DtoC通販/ECサイト開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

DtoC通販・ECサイトの開発は、要件定義・企画、設計・開発、テスト・リリースの3つのフェーズで進みます。事業モデルと顧客体験を起点に要件を定め、機能・費用・集客計画をそろえて設計します。特に要件が曖昧なままだと、ブランド体験が損なわれ、公開後の改善サイクルも滞ります。

全体の進め方は、DtoC通販/ECサイト開発の完全ガイドもご覧ください。

DtoC通販/ECサイト開発の全体像

DtoC(Direct to Consumer)は、企業が消費者へ商品を直接販売するモデルです。DtoC通販・ECサイトとは、メーカーやブランドが中間流通を介さず、自社で企画・製造した商品をオンラインで売るチャネルのことです。

矢野経済研究所によると、国内市場は2025年に約3兆円、2028年には4兆円を超える見通しです。市場の拡大を受けて、大手メーカーだけでなくスタートアップや中小企業も参入しています。

従来のBtoC-ECサイトとの違いは、商品を販売するだけでなく、ブランドが顧客と直接関係を築き、購買データや行動データを自ら取得・活用できることです。こうしたデータを生かすと、データドリブンなマーケティング施策やプロダクト改善につなげられます。さらに、LTVの最大化を見据えたデータ基盤も必要です。

実際に、ある国内スキンケアブランドではDtoC-ECサイトの導入後、顧客一人あたりの年間購入回数が1.8回から3.4回に増加しました。LTV(顧客生涯価値)も約2倍に向上しています。この事例からも、継続購入につながる設計の重要性が分かります。

DtoCビジネスモデルの特徴

DtoCビジネスモデルは、従来のメーカー→卸→小売→消費者という流通構造を根本から変革するものです。

  • 中間流通:卸売15〜25%、小売30〜50%のマージンが上乗せされます。
  • メーカーの取り分:従来流通では販売価格の30〜40%程度です。
  • DtoC:中間流通を省き、粗利率60〜80%を目指せます。

一般的な小売流通では、メーカーの出荷価格に卸と小売のマージンが重なります。DtoCモデルではこの構造を省略できるため、中間マージンを排除して、消費者には高品質な商品を適正価格で提供し、ブランド側は利益率の向上を実現できます。

自社で、集客・マーケティング・物流・カスタマーサポートのすべてを担うため、EC運営に関する幅広い力量が求められます。

成功しているDtoCビジネスに共通するのは、明確なブランドストーリーと世界観です。SNSやコンテンツマーケティングによる顧客コミュニケーションを行い、リピート購入を促す仕組みも整えます。そして、顧客データの分析に基づくプロダクト改善サイクルを確立します。

自社のECサイトは、これらの要素を支える場として、単なる「購入の場」ではなく、「ブランド体験の場」として設計する必要があります。

DtoC-ECサイトに求められる機能

DtoC-ECサイトには、一般的なECサイトの基本機能に加えて、DtoCモデル特有の機能が求められます。ブランドらしさを伝えるUI/UXや、サブスクリプション・CRM連携も欠かせません。そのなかでも土台になるのが、ブランドの世界観を忠実に再現できる高いデザイン自由度です。

  • ブランド表現:商品ページや写真を独自の世界観で設計します。
  • 定期購入:コース設計と管理機能で継続購入に対応します。
  • 運営機能:商品・受注・顧客・在庫や販促を一元管理します。

モール型ECではデザインに制約があります。一方、DtoC-ECサイトでは、商品ページのレイアウト、フォント、カラースキームまで自由に設計できます。

また、写真の見せ方も、ブランドの意図どおりに表現できることが大前提です。次に重要なのが、サブスクリプション(定期購入)機能です。

DtoCブランドの多くは、化粧品やサプリメント、食品などリピート性の高い商品を扱っています。そのため、定期購入コースの設計とその管理機能は、LTV向上の要となります。

ある国内のヘアケアDtoCブランドでは、定期購入会員の平均継続期間が8.5か月であり、単品購入と比較して顧客あたりの売上が約4.2倍に達しています。

さらに、CRM(顧客関係管理)機能も不可欠です。顧客の購買履歴、閲覧行動、メール開封率といったデータをまとめて管理し、セグメントごとにパーソナライズされたコミュニケーションを実現する基盤が必要です。

マーケティングオートメーション(MA)ツールやLINE、SNS、レビュー・口コミ、ポイントプログラムなどは、サイトに組み込んでおきます。友人紹介制度なども、DtoC-ECサイトの成長を加速させる重要な機能です。

DtoC-ECサイトでは、物流・在庫管理システムとの連携に加えて、クレジットカード、後払い、Amazon Pay、各種QR決済などの決済手段も充実させます。

スマートフォン最適化(モバイルファースト設計)も、DtoC-ECサイトの構築時に必ず検討すべき機能要件となります。

ポイント

DtoC通販・ECサイトに進むかは、中間流通を省く利点と、集客や物流、サポートを自社で担う負担を比べて決めます。顧客データを生かせる体制があるかも、判断の材料になります。

DtoC通販/ECサイト開発の進め方

DtoC通販・ECサイトの開発を、要件定義・企画、設計・開発、テスト・リリースの順に示す図。
企画で定めた要件を設計・開発へ引き継ぎ、最後に品質を確かめます。

DtoC通販・ECサイトの開発プロジェクトは、「要件定義・企画」「設計・開発」「テスト・リリース」の3つの主要フェーズで進行します。DtoCでは、ブランディングとマーケティングの視点をプロジェクト全体の軸に据えることが大切です。そのため、技術的な開発と並行して、クリエイティブの制作やマーケティング施策の設計も進めます。

プロジェクト全体の期間は、SaaS型ECプラットフォーム(Shopify、BASEなど)を活用する場合で1〜3か月です。一方、パッケージカスタマイズ型では3〜8か月、フルスクラッチ型では6〜12か月が一般的な目安です。

要件定義・企画フェーズ

DtoC-ECサイト開発の出発点となるのが、要件定義・企画フェーズです。このフェーズでは、まずブランド戦略とECサイトの位置づけを明らかにします。

  • ブランド戦略:顧客像、差別化、ECサイトの役割を定めます。
  • 販売設計:商品構成と単品・定期購入などの販売モデルを決めます。
  • 目標と要件:売上、CVR、LTVなどの指標と必要機能を整理します。

DtoC-ECサイトは単なる販売チャネルではなく、ブランドと消費者が直接つながる最重要タッチポイントです。そのため、ブランドのミッション・ビジョン・バリューを言葉にしたうえで、ターゲット顧客のペルソナと競合との差別化ポイントを整理します。

中長期の事業成長シナリオを描いたうえで、ECサイトに求める役割を具体的に定める必要があります。次に、販売する商品ラインナップと販売モデルを設計します。

単品販売のみか、定期購入(サブスクリプション)を提供するか、頒布会や福袋のような企画商品を展開するかによって、必要なシステム機能が大きく異なります。

特にサブスクリプションモデルを採用する場合は、初回割引、お届けサイクルの変更、スキップ機能、解約導線の設計など、細かな仕様の検討が不可欠です。ある健康食品DtoCブランドでは、解約導線のUX改善だけで月間解約率を12.3%から8.7%に低減しました。こうした細部の設計が事業収益に直結することを示しています。

さらに、利用するECプラットフォームもこの段階で選びます。Shopifyは月額3,000円程度から始められ、アプリの豊富さも魅力です。また、Shopifyは年商数千万円〜数億円規模のDtoCブランドに多く採用されています。

定期通販の機能が充実したecforceやリピストは、サブスクリプション型のDtoCブランドに向いています。

年商10億円以上の大規模DtoCブランドや、独自性の高い機能要件がある場合は、Shopify Plusやフルスクラッチ開発が選択肢に入ります。

プラットフォームの選定は後戻りが困難な意思決定であるため、現時点の事業規模だけでなく、3〜5年後の成長計画を見据えた選定が重要です。

設計・開発フェーズ

要件定義が固まったら、設計・開発フェーズに進みます。DtoC-ECサイトの設計で特に力を入れるべきは、UI/UX設計とブランドデザインの実装です。

  • 画面設計:商品詳細、カート、購入、マイページの構成を組み立てます。
  • 購入体験:EFOやゲスト購入、Amazon Payなどを検討します。
  • 連携・開発:決済、物流、分析・マーケティングの接続を進めます。

DtoCブランドにとってECサイトのデザインは、実店舗の内装やディスプレイに当たる重要な要素です。そのため、ブランドの世界観を余すことなく表現する、クリエイティブな作業が求められます。

トップページのビジュアルは、ブランドの世界観を最初に伝える部分です。

最終デザインまでは、段階を踏んで進みます。ワイヤーフレームの作成からデザインカンプやプロトタイプの制作、ユーザーテストへと進み、最終デザインを確定します。

購入フローはコンバージョン率(CVR)に直結するため、EFO(エントリーフォーム最適化)やゲスト購入の可否を検討します。

離脱率を下げるには、Amazon Payなどの外部ID連携によるワンクリック購入を導入するなどの工夫も欠かせません。

国内のEC業界データによると、カートに商品を入れたユーザーのうち約70%が購入を完了せずに離脱しています。そのため、カート離脱率をどう下げるかは、DtoC-ECサイトの売上に直結する最も重要な課題です。

バックエンド開発では、商品・受注・顧客・在庫の管理に加えて、DtoC特有の定期購入管理も実装します。また、クーポン・ポイント管理、アフィリエイト連携、レコメンドエンジンの実装なども含まれます。

外部サービスとの連携開発も大切な工程です。決済では、GMOペイメントゲートウェイやSBペイメントサービスなどの決済代行サービスと接続します。物流では、ヤマト運輸や佐川急便のAPIと連携します。

マーケティングツール(Google Analytics 4、Klaviyo、LINEメッセージAPIなど)とは、それぞれ個別に連携を実装します。

開発期間中は2週間単位のスプリントで進め、各スプリントの終わりにデモを実施します。フィードバックを取り込むアジャイル型は、DtoC-ECの開発で特に有効です。

テスト・リリースフェーズ

テスト・リリースフェーズでは、開発したDtoC-ECサイトの品質を確認し、本番環境への公開を行います。DtoC-ECサイトのテストで特に大切なのは、購入フロー全体の動作確認です。

  • 購入フロー:商品をカートに入れてから、決済、注文確認メールの送信、受注データの反映まで一連の流れを検証します。
  • 負荷・定期購入:ピーク負荷と注文・変更・解約を確かめます。
  • 段階公開:限定公開で確認してから一般公開へ移行します。

決済手段には、クレジットカード、後払い、コンビニ決済、Amazon Pay、代金引換などがあり、手段ごとの確認が欠かせません。

定期購入がある場合は、初回注文から2回目以降の自動注文、お届けサイクルの変更、スキップ処理を検証します。解約まで含めた、ライフサイクル全体を通すテストが不可欠です。

パフォーマンステストも重要な工程です。DtoC-ECサイトは、SNS広告やテレビCM、インフルエンサー施策によって短期間にアクセスが急増する特性があります。

アクセスが一気に増える場面(トラフィックスパイク)への耐性は、事前に確かめておく必要があります。たとえば、ある食品DtoCブランドでは、テレビ番組で紹介された直後にアクセスが通常の50倍に跳ね上がりました。

また、サーバーがダウンして数時間にわたり販売機会を逸した事例もあります。こうした事態を防ぐため、想定されるピークトラフィックの2〜3倍の負荷をかけて検証します。

負荷への備えとして、オートスケーリングの設定やCDN(コンテンツ配信ネットワーク)の導入も検討する必要があります。

リリースに際しては、ソフトローンチ(限定公開)からグランドオープンへと段階的に進めるアプローチが推奨されます。まず社内関係者や一部のロイヤルカスタマーに限定公開して実際の利用フィードバックを収集し、致命的な問題がないことを確認してから一般公開に移行します。

リリース後の初月は、アクセス解析ツールで購入フローを分析し、離脱ポイントの特定と改善を迅速に進めます。こうした初月の取り組みが、DtoC-ECサイトの立ち上がりを加速させます。

ポイント

開発方式は、現在の事業規模だけでなく3〜5年後の成長計画に合わせて選びます。SaaS型かフルスクラッチ型かで、期間も費用も大きく変わるためです。

費用相場とコストの内訳

DtoC通販・ECサイトの初期費用を、SaaS型、定期通販型、パッケージ型、フルスクラッチ型の4方式で範囲表示した図。
開発方式によって、初期費用の目安に幅があります。

DtoC通販・ECサイトの開発費用は、選択するプラットフォームや機能の範囲によって大きく異なります。

予算を立てる際は、初期開発費用に加えて、リリース後の運用コストやマーケティング投資まで含めた総合的な視点でコストを把握することが重要です。

人件費と工数

DtoC-ECサイトの開発費用の大部分を占めるのが、エンジニアやデザイナーの人件費です。

  • SaaS型:Shopify、BASE、STORESなどのサービスを活用します。
  • 定期通販型:ecforce、リピスト、たまごリピートなどを利用します。
  • 個別開発:EC-CUBEやMagentoのカスタマイズ、フルスクラッチに対応します。

初期費用は方式によって異なり、SaaS型は30万〜300万円が目安です。一方、定期通販型は200万〜800万円が目安です。

個別開発では、パッケージ型(EC-CUBE、Magento)が500万〜2,000万円、フルスクラッチ型が1,500万〜5,000万円以上です。

SaaS型はテーマのカスタマイズやアプリ導入が中心で、構築は1〜3人月が目安です。独自デザインにする場合は、デザイナー1名とフロントエンドエンジニア1名を2〜3か月配置する例もあります。

定期通販特化型では、サブスクリプション機能の設定やLP(ランディングページ)の制作が主な作業内容となり、3〜6人月程度の工数が必要です。

パッケージ型やフルスクラッチ型では、プロジェクトマネージャー、バックエンドエンジニア、フロントエンドエンジニアがチームを組みます。さらにUI/UXデザイナーやインフラエンジニアも加わり、5名以上で6〜12か月かけるプロジェクトが一般的です。

エンジニアの単価は月額60万〜150万円、UI/UXデザイナーは月額50万〜120万円が相場です。経験豊富なDtoC-EC専門のデザイナーは数が少ないため、市場価値が高い傾向にあります。

工数配分の目安は、要件定義・企画とUI/UXデザインが各15〜20%です。フロントエンド・バックエンド開発は各20〜25%、テスト・リリースは15〜20%が標準的です。

工数配分からも分かるように、DtoC-ECはBtoB-ECなどに比べてデザインの比重が高く、ブランドの世界観を表現する投資が欠かせません。

初期費用以外のランニングコスト

DtoC-ECサイトのランニングコストは、プラットフォームの利用料や決済手数料に加え、サーバー、保守、マーケティングの費用で構成されます。項目ごとに金額を確認し、継続的に見直すことが大切です。

  • 利用料・決済:プラットフォーム料金と売上連動の手数料を見ます。
  • インフラ・保守:サーバー費と年間保守費を分けて見積もります。
  • 販促ツール:MA、レビュー、チャット、ヒートマップ費用も含めます。

SaaS型プラットフォームの場合、Shopifyの月額利用料は基本プランで約4,400円(33USドル)、上位プランで約13,000円(92USドル)です。

Shopify Plusは月額約30万円(2,300USドル)から、ecforceは月額50,000円からが標準的な価格帯です。

これらの月額利用料に加えて、決済手数料が売上の3.25〜3.9%程度かかります。DtoC-ECでは、この決済手数料が利益を圧迫する点にも注意が必要です。

月商が500万円を超える段階では、決済代行会社との直接契約による手数料率の交渉が有効です。

月商1,000万円の場合、手数料率を3.6%から2.8%に引き下げるだけで、年間約96万円のコスト削減につながります。

パッケージ型やフルスクラッチ型の場合は、クラウドインフラ費用が月額3万〜20万円程度です。保守・運用費用は、初期開発費用の15〜20%(年間ベース)が目安です。

初期開発費用が1,000万円の場合、年間の保守費用は150万〜200万円、月額に換算すると12万〜17万円程度となります。

DtoC-ECサイト特有のランニングコストとして見落とされがちなのが、マーケティングツールの利用料です。MAツール(Klaviyo、Omnisendなど)は月額1万〜10万円です。

レビュープラットフォーム(Yotpo、Judge.meなど)は月額5,000〜5万円です。このほか、チャットサポートツールは月額5,000〜3万円です。

ヒートマップツール(Hotjar、Microsoft Clarityなど)は月額0〜3万円です。マーケティングツールを合計すると、月額10万〜30万円程度に達する場合があります。

ランニングコストを総合すると、小規模なSaaS型のDtoC-ECサイトでは月額10万〜30万円、中規模以上では月額50万〜150万円程度が目安です。

ポイント

予算は初期費用だけで判断せず、決済手数料や保守、マーケティングツールの費用を含めて年単位で比べます。運用費の差が、総額に大きく響くためです。

見積もりを取る際のポイント

見積もり前に整理する情報を、商品・顧客、サイト要件、事業計画の3項目に分けた図。
前提を文書にまとめると、開発会社ごとの見積もりを比べやすくなります。

DtoC-ECサイトを外部に発注する際は、自社の要件を明確にしたうえで複数社から見積もりを取り、比較することが成功の鍵を握ります。見積もりの精度を高めるには事前の準備事項があり、開発会社を選ぶ際にも確認したい点があります。

要件明確化と仕様書の準備

見積もりの精度を高めるうえで最も大切なのは、発注側が事前に要件をできるだけ明確にしておくことです。

  • 商品・顧客:品数、販売モデル、顧客層、購買行動を整理します。
  • サイト要件:デザイン、プラットフォーム、外部連携を決めます。
  • 事業計画:流通額、注文件数、公開時期、拡張計画をまとめます。

「DtoCのECサイトを作りたい」という漠然とした依頼では、開発会社側も正確な見積もりを算出できません。そのため、リスクバッファーを多めに積んだ割高な概算見積もりが提示されがちです。

販売モデルは、単品販売か定期購入かセット販売かで必要な機能が変わるため、見積もり依頼前に、取扱商品のカテゴリと品数とあわせて整理しておきます。

必要なデザインの方向性や、希望するECプラットフォームがあれば、それも伝えます。

連携が必要な外部サービス(決済、物流、MAツール)、想定する月間流通額と注文件数、希望するリリース時期も明確にしておきます。将来追加したい機能も、見積もりの前提として伝えます。

必要な情報をドキュメントにまとめておけば、複数の開発会社に同一条件で見積もりを依頼でき、公正な比較が可能になります。

RFP(提案依頼書)を正式に作れない場合でも、ブランドの概要資料や商品一覧は用意しておきます。参考にしたいECサイトのURLも、最低限まとめておくことをおすすめします。

要件を明確にしている企業とそうでない企業では、見積もり金額に20〜40%の差が出ることも珍しくありません。要件定義への投資は、確実にリターンを生みます。

複数社比較と発注先の選び方

DtoC-ECサイトの開発会社を選ぶ際は、最低3社以上から見積もりを取って比べることをおすすめします。

  • 実績・提案:DtoC業界、ブランド支援、基盤選定を比較します。
  • デザイン:UI/UXと制作費・開発費の内訳を確認します。
  • 運営支援:体制、公開後の支援、見積もり条件を見ます。

比較時は、DtoC-EC開発の実績と業種との適合性を確かめます。さらに、ブランディングやUI/UXデザインの品質、提案されたプラットフォームの妥当性も見ます。

プロジェクト体制、リリース後の支援体制、見積もり内訳の明細度も、併せて確認します。

DtoC-ECの開発会社選びで特に重視すべきは「DtoCブランドの成長支援実績」です。

単にECサイトを構築する技術力だけでなく、DtoCビジネス特有のKPI(CVR、LTV、CPA、解約率など)を理解していることが重要です。システム面から事業の成長を支えられるパートナーが理想的です。

候補となる開発会社には、過去に手がけたDtoC-ECサイトのURLやケーススタディの提供を求め、デザイン品質やUXの完成度を実際に確かめます。

見積もりの内訳で「デザイン制作費」と「開発費」が分かれて示されているかも、大切な確認点です。

DtoC-ECではデザインの品質がブランド価値とCVRに直結するため、デザインへの投資を適切に見積もる開発会社を選ぶことが大切です。そうした会社は、DtoCの本質を理解しているといえます。

注意したいのは、初期見積もりが極端に安い場合です。デザインのテンプレート流用や機能の簡素化で、コストを下げている可能性があります。

そうなると、リリース後に「やはりこのデザインでは集客できない」「この機能がないと運用が回らない」という事態に陥り、追加開発費が膨らむおそれがあります。見積もりの前提条件と対応範囲は、必ず確認してください。

注意すべきリスクと対策

DtoC-ECサイトの開発・運用には、典型的なリスクがいくつかあります。なかでも発生頻度が高いのは、「プラットフォーム選定のミスマッチ」です。

  • 基盤選定:成長後の拡張性とデータ移行の負担を検討します。
  • 体験と安全:表示速度、購入しやすさ、個人情報保護を両立します。
  • 集客資金:サイト費だけでなく公開後6〜12か月の販促費を見ます。

事業の初期段階ではBASEやSTORESなどの低コストプラットフォームで始めても、月商の拡大に伴ってカスタマイズの限界に直面する場合があります。その結果、別のプラットフォームへの移行を余儀なくされるケースが多く見られます。

プラットフォーム移行には商品データ・顧客データの移行、リダイレクト設定、SEO評価の引き継ぎが必要で、相応の工数とコストがかかります。

そのため、初期段階から中長期的な成長計画に沿ってプラットフォームを選ぶことが対策になります。次に注意したいリスクは、「デザインと機能のバランス崩壊」です。

ブランドの世界観表現にこだわるあまり、ページの表示速度が遅くなったり、購入フローが複雑になったりして、ユーザビリティが犠牲になるケースがあります。

Googleの調査によると、ページの読み込み時間が1秒から3秒に増加すると直帰率が32%上昇し、5秒では90%上昇するとされています。ブランド表現とパフォーマンスの両立は、常に意識すべき課題です。

個人情報保護とセキュリティにも注意が必要です。DtoC-ECサイトは氏名、住所、クレジットカード情報などを扱うため、情報漏えいはブランドの信頼を損なうおそれがあります。

PCI DSS準拠の決済環境とWAF(Web Application Firewall)を導入し、定期的な脆弱性診断やアクセスログ監視も行います。これらの対策は、開発段階からセキュリティ要件として組み込むことが不可欠です。

さらに、マーケティング投資の見積もり不足も見落とせません。DtoC-ECサイトはモール型ECと異なり、自力で集客する必要があるため、サイト構築費用と同等かそれ以上のマーケティング投資が必要になります。

サイト開発の予算に加えて、リリース後6〜12か月分の広告運用費やSNS運用費も含めて、資金計画を立てることが大切です。あらかじめ運転資金を見通しておけば、DtoC事業を続けやすくなります。

ポイント

見積もりは、要件をそろえた複数社で比べます。金額の安さだけで選ぶと、デザインや機能の簡素化で後から追加費用が膨らむおそれがあるためです。

まとめ

DtoC通販・ECサイト開発は、全体像を押さえたうえで、要件定義、費用、見積もりの順に検討を進めることが基本です。DtoC-ECを成功させるには、ECサイトを単なる販売チャネルではなく「ブランド体験の場」と捉えることが出発点です。

そのうえで、要件定義ではターゲット顧客のペルソナと販売モデル(単品販売・定期購入など)を明確にします。次に、中長期の事業成長計画に合うプラットフォームを選び、UI/UXとリリース後のマーケティング投資を含めて資金計画を立てます。

費用相場としては、SaaS型で30万〜300万円、定期通販特化型で200万〜800万円、パッケージカスタマイズ型で500万〜2,000万円です。フルスクラッチ型は1,500万〜5,000万円以上が初期費用の目安です。運用費は小規模で月額10万〜30万円、中規模以上で月額50万〜150万円程度を見込みます。

市場拡大が続くなか、早期に自社ECを構築して顧客との関係を築くことは、中長期的なブランド価値と持続的な成長につながります。まずは、ブランド戦略と事業計画を整理したうえで、開発パートナーと実現に向けた計画を立てることから始めます。

DtoC通販/ECサイト開発の全体像は、DtoC通販/ECサイト開発の完全ガイドをご覧ください。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。