクがあります。

  • 仕様の認識齟齬による手戻り:最も発生頻度が高いリスクです。
  • 取引先別価格の仕様:季節変動や数量割引など多様なパターンがあり、発注者が「当然対応されるもの」と考えた仕様が伝わらないケースが後を絶ちません。
  • 仕様の確認方法:要件定義段階で業務フローを図解し、「A社がX商品を100個発注すると、単価Y円で合計Z円」のような計算例を仕様書に添えます。

次に多いのは、スケジュールの遅延です。

  1. BtoB-ECサイト開発では、基幹システムとのデータ連携部分で想定以上に工数がかかるケースが頻発します。
  2. ERPや販売管理システムのAPI資料が不十分だと、データ形式の不整合も重なり、連携開発が当初の1.5〜2倍の工数になることもあります。
  3. 対策は、要件定義の早い段階で既存システムのAPI仕様書やデータ項目一覧を開発会社に共有し、PoC(技術的な実現性の検証)を行うことです。
  4. PoCに2〜4週間を充てると、連携部分の技術的リスクを事前に洗い出せます。

ベンダーロックインのリスクも見逃せません。

  • 特定ベンダーへの依存:特定の開発会社やプラットフォームに頼りすぎると、将来ベンダーを変えたり、システムを刷新したりすることが難しくなります。
  • 著作権と技術標準:ソースコードの著作権を発注者に帰属させる条項を入れ、オープンな技術標準やAPIを採用し、ドキュメントの整備を契約要件に含めます。
  • 独自技術の採用:開発会社が独自に作ったフレームワークやミドルウェアを使う場合は、将来の乗り換えコストを事前に確認しておくことが大切です。
  • データの持ち出し:他システムへ移行しやすいよう、CSVやJSON、XMLなどでデータを出力できる機能を開発要件に含めるべきです。

ポイント

見積もりは金額だけでなく工数の内訳まで横並びで比べ、極端に安い見積もりは省かれた工程がないかを確かめてから、発注先を絞り込みます。

まとめ

BtoB通販・ECサイト開発を外注する際は、まず外注のメリットとデメリットを理解し、自社の体制やプロジェクトの性質に応じて内製と外注の最適な配分を見極めることが出発点です。EC構築の初期開発を外注し、リリース後に内製へ移行するハイブリッド型も、有力な選択肢として検討する価値があります。

発注の流れは、要件定義・RFPの作成、複数社からの見積もり取得とベンダー選定、契約締結とプロジェクト管理の3段階です。

特にBtoB-ECでは、取引先別価格や与信管理など固有の業務要件をRFPに漏れなく反映させることが、見積もりの精度を高め、開発中の手戻りを防ぐ最大の鍵です。

費用相場は、SaaS型で100万〜500万円、パッケージ型で500万〜3,000万円、フルスクラッチで2,000万〜1億円以上と幅広いため、自社の要件と予算に合う構築手法を選ぶことが欠かせません。

見積もりを取る段階では、要件の具体化と仕様書の準備に十分な時間をかけ、複数社の見積もりを工数内訳レベルで横並びに比べることで、適正な費用感をつかめます。

  1. 仕様の認識齟齬、スケジュール遅延、ベンダーロックインには、図解やPoC、著作権の確保などで備えられます。
  2. BtoB通販・ECサイトは、適切に構築されれば受発注業務の大幅な効率化と取引先満足度の向上をもたらす、重要な経営資産です。
  3. この記事で紹介した手順を参考に、信頼できるパートナーとともに、プロジェクトの第一歩を踏み出してください。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。