BtoB通販・ECサイトの開発は、「要件定義・企画」「設計・開発」「テスト・リリース」の3つのフェーズを順に進めるのが一般的です。
プロジェクト全体の期間は、ASP・SaaS型で3〜6か月、パッケージカスタマイズ型で6〜12か月、フルスクラッチ型で12〜18か月が目安です。
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・BtoB通販/ECサイト開発の完全ガイド
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BtoB通販/ECサイト開発の全体像

BtoB通販・ECサイトは、企業どうしの商取引をオンライン上で完結させるためのWebプラットフォームです。
従来のBtoB取引は、営業担当者の訪問や電話、FAXでのやり取りが主流でした。
一方で、デジタル化はBtoB領域にも確実に広がっています。特にコロナ禍以降は、対面営業が制限された経験を経て、多くの企業がオンライン受発注の仕組みを本格的に整え始めました。
経済産業省の「電子商取引に関する市場調査(2024年公表)」によると、国内BtoB-EC市場規模は約420兆円に達し、EC化率は40%に達しています。また、個別単価や掛け売り対応を含めたBtoB通販・ECサイトの構築ニーズが急増しており、2025年以降も市場の拡大傾向は続いています。
BtoB-ECサイトを構築すると、24時間365日の受注対応が可能になります。さらに、受発注業務の人的ミスや営業担当者の工数を減らし、取引データをまとめて管理して活用することもできます。
たとえば、ある建設資材卸の企業では、導入によって受注処理にかかっていた人件費を年間約1,800万円削減し、受注ミス率を従来の3.2%から0.4%に改善しました。
BtoB-ECの種類と特徴
BtoB-ECサイトは、公開範囲や取引形態によって大きく3つの種類に分けられます。
- クローズド型BtoB-EC:既存の取引先だけがログインして利用する会員制のECサイトです。
- スモール型BtoB-EC:Amazonビジネスやモノタロウのように、不特定多数の法人がアカウント登録して購入できるサイトです。
- EDI連携型BtoB-EC:従来のEDI(電子データ交換)システムとECサイトを統合した形態です。
クローズド型は、取引先ごとに単価表や掛け率を変えられ、与信枠の管理や締め払いなどの掛け売りにも対応できる点が最大の特徴です。製造業や卸売業で最も多く採用されている形態で、国内BtoB-ECの約60%がこのクローズド型に当たると言われています。
既存顧客との取引効率化が主な目的のため、新規顧客の獲得には別途マーケティング施策が要ります。一方で、取引先ごとにきめ細かく対応でき、業務との相性が非常に良い形態です。
スモール型は、BtoCに近い操作感でありながら、法人向けの請求書払いや大口割引にも対応しているのが特徴です。新規顧客の獲得に強く、マーケットプレイス型と組み合わせることで集客力を高められます。
EDI連携型は、大手小売チェーンとメーカー間の取引のように、大量の取引を自動で処理する必要がある場合に採用されます。受発注データはEDI規格で自動連携され、人が介在せずに処理できます。
ただし、開発・運用コストは他の形態より高くなる傾向があります。
BtoC-ECとの違い
BtoB-ECとBtoC-ECは、一見すると同じ「ECサイト」ですが、ビジネスロジックや求められる機能面で決定的な違いがあります。
- 価格設定:BtoC-ECは商品ごとに統一した販売価格を設定するのに対し、BtoB-ECは取引先ごとに異なる単価や掛け率を設定する必要があります。
- 決済方法:BtoC-ECはクレジットカード決済やコンビニ決済が主流ですが、BtoB-ECは「月末締め翌月末払い」のような掛け売り(後払い)が一般的です。
- 購入の流れ:BtoC-ECは個人がその場で購入を決めますが、BtoB-ECは担当者が発注を起こし、上長が承認するワークフローが介在することが多くあります。
- 商品マスタ:SKU数が数万〜数十万点に及ぶことも珍しくなく、業務用途に特化した機能が求められます。
たとえば、A社には定価の80%、B社には75%、C社には数量に応じたボリュームディスカウントを適用するといった複雑な価格体系を、システム上で管理しなければなりません。
そのため、与信管理の仕組みや請求書発行機能、入金消込の自動化なども必要になります。発注金額によって承認ルートが変わるケースもあり、こうした業務フローをシステムに落とし込む設計が欠かせません。
具体的には、型番検索やスペック検索、CADデータのダウンロードなどの機能が挙げられます。
BtoB-ECとBtoC-ECの違いを理解せずに、BtoC向けのECパッケージをそのまま流用すると、カスタマイズ費用が膨らみ、結果的にフルスクラッチ開発よりも高くつくケースがあるため、注意が必要です。
BtoB通販/ECサイト開発の進め方

BtoB通販・ECサイトの開発プロジェクトは、一般的に「要件定義・企画」「設計・開発」「テスト・リリース」の3つのフェーズで進みます。BtoC-ECの構築経験がある企業でも、BtoB特有の商習慣やシステム連携要件を見落とすと手戻りが起きやすくなります。そのため、各フェーズで押さえるべき点を事前に把握しておくことが大切です。
プロジェクト全体の期間は、ASP・SaaS型の場合で3〜6か月、パッケージカスタマイズ型で6〜12か月、フルスクラッチ型で12〜18か月が目安となります。
要件定義・企画フェーズ
BtoB-ECサイト開発で最も重要なのが、この要件定義・企画フェーズです。
- まず着手すべきは、現行の受発注業務の流れを洗い出すことです。
- 電話やFAXで受注している場合は、その業務の流れを詳しくヒアリングし、どの工程をシステム化し、どの工程を人の対応として残すかを明確にします。
- ある食品卸の企業は、この洗い出しに2週間をかけ、受注から出荷までの17ステップのうち12ステップをシステム化しました。
- 次に、取引先との商習慣を整理する必要があります。
- 取引先ごとの価格体系、決済条件、納品条件を、網羅的に洗い出します。
- この段階で漏れがあると、開発の中盤以降に追加要件として発生し、スケジュールとコストに大きく響きます。
- 実際に、BtoB-EC開発プロジェクトの追加コストのうち約45%は、要件定義フェーズで把握しきれなかった商習慣への対応に起因するという調査結果もあります。
- また、既存システムとの連携要件も重要な検討事項です。
- 基幹システム(ERP)、在庫管理システム(WMS)、会計システム、CRMなどとのデータ連携方法を、具体的に定めます。
- リアルタイム連携が必要か、バッチ処理で十分か、APIが用意されているか、独自の連携開発が必要かによって、開発規模と費用が大きく変わります。
- さらに、構築手法もこのフェーズで選びます。
- ASP・SaaS型(楽楽B2B、Bカート、ecbeingなど)は初期費用を抑えられる一方、カスタマイズの自由度に制約があります。
- パッケージ型(EC-CUBE B2B、コマース21など)はある程度の柔軟性がありますが、パッケージのバージョンアップへの対応が課題になりやすいです。
- フルスクラッチ型は自由度が最も高い反面、開発期間とコストが大きく増えます。
- 自社の業務の複雑さ、将来の拡張計画、予算規模を総合的に考えて、最適な構築手法を選定します。
洗い出す内容は、価格体系なら個別単価、掛け率、数量割引など、決済条件なら締め日・支払日や与信枠、納品条件なら配送先の複数指定、時間帯指定、分割納品などです。
このケースでは、受注処理時間が1件あたり平均15分から2分に短縮しました。
設計・開発フェーズ
要件定義が完了したら、設計・開発フェーズに移ります。
- このフェーズは、「基本設計」「詳細設計」「実装(コーディング)」の3つのステップで進むのが一般的です。
- 基本設計では、システム全体のアーキテクチャ、画面遷移、データベース、外部システムとの連携を設計します。
- BtoB-ECで特に注意が必要なのは、権限管理の設計です。
- 発注企業側では、閲覧のみの担当者、発注可能な担当者、承認権限を持つ管理者など、複数の権限レベルが必要です。
- 権限設計が甘いと、セキュリティリスクを招くだけでなく、運用時の業務効率にも悪影響が出ます。
- 詳細設計では、各機能の処理ロジックを具体的に定めます。
- 取引先ごとの価格計算は複数のステップを経るため、計算の優先順位やエッジケースの扱いまで詳しく定めておきます。
- 実装フェーズでは、フロントエンド開発とバックエンド開発を並行して進めます。
- フロントエンドでは、BtoBユーザーが使いやすいUI・UXを実装することが大切です。
- 商品点数が多い場合は、高速な検索とフィルタリングが必須で、型番のコピーペーストによる一括発注やCSVアップロードにも対応する実装が求められます。
- バックエンドでは、基幹システムとのAPI連携とデータ同期の実装が技術的な難所になることが多いです。
- アジャイル的に、1〜2週間単位のスプリントで進め、定期的なクライアントレビューで要件の認識のずれを早く見つけ、手戻りを抑えます。
たとえば、取引先ごとの価格計算は、基本単価に掛け率を適用し、数量割引を計算し、キャンペーン割引を反映し、消費税を計算するという流れで進みます。
販売企業側では、受注対応担当、価格設定担当、システム管理者にも権限を割り当てる必要があります。
特に在庫データのリアルタイム連携では、データの整合性を保ちながら性能を確保する設計が欠かせません。
テスト・リリースフェーズ
テスト・リリースフェーズは、開発したシステムの品質を担保し、安全に本番環境へ移すための重要な工程です。
- BtoB-ECのテストでは、通常のWebアプリケーションテスト(単体テスト、結合テスト、システムテスト)に加えて、BtoB特有の観点を含めたテストが必要です。
- 具体的には、取引先ごとの価格計算や承認ワークフロー、基幹システムとのデータ連携を検証します。
- 特に価格計算は入念に行う必要があり、テストケースの優先順位付けと自動テストの導入が効果的です。
- ある電子部品商社では、8,500件に及ぶ価格計算のテストケースに自動テストを導入し、回帰テストの工数を80%削減しました。
- リリース準備では、既存の受発注業務からの移行計画を綿密に立てます。
- 一斉切り替え方式と段階的移行方式のどちらを採るかは、業務リスクの許容度と取引先の規模によって決めます。
- 多くの場合は、まず一部の取引先でパイロット運用を行い、問題がないことを確かめてから対象を広げる段階的移行方式が勧められます。
- リリース後は、取引先向けの操作マニュアルの配布や説明会の実施に加えて、社内のカスタマーサポート体制を整えることも欠かせません。
- BtoB-ECのリリース直後は、取引先からの問い合わせが集中しやすいため、リリース後2〜4週間は手厚いサポート体制を敷いておくことが成功を左右します。
価格計算は、取引先数×商品数×数量パターンの組み合わせが膨大になるため、テストの効率化が欠かせません。ほかに、与信枠を超えた発注へのエラー処理の確認や、大量SKUの検索パフォーマンスが許容範囲内かを確かめる負荷テストも含まれます。
費用相場とコストの内訳

BtoB通販・ECサイトの開発費用は、構築手法や要件の複雑さによって大きく幅があります。予算を立てるときは、初期開発費用だけでなく、リリース後のランニングコストも含めたトータルコストで検討することが大切です。
人件費と工数
BtoB-ECサイト開発の費用は、その大部分を人件費(エンジニアの工数)が占めます。
- 初期開発費用の相場:ASP・SaaS型で50万〜300万円、パッケージ型で300万〜1,500万円、フルスクラッチ型で1,500万〜5,000万円以上です。
- ASP・SaaS型の工数:既存サービスの設定やカスタマイズが中心のため、必要な工数は1〜3人月程度です。
- パッケージカスタマイズ型の工数:3〜10人月が一般的です。標準機能をベースに、自社の業務要件に合わせてカスタマイズします。
- フルスクラッチ型の工数:15〜40人月以上の工数がかかり、5名以上の体制で12〜18か月かけるプロジェクトが多くなります。
- 工数の内訳の目安:要件定義が全体の15〜20%、設計が20〜25%、実装が30〜35%、テストが20〜25%です。
ASP・SaaS型の主な作業は、初期設定、商品データの登録、基幹システムとの簡易連携、デザインのカスタマイズです。ただし、複雑な価格体系への対応や独自の承認フローが必要になると、追加開発が発生し、費用が500万〜800万円程度まで膨らむこともあります。
体制の目安は、プロジェクトマネージャー1名、バックエンドエンジニア1〜2名、フロントエンドエンジニア1名、インフラエンジニア0.5名です。この体制で6〜12か月かけて構築するのが標準的です。また、フルスクラッチ型では、システムアーキテクトやQAエンジニアなどを含む体制で開発します。
エンジニアの単価は、スキルレベルや開発会社の規模によって月額60万〜150万円と幅があります。また、東京都内の開発会社は、地方と比べて単価が20〜30%程度高い傾向があります。
BtoB-ECでは、基幹システムとの連携開発に全体工数の20〜30%を要するケースが多いです。そのため、連携部分の見積もり精度が、プロジェクト全体のコスト管理を大きく左右します。
初期費用以外のランニングコスト
BtoB-ECサイトのランニングコストは、サーバー・インフラ費用、保守・運用費用、ライセンス費用、決済手数料の4つの要素で構成されます。
- サーバー・インフラ費用:クラウド環境(AWS、Azure、GCPなど)を使う場合は、月額5万〜30万円程度が相場です。
- 保守・運用費用:初期開発費用の15〜20%を年間の保守費用として計上するのが一般的な目安です。
- ライセンス費用:ECパッケージのライセンス体系によって異なり、年間50万〜300万円程度が一般的です。
- 決済手数料:取引金額に対して1〜3%程度が相場です。
- 運用コストの合計:これらを合算すると、パッケージカスタマイズ型のBtoB-ECサイトでは、月額30万〜80万円程度が目安です。
アクセス数や商品データ量に応じてスケーリングが必要になるため、利用規模に合わせて見直す必要があります。オンプレミス環境の場合は、サーバー機器の購入費用(初期100万〜500万円)に加えて、データセンター利用料が月額10万〜50万円程度かかります。
たとえば、初期開発費用が1,000万円の場合、年間150万〜200万円(月額12万〜17万円)の保守費用が発生します。保守の内容には、セキュリティパッチの適用、バグ修正、サーバー監視、バックアップ運用、軽微な機能改善が含まれます。
ASP・SaaS型の場合は、月額利用料にこれらの保守費用が含まれることが多く、月額3万〜30万円程度で運用できます。
OSSベースのパッケージ(EC-CUBEなど)を選ぶとライセンス費用は不要ですが、その分、自社での保守対応力が求められます。
BtoB-ECでは掛け売り(後払い)が主流です。掛け売り決済代行サービス(Paid、NP掛け払い、マネーフォワード ケッサイなど)を使う場合は、月額基本料1万〜5万円に加えて、取引金額の2〜3.5%の手数料が発生します。
3年間のTCO(総保有コスト)で比べると、初期費用が安いASP・SaaS型でも月額利用料の累計が大きくなるケースがあるため、中長期の視点でコストを比べることが欠かせません。
見積もりを取る際のポイント
BtoB-ECサイトの開発を外部に発注する際は、適正な見積もりを取り、信頼できるパートナーを選ぶことがプロジェクト成功の鍵を握ります。見積もりの金額だけでなく、その内訳や前提条件、対応範囲まで詳しく確かめておくことで、後々のトラブルを未然に防げます。
要件明確化と仕様書の準備
見積もりの精度を高めるためには、発注側が事前に要件を可能な限り明確にしておくことが不可欠です。
- 漠然とした依頼:「BtoB向けのECサイトを作りたい」といった依頼では、開発会社も正確な見積もりを出せず、結果として幅の広い「概算見積もり」になります。
- 整理しておく情報:取引先数と拡大見込み、SKU数とカテゴリ構成、取引先ごとの価格体系、決済条件などです。
- RFP(提案依頼書):これらの情報を文書にまとめると、複数の開発会社から同じ条件で見積もりを取れ、比較しやすくなります。
- RFPを作れない場合:最低限、現行の業務フロー図と取引条件の一覧表は用意しておくことを勧めます。
- 見積もり金額の差:RFPを準備した企業とそうでない企業では、見積もり金額に30〜50%の開きが出ることも珍しくありません。
取引先ごとの価格体系では個別単価、掛け率、数量割引の有無を、決済条件では掛け売りの締め・支払いサイクルと与信管理の要否を整理しておきます。
そのほか、既存システムとのAPI仕様の有無、承認ワークフローの有無とその複雑さ、デザインの方向性(ブランドガイドラインの有無)も挙げられます。さらに、希望するリリース時期と優先度の高い機能、将来的に追加したい機能や拡張計画も含まれます。
要件が曖昧なままだと、開発会社はリスクに備える余裕(バッファー)を多めに積むため、結果として高い見積もりが提示されることになります。
複数社比較と発注先の選び方
BtoB-ECサイトの開発会社を選ぶ際は、最低3社以上から見積もりを取って比べることを勧めます。
- 比較時に注目すべきは、BtoB-EC開発の実績と業種の適合性、提案内容の具体性、プロジェクト体制の3点です。
- 開発会社の選定で特に重視したいのは、「BtoB-EC開発の実績」です。
- BtoC-ECの実績が豊富でも、掛け売りや取引先別価格、承認フローへの対応経験がなければ、設計段階で的外れな提案が出てくるおそれがあります。
- 候補の開発会社には、過去のBtoB-EC構築事例のデモ画面を見せてもらい、どの程度の機能を実際に実装した実績があるのかを具体的に確かめましょう。
- また、見積もり金額が極端に安い会社には注意が必要です。
- 初期見積もりを安く提示したうえで、開発の途中に「この機能は別途費用がかかります」と追加請求を重ねるケースがあります。
- 見積もりの段階で、追加費用が発生する可能性のある項目を明示してもらい、変更の進め方を契約前に合意しておくことが大切です。
- 大手SIerは信頼性が高い反面、エンジニア単価が高く、下請け構造によるコミュニケーションコストが発生しやすい面があります。
- 一方で、BtoB-ECに特化した中堅・中小の開発会社は、専門知識が豊富でコストパフォーマンスに優れる反面、体制やリソースに不安が残る場合もあります。
- 自社の予算規模とプロジェクトの複雑さに合わせて、最適な規模の開発パートナーを選ぶことが、成功につながります。
提案内容は構築手法の根拠が明確かを、プロジェクト体制はPM、エンジニア、デザイナーの配置を確かめます。さらに、連絡方法と頻度(定例の頻度、チャットツールの利用可否)、保守・運用体制(サポート内容、対応時間帯、SLA)、見積もり内訳の明細度の3点も見ておきたい点です。
注意すべきリスクと対策
BtoB-ECサイトの開発では、典型的なリスクがいくつかあります。
- スコープクリープ(要件の膨張):開発が進むなかで追加や仕様変更の要望が次々に出て、予算と納期が大きく超過するケースです。
- 基幹システム連携のトラブル:API仕様が不十分、データ形式が想定と異なるなどで、連携開発に想定以上の工数がかかるケースです。
- 取引先の導入拒否:取引先がシステムを使ってくれなければ、投資対効果は得られません。
- セキュリティリスク:取引先の企業情報や取引条件など機密性の高いデータを扱うため、情報漏えいの影響は甚大です。
対策としては、要件定義フェーズで優先度を明確にし、MVP(最小限の実用可能な製品)の範囲を合意しておきます。そのうえで、追加要件は次のフェーズで扱う段階的なアプローチが有効です。
連携開発の工数超過を防ぐには、開発の着手前に基幹システム側のAPI仕様書を入手し、テスト環境でデータ連携を早めに検証しておくことが大切です。
特に長年FAXで発注していた取引先にとっては、新しいシステムへの移行が大きな負担になります。対策には、取引先への事前説明会、直感的に操作できるUI設計、導入初期のサポート体制の充実があります。加えて、システムを使うことで取引先にもたらされるメリット(発注履歴を見られること、納期の状況が分かることなど)を伝えると効果的です。
機密性の高いデータを守るには、多層的なセキュリティ対策を設計段階から組み込んでおくことが欠かせません。具体的には、SSL/TLS暗号化、WAF(Web Application Firewall)の導入、定期的な脆弱性診断、アクセスログの監視、データベースの暗号化などが挙げられます。
リスクは、いずれもプロジェクトの初期段階で認識し対策を講じておけば、影響を大幅に軽減できます。
まとめ
ここまで見てきた全体像、進め方、費用相場、見積もりのポイントは、発注前の確認に役立ちます。
- まず、自社の商習慣と業務フローを洗い出し、要件定義に十分な時間をかけます。
- 初期開発費用の目安は、ASP・SaaS型で50万〜300万円、パッケージカスタマイズ型で300万〜1,500万円です。
- 開発会社の選定では、BtoB-EC開発の実績を最も重視し、最低3社以上を比べることをおすすめします。
- BtoB-ECの市場は年々拡大しており、取引先にも利便性の高いデジタル受発注の環境を整えることが、取引関係と競争優位を強めます。
- 最後に、自社の業務フローを洗い出すところから始め、段階的にBtoB-ECを導入していくことが、リスクを抑えながら効果を得るための確実な方法です。
形態は、クローズド型、スモール型、EDI連携型の中から自社に合うものを選びます。構築手法(ASP・SaaS型、パッケージカスタマイズ型、フルスクラッチ型)は、初期コストだけでなく3年間のTCOで比べます。
基幹システムとの連携開発には、プロジェクト全体の工数の20〜30%を見込んでおきます。さらに、取引先のシステム導入支援まで含めたリリース計画を立てます。
フルスクラッチ型の初期開発費用は1,500万〜5,000万円以上で、ランニングコストは月額30万〜80万円程度を見込んでおく必要があります。
▼全体ガイドの記事
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
